【読書余滴】聖夜 2012年12月24日 | 詩歌 クリスマス・イブには いつも セルマ・ラーゲルレーヴの薄い書物 「キリスト伝説集」を読み返えす 小学生の息子は毎晩三時間はテレビを離れない たしか おととしごろから サンタ・クラウスも信じなくなった 私は四十才をすぎてもなお スエーデン人の語る聖なる幼な子を愛している しかし息子にセルマのような優しい祖母はいない 神さまというかたがおいでだとすれば 家族そろって食卓を囲んだときに かならず欠けている あの寂しい誰かのことだ クリスマスの夜も妻は寝しなに 粉ぐすりの袋をかさかさ振る どんな病気だか生涯知らせることもできまい。 □安西均「聖夜」 ↓クリック、プリーズ。↓