各地の公園や寺院などで、藤の花が満開を迎え見事
に咲き乱れています。
「まぁ~きれい すご~い」等と感嘆の声が聞こえ、藤
棚の下には緋毛氈の縁台が設けられ、 抹茶などが振
舞われたりして今、「藤の宴」真っ盛りです。
「藤の宴」と言えば、源氏物語の花宴巻の「桜と宴」と
並び有名です。
右大臣家の「桜の宴」に招かれた光源氏は、朧月夜と
出逢います。
宴の夜「♪朧月夜ににるものはなし~」と口ずさみつつ
ふらふらと舞い現れた朧月夜。
光源氏はこの出会いが忘れ難く、名前を明かさなかった
彼女は一体誰なのか? 右大臣家の姫君の一人ではな
いかと当たりは付けたものの気掛かり?でなりません。
そののち、再び「藤の宴」に招かれた光源氏、しかし好機到
来とばかりに飛び付くことなく(ここが光源氏のしたたかなところ)、待た
せてじらします。
右大臣家では、本音は来て欲しくない、しかし当代切ってのス
ターの来ない宴は格が下がってしまう、右大臣家では仕方なく
迎えを遣わしさらに誘うと、渋々と重い腰を上げ装い、光源氏を
敵対視する右大臣家に乗り込むのです。
しかし、光源氏は当代きっての権力者の館に招かれたと云うの
に、衣冠束帯の装束ではなく、人目を引く風流な着流し?で、し
かもひとり遅れてスター気取りで登場。
男達との宴は適当にやり過ごし、朧月夜を捜すために酔った
振りして女達の集まる部屋に近づきます。
御簾の向こうで興味深々の女達に、朧月夜と最初の出逢いで
取り交わした、扇を題材に歌を詠みかけます。
すぐに軽々しく返歌してきた女を、「この女ではない」と判断。
そこにただ一人、応えることも出来ずに深く溜息をもらす女が居
る、「この人だ!」と思った光源氏は、凡帳越しに手を捕らえると
確かにそうであったと云うのが、「藤の宴」のエンディング。
光源氏が朧月夜と再会して、彼女が誰なのかを知る重要な場面
です。
それにしても、平安時代にもしノーベル文学賞があったならば
「源氏物語」の作者・紫式部は、間違いなく受賞していたと思い
ます。
~今日も良い一日であります様に~