徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

作法、流儀からの教え

2013-08-19 08:48:03 | 建築つれづれ…
 お盆も終わり8月も中盤から後半戦に差し掛かって来た。何事も初体験というものは、中々分からないことばかりで手探り状態に陥る。しかもその初体験が、伝統的で作法や流儀を重んじることであれば尚更である。

 設計作業も、建築家なりの作法や流儀を持っている。それは長年、設計作業を繰り返しながら、構築していった独自のものである。今実施設計が佳境を迎えている一つのプロジェクト。今回は初体験の領域があって、前述したような手探り状態に陥ることもしばしばあった。

 日本の伝統、侘び寂びの世界「茶道」。今回のミッションは、わが家に茶室をつくるには…。茶室を創るには、まず茶道の作法や流儀を理解しなければならない。茶道とは何ぞや…と一から勉強。学生時代のに茶室の造り等々を習った記憶があるが、今は昔、覚えてはいない。もしかしたら、授業中寝ていたのかもしれない…。

 茶室の本を買っては読み、今回の計画に反映しなければならないものは書きとめ、酒田にある茶室を何度も何度も見学しに行った。そんな行動を一つ一つ積み重ねてきた設計作業。いやもはや、設計作法、設計流儀と言っていい。

 クライアントとの思いと作法、流儀が込められた茶室。その茶室のある住宅の設計があと一息で実施設計を完了する。「わが家に茶室をつくるには」。今ここに新しい設計作法が確立された。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

競争精神への回帰

2013-08-16 09:04:03 | 今日のひとり言・雑談
 終戦の日の昨日の新聞に興味深い記事があった。「競争精神を取り戻そう」という記事だった。

 日本はこのところ国際競争に後れを取り、色々な分野で国際的な順位を落としている。反省すべきところは、競争を嫌い、平穏を愛しすぎるという風潮があるということ。小学校の運動会でのかけっこが差別を助長すると中止になる。全国学力テストをしても、その成績、順位を公表しない。これらが代表例である。

    

 勝つ努力をしないで、負けるのが嫌だという人間が競争を否定する。人間は負けること、敗戦から何かを学び、負けてこそ強くなる。正々堂々と力を尽くして競争する。負けたら、それをひっくり返す力を学ぶ。それが美しいのである。

 内容はざっとこんなところだった。確かに、何でもかんでも「差別」というオブラートに包み、競争原理を嫌う社会的風潮があることは事実。しかし、私はこの筆者の意見に大賛成で、競争をしない人間は色んな障害を乗り越えられないと考える。「競争からの敗北=差別」ではなく、成功への第一歩ととらえれば競争は必ず必要なものだ。

 今高校野球が甲子園で熱戦を繰り広げているが、スポーツでの競争はもちろんのこと、社会に出ても競争は色んなところに転がっている。その競争に立ち向かおうともせず、差別というオブラートでそれから逃げてはいやしないか。豊かで平安な社会・生活だけでは、強い人間を創ることは難しい。

 競争は差別ではなく、人間形成の為にも必要なものである。今こそ挽回しよう、競争精神を。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秒速4cmの駆け引き

2013-08-08 08:45:03 | 今日のひとり言・雑談
 8月も中盤に差し掛かりつつある。来週にはお盆がやってくる。お盆になれば、故郷を離れて暮らしている家族が帰省する家も多いだろう。我が家は子供たちはまだ親元を離れて暮らす歳ではないが、姉の息子たちが帰省してくる。

 そうなると、みんなで食事に出かけるのが常である。食事に行こうとなると、子供たちが食べたいもの中心に店を選ぶ。その時に候補に挙がるのが寿司屋。子供たちはことさら回転すしがいいと言う。

    

 さてそのベルトコンベアに乗って流れてくる回転寿司。ベルトコンベアの速度知ってますか?これが秒速4cm。時速に直すと時速0.14km、それにはこんな訳があった。

 秒速4cmというスピードは、お客が寿司を視野に入れ、色やツヤを確認して手を伸ばすのにちょうどいいらしい。これ以上速くては、寿司をリサーチする余裕がなくなるし、寿司皿を取り損なうおそれがある。反対にこれ以上遅いと、今度は寿司がなかなか到着せず、お客はイライラする。

 回転速度が遅いと、店側の売上げも伸びない。好きな皿がなかなか回ってこなければ、お客はお茶を飲む機会が増え、その分寿司を食べなくなる。食事に時間がかかれば、少量でも満腹になりやすい。

  つまり、店側のホンネとしては、できるだけ回転速度を上げて、売上げをアップさせたいところなのだが、これは先のような理由でやりづらい。かくして、回転寿司は秒速4cmに落ちついたという訳である。

 今年のお盆、我が家は回転寿司を選ぶのか。はたまた違う店をチョイスするかは、子供たちの意思にかかっている…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年も課題提供に協力

2013-08-05 08:47:03 | 建築つれづれ…
 新潟大学工学部建築学コースの2年生は、毎年夏休みの課題に模型を製作する。これは20数年前の我々の時代から変わっていない課題である。去年より、OB建築家の手がけた住宅を課題として取り上げるようになった。

 去年に引き続いて今年も大学側より声がかかり、模型の題材となる住宅作品の提供を依頼された。断る理由はなく、今年も快諾。今年の題材に選んだのは、先日引渡しを終えたばかりの「門構えのあるイエ」。

 学生の現地見学の日程も今月末に決まった。クライアントも引越早々お世話になる訳で感謝にたえない。学生達がどんなアンテナを張って、実際の住宅を見、何を感じてくれるか大いに楽しみである。最近、頭の中が凝り固まってきてないかと危惧している自分にとっても、ある意味感性を刺激されるであろう。若いパワーから、私も何かを感じたいと思っている。

 ミッションは今月末…である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ターニングポイントは1年ごとのストーリー

2013-08-02 09:34:03 | 建築つれづれ…
 先週の週末に地鎮祭があった。今回のクライアントと始めてお会いしたのが、私の記憶が正しければ3年前になる。初めて会った時も興味深く私の話を聞いてくれ、その後のセミナーにも参加してくれたのを思い出す。

 それから1年後に連絡があった。土地の購入を考えているので、候補の土地について比較検討してほしいという依頼だった。数か所の候補に挙がった土地を見に行き、様々な観点から比較検討し資料を提出した。2011年の秋だった…。

 そして、昨年の夏に設計依頼。土地は1年前に比較検討した中から、閑静で広い土地を選択済で、提案は2つ作成した。ファーストプレゼンで提案した案も気に入ってくれたのではあるが、その後観点の違う案を作成し2案目が採用された。この時、2013年12月。

 それから、一つ一つのパーツを積み上げるような打合せと設計作業。そして工事契約をしたのが、2013年7月。設計期間はちょうど1年に及んだ。クライアントと一緒に一つ一つの作業をコツコツと積み上げてきた3年間。今ここに着工を迎えた。

 この家が完成するのは2014年1月の予定。また一つ一つの作業を積み上げ、足掛け4年での完成となる訳である。1年ごとにターニングポイントが訪れたこのストーリーのエピローグは正月と共に迎えることとなる…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする