<【キリスト教における反資本主義的な考え方について】
強くあると思います。それと同時に、逆説も出てきます。お金や資本主義とかが嫌いな人たちも生まれる、ということです。要するに、選ばれる人と滅びる人とは生まれる前から決まっていて、自分は生まれる前から選ばれていると考えている人たち--長老派、カルヴァン派と呼ばれる--です。
(中略)
トランプ【引用者注:米大統領】の属する宗教については、意外とみなさん気にしていないようですが、カルヴァン派のアメリカ大統領は20世紀以降、三人しかいません。ウッドロウ・ウィルソン、アイゼンハワー、そしてトランプです。彼らはいずれも神がかりな人です。
ウッドロウ・ウィルソンは国際連盟などという、みんなが異常だと思っていたものをつくった。アイゼンハワーのノルマンディー上陸作戦も、みんな失敗すると思っていた作戦です。そして今度登場してきたのが、トランプです。
この人たちは、どのような状況にあっても自分が負けたと思わないため、打たれ強いのです。これは神さまが与えた試練で、私にメッセージを与えているのだと考えるので打たれ強いのですが、逆に言うと反省しません。絶対、自分が悪いと思わない。ちなみに私もトランプと同じ長老派です。メンタリティはきわめてよく似ているので、近親憎悪的に嫌いです。
(中略)
この人たちは、基本的にお金が嫌いです。ところが一所懸命に働かないといけないという倫理観に促されるので、働いてお金を稼いでしまう。そのお金は神さまから貰ったものだから、神さまに返さないといけないけれど、神さまに直接返す方法がないから社会に貢献するわけです。結果として、カルヴァン派の人たちは、資本主義を発展させてしまいます。「世俗内禁欲」【注】という動機ができてしまう逆説があることを、政治学者マックス・ウェーバー(1864~1920)はうまく読み解きました。>
【注】<神に与えられた今の職業(天職)に誠実に従事する態度のこと>【池上彰、本書、p.86】
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「キリスト教にとってのお金」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】オウム事件が他人事ではない理由 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】革命再考 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】時間とお金を何に使うか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】資本主義的な論理を超えて ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「本来の宗教」は存在するのか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】死生観の変化が私たちにもたらすもの ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」
強くあると思います。それと同時に、逆説も出てきます。お金や資本主義とかが嫌いな人たちも生まれる、ということです。要するに、選ばれる人と滅びる人とは生まれる前から決まっていて、自分は生まれる前から選ばれていると考えている人たち--長老派、カルヴァン派と呼ばれる--です。
(中略)
トランプ【引用者注:米大統領】の属する宗教については、意外とみなさん気にしていないようですが、カルヴァン派のアメリカ大統領は20世紀以降、三人しかいません。ウッドロウ・ウィルソン、アイゼンハワー、そしてトランプです。彼らはいずれも神がかりな人です。
ウッドロウ・ウィルソンは国際連盟などという、みんなが異常だと思っていたものをつくった。アイゼンハワーのノルマンディー上陸作戦も、みんな失敗すると思っていた作戦です。そして今度登場してきたのが、トランプです。
この人たちは、どのような状況にあっても自分が負けたと思わないため、打たれ強いのです。これは神さまが与えた試練で、私にメッセージを与えているのだと考えるので打たれ強いのですが、逆に言うと反省しません。絶対、自分が悪いと思わない。ちなみに私もトランプと同じ長老派です。メンタリティはきわめてよく似ているので、近親憎悪的に嫌いです。
(中略)
この人たちは、基本的にお金が嫌いです。ところが一所懸命に働かないといけないという倫理観に促されるので、働いてお金を稼いでしまう。そのお金は神さまから貰ったものだから、神さまに返さないといけないけれど、神さまに直接返す方法がないから社会に貢献するわけです。結果として、カルヴァン派の人たちは、資本主義を発展させてしまいます。「世俗内禁欲」【注】という動機ができてしまう逆説があることを、政治学者マックス・ウェーバー(1864~1920)はうまく読み解きました。>
【注】<神に与えられた今の職業(天職)に誠実に従事する態度のこと>【池上彰、本書、p.86】
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「キリスト教にとってのお金」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】オウム事件が他人事ではない理由 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】革命再考 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】時間とお金を何に使うか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】資本主義的な論理を超えて ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「本来の宗教」は存在するのか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】死生観の変化が私たちにもたらすもの ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」