御堂筋に木枯らしが吹き黄色に色づいた銀杏の葉を歩道に散らした
予備校からの帰り道、かっぱ横丁の紀伊国屋書店で立ち読みをした
曲名は忘れたが店に松山千春の曲が流れていた
梅田の予備校に籍はあったがほとんど学校に行かずパチンコ屋に入り浸っていた。
夏が過ぎ秋になり冬が近づいた頃、周りの人間とほとんど接する事が無くなって来て
現在で言う‘ひきこもり状態,だった
今、思い出して見るとその頃が不幸だったかと言うと
ひょっとして夢のような時代に思えて来る
自分の人生にあったほんの一瞬の時期
何事にも縛られず
何人にも束縛されず
他人の顔色を窺わず
使命感も無く
まっ親の援助があったからこそ出来たんだけど
不安感とお気楽感の入り混じった様な時期だった
18歳の冬
北風が鉄枠の窓に吹き付け窓をカタカタと揺らし
スースーと隙間風が三畳一間の部屋に入ってきた
寒くて寒くて
万年床に頭まで潜って膝を抱えた
あれから何十年も経って
何だか日常生活に追われてふと顔を上げた時
昔のほんの一時の情景が浮かんでくる