今年は新型コロナウイルスのおかげで、一度も上京することなく年が暮れてしまいそうだけれど、昨年までの記憶によれば、東京という街はいつもどこかしこ工事をしていて、なんだか世話しないところだな、という印象があります。
森鴎外の『普請中』は、明治末期に書かれた小説です。短編ながら、そこに当時の社会が描写されていて興味深く読みました。舞台となるホテル自体が実際に「普請中」なわけですが、気の利かない、ノックを知らない、そして大げさな給仕人の対応、ホテル内にある盆栽、西洋間にある掛軸、ホテルからの眺め、新しい西洋の文明を吸収しきれず中途半端になっている日本社会自体を「普請中」と皮肉っているように感じられました。
それから100年後の日本で生活をしている私たち。東京は未だ「普請中」だし、個人の生活は色々な様式がごちゃまぜになっていて、そういう現状を見ると、私はやはりまだ日本は「普請中」の気がしてならないのです。
森鴎外の『普請中』は、明治末期に書かれた小説です。短編ながら、そこに当時の社会が描写されていて興味深く読みました。舞台となるホテル自体が実際に「普請中」なわけですが、気の利かない、ノックを知らない、そして大げさな給仕人の対応、ホテル内にある盆栽、西洋間にある掛軸、ホテルからの眺め、新しい西洋の文明を吸収しきれず中途半端になっている日本社会自体を「普請中」と皮肉っているように感じられました。
それから100年後の日本で生活をしている私たち。東京は未だ「普請中」だし、個人の生活は色々な様式がごちゃまぜになっていて、そういう現状を見ると、私はやはりまだ日本は「普請中」の気がしてならないのです。