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『福岡市政の課題~市長選まで1年』を追う(2)~雇用

2017-12-13 08:54:44 | 福岡市政

福岡市政の課題。今回は雇用問題。福岡市は、平成26年3月、起業を促進する雇用改革拠点として、国から「グローバル創業・ 雇用創出特区」に選ばれた。高島市長は、若い企業こそが新しい雇用を創り出すと自論を展開し、今年1月末までに90社以上を起業させたことをアピールしている。今年4月には、創業の裾野を広げるための拠点として、旧大名小学校に「FUKUOKA growth next」をオープンさせた。高島市政が進める政策は、やたらカナや英文字が多いので内容がわかりにくいのだが、要は、ここで革新的な技術をもつベンチャー企業を育て雇用を創出し、福岡のまちを豊かにするのだという。目指している都市像はシアトルだと。(シアトルに関連する問題はこちら

若い人が起業しやすいのは結構なことだと思うが、一方で、福岡市の雇用者数の4割超が非正規雇用という深刻な現状がある。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で有効求人倍率は上昇しているといわれながら、非正規雇用は増大。格差はどんどん大きくなっている。特に、中小企業が多い福岡市では、それが顕著になっているように思う。福岡県の「県内経済の動向(11月)」を見ると、9月期の中小企業景況判断指数は大きくマイナスとなっている。(下図参照)ちなみに、福岡県内の卸売り業の7割、小売業の4割弱が福岡市の中小企業である。福岡市は、中小企業向けの支援施策を打ち出してはいるが、非正規雇用の解消に繋がるようなものは見受けられない。

福岡市の人口は、高島氏が市長になってからの7年間で約10万人増え、伸び率は政令市でトップとなっている。これは東日本大震災の影響もあると思われるが、最大の要因は企業立地交付金である。お金で人を集めようと、この5年間にバラまかれた立地交付金は113億円に上る。その最たる行先は、アイランドシティ(人工島)である。売れない土地を売るため、我々の血税が次々と注がれているわけだが、それら立地企業が生んだ雇用実績4113人のうち55%が非正規だという。血税を使って非正規が増えるという最悪の事態。これ以上の愚策はないだろう。

アベノミクスの”第3の矢”といわれる「国家戦略特区」を先陣を切って押し進める高島市政。福岡市はさながら実験場のようになっているが、そこから生まれる貧富の差が、ますます雇用問題を深刻化させている。住みたい都市ナンバーワンと言われ、多くの若者が福岡市にやってくる。しかし、彼らの多くが非正規雇用で将来に不安を抱える。かたや特区で起業となれば、法人市民税が5年間全額免除される。どこかおかしいと思うのは私だけだろうか。

 

 

 

        西日本新聞2017年11月30日朝刊より 


 

 

 

 

 福岡県データウェブより 

 

 

以下、参考まで。

【非正規雇用】(西日本新聞ワードBOXより)

厚生労働省などの2015年の調査では、正規雇用の賃金を100とすると、非正規雇用は63.9で大きな格差があった。非正規労働者は過去20年間で倍増し、労働者全体の4割近い約1980万人に上る。そのうち7割近くを女性が占めている。国立社会保障・人口問題研究所が10年の所得を分析したところ、20~64歳の単身女性の3人に1人が「貧困状態」にあった。

 

 

《関連資料》

福岡市。FUKUOKA特区通信

 



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