(1)福島 原発告訴団(武藤類子・団長)は、6月11日、福島地方検察庁に「福島原発事故の責任を問う」告訴を行った。告訴団員は、福島県民1,324人【注1】。
(2)被告訴・被告発人は、33人。
東電・・・・15人。勝俣恒久・東京電力取締役会長(職名は6月11日現在、以下同じ)らのほか、吉田昌郎・東電元原子力設備管理部長/福島第一原発前所長も入っている。
原子力安全委員会・・・・6人。斑目春樹・委員長ら委員全員のほか、鈴木篤之・前委員長も入っている。
原子力委員会・・・・近藤駿介・委員長。
原子力安全・保安院・・・・3人。寺坂信昭・前院長のほか、松永和夫・前経産事務次官は元院長の肩書きで告訴・告発されている。広瀬研吉・元院長も。
文部科学省・・・・4人。栃東久美子・前生涯学習局長、山中伸一・前初等中等教育局長、会田隆史・前科学技術政策局長、布村幸彦・前スポーツ・青少年局長。
学界・・・・4人。衣笠善博・東工大名誉教授と、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーが、山下俊一・福島県立医科大学副学長以下、全員が告訴・告発されている。
(3)(2)の選定基準は、今回の事故に係る直接的責任を有する人だ。責任とは、地震や津波への安全対策を怠ってきた過失、事故発生後に被曝を拡大させた過失だ。政治家は、別の形で政治的責任を問うべきかと、対象から外された。
(a)福島第一原発を運転していた東電の関係者。
(b)(a)を監督していた政府の関係者。
(c)SPEEDIの隠蔽、放射線基準緩和によって被曝を拡大させた文科省の官僚。
(d)事故直後から放射線の危険性を軽視する発言を繰り返すことで、子どもたちを始め、被曝を拡大させた山下俊一ら福島県放射線健康リスク管理アドバイザー。
(4)放射能被害を受けている人々の生活は、困難を極める。毎日毎日、否応なく迫られる決断。逃げる、逃げない。食べる、食べない。子どもにマスクをさせる、させない。洗濯物を外に干す、干さない。畑を耕す、耕さない。なにかに物申す、黙る。・・・・毎日が苦渋の選択だ。こうした生活に追い詰められ、疲れ果ててしまった人も少なくない。
被災者が被曝しながら除染作業を行わざるをえない不条理、家が、学校が、職場がそこにあるのに戻れない不条理。
除染作業をしながら、こんなことをして何になるのだろう、とつぶやき、一時帰宅した自宅で自決した浪江町住民。
告訴だけでなく、刑事告発も同時に行ったのは、憤りも悲しみも口に出して訴えることのできなくなった人たちの被害についても、その責任を問わなければならない、と告訴団は考えたからだ。
(5)武藤団長は、(2)の者に刑事責任があることは明らかだ、と言い、「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害犯罪処罰法)」第3条を援用する。
武藤団長が刑事責任を問いたい気持ちに、満腔の共感を寄せる。ただ刑事責任を問いたいのではなく、彼らが何の反省もない現在の立ち居振る舞い(原発再稼働がその象徴)を問題にしている、という点にも同感する。
しかし、法3条の「人の健康を害する物質」に放射性物質/放射能が含まれるか、武藤団長以下、告訴団の団員たちには気の毒だが、疑問の余地がある【注2】。
弁護士が有能であることを願うばかりだ。
【注1】「原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~」
【注2】「【震災】原発>古賀茂明の、放射性物質漏洩の罰則はない」
以上、武藤類子/聞き手・まとめ:熊谷伸一郎(本誌編集部)「原発事故を引き起こした人たちへ ~なぜ告訴告発をしなければならなかったのか~」(「世界」2012年8月号)に拠る。
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(2)被告訴・被告発人は、33人。
東電・・・・15人。勝俣恒久・東京電力取締役会長(職名は6月11日現在、以下同じ)らのほか、吉田昌郎・東電元原子力設備管理部長/福島第一原発前所長も入っている。
原子力安全委員会・・・・6人。斑目春樹・委員長ら委員全員のほか、鈴木篤之・前委員長も入っている。
原子力委員会・・・・近藤駿介・委員長。
原子力安全・保安院・・・・3人。寺坂信昭・前院長のほか、松永和夫・前経産事務次官は元院長の肩書きで告訴・告発されている。広瀬研吉・元院長も。
文部科学省・・・・4人。栃東久美子・前生涯学習局長、山中伸一・前初等中等教育局長、会田隆史・前科学技術政策局長、布村幸彦・前スポーツ・青少年局長。
学界・・・・4人。衣笠善博・東工大名誉教授と、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーが、山下俊一・福島県立医科大学副学長以下、全員が告訴・告発されている。
(3)(2)の選定基準は、今回の事故に係る直接的責任を有する人だ。責任とは、地震や津波への安全対策を怠ってきた過失、事故発生後に被曝を拡大させた過失だ。政治家は、別の形で政治的責任を問うべきかと、対象から外された。
(a)福島第一原発を運転していた東電の関係者。
(b)(a)を監督していた政府の関係者。
(c)SPEEDIの隠蔽、放射線基準緩和によって被曝を拡大させた文科省の官僚。
(d)事故直後から放射線の危険性を軽視する発言を繰り返すことで、子どもたちを始め、被曝を拡大させた山下俊一ら福島県放射線健康リスク管理アドバイザー。
(4)放射能被害を受けている人々の生活は、困難を極める。毎日毎日、否応なく迫られる決断。逃げる、逃げない。食べる、食べない。子どもにマスクをさせる、させない。洗濯物を外に干す、干さない。畑を耕す、耕さない。なにかに物申す、黙る。・・・・毎日が苦渋の選択だ。こうした生活に追い詰められ、疲れ果ててしまった人も少なくない。
被災者が被曝しながら除染作業を行わざるをえない不条理、家が、学校が、職場がそこにあるのに戻れない不条理。
除染作業をしながら、こんなことをして何になるのだろう、とつぶやき、一時帰宅した自宅で自決した浪江町住民。
告訴だけでなく、刑事告発も同時に行ったのは、憤りも悲しみも口に出して訴えることのできなくなった人たちの被害についても、その責任を問わなければならない、と告訴団は考えたからだ。
(5)武藤団長は、(2)の者に刑事責任があることは明らかだ、と言い、「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害犯罪処罰法)」第3条を援用する。
武藤団長が刑事責任を問いたい気持ちに、満腔の共感を寄せる。ただ刑事責任を問いたいのではなく、彼らが何の反省もない現在の立ち居振る舞い(原発再稼働がその象徴)を問題にしている、という点にも同感する。
しかし、法3条の「人の健康を害する物質」に放射性物質/放射能が含まれるか、武藤団長以下、告訴団の団員たちには気の毒だが、疑問の余地がある【注2】。
弁護士が有能であることを願うばかりだ。
【注1】「原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~」
【注2】「【震災】原発>古賀茂明の、放射性物質漏洩の罰則はない」
以上、武藤類子/聞き手・まとめ:熊谷伸一郎(本誌編集部)「原発事故を引き起こした人たちへ ~なぜ告訴告発をしなければならなかったのか~」(「世界」2012年8月号)に拠る。
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