学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

モネの《ラ・ジャポネーズ》

2007-12-25 21:03:43 | 仕事
まだ画集でしか見たことがありませんが、今日は私の好きな絵をご紹介します。

モネの《ラ・ジャポネーズ》。

モネと言えば睡蓮(すいれん)をイメージされる方が多いと思いますが、
同作品はジャポニスムの影響を強く受けている一点です。

図版が掲載できませんので、私のつたない文章で画面をご紹介します。

画面中央に着物をまとった笑顔のフランス人女性(モネの妻か?)が描かれています。後ろを見返したポーズで、首をやや斜めに傾けて、右手でキレイな扇子を広げています。着物は真っ赤で、上部に植物紋、下部に鍾馗(しょうき)がデザインされています。(鍾馗のように見えますが、異なっていたら訂正させていただきます)美人のフランス人の女性と邪気を追い払う鍾馗の関係が、非常に面白い組み合わせです。背景の壁面には、浮世絵調の女性や日本の風景が描かれた数々の団扇が、左右に傾けられながらバランスよく配置されています。おそらく主題(女性、着物)を目立たせるためでしょう。背景をやや暗いグリーンで描いています。床に目を凝らすと、団扇が2点落ちています。この女性はさっきまで、この団扇で遊んでいたのかも…。そうして、ちょっとおしゃれをして見たくなって、着物をふいにまとって格好を付けてみた…そんな想像が出来そうです。

さて、私はこの絵のどこが好きなのかと申しますと、感覚的な部分が強いのですが、しいていうならフランス人女性が日本の着物を着こなしている違和感が好きです。とかく違和感というと、マイナスなイメージが付きまといますが、なぜかこの絵に関してはそれが面白い。違和感を面白く取り入れてしまう、それがモネの意図したところかどうかは別ですが、少なくとも私には面白く感じられるのです。ぜひ、いつか実物を見てみたいですね。

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