語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~

2012年12月28日 | 社会
 聞きしにまさる悪辣さだ。若者を収奪するシステムが、リーマン・ショック以降、日本でできあがっている。
 まだ全部読みとおしていないので、詳しくはそのうち。
 本書で紹介される若者、ブラック企業の犠牲者は、おおむね従順、ものわかりがよいが、我が子が過労死する羽目に陥った親の瞋恚のほむらは、一夕一朝では消えまい。
 読みながら、現代詩の最前線を突っ走る天沢退二郎の初期詩編「死刑執行官 ~布告及び執行前一時間のモノローグ~」前半部を思い出していた。

 旗にうごめく子どもたちを裏がえす者は死刑
 回転する銃身の希薄なソースを吐き戻す者は死刑
 海でめざめる者は死刑
 胃から下を失って黒い坂をすべるもの死刑
 いきなり鼻血出して突き刺さる者は死刑
 はじめに名乗るもの死刑
 夜を嚥下し唾で空をつくるもの死刑
 ひとりだけ逆立ちする者を死刑にする者死刑
 つばさがないので歩く鳥は死刑
 鳥の死をよろこばぬもの死刑
 めざめぬ者は死刑
 めざめても青いまぶたのへりを旅する者死刑
 死刑にならぬというものら
 死刑を行うものら
 死刑を知らぬものら
 を除くすべてのもの死刑

□今野晴貴『ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~』(文春新書、2012)
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