学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

筆のおもむくままに

2008-02-22 21:30:22 | 読書感想
多忙なときほど、本を読みたくなる。

最近は再び芥川の『歯車』を、併読でボードレールの『巴里の憂鬱』を読み始めた。

『歯車』は言うに及ばず。これはもはや私の相棒ともいうべき本であり、無人島に本を一冊持っていけるとしたら、迷うことなく手に取る。ところどころの伏された死のイメージ。ブランコ台が絞首台に見えるというすさまじさ。著した本人が自殺しているという事実。私の心が強く波動する。

ボードレールは『悪の華』。かつての館長が、美術をやるならボードレールを読めと私に盛んに勧めた。けれど、私は手に取らなかった。(館長の勧めで手に取ったのはチェーホフの『サハリン島』だけだ)『巴里の憂鬱』を手に取った理由は、私が好きな三好達治が訳を担当したからだ。きっかけなんてそんなもの。私もボードレールのように、空を愛したい。誰にもさえぎられることなく、夜になれば満天の星が輝くあの自由な空を。