昨日、平成24年第1回定例会9月会議が終わりました。8月下旬の助走から、残暑もなんのそので乗りきってきましたが、ひととき議会審議から解放される瞬間です。帰路、月がとても大きくて、美しかった。心配した強力な台風も過ぎ去り、もうすっかり秋ですね。季節の変わり目は体調のバランスを壊しやすい時期、首にスカーフ一枚、シャツの下に下着を追加するなど、身体を芯から冷やさないようにしましょう。
さて、昨日の本会議で、平成23年度一般会計歳入歳出決算に戸田は反対、不認定としました。平野議員に建設・水道、民生・消防所委員会所管部分のまとめをお願いし、最終的に戸田がまとめて、人びとの新しい歩みを代表して討論を行いました。特別会計など他の多くの歳入歳出決算については、平野議員が担当しました。一年間、行政職員が精一杯行った事務事業を個々に、あるいは総括的に評価する決算審議は重要。
なぜ反対するのか、島本町にとって平成23年度はどようような年だったのか、住民のみなさんに理解していただける討論に努めました。短くはありませんが全部を掲載(実際の発言とは異なる部分もあります)、追って折に触れ、読みやすいように分割してお知らせしたいと思います。
平成23年度一般会計歳入歳出決算を、人びとの新しい歩みは、以下に述べる理由で不認定としました。(本議会での討論より)
2011年3月11日、東日本大震災・原発震災を経験してはじまった2011年度。避けられない自然災害にいかに備えるか、防災・減災対策の重要性と地域のつながりの尊さを再認識した年でした。福島原子力発電事故による放射能汚染の拡大によって、今なお生活再見の見通しが立たない日々を過ごしておられる多くの被災者のみなさんの無念を思います。我が国が原子力発電に頼れない地震列島である事実を受け止め、次世代に廃炉の技術を継承しなければなりません。電力の恩恵を日々受けている我々国民ひとりひとりの課題であると考えます。
島本町においては、住民自治を理念に掲げた、まちづくり基本条例が施行された年でありました。しかしながら具体的な成果があったとはいえません。7月、同志社大学の新川(にいかわ)達郎教授を講師に招いた講演会が行われましたが、本来ならば基本条例を定める過程で開催されるべき内容でした。住民の町政への関心は深まっており、主権者としての意識も高まりつつあり、町執行部はもっと住民ひとりひとりを信頼し、異なる意見や考えをもった人々の対話から生まれる方向性に価値を見出していただきたいと思います。
1999年5月に策定した都市計画マスタープランは、本来ならば2018年度を目標年次とするものでした。近年、少子高齢化の進展、人口減少社会の到来、住民の価値観やニーズの多様化など、地域社会を取り巻く状況は大きく変化している、地域特性や実情に的確に対応した都市計画マスタープランとするとして、改訂時期をはやめたものです。にもかかわらず、住民意向調査は行わず、地区別懇談会も開かれませんでした。
町の将来像を大きく左右するJR島本駅西側の課題を含んだ改訂でありながら、「まちづくりの基本原則」として条例に定められた「住民、議会及び町は、互いに情報を共有し、町はその保有する情報を積極的に提供すること」が守られていない。結果、各地域の課題が住民に十分に認識されないだけでなく、把握している情報量に委員間で大きな格差があるまま審議は進められました。「住民、議会及び町が信頼関係に基づき対話を重ねて進めるまちづくり」という基本原則に、ほど遠いものでした。
高槻市・島本町広域行政勉強会の中間報告書に基づき、6月11日、住民説明会を開催されました。入口としてし尿処理の問題を掲げながら、結論の部分で、高槻市・島本町が「合併を重要な課題と認識」と結論づけているという指摘が参加された住民の方からありました。島本町としては「広域連携を重要な課題と認識」とするべきでした。その後、9月12日には、2009年12月川口町長名で高槻市長に提出した依頼文「将来のまちづくり構想(広域による事務委託)について(依頼)」の回答といえる文書を受け取りました。
そこには、合併を将来的課題と認識、現時点でし尿受け入れは困難、東上牧からの撤退を要望、と高槻市新市長の方針がはっきりと示されています。し尿処理問題が解決しなかったこと、町内新設を方針に掲げながら未だ候補地の確定ができず、東上牧からの撤退の目途が立たないという現状を重く受け止めていただきたい。議会での議論、合意を経ることなく、「合併の議論も含めて」勉強会の再開依頼を行ったことが、この問題の出発点。
本来、し尿の事務処理委託は特段包み隠す必要があるものではなく、「合併議論も含めて」というところがこの問題の重要箇所であったのは間違いありません。2元代表制の一翼を担う首長ならびに執行部に、また、同席した当時の議長に、議会という合議制の機関そのものを尊重する姿勢が欠けていたといわざるをえません。
保育の過密状況について何ら対策をとらなかった2011年度でした。島本町は就学前の人口の微増に加え、保育ニーズの増加により、保育所定員のおよそ150%という超過密化を招いています。しかし町は面積の保育所最低基準をクリアできれば良いと判断し、保育環境の悪化の深刻さを認めようとしませんでした。大阪府内43市町村の保育所の定員の弾力化状況を大阪府資料に基づいて調査したところ、多くの自治体では就学前の人口は減少していながら、保育需要は増加していることから、保育所整備を行っておられます。
一方、島本町では、子どもの安全や保育の質を低下させないよう現場の保育士の一方ならぬ努力で支えられています。「限界に近い」と訴える現場の声や保護者の声は執行部のみなさんの心に届かなかったのでしょうか。副町長は「保育所整備は安易な提案」と答弁していますが、数十億単位の公共工事をするにあたって、財政が困難と言ったでしょうか。命に係る事故が起きてもおかしくない、ということの認識が乏しいといわざるをえない。緊急対策の預かり保育を実施する第1幼稚園の保護者は「子どもにお金をかけることは未来への投資でもあることを町はわからないのでしょうか」とおっしゃっていました。
子どもの最善の利益を考えて保育環境を整えることなく、島本町の誇る保育の質の高さを維持することはできません。若年層の転入定住を促し、税収増を図るというのならば、保育のニーズの高まりにいちはやく対応しなければなりません。保育の過密状況は、すなわち、数年後の学童保育の姿であるという認識をもって、働く若年層の暮らしを支えていただきたい。
昭和時代の高度成長期には、企業が自ら社宅を用意し、保養施設やレジャー施設をも建設、従業員とその家族の福祉に供することができる財政的余裕と瞬発力があり、立地を決めた土地で企業城下町を形成していました。今は違います。自治体が施策の魅力で従業員家族の暮らしを支えることができなければ企業立地は実現しない、また行う意味がないと考えます。保育・教育の質、子育て支援の充実が鍵になるのは明白です。
難病者・障害者・ひとり親家庭等遺児福祉金の削減が行われました。ひとり親家庭等遺児については児童扶養手当の削減、障害者については就労の場がないという切実な声、生きることに困難を抱えておられる住民の支援のとなる福祉金は削減すべきではありませんでした。第5次行革プランでは廃止の方向ですが、「一人ひとりを包摂する社会」、誰も排除しない社会の構築ができるまでは存続を求めます。
若山台調整池雨水等影響調査が実施されましたが、調整池廃止ありきで行われた調査でなかったか。時間雨量100ミリを超える豪雨による浸水被害が現実のものとなった今、雨水を貯留し、下流への流出を調整する必要性は増しています。調整池埋立・売却計画は見直していただかなければなりません。10haにも及ぶ緑地一帯の開発が災害の際に下流に影響を与えないとは断言できない。
町は、調整池は2012年8月14日の大雨に対し、一定の貯留の役割を果たしたものと推測される、調整池と浸水被害との関連を検証する、と答弁しています。調整池は広瀬地区の農業用水にも重要な役割をしています。若山台住民のみなさんからは、「若山台調整池を埋立てたら水無瀬・青葉などの浸水被害はもっと拡大していたものと思われる」という意見がだされています。農業者のみなさん、周辺住民のみなさんからも調整池を埋立・売却することに賛意は得られていません。土地活用ありきで、関係住民の理解は得られておらず、防災上の有用性を再認識するよう強く求めます。
JR島本駅西地区まちづくり活動支援業務を、大阪府都市整備推進センターに委託にして西側開発を進められています。まちづくり活動支援内容や土地区画整理事業で実施することをまちづくり協議会で決められたことについて、正式に議会への説明、報告がありませんでした。土地区画整理事業の事業計画案が作成されており、補助金の試算もされています。しかし、議会にも住民にもその存在さえ公表されませんでした。行政と一部の関係住民だけですすめられるとすれば、当該地区のまちづくりに、広く住民の理解を得ることが難しくなるのは自明のことです。
西側の風景を大きく変える市街化編入など、都市計画の変更や土地区画整理事業への財政支出は、主権者である住民の合意なくして進めてはなりません。そもそも誰もが歓迎する開発はあり得ない、しかし、町の将来像を大きく左右する駅前開発のあり方、多くの住民が利用する町の玄関口のあり方を決める都市計画の手続として、執行部の姿勢は非常に問題。疑義があります。
し尿処理施設については、中間処理施設の町内新設の方針を示されました。本来ならば市町村固有の義務ですが、処理量が著しく減少しているという事実を踏まえて、広域連携による処理を実現できるよう、最大限の努力をする必要がありました。ポスト「平成の大合併」のもと、再び注目されるべきは合併ではなく広域連携。一部事務組合、事務の委託、応援協定などは従来からあったものですが、平成の大合併を阻害しかねないものとして議論が避けられてきたように思います。
し尿の事務委託については政治的に非常に難しいと承知していますが、5億円の仕事として、積極的に向き合っていただきますよう要望します。
衛生化学処理場の処理水については水質汚濁防止法を遵守して河川を汚染することのないようにしなくてはなりません。処理場では法の濃度規制・総量規制に対応するため、希釈することにより、窒素含有物を濃度基準の基準値内に納めるよう対応している実態が明らかになりました。町は水質汚濁防止法による届出の範囲内640tで放流しているため問題なし、と説明していますが、水質基準は排水中に含まれるチッソ分を規制値まで除くことを目的としており、基準を超える状況があるのは、濃度規制を遵守する処理ができていないためと、人びとの新しい歩みは指摘しています。
「適正に行っている」という町の認識の正当性は乏しいのではないか、今後も、引き続き調査していく所存です。建設水道委員会において、環境保全審議会について事例をあげ、設置に法的根拠のない審議会については条例で定めるべきと指摘しました。速やかな対応を求めます。
阪急水無瀬駅前の交通広場及びJR島本駅前広場の駐車場対策検討業務について、整備費用、維持管理費用、運営のあり方等を含めて町営で設置する必要があるのか、慎重な検討を求めます。隣接する大山崎町では、現在、管理を業者に委託しておられる阪急・JRそれぞれの駅前にある町営駐車場の土地を民間に貸出し、土地の賃借料を得る方針を公表されています。
料金システムの老朽化による入れ替えに多額の費用を要すること、近隣に民間駐車場がオープンし駐車台数が激変したこと、業務委託している現在は町職員がクレーム処理を担当しているなど、が検討の理由です。多くの自治体で縮小傾向にある公営駐車場の新設は、町に新たな課題をもたらす可能性があります。民間駐車場、駐車場を完備した大型スーパーの改修など、周辺の事情を考慮して、鋭意、検討していただきたい。
文書取扱規程の見直しについて、積極的なご答弁をいただきましたが、その具体的な中身が示されたわけではありません。2011年4月1日には公文書管理法「公文書等の管理に関する法律」が全面施行されました。島本町においても、現状の事務処理に則して文書取扱規程の見直しが必要です。
加圧浮上装置の設計図書等、不存在の通知について異議申し立てを行いました。施設の維持管理を適正に合理的に行うために、設計図書等は担当課において保管されるべきものであり、各担当課長の主観的な判断で保存年限を定めて廃棄される類のものではないはずです。情報公開審査会・情報閲覧等審査結果報告書の付帯意見には、「「保存年限の経過によるもの」を不存在の理由とすることは不適切である」、「住民参加の町政を推進する重要な手段である情報公開制度をより充実した制度へとするためには、適切な文書管理が必要である」「保存年限の種類について適切な判断を図られたい」と明記されました。
適正かつ円滑な公文書の取扱は、住民の財産である情報や施設を適正に管理するだけでなく、職員ひとりひとりの働く環境を改善するものです。文書管理簿の取扱についても、廃棄した文書はその理由を記載して欠番にする、訂正が生じた場合はみえ消しにする、枝番も記載するなど、不正、不当な事務処理を可能にしないよう処理方法を整理し、庁内で統一する必要があります。
また、現状の規程では電子文書の管理についての取決めがなく、急ぎ慎重に整理する必要があります。働く意欲の湧く職場は、人事制度だけでは実現しません。職員ひとりひとりが町政に携わる者として、業務に誇りと使命感をもてる環境を、職員自らの手で選びとっていただきたい。
補助金制度の見直しは、住民の行政への信頼を獲得するために、非常に重要な改革と認識しています。財政的視点だけではなく、住民活動の活性化、住民参画の実現という視点から検討していただく必要があります。2010年度、総務文教委員会で視察研修に行った長泉町では、各種団体への補助金について、地域のしがらみはすべて廃止、類似団体の統合、受益者負担の考え方の導入など、指標を示して積極的に取り組まれたと説明を受けました。
財政的削減効果への期待より、公平・公正性を求めることを主な目的として、人びとの新しい歩みは、公募型補助金制度の創設を提案します。引き続き、現状の分析を行い、早期に見直しが行われるよう求めておきます。
防災に関する出前主張講座を試行的に行われました。危険箇所をあらかじめ把握し、避難場所への経路を確認するなど、地区ごとの課題に沿った取り組みが可能であり、評価しています。今後は一定のしくみをつくり、活用しやすいものに進化させていただきたい。自治防災課の現在の多様多彩な職務範囲制では、地域防災計画の見直しをはじめとする防災関係の課題にじっくり取り組みことができないと危惧しており、改善を求めます。
高度成長期に整備された施設が一斉に老朽化の時期を迎え、補修・補強対策や維持管理問題が表面化しています。公共施設を自治体の資産ととらえて維持管理、長寿命化していくという国の方針、施設維持管理の考え方には、施設を取捨選択、賢く縮小していくという考えも含まれます。現状把握、情報提供を行ったうえで、中長期的な方針を示し、住民参画の議論を経て、全体構想・グランドデザインを描く必要があります。
第5次行財政改革のもと、各種施設の使用料が見直されました。受益者負担、税の公正な配分、維持管理補修費への充当という点で、一定、評価できるものです。しかしながら、テニスコート、町立プール、体育館などスポーツ施設については、使用料見直し提案の前に、施設の老朽化を精査して現状把握し、その結果を情報提供されるべきではなかったか。現況調査が行われることなく利用料値上げの議論に終始したのは計画性に欠けました。
維持管理補修に多額の費用が費やされ、体育館・プールをあわせて毎年1千万円以上の土地賃借料が固定的に支払われ続けています。補正予算計上で町立プールの現況調査が行われましたが、給排水管の老朽化が著しく、これ以上の長寿命化は不可能という印象です。排水設備に関しても、水無瀬神宮内の側溝や林の中に放水されているとの指摘があり、下水道法上、衛生管理上問題がないとの町の答弁ですが、大阪で唯一名水百選に選ばれている離宮の水を誇る水無瀬神宮の社に、プールの排水を流し続けるのはいかがなものか、今後の課題といえます。
公共プールにおける子どもの死亡事故が続いていますが、町立プール運営については、朝昼夕、職員による監視員数のチェックが行われていると認識しており、安全性についての配慮、努力を評価しています。引き続き、安全対策を最優先したスポーツ施設運営に努めていただきたい。
最後に、島本町の歴史文化施策について意見を述べます。「水無瀬駒」による地域伝統文化活性化事業について、水無瀬駒の調査研究、中将棋の存在とルールを周知する活動、小学生将棋指導と将棋大会、すべてに継続性が求められます。地味でも着実に地域伝統文化を次世代に継承できるものであり、2013年度以降も国庫補助金が得られるよう最大の努力をお願いしたい。
また、委員会では言及できませんでしたが、離宮八幡宮社家・松田家の古文書寄贈により、町の歴史文化施策は新たに大きく前進しました。島本町の歴史的調査には京都文化圏の学芸員との広域的な交流が必須になります。また、専門性が多岐にわたり細分化されているため、学芸員の豊富な人脈が求められます。嘱託学芸員を正規職員にするなど、中長期的な人材の確保と育成について早急に検討されるよう求めておきます。
以上です。みなさんがもし、議場におられたら認定されたか、されなかったか。議会での討論をこのような視点で聴いていただくとわかりやすいのではないのでしょうか。反対の討論のナカミ、内容が大事です。なんでもかんでも賛成するより、反対する理由は問題点の提起であり、それこそが現状を改善していく原動力!わたしは日々そのことを実感して議会活動を行っています。引き続き、町政に関心をお寄せください。
画像は、広瀬地区の田園風景から天王山方面を臨む
後鳥羽上皇の水無瀬離宮があったと思われる区域です
実紫のびて表札飾りをり 靖子
実は「水路がもれている」と聞き及び、過日
改修の必要があるかと過日現場を確認しました
担当課長に電話でヒアリングすると、即日、これから調査しますと述べました
わかったことは「公図から、もれている」という要望だったということ
思い違いにビックリ・・・日々、いろいろなことが、次々に起こります
さて、昨日の本会議で、平成23年度一般会計歳入歳出決算に戸田は反対、不認定としました。平野議員に建設・水道、民生・消防所委員会所管部分のまとめをお願いし、最終的に戸田がまとめて、人びとの新しい歩みを代表して討論を行いました。特別会計など他の多くの歳入歳出決算については、平野議員が担当しました。一年間、行政職員が精一杯行った事務事業を個々に、あるいは総括的に評価する決算審議は重要。
なぜ反対するのか、島本町にとって平成23年度はどようような年だったのか、住民のみなさんに理解していただける討論に努めました。短くはありませんが全部を掲載(実際の発言とは異なる部分もあります)、追って折に触れ、読みやすいように分割してお知らせしたいと思います。
平成23年度一般会計歳入歳出決算を、人びとの新しい歩みは、以下に述べる理由で不認定としました。(本議会での討論より)
2011年3月11日、東日本大震災・原発震災を経験してはじまった2011年度。避けられない自然災害にいかに備えるか、防災・減災対策の重要性と地域のつながりの尊さを再認識した年でした。福島原子力発電事故による放射能汚染の拡大によって、今なお生活再見の見通しが立たない日々を過ごしておられる多くの被災者のみなさんの無念を思います。我が国が原子力発電に頼れない地震列島である事実を受け止め、次世代に廃炉の技術を継承しなければなりません。電力の恩恵を日々受けている我々国民ひとりひとりの課題であると考えます。
島本町においては、住民自治を理念に掲げた、まちづくり基本条例が施行された年でありました。しかしながら具体的な成果があったとはいえません。7月、同志社大学の新川(にいかわ)達郎教授を講師に招いた講演会が行われましたが、本来ならば基本条例を定める過程で開催されるべき内容でした。住民の町政への関心は深まっており、主権者としての意識も高まりつつあり、町執行部はもっと住民ひとりひとりを信頼し、異なる意見や考えをもった人々の対話から生まれる方向性に価値を見出していただきたいと思います。
1999年5月に策定した都市計画マスタープランは、本来ならば2018年度を目標年次とするものでした。近年、少子高齢化の進展、人口減少社会の到来、住民の価値観やニーズの多様化など、地域社会を取り巻く状況は大きく変化している、地域特性や実情に的確に対応した都市計画マスタープランとするとして、改訂時期をはやめたものです。にもかかわらず、住民意向調査は行わず、地区別懇談会も開かれませんでした。
町の将来像を大きく左右するJR島本駅西側の課題を含んだ改訂でありながら、「まちづくりの基本原則」として条例に定められた「住民、議会及び町は、互いに情報を共有し、町はその保有する情報を積極的に提供すること」が守られていない。結果、各地域の課題が住民に十分に認識されないだけでなく、把握している情報量に委員間で大きな格差があるまま審議は進められました。「住民、議会及び町が信頼関係に基づき対話を重ねて進めるまちづくり」という基本原則に、ほど遠いものでした。
高槻市・島本町広域行政勉強会の中間報告書に基づき、6月11日、住民説明会を開催されました。入口としてし尿処理の問題を掲げながら、結論の部分で、高槻市・島本町が「合併を重要な課題と認識」と結論づけているという指摘が参加された住民の方からありました。島本町としては「広域連携を重要な課題と認識」とするべきでした。その後、9月12日には、2009年12月川口町長名で高槻市長に提出した依頼文「将来のまちづくり構想(広域による事務委託)について(依頼)」の回答といえる文書を受け取りました。
そこには、合併を将来的課題と認識、現時点でし尿受け入れは困難、東上牧からの撤退を要望、と高槻市新市長の方針がはっきりと示されています。し尿処理問題が解決しなかったこと、町内新設を方針に掲げながら未だ候補地の確定ができず、東上牧からの撤退の目途が立たないという現状を重く受け止めていただきたい。議会での議論、合意を経ることなく、「合併の議論も含めて」勉強会の再開依頼を行ったことが、この問題の出発点。
本来、し尿の事務処理委託は特段包み隠す必要があるものではなく、「合併議論も含めて」というところがこの問題の重要箇所であったのは間違いありません。2元代表制の一翼を担う首長ならびに執行部に、また、同席した当時の議長に、議会という合議制の機関そのものを尊重する姿勢が欠けていたといわざるをえません。
保育の過密状況について何ら対策をとらなかった2011年度でした。島本町は就学前の人口の微増に加え、保育ニーズの増加により、保育所定員のおよそ150%という超過密化を招いています。しかし町は面積の保育所最低基準をクリアできれば良いと判断し、保育環境の悪化の深刻さを認めようとしませんでした。大阪府内43市町村の保育所の定員の弾力化状況を大阪府資料に基づいて調査したところ、多くの自治体では就学前の人口は減少していながら、保育需要は増加していることから、保育所整備を行っておられます。
一方、島本町では、子どもの安全や保育の質を低下させないよう現場の保育士の一方ならぬ努力で支えられています。「限界に近い」と訴える現場の声や保護者の声は執行部のみなさんの心に届かなかったのでしょうか。副町長は「保育所整備は安易な提案」と答弁していますが、数十億単位の公共工事をするにあたって、財政が困難と言ったでしょうか。命に係る事故が起きてもおかしくない、ということの認識が乏しいといわざるをえない。緊急対策の預かり保育を実施する第1幼稚園の保護者は「子どもにお金をかけることは未来への投資でもあることを町はわからないのでしょうか」とおっしゃっていました。
子どもの最善の利益を考えて保育環境を整えることなく、島本町の誇る保育の質の高さを維持することはできません。若年層の転入定住を促し、税収増を図るというのならば、保育のニーズの高まりにいちはやく対応しなければなりません。保育の過密状況は、すなわち、数年後の学童保育の姿であるという認識をもって、働く若年層の暮らしを支えていただきたい。
昭和時代の高度成長期には、企業が自ら社宅を用意し、保養施設やレジャー施設をも建設、従業員とその家族の福祉に供することができる財政的余裕と瞬発力があり、立地を決めた土地で企業城下町を形成していました。今は違います。自治体が施策の魅力で従業員家族の暮らしを支えることができなければ企業立地は実現しない、また行う意味がないと考えます。保育・教育の質、子育て支援の充実が鍵になるのは明白です。
難病者・障害者・ひとり親家庭等遺児福祉金の削減が行われました。ひとり親家庭等遺児については児童扶養手当の削減、障害者については就労の場がないという切実な声、生きることに困難を抱えておられる住民の支援のとなる福祉金は削減すべきではありませんでした。第5次行革プランでは廃止の方向ですが、「一人ひとりを包摂する社会」、誰も排除しない社会の構築ができるまでは存続を求めます。
若山台調整池雨水等影響調査が実施されましたが、調整池廃止ありきで行われた調査でなかったか。時間雨量100ミリを超える豪雨による浸水被害が現実のものとなった今、雨水を貯留し、下流への流出を調整する必要性は増しています。調整池埋立・売却計画は見直していただかなければなりません。10haにも及ぶ緑地一帯の開発が災害の際に下流に影響を与えないとは断言できない。
町は、調整池は2012年8月14日の大雨に対し、一定の貯留の役割を果たしたものと推測される、調整池と浸水被害との関連を検証する、と答弁しています。調整池は広瀬地区の農業用水にも重要な役割をしています。若山台住民のみなさんからは、「若山台調整池を埋立てたら水無瀬・青葉などの浸水被害はもっと拡大していたものと思われる」という意見がだされています。農業者のみなさん、周辺住民のみなさんからも調整池を埋立・売却することに賛意は得られていません。土地活用ありきで、関係住民の理解は得られておらず、防災上の有用性を再認識するよう強く求めます。
JR島本駅西地区まちづくり活動支援業務を、大阪府都市整備推進センターに委託にして西側開発を進められています。まちづくり活動支援内容や土地区画整理事業で実施することをまちづくり協議会で決められたことについて、正式に議会への説明、報告がありませんでした。土地区画整理事業の事業計画案が作成されており、補助金の試算もされています。しかし、議会にも住民にもその存在さえ公表されませんでした。行政と一部の関係住民だけですすめられるとすれば、当該地区のまちづくりに、広く住民の理解を得ることが難しくなるのは自明のことです。
西側の風景を大きく変える市街化編入など、都市計画の変更や土地区画整理事業への財政支出は、主権者である住民の合意なくして進めてはなりません。そもそも誰もが歓迎する開発はあり得ない、しかし、町の将来像を大きく左右する駅前開発のあり方、多くの住民が利用する町の玄関口のあり方を決める都市計画の手続として、執行部の姿勢は非常に問題。疑義があります。
し尿処理施設については、中間処理施設の町内新設の方針を示されました。本来ならば市町村固有の義務ですが、処理量が著しく減少しているという事実を踏まえて、広域連携による処理を実現できるよう、最大限の努力をする必要がありました。ポスト「平成の大合併」のもと、再び注目されるべきは合併ではなく広域連携。一部事務組合、事務の委託、応援協定などは従来からあったものですが、平成の大合併を阻害しかねないものとして議論が避けられてきたように思います。
し尿の事務委託については政治的に非常に難しいと承知していますが、5億円の仕事として、積極的に向き合っていただきますよう要望します。
衛生化学処理場の処理水については水質汚濁防止法を遵守して河川を汚染することのないようにしなくてはなりません。処理場では法の濃度規制・総量規制に対応するため、希釈することにより、窒素含有物を濃度基準の基準値内に納めるよう対応している実態が明らかになりました。町は水質汚濁防止法による届出の範囲内640tで放流しているため問題なし、と説明していますが、水質基準は排水中に含まれるチッソ分を規制値まで除くことを目的としており、基準を超える状況があるのは、濃度規制を遵守する処理ができていないためと、人びとの新しい歩みは指摘しています。
「適正に行っている」という町の認識の正当性は乏しいのではないか、今後も、引き続き調査していく所存です。建設水道委員会において、環境保全審議会について事例をあげ、設置に法的根拠のない審議会については条例で定めるべきと指摘しました。速やかな対応を求めます。
阪急水無瀬駅前の交通広場及びJR島本駅前広場の駐車場対策検討業務について、整備費用、維持管理費用、運営のあり方等を含めて町営で設置する必要があるのか、慎重な検討を求めます。隣接する大山崎町では、現在、管理を業者に委託しておられる阪急・JRそれぞれの駅前にある町営駐車場の土地を民間に貸出し、土地の賃借料を得る方針を公表されています。
料金システムの老朽化による入れ替えに多額の費用を要すること、近隣に民間駐車場がオープンし駐車台数が激変したこと、業務委託している現在は町職員がクレーム処理を担当しているなど、が検討の理由です。多くの自治体で縮小傾向にある公営駐車場の新設は、町に新たな課題をもたらす可能性があります。民間駐車場、駐車場を完備した大型スーパーの改修など、周辺の事情を考慮して、鋭意、検討していただきたい。
文書取扱規程の見直しについて、積極的なご答弁をいただきましたが、その具体的な中身が示されたわけではありません。2011年4月1日には公文書管理法「公文書等の管理に関する法律」が全面施行されました。島本町においても、現状の事務処理に則して文書取扱規程の見直しが必要です。
加圧浮上装置の設計図書等、不存在の通知について異議申し立てを行いました。施設の維持管理を適正に合理的に行うために、設計図書等は担当課において保管されるべきものであり、各担当課長の主観的な判断で保存年限を定めて廃棄される類のものではないはずです。情報公開審査会・情報閲覧等審査結果報告書の付帯意見には、「「保存年限の経過によるもの」を不存在の理由とすることは不適切である」、「住民参加の町政を推進する重要な手段である情報公開制度をより充実した制度へとするためには、適切な文書管理が必要である」「保存年限の種類について適切な判断を図られたい」と明記されました。
適正かつ円滑な公文書の取扱は、住民の財産である情報や施設を適正に管理するだけでなく、職員ひとりひとりの働く環境を改善するものです。文書管理簿の取扱についても、廃棄した文書はその理由を記載して欠番にする、訂正が生じた場合はみえ消しにする、枝番も記載するなど、不正、不当な事務処理を可能にしないよう処理方法を整理し、庁内で統一する必要があります。
また、現状の規程では電子文書の管理についての取決めがなく、急ぎ慎重に整理する必要があります。働く意欲の湧く職場は、人事制度だけでは実現しません。職員ひとりひとりが町政に携わる者として、業務に誇りと使命感をもてる環境を、職員自らの手で選びとっていただきたい。
補助金制度の見直しは、住民の行政への信頼を獲得するために、非常に重要な改革と認識しています。財政的視点だけではなく、住民活動の活性化、住民参画の実現という視点から検討していただく必要があります。2010年度、総務文教委員会で視察研修に行った長泉町では、各種団体への補助金について、地域のしがらみはすべて廃止、類似団体の統合、受益者負担の考え方の導入など、指標を示して積極的に取り組まれたと説明を受けました。
財政的削減効果への期待より、公平・公正性を求めることを主な目的として、人びとの新しい歩みは、公募型補助金制度の創設を提案します。引き続き、現状の分析を行い、早期に見直しが行われるよう求めておきます。
防災に関する出前主張講座を試行的に行われました。危険箇所をあらかじめ把握し、避難場所への経路を確認するなど、地区ごとの課題に沿った取り組みが可能であり、評価しています。今後は一定のしくみをつくり、活用しやすいものに進化させていただきたい。自治防災課の現在の多様多彩な職務範囲制では、地域防災計画の見直しをはじめとする防災関係の課題にじっくり取り組みことができないと危惧しており、改善を求めます。
高度成長期に整備された施設が一斉に老朽化の時期を迎え、補修・補強対策や維持管理問題が表面化しています。公共施設を自治体の資産ととらえて維持管理、長寿命化していくという国の方針、施設維持管理の考え方には、施設を取捨選択、賢く縮小していくという考えも含まれます。現状把握、情報提供を行ったうえで、中長期的な方針を示し、住民参画の議論を経て、全体構想・グランドデザインを描く必要があります。
第5次行財政改革のもと、各種施設の使用料が見直されました。受益者負担、税の公正な配分、維持管理補修費への充当という点で、一定、評価できるものです。しかしながら、テニスコート、町立プール、体育館などスポーツ施設については、使用料見直し提案の前に、施設の老朽化を精査して現状把握し、その結果を情報提供されるべきではなかったか。現況調査が行われることなく利用料値上げの議論に終始したのは計画性に欠けました。
維持管理補修に多額の費用が費やされ、体育館・プールをあわせて毎年1千万円以上の土地賃借料が固定的に支払われ続けています。補正予算計上で町立プールの現況調査が行われましたが、給排水管の老朽化が著しく、これ以上の長寿命化は不可能という印象です。排水設備に関しても、水無瀬神宮内の側溝や林の中に放水されているとの指摘があり、下水道法上、衛生管理上問題がないとの町の答弁ですが、大阪で唯一名水百選に選ばれている離宮の水を誇る水無瀬神宮の社に、プールの排水を流し続けるのはいかがなものか、今後の課題といえます。
公共プールにおける子どもの死亡事故が続いていますが、町立プール運営については、朝昼夕、職員による監視員数のチェックが行われていると認識しており、安全性についての配慮、努力を評価しています。引き続き、安全対策を最優先したスポーツ施設運営に努めていただきたい。
最後に、島本町の歴史文化施策について意見を述べます。「水無瀬駒」による地域伝統文化活性化事業について、水無瀬駒の調査研究、中将棋の存在とルールを周知する活動、小学生将棋指導と将棋大会、すべてに継続性が求められます。地味でも着実に地域伝統文化を次世代に継承できるものであり、2013年度以降も国庫補助金が得られるよう最大の努力をお願いしたい。
また、委員会では言及できませんでしたが、離宮八幡宮社家・松田家の古文書寄贈により、町の歴史文化施策は新たに大きく前進しました。島本町の歴史的調査には京都文化圏の学芸員との広域的な交流が必須になります。また、専門性が多岐にわたり細分化されているため、学芸員の豊富な人脈が求められます。嘱託学芸員を正規職員にするなど、中長期的な人材の確保と育成について早急に検討されるよう求めておきます。
以上です。みなさんがもし、議場におられたら認定されたか、されなかったか。議会での討論をこのような視点で聴いていただくとわかりやすいのではないのでしょうか。反対の討論のナカミ、内容が大事です。なんでもかんでも賛成するより、反対する理由は問題点の提起であり、それこそが現状を改善していく原動力!わたしは日々そのことを実感して議会活動を行っています。引き続き、町政に関心をお寄せください。
画像は、広瀬地区の田園風景から天王山方面を臨む
後鳥羽上皇の水無瀬離宮があったと思われる区域です
実紫のびて表札飾りをり 靖子
実は「水路がもれている」と聞き及び、過日
改修の必要があるかと過日現場を確認しました
担当課長に電話でヒアリングすると、即日、これから調査しますと述べました
わかったことは「公図から、もれている」という要望だったということ
思い違いにビックリ・・・日々、いろいろなことが、次々に起こります