【先月29日「芸予諸島に連なる生口島の内海造船瀬戸田工場にて、新型輸送艦の進水式・命名式は行なわれた。発表された艦名は「にほんばれ」。この艦は、陸上自衛隊の隊員を中心として、今年度末に新編される陸海共同部隊「自衛隊海上輸送群(仮称)」に配備される。そのため、式典列席者は陸上自衛隊幹部が多くを占めた。まさに「陸上自衛隊による進水式」と言えるものだった】のは知っていました。
にほんばれ 横からの雄姿
進水式の時点では「輸送艦」の進水式が主で海自が主体で運用するのか他の方法なのか部隊的な説明は有りませんでした。
3日このMotor-Fan誌がそれを解説しています。
【「にほんばれ」の命名者は名目上、防衛大臣だが、実際には陸上自衛隊によるものだろう。海上自衛隊の艦艇命名ルールとは異質の、なんとも不思議な名前だ。なお、命名理由として「任務の完遂と航海の安全と願い、太陽にちなむもの」と説明された。
なぜ、陸上自衛隊員が輸送艦を運用するのか
「自衛隊海上輸送群(仮称)」は、南西諸島の防衛のため、海を越えて部隊や物資を輸送するために新編される組織だ。現在、海上自衛隊が保有する輸送艦は「おおすみ」型3隻のみであり、自衛隊の海上輸送力は充分とは言えない(なお、民間との契約に基づいて、大型フェリー2隻も部隊輸送に活用されている)。とはいえ、現在の海上自衛隊には、新たな輸送艦部隊に人員を割ける余裕がなく、「陸上自衛隊員を中心とする輸送艦部隊」が設立されることになったのだ。
これら輸送艦/輸送艇は、既存の海上自衛隊輸送艦よりかなり小さい(「おおすみ」型は8900トン/178m)。これは、大型船を乗り入れることができない離島の小さな港湾にも接岸できるようにするためだ。また、「にほんばれ」型2400トン輸送艦は、砂浜に艦首を乗り上げて、物資を陸揚げする「ビーチング」能力もあり、港湾が無い島や、破壊されてしまった島にも補給が可能だ。
広島県江田島の海上自衛隊第1術科学校で教育を受ける陸上自衛隊員。数年前より海上自衛隊の協力のもと、海上輸送群設立に向けた要員育成が開始されている(写真/筆者)
これら輸送艦/輸送艇は、既存の海上自衛隊輸送艦よりかなり小さい(「おおすみ」型は8900トン/178m)。これは、大型船を乗り入れることができない離島の小さな港湾にも接岸できるようにするためだ。また、「にほんばれ」型2400トン輸送艦は、砂浜に艦首を乗り上げて、物資を陸揚げする「ビーチング」能力もあり、港湾が無い島や、破壊されてしまった島にも補給が可能だ。
同艦の乗員は約30名で、その大半を陸上自衛隊員が占めることになる。艦長も陸上自衛隊幹部が選ばれる可能性があるようだ(現時点では艦長が陸海いずれの幹部になるか、また階級等について、未定であるとの説明を受けた)。
2027年度までに合計10隻体制を目指す】
要すれば:
「南西諸島の防衛のため島しょ部の狭く浅い海岸に港湾正接が無くても直接浜に乗り上げて物資の揚陸を可能にする船舶を将来的には10隻ほど持つ」計画の様です。太平洋戦争のころ、大量のLST で南方の島しょ部に物資を揚陸した米軍の足元には及びませんが「国民皆兵」制をとらない日本としては民間フェリーの借り上げも含めて「兵站の補給或いは市民の退避等」を念頭に準備をを開始したのは良い事でしょう。
九州な南方で戦争の危険性が全くない時代になってきますから「少しはその備えを始める」の致し方ない所かもしれません。財政面を考えればこの程度でも微妙です。
広島県江田島の海上自衛隊第1術科学校で教育を受ける陸上自衛隊員。数年前より海上自衛隊の協力のもと、海上輸送群設立に向けた要員育成が開始されている(写真/筆者)
写真:船台から海面へと滑りおりていく新型輸送艦「にほんばれ」。この艦は、主に陸上自衛隊の隊員によって運航される予定だ。まさに「陸上自衛隊の輸送艦」と言える(写真/筆者)
Motor- Fan:
陸上自衛隊による進水式
広島県と愛媛県のあいだ、芸予諸島に連なる生口島の内海造船瀬戸田工場にて、新型輸送艦の進水式・命名式は行なわれた。発表された艦名は「にほんばれ」。この艦は、陸上自衛隊の隊員を中心として、今年度末に新編される陸海共同部隊「自衛隊海上輸送群(仮称)」に配備される。そのため、式典列席者は陸上自衛隊幹部が多くを占めた。まさに「陸上自衛隊による進水式」と言えるものだった。
「にほんばれ」の命名者は名目上、防衛大臣だが、実際には陸上自衛隊によるものだろう。海上自衛隊の艦艇命名ルールとは異質の、なんとも不思議な名前だ。なお、命名理由として「任務の完遂と航海の安全と願い、太陽にちなむもの」と説明された。
なぜ、陸上自衛隊員が輸送艦を運用するのか
「自衛隊海上輸送群(仮称)」は、南西諸島の防衛のため、海を越えて部隊や物資を輸送するために新編される組織だ。現在、海上自衛隊が保有する輸送艦は「おおすみ」型3隻のみであり、自衛隊の海上輸送力は充分とは言えない(なお、民間との契約に基づいて、大型フェリー2隻も部隊輸送に活用されている)。とはいえ、現在の海上自衛隊には、新たな輸送艦部隊に人員を割ける余裕がなく、「陸上自衛隊員を中心とする輸送艦部隊」が設立されることになったのだ。
これら輸送艦/輸送艇は、既存の海上自衛隊輸送艦よりかなり小さい(「おおすみ」型は8900トン/178m)。これは、大型船を乗り入れることができない離島の小さな港湾にも接岸できるようにするためだ。また、「にほんばれ」型2400トン輸送艦は、砂浜に艦首を乗り上げて、物資を陸揚げする「ビーチング」能力もあり、港湾が無い島や、破壊されてしまった島にも補給が可能だ。
これら輸送艦/輸送艇は、既存の海上自衛隊輸送艦よりかなり小さい(「おおすみ」型は8900トン/178m)。これは、大型船を乗り入れることができない離島の小さな港湾にも接岸できるようにするためだ。また、「にほんばれ」型2400トン輸送艦は、砂浜に艦首を乗り上げて、物資を陸揚げする「ビーチング」能力もあり、港湾が無い島や、破壊されてしまった島にも補給が可能だ。
同艦の乗員は約30名で、その大半を陸上自衛隊員が占めることになる。艦長も陸上自衛隊幹部が選ばれる可能性があるようだ(現時点では艦長が陸海いずれの幹部になるか、また階級等について、未定であるとの説明を受けた)。
2027年度までに合計10隻体制を目指す
前述したとおり、海上輸送群は今年度末に新編される。司令部は呉だ。輸送艦は、中型級輸送艦・小型級輸送艦各1隻が今年度中に就役し、やはり呉地区に置かれることになるという。来年度には、さらに小型級輸送艦2隻が加わり、小型級輸送艦3隻で「海上輸送隊」を編成。同隊は海上自衛隊阪神基地に移転する計画だと言う(以後の体制について未定)。
海上輸送群は、令和9年度(2027年度)までに、中型級輸送艦2隻/小型級輸送艦4隻/輸送艇(機動舟艇)4隻の10隻体制の整備を完了する予定だ。地味な役割ではあるが、島嶼防衛に向けた、自衛隊の「足腰」とも言える存在であり、我が国の防衛力を支える重要な部隊となることは間違いない。
(引用終わり)