漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「祭サイ」<肉を祭壇にそなえて神をまつる>と「際サイ」「蔡サイ」「察サツ」「擦サツ」

2024年05月31日 | 漢字の音符
 サイ・まつる・まつり  示部 jì・zhài

解字 金文は「月(肉)+示(祭壇)+又(て)」の会意で、肉を示(祭壇)の上に又(て)で供える形。篆文は「示(祭壇)の上に肉と又(て)を近づけた形。この形が基になり楷書の祭となった。楷書は、手の形が又の変形字となっている。
意味 まつる(祭る)。供物を供えて神をまつる。まつり(祭)。「祭日サイジツ」「祭典サイテン」「祭器サイキ」(祭りに使用する器具)「祭司サイシ」(祭りを司る者)

イメージ 
 供物の肉を供えて神を「まつる」(祭・際・察) 
「形声字」(擦・蔡) 
音の変化  サイ:祭・際・蔡  サツ:察・擦

まつる
 サイ・きわ  阝部こざと jì
解字 「阝(神が降りるはしご)+祭(まつる)」 の会意形声。阝(こざと)は丘のほか、はしごの意味がある。神が降りるはしごの前に祭壇を置き、肉を供えてまつること。そこは神と人との相接するところで、天と地との境になる。また、そこで神とまじわる意となる。[字統]
意味 (1)さかい。きわ(際)。はて。「山際やまぎわ」「際限サイゲン」(最後のところ。きり)(2)まじわる。まじわり。「交際コウサイ」「国際コクサイ」(国と国とのまじわり。inter-national)(3)おり。とき。「際物きわもの」(ある時期だけ売り出す品物。ひな人形・鯉幟など)「間際まぎわ」(差し迫った際)
 サツ・みる  宀部 chá
解字 「宀(建物)+祭(まつる)」 の会意形声。建物のなかで神をまつり、神の意志をよく見ておしはかること。また、よく見てあきらかにすること。
意味 (1)おしはかる。思いやる。「察(サッ)する」(推し量る)「察知サッチ」「拝察ハイサツ」(2)明らかにする。よくみる。みる(察る)「観察カンサツ」「診察シンサツ」「偵察テイサツ」(さぐりみる)「省察ショウサツ・セイサツ」(自分自身をかえりみる)

形声字
 サツ・する・すれる・こする  扌部 cā  
解字 「扌(手)+察(サツ)」 の形声。明代の[字彙ジイ]は「音は察サツ。摩(こする)之(こ)の急也(なり)」と、急に手で「こする」意とする。
意味 する(擦る)。すれる(擦れる)。こする(擦る)。「摩擦マサツ」「擦過症サッカショウ」(すり傷)
 サイ  艸部 cài
解字 「艸(草)+祭(サイ)」の形声。形はサイという名の草むらだが、実際はサイという名の国名や姓に使われる。発音を表す字に草冠を付けて国名や地名、外国語の音訳字とするのは漢字の得意技のひとつ。
意味 (1)くさむら。(2)中国周代の国名。今の河南省上蔡県一帯にあった。(3)姓のひとつ。「蔡倫サイリン」(後漢の人。樹皮・ぼろ布・漁網などから紙を製して献上した)「蔡英文サイエイブン 」(台湾の第7代女性総統。2016.5~2024.5)
<紫色は常用漢字>

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