7基の古墳からなる加須市樋遣川古墳群。現存する三つの古墳の内、稲荷塚古墳と浅間塚古墳は水田に囲まれ100mほど離れているが並ぶように建っている。どちらも御室社に祀られる、三諸別王の一族を祀ったものと考えられている。稲荷塚に建つ稲荷神社は古くから稲荷台に住む人たちによって祀られ。元は稲荷宮(とうかみや)といわれていた。
明治に入り合祀の動きがあったにもかかわらず、古墳上にあることから動かされることはなかったという。
御祭神は宇賀魂命。内陣には稲荷神像と御眷属像が納められるという。また旧暦で行う初午祭では例祭としてすみつかれを食べるという。
今の時期まさしく水田に浮かぶ小さな浮島のごとく、塚のすぐ前には田んぼが広がり、古墳内の階段だけが参道となっている。七基あった古墳も長い年月かけて削られ、取り壊されるなどして三基を残すのみとなっているがいづれも山頂に神社がまつられ、祭祀が行われることにより氏子の信仰によってその姿を留めている。稲荷塚から眺める浅間塚の様子は夕日の色と水田が反射し輝くばかりの緑の苗が広がっている。