皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

加須外野 新田稲荷

2018-05-11 21:41:26 | 神社と歴史

 加須市最北部の外野は利根川と古利根川の分岐点にあたる。県道46号線を大利根方面に走り、埼玉大橋を超えれば北川辺に入る。古利根川がかつて幹流であったころは、坂東太郎の名の通り、この付近で幾度となく流れを変えたらしい。外野の地名は往時、村がその堤外にあったことを示している。
 付近の川圦神社や鷲神社にはそうした利根川の決壊を防ぐための人柱となった話が残っている。この新田稲荷は明治期の合祀政策で川圦神社に合祀された歴史があり、神社としての登記も単独ではされていないが、例のごとく合祀後村に凶事が起こり返還されたとされている。

田植えが終わった後で水田に囲まれた様子は神々しくも水面に映るようだ。社殿裏には明治期に建てられた月待講の石碑が建てられている。また稲荷神社の神使である狐も供えられている。

明治期の神社合祀政策は特に地方においては地域の共同体の総意に反して行われた部分が大きかったと思う。埼玉の神社を読みながら、合祀後村に災い、凶事があり合祀を免れた等の記述がとても多い。祟りを理由に村に神社を残そうとしたと考えた方が自然のような気がしている。稲の成長と共に緑に囲まれた稲荷神社はより一層美しく映えることだろう。毎日この脇を通りながらその様子を目にしている。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする