(1)<改めていうも愚かなことだけれど、自民党が「財界」(正確には独占資本)の代弁者であり、その資金によって動く党であることは単純明快な事実に過ぎない。>
(2)36年前、本多勝一は(1)のように書いた。
当時、ロッキード事件の解明を強く後押しした三木武夫・首相への倒閣運動が盛んで、福田赳夫宰相待望論が財界に満ちあふれていた。
田中は、財界の中枢にいる旧財閥系の三井・三菱・住友などではなく、新興の丸紅や小佐野とくっついた。米国のリチャード・ニクソン第37代大統領と似た立ち位置だった。悪の元凶としての独占資本からすれば、ニクソンも田中も「トカゲのシッポ」にすぎなかった。
だが、同じトカゲのシッポでも、福田は財界にとって有用だった。その理由は、
(a)官僚は、業界との間の「ワイロ関係」に手慣れている。ひっかからぬよう、形式はワイロとならぬよう、以心伝心、スマートに業者の意をとらえる。どぎついことをしなくても、きれいに処理してシッポを出さない。
(b)田中のように、自身が小財閥としての力を持っていると、米国で、暗殺されたジョン・F・ケネディ第35代大統領がそうだったように、独占資本にとっては少々やりにくい。しかし、官僚的人間であるならば、純粋に財界のカイライになってくれる。きわめて有能なカイライとして、財界の政府出先人となってくれる。そえ以上の欲は出さない。
(c)(b)のような存在は、財界にとって「安上がり」だ。田中が総理になると、それまえ300万円ですんだワイロが、3,000万円必要になった。金だけが頼りの田中にとっては当然でも、財界には金がかかりすぎた。他方、官僚なら、自分の個人的私生活に使う程度(といっても庶民にはケタ違いだが)の「常識的ワイロ」で済む。
(d)財界が、福田を待望したのは当然だ。
(3)財界や自民党の本質は、いまも(2)と基本的に変わっていない。
(4)安部を支える財界人の月刊誌「FACTA」12月号によれば、
(a)旧安部政権の発足前から、有力財界人が集う「四季の会」が安部を献身的に支えていた。
(b)「四季の会」は、葛西敬之・JR東海会長が四季の会の幹事役を務め、勝俣恒久・前東京電力会長ら錚々たる財界人が、春夏秋冬に安部を囲んだ。安部が政権を投げ出した後も、四季の会だけは失意のどん底にあった安部を励まし続けた。
(5)安倍晋三・自民党総裁は、岸信介・元首相を祖父に持つ。
岸は、商工官僚から政治家に転身し、首相に上り詰めた。
安倍は、「官僚的体質」を持つ福田赳夫になぞらえることができる。
財界が、安部を支え続けているのは当然だ。
以上、本多勝一「悪の「本流」により近いのはいったい誰か ~国会前の怒りの声を聞け!~」(「週刊金曜日」2012年11月30日号)に拠る。
【参考】
「【選挙】自民党の公約を整理すると浮き上がる矛盾」
↓クリック、プリーズ。↓
(2)36年前、本多勝一は(1)のように書いた。
当時、ロッキード事件の解明を強く後押しした三木武夫・首相への倒閣運動が盛んで、福田赳夫宰相待望論が財界に満ちあふれていた。
田中は、財界の中枢にいる旧財閥系の三井・三菱・住友などではなく、新興の丸紅や小佐野とくっついた。米国のリチャード・ニクソン第37代大統領と似た立ち位置だった。悪の元凶としての独占資本からすれば、ニクソンも田中も「トカゲのシッポ」にすぎなかった。
だが、同じトカゲのシッポでも、福田は財界にとって有用だった。その理由は、
(a)官僚は、業界との間の「ワイロ関係」に手慣れている。ひっかからぬよう、形式はワイロとならぬよう、以心伝心、スマートに業者の意をとらえる。どぎついことをしなくても、きれいに処理してシッポを出さない。
(b)田中のように、自身が小財閥としての力を持っていると、米国で、暗殺されたジョン・F・ケネディ第35代大統領がそうだったように、独占資本にとっては少々やりにくい。しかし、官僚的人間であるならば、純粋に財界のカイライになってくれる。きわめて有能なカイライとして、財界の政府出先人となってくれる。そえ以上の欲は出さない。
(c)(b)のような存在は、財界にとって「安上がり」だ。田中が総理になると、それまえ300万円ですんだワイロが、3,000万円必要になった。金だけが頼りの田中にとっては当然でも、財界には金がかかりすぎた。他方、官僚なら、自分の個人的私生活に使う程度(といっても庶民にはケタ違いだが)の「常識的ワイロ」で済む。
(d)財界が、福田を待望したのは当然だ。
(3)財界や自民党の本質は、いまも(2)と基本的に変わっていない。
(4)安部を支える財界人の月刊誌「FACTA」12月号によれば、
(a)旧安部政権の発足前から、有力財界人が集う「四季の会」が安部を献身的に支えていた。
(b)「四季の会」は、葛西敬之・JR東海会長が四季の会の幹事役を務め、勝俣恒久・前東京電力会長ら錚々たる財界人が、春夏秋冬に安部を囲んだ。安部が政権を投げ出した後も、四季の会だけは失意のどん底にあった安部を励まし続けた。
(5)安倍晋三・自民党総裁は、岸信介・元首相を祖父に持つ。
岸は、商工官僚から政治家に転身し、首相に上り詰めた。
安倍は、「官僚的体質」を持つ福田赳夫になぞらえることができる。
財界が、安部を支え続けているのは当然だ。
以上、本多勝一「悪の「本流」により近いのはいったい誰か ~国会前の怒りの声を聞け!~」(「週刊金曜日」2012年11月30日号)に拠る。
【参考】
「【選挙】自民党の公約を整理すると浮き上がる矛盾」
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