四季・めぐりめぐりて

近隣の城館跡・古墳などの史跡めぐりなどをぼちぼちながらやっています

生出塚埴輪窯跡(埼玉県鴻巣市)

2021年11月30日 | 古代窯跡


東国最大規模の埴輪窯跡群である『生出塚埴輪窯跡おいねづかはにわかまあと』(生出塚遺跡)
   所在地:埼玉県鴻巣市東・天神
を訪ねてみました。
 この生出塚埴輪窯で焼かれた埴輪は各地の古墳に供給されたことが判明しており、古墳等に関す
る講座においても屡々登場する埴輪窯跡と出土品です。




生出塚埴輪窯跡(遺跡)の一部である「東裏1号公園」の前に説明板が設置されています




生出塚遺跡(生出塚埴輪窯跡)説明板
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
生出塚遺跡
 生出塚遺跡は、東日本最大規模の埴輪窯跡群である。元荒川の沖積低地に向かって北東方向になだらかに傾斜
する台地上(鴻巣市役所第二庁舎南側一帯)に遺跡は広がっている。もっとも標高が高い地点は、海抜約一九メ
ートルである。周辺は住宅地となっていて、かつての景観を偲ぶことはできない。
 生出塚遺跡は数度の発掘調査が行われ、古墳時代後期の埴輪窯跡・工房跡・住居跡・古墳跡などが見つかって
いる。なかでも埴輪を焼いた窯は、六世紀初め頃から終わり頃までの約百年間操業されたことが明らかになって
いる。
 この場所で発見された埴輪窯跡は、全長約九メートル、焼成部の長さ約四メートル、幅約二メートルの登り窯
形式で、窯の炊き口と灰原は地表面から約二・五メートル堀り込まれていた。窯は、府かい灰原を中止にして八
ツ手状に広がるように造られていた。これは数基分の窯の灰原を一ヶ所にまとめて賄うという効率化をはかった
ためである。
 窯の操業回数は、一基あたり五回前後と考えられ、一回の操業で口径約三〇センチメートルの中型の円筒埴輪
であれば四五本程を焼いていたようだ。
 この窯跡から出土した埴輪は、円筒形・器財系(武器、武具)・家形・人物形・動物型(馬、鹿、水鳥)など
である。出土の状況や埴輪の種類が豊富なうえに造形的にも優れていることから、平成十七年六月九日に「埼玉
県生出塚埴輪窯跡出土品」として国の重要文化財に指定された。特に一体の武人埴輪と三体の正装男子埴輪は、
造形的に優れているだけでなく大型で、それぞれの高さが約一三〇センチメートルである。このような大型の埴
輪を製作するには高い技術が必要である。このことは、大型の埴輪作りができる技術を持つ専門の工人集団がこ
の生出塚遺跡にいたことを物語っている。
 なお、これらの埴輪は、鴻巣市文化センター(クレアこうのす)にある歴史民俗資料コーナーに収蔵されてお
り、随時見学可能である。
 生出塚遺跡で作られた埴輪は、隣接する生出塚古墳群をはじめとして、行田市埼玉古墳群 や久喜市(旧菖浦町)
東浦古墳 などへ運ばれていたことが判明している。さらに千葉県市原市の古墳(山倉一号墳)からは、この生出
塚窯跡 で作られた可能性が高い埴輪が出土している。
 遠方に運ばれた埴輪は、元荒川をはじめとする水路を利用して船で運ばれていたようである。当時、大量にも
のを運ぶには、船がもっとも効率的だった。この時代には、運搬手段として河川の水運が各地で広く利用されて
いたと考えられる。
 平成二十四年二月 
                                       鴻巣市教育委員会

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



生出塚埴輪窯跡(遺跡)の一部である「東裏1号公園」 右側の建物が「鴻巣市役所第二庁舎」
すべて埋め戻されており窯跡の姿を見ることはできませんが、埴輪窯跡群があった場所は確認でき
ました。
生出塚埴輪窯跡の遺跡自体は史跡指定はありませんが、説明文にあるように出土品が国の重要文化
財に指定されています。




鴻巣市文化センター(クレアこうのす)
生井塚埴輪窯跡からの出土品はこの中の「歴史民俗資料コーナー」に収蔵・展示されてます




歴史民俗資料コーナーへの案内表示




歴史民俗資料コーナー ・・・ 全体でありませんが




埴輪のさと鴻巣
 この説明文の中にある鴻巣市内のもう一つの埴輪窯跡
   『馬室埴輪窯跡』 ← 記事にリンク




展示品の一部  右端の「貴人埴輪」(高さ131㎝)の脚部は市松模様




鴻巣市文化センター(クレアこうのす)に隣接する「せせらぎ公園」を少しだけ散策して来ました

散策・見学日:令和3年(2021)11月17日(水)

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。