「お父ちゃんどうや、寒くないか?」
「寒うない、ぬくうにしちょる」
「一人で大変やない?」
「大丈夫や」
「・・・」
「実はもう商売も左前になりそうやし、なんやったら俺だけ田舎に帰ろうかと思ってるんやけど」
「こっちに帰って来て何をするんや、こっちには人がおらんぞ」
「いやケ○マネの仕事でもないかと思ってるんやけど」
「・・・」
「そっちにもうおれ、こっちはなんとかなる」
「おかあちゃんにもまめに会いにいかんと」
「ええ、ええ、そっちにおれ、こんな田舎に帰って来てもしょうが無いやろ」
「そうか・・・」
汽車を待つ君の横でぇ♪僕は時計を気にしてる~♪
季節外れの雪が降ってる~♪
何だか何もかもが嫌になって来た
これってプチうつかな
日曜日に深酒すると月曜日、稀にこんな症状が出るんだよな
もう仕事もあかんし
田舎に帰って親の介護でもしようかな
さんざん迷惑だけかけて
弱って来たらおっぽり投げて
これじゃーかわそうだもんな
しかし
こっちの暮らし向きも考えないと
難儀やな
実家は遠浅の浜辺から歩いて1分
夜、布団にもぐりこんで瞼を閉じると子守歌のように潮騒が聞こえ
嵐の晩はグオーと地の底から唸るような海鳴りが聞こえた
海はこうして悠久の時を刻み
人は海に生まれやがて海に帰る