「いっぽん桜」 (山本一力 新潮社文庫)
「明日の記憶」のあとに「東京タワー(リリーフランキー)」を読もうと買っていたのに、根っからの活字中毒の呑む気父さんは、今日の帰りの電車で読む本がないのが耐えられず思わず山本一力の新刊文庫本を買ってしまった。たとえ10分の病院の待ち時間、たった9分の東海道線の中、極端な話5分のトイレの中でも、何か読み物もしくは『音』がないとダメなタイプ。だから本もしくは新聞、携帯ラジオは私の必携アイテムだ。裏返せば、落ち着きのない自律神経失調症気味の性格なんだな。
で、思わず買った「いっぽん桜」だが、やっぱり山本一力はいいなぁ。解説では同氏の小説のことを「人情時代小説」といっていたが、江戸時代(江戸文化)ほど「人情」と言う言葉が似合う時代は日本にはなかったのではないか。庶民にだけではなく、武家社会にも「人情」があったのだと思う。この「人情」が、日本人の、その中でも中年以降の人々の琴線に触れるわけで、その「人情」を見事に上手な文章で表現されれば、面白くないわけがない。おじさんはついつい同氏の本を買ってしまうんですなぁ~。
さて、この本では4種類の花木が登場し、その花木にまつわるそれぞれの物語が展開する。ひとつめの「いっぽん桜」はなかなか泣かせるね。まさに現代社会にも在りがちな話で、大企業を定年になったエリートサラリーマンの悲哀に通ずる物語である。いつまでも昔の看板を背負っていたのでは回りの人は迷惑なんだな。でも人はなかなかそこに気づかない。この主人公は気づいてよかったね。
他に3つの短編が続くのだが、「話し」としては私にはいまひとつだった。まさに「人情」と言う面では少々物足りなさを感じた。好きな作家の作品でも、すべてが満足と言うわけには行かない。よく「期待して読んだのに面白くなかった」とか「時間を無駄にした」などと批判する人がいる。でもひとりの小説家を気に入って通読するときには、そのようなこともあるだろう。それもまた小説を読む楽しさではないかと思うのだが・・・。
「明日の記憶」のあとに「東京タワー(リリーフランキー)」を読もうと買っていたのに、根っからの活字中毒の呑む気父さんは、今日の帰りの電車で読む本がないのが耐えられず思わず山本一力の新刊文庫本を買ってしまった。たとえ10分の病院の待ち時間、たった9分の東海道線の中、極端な話5分のトイレの中でも、何か読み物もしくは『音』がないとダメなタイプ。だから本もしくは新聞、携帯ラジオは私の必携アイテムだ。裏返せば、落ち着きのない自律神経失調症気味の性格なんだな。
で、思わず買った「いっぽん桜」だが、やっぱり山本一力はいいなぁ。解説では同氏の小説のことを「人情時代小説」といっていたが、江戸時代(江戸文化)ほど「人情」と言う言葉が似合う時代は日本にはなかったのではないか。庶民にだけではなく、武家社会にも「人情」があったのだと思う。この「人情」が、日本人の、その中でも中年以降の人々の琴線に触れるわけで、その「人情」を見事に上手な文章で表現されれば、面白くないわけがない。おじさんはついつい同氏の本を買ってしまうんですなぁ~。
さて、この本では4種類の花木が登場し、その花木にまつわるそれぞれの物語が展開する。ひとつめの「いっぽん桜」はなかなか泣かせるね。まさに現代社会にも在りがちな話で、大企業を定年になったエリートサラリーマンの悲哀に通ずる物語である。いつまでも昔の看板を背負っていたのでは回りの人は迷惑なんだな。でも人はなかなかそこに気づかない。この主人公は気づいてよかったね。
他に3つの短編が続くのだが、「話し」としては私にはいまひとつだった。まさに「人情」と言う面では少々物足りなさを感じた。好きな作家の作品でも、すべてが満足と言うわけには行かない。よく「期待して読んだのに面白くなかった」とか「時間を無駄にした」などと批判する人がいる。でもひとりの小説家を気に入って通読するときには、そのようなこともあるだろう。それもまた小説を読む楽しさではないかと思うのだが・・・。