(1)ブラック企業とは、「違法な労働条件で若者を働かせる企業」だ。若者労働問題を語るに当たり使用されてきた「フリーター」「ニート」と異なり、「ブラック企業」は明確に企業側の問題を表す。
問題は、①個人的被害と、②社会問題の両面がある。
(2)ブラック企業前史
2000年代後半、非正規雇用者が若者の未来を閉ざす事実が世間に知られるようになった。製造業派遣・「請負」労働者はフルタイムで働き、みな親世帯からの「自立」を志向しているのだが、工場の増産・原産に対応して全国各地に配置転換され、派遣・請負会社の寮を点々とする。次の仕事がなくなると寮から追い出され、あっというまにホームレスに転落する。2008年12月、「年越し派遣村」問題が惹起し、非正規雇用問題がクローズアップされるとともに、若者の雇用問題の認識が大きく変わった。
「若年雇用者問題=非正規雇用の不安定」という構図の理解は、新しい問題を引き起こすことになった。若者を正社員をめざす苛烈な競争に駆りたてたのだ。
(3)ブラック企業
ブラック企業は、若者雇用問題の流れの中にあって新しい問題を提起している。ブラック企業問題の被害の対象は常に正社員だからだ。
今や、正社員となっても安泰ではない。
リーマン・ショック(2008年9月)以降、2009年2月、3月頃から、明らかに若年正社員の扱いに変化が生じた。それは、「使い捨て」と呼ぶにふさわしい扱いを若年正社員は受けるようになった。すでに変化していた正社員雇用の性質が、それまでの好景気の中では見えず、リーマン・ショックを景気としてあらわになった。
企業への異常なまでの従属、人格破壊・・・・これまでとは明らかに質が異なる問題だ。
(4)徹底的な従属とハラスメント ~Y社~
社員1,000人弱、資本金1億円、売上げ90億円。都内一流のITコンサルティング会社で、成長企業として知られる。ただし、コンサルティング業務は事業全体の1割程度、顧客に従業員を派遣してIT関連の下請け業務を行う派遣業が事業の大部分を占める。
Y社は、派遣先が見つからない状態を「アベイラブル(未稼働)」と呼び、「アベイラブル」状態の社員を「コスト(赤字)」と認識する。極端にネガティブな再解釈を行われた「アベイラブル」の社員に対して、徹底的な組織性と執拗さで、「教育」「カウンセリング」という名のハラスメントを行う。「人間として根本的におかしい」etc.。「自分が悪い」と思う状況を作り出すのだ。その結果が「自己都合退職」だ。
「自分が悪い」と思うに至る別の重要な要因は、異常な職場統治だ。社内ではハラスメントや退職強要が横行していて、多くの社員は同僚が徹底的に追い詰められ、辞めていくさまを日常的に目撃している。次は自分かもしれない、という恐怖に支配されている。
Y社がハラスメントするのは、派遣要員社員の「アベイラブル」だけではない。派遣のない社長アシスタントも、就業時間外でも呼ばれて社長や副社長の雑用(社長の出迎え、カバン持ち、ペットの散歩)をこなし、副社長の移動管理をこなし、残業時間1日平均5時間働いても、「仕事が遅い」「気がつかえない」「おもしろくない」と評価され、叱責され、なぜ「おもしろくない」のかと問い詰めて「自己都合退職」に追いやる。
(続く、年末のスキマ時間に)
□今野晴貴『ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~』(文春新書、2012)の「はじめに」および第1章「ブラック企業の実態」
↓クリック、プリーズ。↓

問題は、①個人的被害と、②社会問題の両面がある。
(2)ブラック企業前史
2000年代後半、非正規雇用者が若者の未来を閉ざす事実が世間に知られるようになった。製造業派遣・「請負」労働者はフルタイムで働き、みな親世帯からの「自立」を志向しているのだが、工場の増産・原産に対応して全国各地に配置転換され、派遣・請負会社の寮を点々とする。次の仕事がなくなると寮から追い出され、あっというまにホームレスに転落する。2008年12月、「年越し派遣村」問題が惹起し、非正規雇用問題がクローズアップされるとともに、若者の雇用問題の認識が大きく変わった。
「若年雇用者問題=非正規雇用の不安定」という構図の理解は、新しい問題を引き起こすことになった。若者を正社員をめざす苛烈な競争に駆りたてたのだ。
(3)ブラック企業
ブラック企業は、若者雇用問題の流れの中にあって新しい問題を提起している。ブラック企業問題の被害の対象は常に正社員だからだ。
今や、正社員となっても安泰ではない。
リーマン・ショック(2008年9月)以降、2009年2月、3月頃から、明らかに若年正社員の扱いに変化が生じた。それは、「使い捨て」と呼ぶにふさわしい扱いを若年正社員は受けるようになった。すでに変化していた正社員雇用の性質が、それまでの好景気の中では見えず、リーマン・ショックを景気としてあらわになった。
企業への異常なまでの従属、人格破壊・・・・これまでとは明らかに質が異なる問題だ。
(4)徹底的な従属とハラスメント ~Y社~
社員1,000人弱、資本金1億円、売上げ90億円。都内一流のITコンサルティング会社で、成長企業として知られる。ただし、コンサルティング業務は事業全体の1割程度、顧客に従業員を派遣してIT関連の下請け業務を行う派遣業が事業の大部分を占める。
Y社は、派遣先が見つからない状態を「アベイラブル(未稼働)」と呼び、「アベイラブル」状態の社員を「コスト(赤字)」と認識する。極端にネガティブな再解釈を行われた「アベイラブル」の社員に対して、徹底的な組織性と執拗さで、「教育」「カウンセリング」という名のハラスメントを行う。「人間として根本的におかしい」etc.。「自分が悪い」と思う状況を作り出すのだ。その結果が「自己都合退職」だ。
「自分が悪い」と思うに至る別の重要な要因は、異常な職場統治だ。社内ではハラスメントや退職強要が横行していて、多くの社員は同僚が徹底的に追い詰められ、辞めていくさまを日常的に目撃している。次は自分かもしれない、という恐怖に支配されている。
Y社がハラスメントするのは、派遣要員社員の「アベイラブル」だけではない。派遣のない社長アシスタントも、就業時間外でも呼ばれて社長や副社長の雑用(社長の出迎え、カバン持ち、ペットの散歩)をこなし、副社長の移動管理をこなし、残業時間1日平均5時間働いても、「仕事が遅い」「気がつかえない」「おもしろくない」と評価され、叱責され、なぜ「おもしろくない」のかと問い詰めて「自己都合退職」に追いやる。
(続く、年末のスキマ時間に)
□今野晴貴『ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~』(文春新書、2012)の「はじめに」および第1章「ブラック企業の実態」
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