九 キュウ・ク・ここの・ここのつ 乙部 jiǔ
解字 甲骨・金文は先が手を表し曲がった部分が肘にあたる。手が穴の奥に届いて曲がったようすを描いた形だが、仮借カシャ(当て字)の用法で数字の九番目として使われている。篆文以降は形が変わり、現代字は「九」となった。九を音符に含む字は、「ここのつ・数が多い」、穴の奥で「行きどまる」、腕が「まがる」イメージをもつ。
意味 (1)ここのつ(九つ)。数の名。九番目。「九州キュウシュウ」「九死キュウシに一生」(ほとんど助からない状態から助かる)(2)数が多いこと。「九重ここのえ」(3)[国]「九十九折つづらおり」(「葛藤つづらふじ」のように折れ曲がっている坂道)
イメージ
「ここのつ・数が多い」(九・馗・染・蒅)
「行きどまる」(究・尻・仇)
肘(ひじ)が「まがる」(軌・旭)
「形声字」(鳩)
音の変化 キュウ:九・究・仇 キョク:旭 キ:馗・軌 ク:鳩 コウ:尻 セン:染 すくも:蒅
ここのつ・数が多い
馗 キ 首部 kuí
解字 「首(=道の略体)+九(ここのつ)」の会意形声。九方に達する道。道が四方八方に通じていること。
意味 (1)みち。九方に通じる道。「古馗コキ」(昔の街道)「野馗ヤキ」(野外の四方八方路)(2)人名用字。「鍾馗ショウキ」とは中国の民間伝承の道教系の神の名。もとは中国の唐代に実在した人物だとする説話からできた。日本では、鍾馗は魔よけになるとされ、人形や鍾馗を描いた旗・掛け軸などが飾られる。
鍾馗様(「村松虚空蔵尊だより」より)
染 セン・そめる・そまる・しみる・しみ 木部 rǎn
解字 「氵(水)+九(多い)+木(草木)」の会意で、多くの種類の草木を水にひたして(加熱し)草木の色素をしみ出させること。草や木を材料として糸を染める草木染を表した字。色を染める意から、色が「しみる・しむ・そまる」意となり、病気がうつる(感染・伝染)、色が染まって、よごれる・けがす(汚染)意味にもなる。「水と九と木」の組合わせだけで、色が染まる意から病気の感染まで表す、すばらしい発想力の字。
意味 (1)そめる(染める)。そまる(染まる)。色をつける。ひたす。「染色センショク」「染料センリョウ」「染織センショク」(染と織おり)(2)うつる。病気にかかる。「感染カンセン」「伝染デンセン」(3)しみる(染みる)。しみ(染み)。「染習センシュウ」(しみ込んだ習慣)(4)よごれる。けがす。「汚染オセン」
蒅 <国字> すくも 艸部
解字 「艸(くさ)+染(そめる)」の会意。染色に用いる草の意で、藍染めにつかう草を発酵させたものをいう。
阿波藍の製法・「すくも」ができるまで
意味 すくも(蒅)。藍の葉を発酵・熟成させた染料。藍の葉を約75 - 90日間発酵させてつくる。
行きどまる
究 キュウ・きわめる 穴部 jiū
解字 「穴(横穴)+九(行きどまる)」の会意形声。穴の奥の行きどまりの所まで探ること。
意味 きわめる(究める)。つきつめる。「究極キュウキョク」「研究ケンキュウ」「究理キュウリ」(物事の道理・法則を究めること)
仇 キュウ・あだ・かたき イ部 chóu・qiú
解字 「イ(人)+九(=究。つきつめる)」の会意形声。探し求めている究極のひと。当初、つれあい・仲間の意だったが、のち、かたきの意味に用いる。
意味 (1)かたき(仇)。あだ(仇)。うらみ。「仇敵キュウテキ」「仇怨キュウオン」(うらみ)「仇富キュウフ」(資本が制御されないため富者が生じ、庶民が富者をかたきとみなしうらむこと)「仇官キュウカン」(官僚の権力が増大し庶民が官僚をかたきとみなしうらむこと)(2)つれあい。なかま。「仇匹キュウヒツ」(つれあい)
尻 コウ・しり 尸部 kāo
解字 篆文は「尸(からだ)+九(行きどまり)」の会意形声。尸シは篆文で、人が座ったかたち。そのからだ(胴体)の行きどまった所にあるしり。
意味 (1)しり(尻)。肛門のある付近。臀部デンブ。「尻しりを下す」「尻坐コウザ」(尻をすえてうずくまって坐る)「尻尾しっぽ」(2)後ろのほう。おわり。「尻馬しりうま」(人の乗った馬の後ろに乗る)「目尻めじり」(目の外側の端)「帳尻チョウジリ」(計算の締めくくり)
まがる
軌 キ・わだち 車部 guǐ
解字 「車(くるま)+九(まがる)」の会意形声。車が曲がったとき残した車輪のあと。
意味 (1)わだち(軌)。車の通ったあと。「軌跡キセキ」(①わだちのあと。②前人のおこないの跡。③幾何学における、わだちのような図形)「軌道キドウ」(①レールの敷かれた道。②天体の運行する道) (2)車輪の間隔。「広軌コウキ」「狭軌キョウキ」(3)(レールの敷かれることから)すじみち。のり。てほん。「軌範キハン」「常軌ジョウキ」
旭 キョク・あさひ 日部 xù
解字 「日(太陽)+九(まがる)」の会意形声。太陽が昇るとき、太陽の曲線の部分が地上に見える状態をいう。[説文解字]は「日が旦タン(あけがた)に出る皃ボウ(すがた)。日に従い九の聲(声)。一に曰(いわ)く明(あけ)る也(なり)」とする。
意味 あさひ(旭)。朝にのぼってくる太陽。「旭日キョクジツ」(朝の太陽。また、その光)「旭日昇天キョクジツショウテン」(朝日が勢いよく天に昇る。勢いの盛んなこと)「旭光キョッコウ」(朝日のひかり)
形声字
鳩 キュウ・ク・はと 鳥部 jiū
解字 「鳥(とり)+九(ク)」の形声。クックッと鳴く鳥のハト。ハトは群れをなすので、集まる意味もある。
意味 (1)はと(鳩)。「鳩舎キュウシャ」「鳩笛はとぶえ」(2)あつまる。あつめる。「鳩合キュウゴウ」(あつまる)「鳩首キュウシュ」(相談事などのため人が頭を寄せる)
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨・金文は先が手を表し曲がった部分が肘にあたる。手が穴の奥に届いて曲がったようすを描いた形だが、仮借カシャ(当て字)の用法で数字の九番目として使われている。篆文以降は形が変わり、現代字は「九」となった。九を音符に含む字は、「ここのつ・数が多い」、穴の奥で「行きどまる」、腕が「まがる」イメージをもつ。
意味 (1)ここのつ(九つ)。数の名。九番目。「九州キュウシュウ」「九死キュウシに一生」(ほとんど助からない状態から助かる)(2)数が多いこと。「九重ここのえ」(3)[国]「九十九折つづらおり」(「葛藤つづらふじ」のように折れ曲がっている坂道)
イメージ
「ここのつ・数が多い」(九・馗・染・蒅)
「行きどまる」(究・尻・仇)
肘(ひじ)が「まがる」(軌・旭)
「形声字」(鳩)
音の変化 キュウ:九・究・仇 キョク:旭 キ:馗・軌 ク:鳩 コウ:尻 セン:染 すくも:蒅
ここのつ・数が多い
馗 キ 首部 kuí
解字 「首(=道の略体)+九(ここのつ)」の会意形声。九方に達する道。道が四方八方に通じていること。
意味 (1)みち。九方に通じる道。「古馗コキ」(昔の街道)「野馗ヤキ」(野外の四方八方路)(2)人名用字。「鍾馗ショウキ」とは中国の民間伝承の道教系の神の名。もとは中国の唐代に実在した人物だとする説話からできた。日本では、鍾馗は魔よけになるとされ、人形や鍾馗を描いた旗・掛け軸などが飾られる。
鍾馗様(「村松虚空蔵尊だより」より)
染 セン・そめる・そまる・しみる・しみ 木部 rǎn
解字 「氵(水)+九(多い)+木(草木)」の会意で、多くの種類の草木を水にひたして(加熱し)草木の色素をしみ出させること。草や木を材料として糸を染める草木染を表した字。色を染める意から、色が「しみる・しむ・そまる」意となり、病気がうつる(感染・伝染)、色が染まって、よごれる・けがす(汚染)意味にもなる。「水と九と木」の組合わせだけで、色が染まる意から病気の感染まで表す、すばらしい発想力の字。
意味 (1)そめる(染める)。そまる(染まる)。色をつける。ひたす。「染色センショク」「染料センリョウ」「染織センショク」(染と織おり)(2)うつる。病気にかかる。「感染カンセン」「伝染デンセン」(3)しみる(染みる)。しみ(染み)。「染習センシュウ」(しみ込んだ習慣)(4)よごれる。けがす。「汚染オセン」
蒅 <国字> すくも 艸部
解字 「艸(くさ)+染(そめる)」の会意。染色に用いる草の意で、藍染めにつかう草を発酵させたものをいう。
阿波藍の製法・「すくも」ができるまで
意味 すくも(蒅)。藍の葉を発酵・熟成させた染料。藍の葉を約75 - 90日間発酵させてつくる。
行きどまる
究 キュウ・きわめる 穴部 jiū
解字 「穴(横穴)+九(行きどまる)」の会意形声。穴の奥の行きどまりの所まで探ること。
意味 きわめる(究める)。つきつめる。「究極キュウキョク」「研究ケンキュウ」「究理キュウリ」(物事の道理・法則を究めること)
仇 キュウ・あだ・かたき イ部 chóu・qiú
解字 「イ(人)+九(=究。つきつめる)」の会意形声。探し求めている究極のひと。当初、つれあい・仲間の意だったが、のち、かたきの意味に用いる。
意味 (1)かたき(仇)。あだ(仇)。うらみ。「仇敵キュウテキ」「仇怨キュウオン」(うらみ)「仇富キュウフ」(資本が制御されないため富者が生じ、庶民が富者をかたきとみなしうらむこと)「仇官キュウカン」(官僚の権力が増大し庶民が官僚をかたきとみなしうらむこと)(2)つれあい。なかま。「仇匹キュウヒツ」(つれあい)
尻 コウ・しり 尸部 kāo
解字 篆文は「尸(からだ)+九(行きどまり)」の会意形声。尸シは篆文で、人が座ったかたち。そのからだ(胴体)の行きどまった所にあるしり。
意味 (1)しり(尻)。肛門のある付近。臀部デンブ。「尻しりを下す」「尻坐コウザ」(尻をすえてうずくまって坐る)「尻尾しっぽ」(2)後ろのほう。おわり。「尻馬しりうま」(人の乗った馬の後ろに乗る)「目尻めじり」(目の外側の端)「帳尻チョウジリ」(計算の締めくくり)
まがる
軌 キ・わだち 車部 guǐ
解字 「車(くるま)+九(まがる)」の会意形声。車が曲がったとき残した車輪のあと。
意味 (1)わだち(軌)。車の通ったあと。「軌跡キセキ」(①わだちのあと。②前人のおこないの跡。③幾何学における、わだちのような図形)「軌道キドウ」(①レールの敷かれた道。②天体の運行する道) (2)車輪の間隔。「広軌コウキ」「狭軌キョウキ」(3)(レールの敷かれることから)すじみち。のり。てほん。「軌範キハン」「常軌ジョウキ」
旭 キョク・あさひ 日部 xù
解字 「日(太陽)+九(まがる)」の会意形声。太陽が昇るとき、太陽の曲線の部分が地上に見える状態をいう。[説文解字]は「日が旦タン(あけがた)に出る皃ボウ(すがた)。日に従い九の聲(声)。一に曰(いわ)く明(あけ)る也(なり)」とする。
意味 あさひ(旭)。朝にのぼってくる太陽。「旭日キョクジツ」(朝の太陽。また、その光)「旭日昇天キョクジツショウテン」(朝日が勢いよく天に昇る。勢いの盛んなこと)「旭光キョッコウ」(朝日のひかり)
形声字
鳩 キュウ・ク・はと 鳥部 jiū
解字 「鳥(とり)+九(ク)」の形声。クックッと鳴く鳥のハト。ハトは群れをなすので、集まる意味もある。
意味 (1)はと(鳩)。「鳩舎キュウシャ」「鳩笛はとぶえ」(2)あつまる。あつめる。「鳩合キュウゴウ」(あつまる)「鳩首キュウシュ」(相談事などのため人が頭を寄せる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
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