今日の朝に新聞の付録版に閻魔大王に関する記述があった。1847年に四谷太宗寺に盗賊が入り閻魔像から直径24cmの水晶の目玉を抜いたとたん転落し気絶、捕まったが酒に酔ってのこととて無罪放免となったことが大評判となり、参詣客が大勢集まったとのこと。
つい先週も建仁寺の十一面観音像ほか何十体もの仏像を盗みコレクションしていた罰当たりな男が捕まったが、いつの時代でも盗人が存在するものとつくづく思う。
「石川や 浜の真砂は尽きんとも 世に盗人の種は尽きまじ」
ところで悪事を為し死んだら35日目に閻魔の庁で閻魔さんの取調べを受けることになる。閻魔さんは浄玻璃鏡という罪業を映し出す滅法素敵な鏡を持っていて、亡者のどんな嘘も見破ってしまう。政治家なんて人種は右も左も嘘をつきまくっているから、鏡に次から次にそれが映し出されて冷や汗でボタボタになること請け合いである。
てな閻魔大王であるが閻魔大王そのものが嘘の存在なのである。仏教が中国に入り、道教と習合し偽経の『閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経』(略称として『預修十王生七経』)が作られ、晩唐の時期に十王信仰は成立した。閻魔大王は中国産、その装束も中国人の格好している。
日本ではさらに『地蔵菩薩発心因縁十王経』(略称として『地蔵十王経』)が作られ、平安時代に末法思想と冥界思想と共に広く浸透した。三途の川や奪衣婆(だつえば)の話は日本での創作が加わっているこの偽経による十王信仰によって、法事というものが行われているのである。死後7日ごとに王が出てきて亡者を審判する。
秦広王(しんこうおう) 初七日
初江王(しょこうおう) 二七日
宋帝王(そうていおう) 三七日
五官王(ごかんおう) 四七日
閻魔王(えんまおう) 三十五日
変成王(へんじょうおう) 六七日
泰山王(たいざんおう) 四十九日
平等王(びょうどうおう) 百か日
都市王(としおう) 一周忌
五道転輪王(ごどうてんりんおう) 三回忌
その後、江戸時代には十三王信仰が生まれてくる。7回忌、13回忌、33回忌である。
盆行事の根拠となっている盂蘭盆経も偽経だし、お寺さんの収入の多くは嘘の上に成り立っている。とすると、閻魔さんに舌を抜かれるのは・・・
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