語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】ソ連という「帝国」とその自壊 ~民族問題~

2016年03月04日 | ●佐藤優
【佐藤優】ソ連という「帝国」とその自壊 ~民族問題~

 (1)ソビエト社会主義共和国連邦は、国民国家(ネイション・ステート)とは異なる独自の原理によって組み立てられた国家だった。
 国名に民族を示唆する言葉が一つもない。
 ソ連民族(ソビエツカヤ・ナーツィヤ)というロシア語も存在しない。
 ソ連人(ソビエツキー・ナロード)という言葉が当局によって慫慂され、当時あの国に住んでいた人々の「われわれ」を表す意味で使われていたが、ソ連崩壊後は死語になった。

 (2)ソ連では、民族問題はブレジネフ時代に最終に解決された、諸民族は「融合(スリヤーニエ)」と「開花(プロツベアニエ)」を遂げた・・・・ことになっていた。
 この公式見解は、論理的に矛盾する。「融合」すると、唯一のソ連人という概念に統合される。「開花」すると、ソ連人という概念を放棄しなければならない。
 ブレジネフ時代には、ソ連はどちらの選択もおこなわず、あえて絶対矛盾の自己同一のような状態を放置した。ソ連当局は、あえてこのような曖昧政策をとったのだ。
 「融合」政策と「開花」政策が振り子のように揺れつづけ、ゴルバチョフ時代に「開花」の方向に振り子が揺れすぎて、ソ連という器をぶち壊した。

 (3)ブレジネフは、類い稀れな能力をもった政治家だった。ソ連を安定したシステムとして維持するには、物事をあまり突きつめて考えてはいけないという経験知をもっていた。
 ブレジネフ時代に、ソ連に住む人々は初めて、日常的に肉や魚を食べることになった。ロシア人にとって、狭いながらも国家が住宅を与えてくれ、食べることの不安がない「豊かな社会」が訪れた。
 特に、コーカサスや中央アジアなどの地域での食糧事情の改善にブレジネフ政権は努力した。これらの地域が経済的に遅れていて、そこから被差別感が生じ、ナショナリズムの高揚につながることを政権側が恐れたからである。

 (4)通常、帝国には、中心と周縁がある。近世以降の帝国には宗主国と植民地がある。
 しかし、ソ連帝国は、このような宗主国と植民地という構成をとっていなかった。
 もちろん、ソ連帝国にも中心があった。その場所は、モスクワの「赤の広場」から徒歩5分、「スターラヤ・プローシャジ(旧い広場)」である。ここにソ連共産党中央委員会の建物があった。絢爛豪華なクレムリンの建物にくらべ、じつに質素なこの建物のなかにソ連共産党中央委員会書記長室があった。この書記長室こそ、「中心のなかの中心」であった。

 (5)ソ連共産党中央委員会は、絶大な権力をもっていた。
 責任を追及されることはないという無責任権力だった。共産党中央委員会が企画し、政府に命じる。所期の成果があがれば、共産党中央委員会が7割、政府が3割くらいの比率で成果を分配する。他方、失敗した場合、責任を10割、政府に負わせる。

 (6)<ソ連帝国に住むひとりひとりは複合アイデンティティーをもっていた。ひとりの人間のなかに、ソ連人、ロシア人、ウクライナ人、ユダヤ人という民族意識、ロシア正教徒、ムスリム(イスラム教徒)、ユダヤ教徒という宗教意識、更にシベリア人、極東人、コーカサス人、ボルガ人などの地域と結びついた意識が渾然一体とし、整理されないままで並存していた>

 (7)1991年8月のソ連共産党守旧派によるクーデター未遂事件の結果、ソ連の解体がはじまった。
 <率直にいうと、行政エリートや知識人の大多数は非共産主義的なソ連を維持することの方が地域安定にも国民の生活水準を維持するためにも適当と考えていた。しかし、一旦、始まった自壊のプロセスを誰もおしとどめることができなくなった>

□佐藤優『沖縄・久米島から日本国家を読み解く』(小学館、2009)の「第一章 ソ連帝国の自壊」
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【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~

2016年03月04日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)全国がん(成人病)センター協議会(全がん協/癌診療、研究を実施する国公立病院など32施設が加盟)が28種類の癌の10年生存率を公表した。
 1999~2002年に診断と治療を受けた35,000例のデータで、これだけ大規模な情報公開はわが国では初めて。それによる10年生存率は、
   全臓器・全ステージ(病期) 58.2%
   甲状腺癌 90.9%
   前立腺癌 84.4%
   子宮体癌 83.1%
   乳癌    80.4%
   ・・・・
   大腸癌   69.8%(最近増加傾向)
   ・・・・
   肺癌    33.2%(癌死因トップ)
   ・・・・
   膵臓癌    4.9%(ワースト1位)

 (2)データを利用する際は、全病期を丸めた生存率を鵜呑みにするのではなく、病期別のデータを参考にする必要がある。病期がⅠ期の「早期」とⅣ期の「進行・末期」とでは条件が違い過ぎるからだ。
 実際に経過途中の5年生存率を見ると、
  (a)前立腺癌・・・・治療の選択肢が多いこともあり、他の臓器や骨への転移が深刻でない限り、「手を替え、品を替え」余命を引き延ばすことが可能だ。換言すれば、「転移」を抑える長期戦に耐える覚悟が必要だ。5年生存率は、
   Ⅰ~Ⅲ期・・・・100%
   Ⅳ期・・・・54.5%

  (b)肺癌・・・・病期が進むほど治療開始1、2年目の生存率ががくっと落ちる。早期発見の重要性は言うまでもないが、短期決戦で濃厚な治療を覚悟すべきだ。5年生存率は、
   全病期・・・・39.5%
   Ⅰ期・・・・77.9%
   Ⅳ期・・・・5.6%

  (c)乳癌(女性)・・・・10年生存率でも8割以上と高いが、ジワジワと低下し続けるのが特徴だ。一般に治療の目安といわれる5年を過ぎても再発・転移の可能性があり、10年、20年は癌と付き合う心構えと経済計画が必要だ。

 (3)2人に1人が癌にかかる時代。
 このデータは、いたずらに余命に怯えるのではなく、癌発症を織り込んだ生活設計を立てる際の参考にしたい。

□井出ゆきえ(医学ライター)「がんの10年生存率を読む 長期戦か短期決戦かで生活設計を~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.289~」(「週刊ダイヤモンド」2016年2月27日号)
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 【参考】
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~

2016年03月04日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)イチゴといえば、乙女チックなアイコンの代表格。それが、実は男性の性機能の健康に寄与するらしい。
 米国の臨床栄養学専門誌に掲載された報告から。

 (2)野菜や果物に含まれる抗酸化物質「フラボノイド」は健康に良いことが知られている。中でも、イチゴやブルーベリーに含まれる
   「アントニシアン」
や、柑橘類(オレンジやミカンやグレープフルーツなど)に含まれる
   「フラバノン」
   「フラボン」
は男性の健康的なエレクトと維持に役立つという。

 (3)研究者らは、米国の男性医療従事者を対象とした長期の健康調査の参加者に対し、2000年から4年ごとにエレクトの状態と果物・野菜の摂取状況を質問。回答があった25,096人を追跡調査している。
 対象男性の年齢は、50代前半から70代前半まで。
 ちなみに、エレクト状態に係る質問は、行為を行うのに十分なエレクトを得られるか、であって、回答は5段階(「very poor」「poor」「fair」「good」「very good」)。このうち、「very poor」「poor」が「ED(Erectile dysfunction)」とされた。
 追跡期間中、約35%がEDを自覚していた。

 (4)生活習慣病などED発症に関連する他のリスク因子の影響を排除して解析した結果、
   果物の総摂取量が多い男性
ではEDリスクが14%低下していることが判明した。特に、
   フラボノイド豊富なベリー類や柑橘類の摂取量が多く、
   定期的に運動する男性
のEDリスクは、21%低下していたのである。
 研究者は、「アントニシアン、フラバノンおよびフラボンを多く摂取するとEDリスクが9~10%は低下する」とし、その効果は「週に2~5時間のウォーキングに匹敵する」という。

□井出ゆきえ(医学ライター)「イチゴとオレンジはEDに効く 「いかにも」サプリより効果的!?~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.290~」(「週刊ダイヤモンド」2016年3月5日号)
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 【参考】
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~