『東京プリズン』(赤坂真理、河出書房新社、1,890円)・・・・そのスケール、仕掛けにおいて大変読みごたえある小説だった。途中、天皇を女性として把握するところ、戦争責任のとらえ直しなどは今後おおいに議論されてよい。その意味でも“開かれた”作品だった。【いとうせいこう】
『棺一基 大道寺将司全句集』(太田出版、2,100円)・・・・死刑囚の全句集。三菱重工爆破事件から38年、刑確定から四半世紀がたつ。俳句という表現に出会い、深化させてきたことに感慨を覚えた。「棺一基四顧茫々と霞みけり」。幽明定かならぬ地平から罪と世と己を見つめている。【後藤正治】
『商店街はなぜ滅びるのか』(新雅史、光文社新書、777円)・・・・商店街の誕生から衰退までの歴史を追うことで、その機能と役割を再考する。ノスタルジーを越えた冷静な分析の中に商店街再生への強い思いが漲っている。【中島岳志】
『文芸別冊{総特集}いしいひさいち 仁義なきお笑い』(河出書房新社、1,260円)・・・・自分を語らず、写真も拒否、どんな顔の漫画家か不明。本書で初めて素顔を見せた。いや本人による架空インタビューだが、本音を吐いていると思う。幻の作品も収録され、文芸別冊中、最高の企画。【出久根達郎】
『成熟社会の経済学』(小野善康、岩波新書、798円)・・・・デフレ研究の第一人者がデフレの原因や処方箋を一般読者向けに、かみくだいて書いた本。学界でも未決着の論争だが、著者のお金フェチ説は説得力がある。最先端の学説のエッセンスがギュッと新書に凝縮され、お買い得。【原真人】
『探究 エネルギーの世紀 上・下』(ダニエル・ヤーギン/伏見威蕃・訳、日本経済新聞出版社、各2,415円)・・・・著者は20年前に世界的ベストセラー「石油の世紀」を書いたエネルギー問題の大家。福島第一原発事故、「アラブの春」という歴史的な大事件を経て、改めてエネルギー事情を俯瞰し直した対策。エピソードも豊富で読みごたえあり。【原真人】
『レッドアローとスターハウス』(原武史、新潮社、2,100円)・・・・親米反ソの資本家が敷設した西部鉄道とその沿線に出現した革新色の強い巨大団地に着目しながら、東京の西郊を思想空間として読み解いた出色の一冊。コミュニティ研究としても秀逸だ。【渡辺靖】
以上、2012年12月23日付け朝日新聞「読書欄」の「この1年に出会った本 ~書評委員お薦め「今年の3点」~」から抄出。
蛇足。
『私の昭和史 完結編 上・下』(中村稔、青土社、各2,400円)・・・・弁護士にして詩人という不思議な二重性をもつ著者が回顧する昭和。一方に法による正義を信じるとともに社会の不合理を目の当たりにする市民のまなざしがあり、他方に脱日常を図る詩人の交遊録がある。社会史と個人史とを同時に辿る。【風紋】
↓クリック、プリーズ。↓

『棺一基 大道寺将司全句集』(太田出版、2,100円)・・・・死刑囚の全句集。三菱重工爆破事件から38年、刑確定から四半世紀がたつ。俳句という表現に出会い、深化させてきたことに感慨を覚えた。「棺一基四顧茫々と霞みけり」。幽明定かならぬ地平から罪と世と己を見つめている。【後藤正治】
『商店街はなぜ滅びるのか』(新雅史、光文社新書、777円)・・・・商店街の誕生から衰退までの歴史を追うことで、その機能と役割を再考する。ノスタルジーを越えた冷静な分析の中に商店街再生への強い思いが漲っている。【中島岳志】
『文芸別冊{総特集}いしいひさいち 仁義なきお笑い』(河出書房新社、1,260円)・・・・自分を語らず、写真も拒否、どんな顔の漫画家か不明。本書で初めて素顔を見せた。いや本人による架空インタビューだが、本音を吐いていると思う。幻の作品も収録され、文芸別冊中、最高の企画。【出久根達郎】
『成熟社会の経済学』(小野善康、岩波新書、798円)・・・・デフレ研究の第一人者がデフレの原因や処方箋を一般読者向けに、かみくだいて書いた本。学界でも未決着の論争だが、著者のお金フェチ説は説得力がある。最先端の学説のエッセンスがギュッと新書に凝縮され、お買い得。【原真人】
『探究 エネルギーの世紀 上・下』(ダニエル・ヤーギン/伏見威蕃・訳、日本経済新聞出版社、各2,415円)・・・・著者は20年前に世界的ベストセラー「石油の世紀」を書いたエネルギー問題の大家。福島第一原発事故、「アラブの春」という歴史的な大事件を経て、改めてエネルギー事情を俯瞰し直した対策。エピソードも豊富で読みごたえあり。【原真人】
『レッドアローとスターハウス』(原武史、新潮社、2,100円)・・・・親米反ソの資本家が敷設した西部鉄道とその沿線に出現した革新色の強い巨大団地に着目しながら、東京の西郊を思想空間として読み解いた出色の一冊。コミュニティ研究としても秀逸だ。【渡辺靖】
以上、2012年12月23日付け朝日新聞「読書欄」の「この1年に出会った本 ~書評委員お薦め「今年の3点」~」から抄出。
蛇足。
『私の昭和史 完結編 上・下』(中村稔、青土社、各2,400円)・・・・弁護士にして詩人という不思議な二重性をもつ著者が回顧する昭和。一方に法による正義を信じるとともに社会の不合理を目の当たりにする市民のまなざしがあり、他方に脱日常を図る詩人の交遊録がある。社会史と個人史とを同時に辿る。【風紋】
↓クリック、プリーズ。↓


