学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

「芭蕉 おくのほそ道」を読み始める

2008-02-04 21:03:46 | 読書感想
人間、転げ落ちるは極めて早し。然れども、危険が迫れば己を守ろうとするのも、また人間である。

今日は休日。自分を見つめ直す多少のゆとりを得たのは幸。このまま底へ転げ落ちるわけにはいかないと言い聞かせて、気持ちに踏ん張りを持たせる。

久しぶりに読書を始めた。「芭蕉 おくのほそ道」(岩波文庫)である。以前の館長が愛読していた本で、君もぜひ読むといいと薦められた。その頃の私は、芭蕉には全く興味がなく、そのまま返事だけしてなおざりにしていたが、何だかやけに読みたくなって手に取ってみた。

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」
学生時代に暗記させられた序章だ。月日は旅人、過ぎ行く年もまた旅人。来たと思ったら、すぐに発つ。時間の流れは、最終的にどこを目指しているのかは知らないが、それを旅人に例える部分はある切なさを感じさせる。

読み始めたばかりなので、全体を通してのことはまだ書けない。けれども、序章だけでも十分に読む価値があるような気がする。「おくのほそ道」は東北が舞台となっており、私の知っている地名も数多く出てくるので、芭蕉や曾良とともに、本のなかでしばらく東北の旅を楽しもうと思う。