漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「栗リツ」<くり> と 「慄リツ」「篥リキ」

2024年05月01日 | 漢字の音符
 リツ・くり  木部 lì       

解字 甲骨文字は木の上にトゲのある栗の実が三つある形。篆文で栗の実が𠧪になり下に木をつけた形になった。漢代の隷書でクリの実が西の変形字(覀)へと変化し、現代字で栗になった。イガのある実が木になった栗(くり)の意味を表す。また、とがったイガのイメージから、おののく・きびしい意もある。

栗のイガ(栄村・津南産)
意味 (1)くり(栗)。ブナ科の落葉高木。また、その果実。「栗子リツシ」(栗の実)「毬栗いがぐり」(①いがに包まれた栗の実、②毬栗頭の略。男の丸刈り頭)「団栗どんぐり」(カシやクヌギ・ナラなどの実の俗称。団は丸い意)「栗饅頭くりまんじゅう」 (2)おののく。(=慄)「栗栗リツリツ」(おそれるさま) (3)きびしい。「厳栗ゲンリツ」 (4)「栗鼠リス」とは、リス科の哺乳動物。ねずみ(鼠)に似て木の上にすむ。「きねずみ」ともいう) (5)姓。「栗田くりた」「栗栖くりす・くるす

イメージ 
 「くり・くりのイガ」
(栗・慄)
 「形声字」(篥)
音の変化  リツ:栗・慄  リキ:篥

くり・くりのイガ
 リツ・おそれる・おののく  忄部 lì
解字 「忄(心)+栗(くりのイガ)」の会意形声。栗には、栗のイガのイメージから、おそれる意があり、忄(心)をつけてその意味を示した字。
意味 おそれる(慄れる)。おののく(慄く)。「慄然リツゼン」「戦慄センリツ」(おそろしくて身震いする=戦慄わななく)「慄慄リツリツ」(①おそれるさま。②非常に寒いさま)

形声字
 リキ・リツ  竹部 lì
解字 「竹(たけ)+栗(リキ)」の形声。リキと呼ばれる竹製の楽器。

篳篥(楽器店のHPから)
意味 「篳篥ヒチリキ」に使われる字。篳篥とは、西域の都市国家・亀茲キジ(現在の新疆ウイグル自治区クチャ市(庫車市)付近)が起源とされる雅楽用のたて笛。ヒチリキは古代亀茲語の発音。当初、必栗ヒツリキと書いていたが、のち篳篥ヒチリキとなった。竹管に穴をあけ、上端に蘆あし製の舌ゼツを挿入した管楽器。雅楽で主旋律を演奏する。
<紫色は常用漢字>

   バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする