(1)2012年6月11日、福島県の住民1,324人が、勝俣恒久・東京電力会長(当時)、斑目春樹・原子力安全委員会委員長ら33人を業務上過失致死傷害などで福島地検に刑事告訴・告発した【注1】。
検察は、7月12日現在、この訴えを受理していない。書類の「預かり書」を手渡ししただけだ。検察は今、訴を棚ざらしにしている。
(2)3・11以降、福島第一原発事故に係る刑事告発、刑事告訴は20件を超える【注2】。だが、検察は1件も受理していない。
<例>今年1月24日、永田文夫らは、勝俣・元東電会長ら3人を公害罪で告発する告発状を東京地検に郵送した。「業務上必要な注意を怠り、事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出し、人の生命や身体に危険を生じさせた」罪を糺すために。だが、同月27日付け、同地検の回答によれば、「この法律jは公害排出規制を強める目的で制定されたものなので、過去の複数の最高裁判例をみると、たまたま有害物質を排出してもこの罪にあたらない。原因究明は関係機関でおこわれており、送付された書面をお返しします」。
最高裁で判例になったということは、そこが争点になったということ。判例は変更されることもあり、受理しない理由にはならない。原因を関係機関が究明していることも、受理、不受理とは直接関係ない。一般に刑事告発や刑事告訴を受理しないのは、犯罪日時や場所、誰がどうしたのかが特定されていない場合だ。それ以外は、たとえ起訴が困難であっても、いったん受理したうえで、「罪とはならず」「嫌疑なし」^嫌疑不十分」「起訴猶予」などの判断を下す。【若狭勝・弁護士/元東京地検特捜部副部長】
(3)告訴・告発は、刑事訴訟法に定める国民の権利だ。
受理は当たり前。捜査をきちんとするかが焦点だ。【河合弘之・弁護士/福島 原発告訴団弁護士】
だが、「異例」にも、検察は原発故事捜査を意図的に避けている。
東電や国の関係者を公害罪や業務上過失致死罪で起訴することは法的に困難だ。<例>業務上過失致死傷で言えば、被曝がどの程度人体に影響があるかがハッキリしない。・・・・いったん受理してしまうと、不起訴にしても検察審査会が控えている。【検察関係者】
たしかに、不起訴の場合には国民が判断する検審に申し立てる。【河合弁護士】
そうなると、検察は国民が納得する捜査をしなければならない。
事情聴取は社会的な反響があまりにも大きい。国や国会の調査報告書を参考にして受理、不受理を判断したい。【検察関係者】
検察と警察とどちらが中心になるか、押し付け合いもあったらしい。
(4)福島の原発告訴団は、業務上過失激発物破裂罪でも告発する(方針)。こちらは、業務上必要な注意を怠り、建物などを爆発させたことを罪に問う。人体への影響を検証する必要はない。
国や東電関係者に個人としての責任をとらせないと、ムチャクチャな原子力政策は止まらない。【河合弁護士】
【注1】「【原発】福島県民はなぜ刑事告訴告発をしたか ~告訴団長は語る~」「【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~」
【注2】その一つは、明石昇二郎および広瀬隆による告発。【「震災】原発>事故の責任者を刑事告発した理由」】
以上、三橋麻子(編集部)「検察が告発20件を無視 ~「原発は人災」なのに、この怠慢」(「AERA」2012年7月23日号)に拠る。
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検察は、7月12日現在、この訴えを受理していない。書類の「預かり書」を手渡ししただけだ。検察は今、訴を棚ざらしにしている。
(2)3・11以降、福島第一原発事故に係る刑事告発、刑事告訴は20件を超える【注2】。だが、検察は1件も受理していない。
<例>今年1月24日、永田文夫らは、勝俣・元東電会長ら3人を公害罪で告発する告発状を東京地検に郵送した。「業務上必要な注意を怠り、事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出し、人の生命や身体に危険を生じさせた」罪を糺すために。だが、同月27日付け、同地検の回答によれば、「この法律jは公害排出規制を強める目的で制定されたものなので、過去の複数の最高裁判例をみると、たまたま有害物質を排出してもこの罪にあたらない。原因究明は関係機関でおこわれており、送付された書面をお返しします」。
最高裁で判例になったということは、そこが争点になったということ。判例は変更されることもあり、受理しない理由にはならない。原因を関係機関が究明していることも、受理、不受理とは直接関係ない。一般に刑事告発や刑事告訴を受理しないのは、犯罪日時や場所、誰がどうしたのかが特定されていない場合だ。それ以外は、たとえ起訴が困難であっても、いったん受理したうえで、「罪とはならず」「嫌疑なし」^嫌疑不十分」「起訴猶予」などの判断を下す。【若狭勝・弁護士/元東京地検特捜部副部長】
(3)告訴・告発は、刑事訴訟法に定める国民の権利だ。
受理は当たり前。捜査をきちんとするかが焦点だ。【河合弘之・弁護士/福島 原発告訴団弁護士】
だが、「異例」にも、検察は原発故事捜査を意図的に避けている。
東電や国の関係者を公害罪や業務上過失致死罪で起訴することは法的に困難だ。<例>業務上過失致死傷で言えば、被曝がどの程度人体に影響があるかがハッキリしない。・・・・いったん受理してしまうと、不起訴にしても検察審査会が控えている。【検察関係者】
たしかに、不起訴の場合には国民が判断する検審に申し立てる。【河合弁護士】
そうなると、検察は国民が納得する捜査をしなければならない。
事情聴取は社会的な反響があまりにも大きい。国や国会の調査報告書を参考にして受理、不受理を判断したい。【検察関係者】
検察と警察とどちらが中心になるか、押し付け合いもあったらしい。
(4)福島の原発告訴団は、業務上過失激発物破裂罪でも告発する(方針)。こちらは、業務上必要な注意を怠り、建物などを爆発させたことを罪に問う。人体への影響を検証する必要はない。
国や東電関係者に個人としての責任をとらせないと、ムチャクチャな原子力政策は止まらない。【河合弁護士】
【注1】「【原発】福島県民はなぜ刑事告訴告発をしたか ~告訴団長は語る~」「【原発】福島県民、東京電力を集団告訴 ~勝俣東電会長の逃げ切りを阻止~」
【注2】その一つは、明石昇二郎および広瀬隆による告発。【「震災】原発>事故の責任者を刑事告発した理由」】
以上、三橋麻子(編集部)「検察が告発20件を無視 ~「原発は人災」なのに、この怠慢」(「AERA」2012年7月23日号)に拠る。
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