学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

小説との再会

2012-04-15 18:10:32 | 読書感想
仕事に追い立てられて、息つく暇もなし。満開の桜の前で立ち止まって余韻にひたる間もなし。一生に一度しかない平成24年の桜とは冷たい別れになるのでしょうか。

この頃、やたらと「芥川龍之介」の文字が目に入ります。今月は、栃木県宇都宮市で晩年の健康を害した芥川の書簡が新たに見つかった話題。そして日経新聞夕刊4月3日付「こころの玉手箱」物理学者益川敏英氏が学生時代に芥川の小説をむさぼり読んだエピソード。新聞の「芥川龍之介」の文字を見て、なんだかひどく懐かしい気がしました。元来、私は小説を読むのがとても好きです。小説だけではなく、俳句も詩歌も好き。そこには私の知らない世界がどこまでも広がっているから。その世界では、一対一で作家と対話をしているような気持ちになります。ソクラテス、ディケンズ、ゲーテ、フローベール、モーパッサン、ゴーゴリ、ドストエフスキー、松尾芭蕉、夏目漱石…とにかく時代を超えて世界中の作家と会うことができます。こんな素晴らしいことが他にあるのでしょうか。

こんな素晴らしい魅力を知りながら、私は仕事に忙殺されて(仕事のせいにして?)、ここしばらくはほとんど本を読んでいませんでした。そこでの「芥川龍之介」。芥川から「戻ってこい」と言われているような、そんな不思議な感じがしたのです。芥川は私の好きな小説家の一人。もう文庫がボロボロになるぐらい読みました。そんな芥川から戻ってこいと言われたら…それはもう戻るしかない。久しぶりの休日となった今日は、仕事のことから離れ、小説の世界を楽しみました。芥川の小説を始め、埃をかぶっていた本をひっぱり出して、手当たり次第に読む時間。やはり小説はいいですね。体の中を心地よい暖かな風が吹き抜けるよう。

私の生活に本はなくてはならないもの。そう実感した春のある一日でした。芥川龍之介との小説を通した縁に深く感謝です。

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