学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

美術館のスパイ

2021-03-05 19:09:08 | 仕事
仕事柄、私は他所の美術館を見に行ったら、展覧会そのものを楽しむのはもちろん、その展覧会のために書かれた挨拶文やテーマ解説、作品解説などの内容、書き方、分量、文字の大きさ、レイアウトなどにも意識を向けています。それらを見て、自分の美術館に取り入れられるものがないかどうか、スパイ、ならぬ、勉強のために見ているのです。

これらの文章は、お客様に作品をより楽しんでいただくために書かれるものです。ですから、お客様の立場で言葉を考えなくてはいけません。私が歴代の館長から教わったのは、単純明快に書け、ということでした。文章が長すぎては疲れる、内容が難しすぎても疲れる、字が小さくても疲れる、とにかくお客様を疲れさせるなと。確かにそのとおりで、私もそれを念頭に置いて、文章を書き、パネルをつくっています。今までで、特にそれらが見やすく面白いと感じたのは板橋区立美術館、栃木県立博物館あたり。もちろん、展覧会によって内容は違うのですが、作品や資料の見どころをいかに優しく楽しく伝えられるかを、館全体でかなり意識して取り組んでいるように見受けられました。両館からは、私も随分学ばせてもらいました。

本を読むことだけが勉強ではなし。(ジャンルを問わず)他所の美術館をどんどん見に行き、刺激を受けることが大切、と私は考えています。来年度の新しい企画展に向けて、どうすればいい展示になるのか、今、展覧会の準備が佳境に入っているところです。

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