WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ドルフィン

2014年12月07日 | 今日の一枚(S-T)

☆今日の一枚 389☆

Stan Getz

The Dolphin

 

 午後からバスケットボールの練習に付き合わねばならないが、午前中はフリーだ。明日までに新しい教材を形にしなければならないが、もう少しなので何とかなるだろう。生協で購入した京都小川珈琲店のプレミアムブレンドを飲みながら、ゆったりと流れる時間を楽しんでいる。時々ではあるが、こういう落ち着いた時間を過ごすことができるようになったのはここ数年だろうか。若い頃は、仕事や研究や部活動に忙殺される日々だった。書店に行くと、読みたい本、読まなければならない本の多さに、本棚に押し潰されそうになるような錯覚を覚えたものだ。いつも何かにせかされ、心の中はある意味で修羅だった。ただ、それでよかったのかもしれない、と今は思う。

 スタン・ゲッツ晩年の作品、1981年録音作品の『ザ・ドルフィン』。サンフランシスコのキーストン・コーナーでのライブ録音盤である。こういう穏やかな時間を過ごすにはぴったりのアルバムだ。本当に時間がゆったりと流れる。②A Time For Loveが心にしみる。ゆったりとしたサウンドの流れの中で、実に情感豊かなセンチメンタルなテナーが響く。まったくいつもながら、アドリブ自体が一級品のメロディーのような流麗な演奏だ。

 長男は大学バスケットボールの新人戦だ。ちょうど今頃、仙台でゲーム中だ。けれども観戦にはいかない。見たいとは思うが、もう息子の世界に足を踏み入れるべきではないと思うし、私自身が子離れをしなければならないと思っている。もう数年したら息子も私ももっと大人になり、違った心持ちで息子の試合を見ることができるかもしれない。