(1)NHKの職員数は1万人超。上の顔色ばかり忖度するヒラメ職員ばかりではあるまい。安保法制の矛盾、危険性を鋭く衝く番組こそ、公共放送の使命だ。【注】
NHKニュースにおける安保法案の扱いは「偏向」している。
それを裏付ける調査結果が、8月19日、発表された。NHKの出身者を中心に構成する「放送を語る会」がまとめた「安保法案の国会審議・テレビはどう伝えたか」の中間報告(5月11日~6月24日)がそれだ。
(2)安保法案の閣議決定前から延長前の会期だった6月24日までを一区切りとした。
対象とした報道番組は、5局6番組。
NHK「ニュース7」「ニュースウォッチ9」
テレビ朝日「報道ステーション」
TBSテレビ「NEWS23」
フジテレビ「みんなのニュース」
検証にあたり、
①ニュース番組が政治の動きを単に伝えるだけでなく、安保法案に係る事実の掘り下げと検証を批判的に行っているか。
②法案に反対する声や反対運動が公平に取り扱われて、きちんと伝えられたか。
③テレビ局独自の調査報道があったか。
の3点を視点とし、「とくに最近批判の高まっているNHKの安保法案報道については、民放のニュース番組との比較の中で検証することを試みた」と述べている。
その上で、次の各章で構成している。
1)国会審議前・各局は「法案」をどう見たか
2)党首討論から審議開始までのテレビ報道
3)憲法学者による「違憲」発言の波紋
4)独自の調査報道は実現したか
5)市民の反対運動に対する報道姿勢
6)NHKは何を伝えなかったか
(3)「市民の反対運動に対する報道姿勢」では、
・反対運動をほとんど報じることはなかった・・・・「NEWS ZERO」「みんなのニュース」
・取り上げてはいたが、回数・時間とも極めて少ない・・・・「ニュース7」「ニュースウォッチ9」
・比較的きめ細かく伝えた・・・・「報道ステーション」「NEWS23」
と分析。各局の安倍政権との距離そのものともいえる。
(4)やはり白眉は「NHKは何を伝えなかったか」。
「ひと言で言えば、政権側の主張や見解をできるだけ効果的に伝え、政権への批判を招くような事実や、批判の言論、市民の反対運動などは極力報じない、という際立った姿勢である」
こう総括し、具体例として、
・辻元清美・議員への安倍首相のヤジ
・沖縄慰霊の日の式典での安倍首相への抗議
などを報じない一方、法案説明ではPR機関となっていることを示している。
(5)「放送を語る会」を中心とするNHK包囲行動実行委員会は、8月5日夜、
「“政権べったりの報道はやめろ”、怒りの声でNHKを包囲しよう!」集会
を実施した。
最終報告のとりまとめに期待したい。
公共放送を取り戻す運動に期待したい。
【注】「
【NHK】よ、またか! ~「不都合な真実」は伝えない公共放送~」
□砂川浩慶「NHKは政権のPR機関「語る会」がまとめた安保法案の偏向報道」(「週刊金曜日」2015年8月28日号)
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【参考】
「
【NHK】よ、またか! ~「不都合な真実」は伝えない公共放送~」
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【メディア】と広がる安倍政権追撃の戦線(4) ~読売・NHKは?~」
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【NHK】「反対」議会隠し ~安保法案に反対の地方議会が7割強~」
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【NHK】をまたもや呼びつけた自民党 ~メディア規制~」
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【NHK】の再生はどうすれば可能か(2) ~ガバナンス体制~」
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【NHK】の再生はどうすれば可能か ~会長の暴走~」
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【NHK】受信料私物化でついに更迭か ~籾井会長~」
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【NHK】が危ない! ~組織に漂う負の雰囲気~」
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【NHK】受信料をしゃぶり尽くす「電波貴族」の優雅な生活」
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【NHK】の偏向、政権べったりの報道 ~特定秘密保護法~」
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【NHK】波乱の「籾井新体制」スタート ~「世界」のメディア批評~」
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【NHK】誤報の隠蔽 ~タガのはずれた安部政権~」
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