増訂しました。
無 ム・ブ・ない 灬部れっか wú

解字 甲骨文は、人が両手に飾りを持って舞うさまの象形。篆文も同じ意味を表わし、舞の原字。隷書(漢代)から形が大きく変化し現代字の無になった。もともと雨乞いの舞いを意味したが、発音のム・ブが、无(ム・ブ:亡の異体字で、ない・なしの意)に通じ、「ない」の意味に仮借カシャ(当て字)された。のち、この字に両足を外に向かって開く形の舛センを付けた舞が「まい」の字となった[字統]。
因みに中国簡体字は无ム・ブを最大限に利用し、無ム⇒无wú、憮ブ⇒怃wǔ、蕪ブ⇒芜wú、廡ブ⇒庑wǔ、嘸ブ⇒呒fǔ、撫ブ⇒抚fǔとし、舞だけが舞ブ⇒舞wǔとして残っている。
意味 (1)ない(無い)。存在しない。「無言ムゴン」「無休ムキュウ」「無事ブジ」 (2)打ち消 しを表わす助字。「無罪ムザイ」「無名ムメイ」
イメージ
「ない(仮借)」(無・憮・蕪・廡・嘸)
「まう」(舞)
「形声字」(撫)
音の変化 ム・ブ:無 ブ:憮・蕪・廡・嘸・舞・撫
ない
憮 ブ 忄部 wǔ
解字 「忄(心)+無(ない)」の会意形声。心がない状態。むなしい気持ちをいう。
意味 がっかりする。「憮然ブゼン」(がっかりするさま)
蕪 ブ・かぶ 艸部 wú
解字 「艸(草)+無(ない)」の会意形声。艸(草)が他のものを無くすこと。すなわち雑草が生い茂り地面をかくすこと。草が茂って、あれる意となる。日本では、漢語で蕪菁ブセイの根が、かぶらであることから、かぶらに当てる。
意味 (1)あれる。雑草が生い茂る。「蕪穢ブアイ・ブワイ」(土地があれて雑草が生い茂る)「荒蕪コウブ」(土地が荒れて雑草が茂る)「荒蕪地コウブチ」(野放しの状態で自然と荒れ地になった土地) (2)みだれる。「蕪雑ブザツ」(雑然としていること)

蕪菁ブセイ(「国家中医薬名詞述語」より)
「蕪菁ブセイ」とは、中国で漢方薬として用いられる植物。根及び葉を熟(に)て搗き患部に当てたり飲用する。消化促進・解毒・腫(むく)み解消など。(3)[国]かぶら(蕪)。かぶ(蕪)。根が球状になる野菜。根と葉を食用とする。蕪菁ブセイとも書く。(4)人名。「与謝蕪村ヨサブソン」(江戸期の俳人)
廡 ブ・のき 广部 wǔ
解字 「广(やね)+無(ない)」の会意形声。屋根の下に建築物の部分がないところ、即ち、ひさし・のきをいう。
意味 (1)のき(廡)。ひさし(廡)。「廡下ブカ」(のきした) (2)堂の下の廊下。「両廡リョウブ」(本堂の両脇の廊下)
嘸 ブ・さぞ 口部 fǔ
解字 「口(くち)+無(ない)」の会意形声。口から何も言葉がないこと。日本では、人が何も言わないさまを見て、推測する気持ちをあらわす。
意味 (1)何も言わない。また、そのさま。「嘸然ブゼン」(物を言わず考え込む。=憮然) (2)[日本]さぞ(嘸)。さぞや(嘸や)。さぞかし(嘸かし)。さだめし。もっともだろうよ。下に推量の語をともなう。「嘸さぞや辛かったことだろう」
まう
舞 ブ・まう・まい 舛部ます wǔ

解字 甲骨文は、無と同じく人が両手に飾りを持って舞うさまの象形。この字が「ない」の意味に仮借カシャ(当て字)されたため、篆文以降、下部に左右の足が開くかたちの舛センを付けて「舞う」意を表わした。現代字は「舛(左右の足が開く)+無の略体(まう)」の会意形声。
意味 (1)まう(舞う)。まい(舞)。おどる。「舞台ブタイ」「舞踊ブヨウ」「舞姫まいひめ」 (2)ふるいたたせる。「鼓舞コブ」
形声字
撫 ブ・フ・なでる 扌部 fǔ
解字 「扌(手)+無(フ)」の形声。フは付フ(つける)に通じ、手を人の身体につけること、すなわち、なでる意となる。拊フ(なでる)と同じ。撫ブは慣用音。
意味 (1)なでる(撫でる)。さする。なぐさめる。「愛撫アイブ」(なでてかわいがる)「撫慰ブイ」(いたわりなぐさめる) (2)いつくしむ。「撫育ブイク」(いつくしみ育てる)(3)しずめる。おさえる。「鎮撫チンブ」(乱をしずめ民を安んじる)

カワラナデシコ(「ウィキペディア」より)
(4)[国]「撫子なでしこ」とは、ナデシコ科の多年草。秋の七草のひとつ。子を撫でるように愛しむ花の意。「大和撫子やまとなでしこ」(①ナデシコの異称、②日本女性の美称)「なでしこジャパン」(サッカー日本女子代表の愛称)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
無 ム・ブ・ない 灬部れっか wú

解字 甲骨文は、人が両手に飾りを持って舞うさまの象形。篆文も同じ意味を表わし、舞の原字。隷書(漢代)から形が大きく変化し現代字の無になった。もともと雨乞いの舞いを意味したが、発音のム・ブが、无(ム・ブ:亡の異体字で、ない・なしの意)に通じ、「ない」の意味に仮借カシャ(当て字)された。のち、この字に両足を外に向かって開く形の舛センを付けた舞が「まい」の字となった[字統]。
因みに中国簡体字は无ム・ブを最大限に利用し、無ム⇒无wú、憮ブ⇒怃wǔ、蕪ブ⇒芜wú、廡ブ⇒庑wǔ、嘸ブ⇒呒fǔ、撫ブ⇒抚fǔとし、舞だけが舞ブ⇒舞wǔとして残っている。
意味 (1)ない(無い)。存在しない。「無言ムゴン」「無休ムキュウ」「無事ブジ」 (2)打ち消 しを表わす助字。「無罪ムザイ」「無名ムメイ」
イメージ
「ない(仮借)」(無・憮・蕪・廡・嘸)
「まう」(舞)
「形声字」(撫)
音の変化 ム・ブ:無 ブ:憮・蕪・廡・嘸・舞・撫
ない
憮 ブ 忄部 wǔ
解字 「忄(心)+無(ない)」の会意形声。心がない状態。むなしい気持ちをいう。
意味 がっかりする。「憮然ブゼン」(がっかりするさま)
蕪 ブ・かぶ 艸部 wú
解字 「艸(草)+無(ない)」の会意形声。艸(草)が他のものを無くすこと。すなわち雑草が生い茂り地面をかくすこと。草が茂って、あれる意となる。日本では、漢語で蕪菁ブセイの根が、かぶらであることから、かぶらに当てる。
意味 (1)あれる。雑草が生い茂る。「蕪穢ブアイ・ブワイ」(土地があれて雑草が生い茂る)「荒蕪コウブ」(土地が荒れて雑草が茂る)「荒蕪地コウブチ」(野放しの状態で自然と荒れ地になった土地) (2)みだれる。「蕪雑ブザツ」(雑然としていること)

蕪菁ブセイ(「国家中医薬名詞述語」より)
「蕪菁ブセイ」とは、中国で漢方薬として用いられる植物。根及び葉を熟(に)て搗き患部に当てたり飲用する。消化促進・解毒・腫(むく)み解消など。(3)[国]かぶら(蕪)。かぶ(蕪)。根が球状になる野菜。根と葉を食用とする。蕪菁ブセイとも書く。(4)人名。「与謝蕪村ヨサブソン」(江戸期の俳人)
廡 ブ・のき 广部 wǔ
解字 「广(やね)+無(ない)」の会意形声。屋根の下に建築物の部分がないところ、即ち、ひさし・のきをいう。
意味 (1)のき(廡)。ひさし(廡)。「廡下ブカ」(のきした) (2)堂の下の廊下。「両廡リョウブ」(本堂の両脇の廊下)
嘸 ブ・さぞ 口部 fǔ
解字 「口(くち)+無(ない)」の会意形声。口から何も言葉がないこと。日本では、人が何も言わないさまを見て、推測する気持ちをあらわす。
意味 (1)何も言わない。また、そのさま。「嘸然ブゼン」(物を言わず考え込む。=憮然) (2)[日本]さぞ(嘸)。さぞや(嘸や)。さぞかし(嘸かし)。さだめし。もっともだろうよ。下に推量の語をともなう。「嘸さぞや辛かったことだろう」
まう
舞 ブ・まう・まい 舛部ます wǔ

解字 甲骨文は、無と同じく人が両手に飾りを持って舞うさまの象形。この字が「ない」の意味に仮借カシャ(当て字)されたため、篆文以降、下部に左右の足が開くかたちの舛センを付けて「舞う」意を表わした。現代字は「舛(左右の足が開く)+無の略体(まう)」の会意形声。
意味 (1)まう(舞う)。まい(舞)。おどる。「舞台ブタイ」「舞踊ブヨウ」「舞姫まいひめ」 (2)ふるいたたせる。「鼓舞コブ」
形声字
撫 ブ・フ・なでる 扌部 fǔ
解字 「扌(手)+無(フ)」の形声。フは付フ(つける)に通じ、手を人の身体につけること、すなわち、なでる意となる。拊フ(なでる)と同じ。撫ブは慣用音。
意味 (1)なでる(撫でる)。さする。なぐさめる。「愛撫アイブ」(なでてかわいがる)「撫慰ブイ」(いたわりなぐさめる) (2)いつくしむ。「撫育ブイク」(いつくしみ育てる)(3)しずめる。おさえる。「鎮撫チンブ」(乱をしずめ民を安んじる)

カワラナデシコ(「ウィキペディア」より)
(4)[国]「撫子なでしこ」とは、ナデシコ科の多年草。秋の七草のひとつ。子を撫でるように愛しむ花の意。「大和撫子やまとなでしこ」(①ナデシコの異称、②日本女性の美称)「なでしこジャパン」(サッカー日本女子代表の愛称)
<紫色は常用漢字>
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