HIROZOU

おっさんの夜明け

純粋な頃

2016-01-29 18:09:34 | メモリー

外は氷雨が降っている

お客様は誰もいない職場にはまぬけ面のおっさんが一人

有線から懐メロが流れて来る

明日の夜中から雨が雪に変わるかもしれない

初めて本格的な雪を見たのは

19歳の冬

4~5日で‘クビ,になった玩具問屋のアルバイトで最初で最後の配達の助手として京都方面の玩具屋さん数件を周った時だった

初めて嵐山に行き桂川の土手から渡月橋を見た

京都市内を数軒回り高速道路を東へ向かった

京都を過ぎ滋賀に入った頃か記憶にないが

確か琵琶湖バレイの看板があった

えらい寒いなと思ったら

空から大粒の雪の結晶が降って来た

すると見る間にアスファルトの道路を白い絨緞が埋め尽くして来た

運転手の社員が

「けっ!難儀やな」

と車にチェーンの装着に取り掛かろうとした時

僕は胸が一杯に高鳴った

「これが雪や、綺麗やな」

目に映るありとあらゆる物を白く覆ってしまう

テレビでいつも釘付けになった北国の風景だ

僕の目頭は熱くなった

その日から3か月を待たずに僕は東京に上京した

その後、雪が降っても何も感じなくなった

でもあの日の感動と同じ様な感動が人生にあったかな?

コメント
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