増訂しました。
及 キュウ・およぶ・および・およぼす 又部 jí

解字 甲骨文字は、人の後ろから手をのばして脚にとどいた形で、とどく・およぶ意。金文で手が人の脚をつかんだ形。篆文で手の上に人がのった形が、旧字で手の形⇒又に変わり、新字体は㇋が独立した形の及となった。意味は、とどく・およぶ意から転じて、およぼす・ゆきわたらせる意ともなる。部首は届いた「又(手)」になる。
意味 (1)およぶ(及ぶ)。とどく。追いつく。「追及ツイキュウ」(①追いかけておいつく。②責任などを追いつめる)「言及ゲンキュウ」(言いおよぶ)「波及ハキュウ」(余波がとどく)「及第キュウダイ」(第[官吏登用試験]にとどく。合格する)(2)およぼす(及ぼす)。ゆきわたる。「普及フキュウ」(広く行きわたる)(3)および(及び)。ならびに。
イメージ
「とどく」(及・吸・扱・級・汲・笈・岌)
「追いつく」(急)
音の変化 キュウ:及・吸・扱・級・汲・笈・岌・急
とどく
吸 キュウ・すう 口部 xī
解字 「口(くち)+及(とどく)」の会意形声。口がある物に届いてすいこむこと。
意味 すう(吸う)。息をすう。吸いこむ。「吸引キュウイン」「吸気キュウキ」「呼吸コキュウ」
扱 キュウ・あつかう 扌部 xī・chā・qì
解字 「扌(手)+及(とどく)」の会意形声。とどいたものを手で別のところに収めること。しかし、日本では手であつかう、手でしごく意で用いられる。
意味 (1)おさめる。おさめ入れる。(2)[国]あつかう(扱う)。操作する。「扱い慣れる」(3)[国]受け持つ。「警察で扱う」(4)[国]みなす。「大人として扱う」 (5)[国]こく(扱く)。しごく(扱く)。手や物ではさんでこすり落とす。「稲扱(こ)き」(実った稲穂を、細い隙間のある道具にはさんで引っ張り、籾(もみ)をこき落とすこと)
級 キュウ・しな 糸部 jí
解字 「糸(糸たば)+及(とどく)」の会意形声。布を織るとき、機織り場に糸束を準備して揃えておくこと。糸束は織る布の種類によって異なることから、同じ程度・等級・しな(階級)の意となる。また同じ等級である、学校のくみ(級)の意味になる。
意味 (1)順序。次第。(2)しな(級)。くらい(位)。ていど。序列。「階級カイキュウ」「初級ショキュウ」「特級トッキュウ」「首級シュキュウ」(討ち取った首。秦の時代、敵の首をひとつとれば階級が一つ上がったからという)(3)なかま。くみ。「学級ガッキュウ」「級長キュウチョウ」「同級生ドウキュウセイ」
汲 キュウ・くむ 氵部 jí
解字 「氵(みず)+及の旧字(とどく)」の会意形声。井戸の水につるべがとどくこと。釣瓶で水をくむ意となる。
意味 (1)くむ(汲む)。くみあげる。「汲水キュウスイ」(2)いそがしい。「汲々キュウキュウ」(忙しいさま)
笈 キュウ・おい 竹部 jí
玄奘負笈図(「中国ネット・玄奘負笈図」から)
笈を背負い仏典を求めてインドへ旅をする三蔵法師・玄奘ゲンジョウ。
解字 「竹(たけ)+及の旧字(うしろからとどく)」の会意形声。及は人のうしろから手がとどく形で、うしろからとどく意。笈は、竹製の箱が背中にとどくこと。背に負う竹で編んだ箱の意。
意味 おい(笈)。書物や衣類などを入れて背負う脚付きの箱。「書笈ショキュウ」(本をいれる背負い箱)「笈キュウを負う」(勉強のため他郷に遊学する)「笈摺おいずり」(巡礼者などが着物の上に着る袖なし羽織のような衣。笈を背負うとき背中が摺れるのを防ぐといわれる)「笈の小文(おいのこぶみ)」(松尾芭蕉の俳諧紀行文。1687-88年、尾張から近畿各地をめぐり須磨・明石までの紀行文)
岌 キュウ・たかい 山部 jí
解字 「山(やま)+及の旧字(キュウ)」の形声。高くけわしい山を岌キュウという。[説文解字]は「山の高い皃(かたち)。山に従い及キュウの聲(声)」とする。
意味 (1)たかい(岌い)。山が高くけわしいさま。「岌峨キュウガ」(山が高くけわしいさま)「岌然キュウゼン」(山がそびえるさま)(2)あやういさま。「岌岌キュウキュウ」(たかくあやういさま)「岌乎キュウコ」(あやうい)
おいつく
急 キュウ・いそぐ 心部 jí

解字 「心(こころ)+及の変化形(追いつく)」の会意形声。 追いつこうとする心の状態。現代字は、及の人⇒ク、手⇒ヨ、に変化した。
意味 (1)いそぐ(急ぐ)。せく(急く)。「急用キュウヨウ」「至急シキュウ」「急行キュウコウ」(①急いで行く。②急行列車の略)(2)さしせまっている。「急迫キュウハク」(3)にわかに。とつぜん。「急死キュウシ」(4)[国]傾斜がきつい。けわしい。「急坂キュウハン」「急峻キュウシュン」(非常にけわしいこと)
<紫色は常用漢字>
お知らせ
主要な漢字をすべて音符順にならべた、『音符順 精選漢字学習字典 ネット連動版』石沢書店(2020年)発売中です。
及 キュウ・およぶ・および・およぼす 又部 jí

解字 甲骨文字は、人の後ろから手をのばして脚にとどいた形で、とどく・およぶ意。金文で手が人の脚をつかんだ形。篆文で手の上に人がのった形が、旧字で手の形⇒又に変わり、新字体は㇋が独立した形の及となった。意味は、とどく・およぶ意から転じて、およぼす・ゆきわたらせる意ともなる。部首は届いた「又(手)」になる。
意味 (1)およぶ(及ぶ)。とどく。追いつく。「追及ツイキュウ」(①追いかけておいつく。②責任などを追いつめる)「言及ゲンキュウ」(言いおよぶ)「波及ハキュウ」(余波がとどく)「及第キュウダイ」(第[官吏登用試験]にとどく。合格する)(2)およぼす(及ぼす)。ゆきわたる。「普及フキュウ」(広く行きわたる)(3)および(及び)。ならびに。
イメージ
「とどく」(及・吸・扱・級・汲・笈・岌)
「追いつく」(急)
音の変化 キュウ:及・吸・扱・級・汲・笈・岌・急
とどく
吸 キュウ・すう 口部 xī
解字 「口(くち)+及(とどく)」の会意形声。口がある物に届いてすいこむこと。
意味 すう(吸う)。息をすう。吸いこむ。「吸引キュウイン」「吸気キュウキ」「呼吸コキュウ」
扱 キュウ・あつかう 扌部 xī・chā・qì
解字 「扌(手)+及(とどく)」の会意形声。とどいたものを手で別のところに収めること。しかし、日本では手であつかう、手でしごく意で用いられる。
意味 (1)おさめる。おさめ入れる。(2)[国]あつかう(扱う)。操作する。「扱い慣れる」(3)[国]受け持つ。「警察で扱う」(4)[国]みなす。「大人として扱う」 (5)[国]こく(扱く)。しごく(扱く)。手や物ではさんでこすり落とす。「稲扱(こ)き」(実った稲穂を、細い隙間のある道具にはさんで引っ張り、籾(もみ)をこき落とすこと)
級 キュウ・しな 糸部 jí
解字 「糸(糸たば)+及(とどく)」の会意形声。布を織るとき、機織り場に糸束を準備して揃えておくこと。糸束は織る布の種類によって異なることから、同じ程度・等級・しな(階級)の意となる。また同じ等級である、学校のくみ(級)の意味になる。
意味 (1)順序。次第。(2)しな(級)。くらい(位)。ていど。序列。「階級カイキュウ」「初級ショキュウ」「特級トッキュウ」「首級シュキュウ」(討ち取った首。秦の時代、敵の首をひとつとれば階級が一つ上がったからという)(3)なかま。くみ。「学級ガッキュウ」「級長キュウチョウ」「同級生ドウキュウセイ」
汲 キュウ・くむ 氵部 jí
解字 「氵(みず)+及の旧字(とどく)」の会意形声。井戸の水につるべがとどくこと。釣瓶で水をくむ意となる。
意味 (1)くむ(汲む)。くみあげる。「汲水キュウスイ」(2)いそがしい。「汲々キュウキュウ」(忙しいさま)
笈 キュウ・おい 竹部 jí

笈を背負い仏典を求めてインドへ旅をする三蔵法師・玄奘ゲンジョウ。
解字 「竹(たけ)+及の旧字(うしろからとどく)」の会意形声。及は人のうしろから手がとどく形で、うしろからとどく意。笈は、竹製の箱が背中にとどくこと。背に負う竹で編んだ箱の意。
意味 おい(笈)。書物や衣類などを入れて背負う脚付きの箱。「書笈ショキュウ」(本をいれる背負い箱)「笈キュウを負う」(勉強のため他郷に遊学する)「笈摺おいずり」(巡礼者などが着物の上に着る袖なし羽織のような衣。笈を背負うとき背中が摺れるのを防ぐといわれる)「笈の小文(おいのこぶみ)」(松尾芭蕉の俳諧紀行文。1687-88年、尾張から近畿各地をめぐり須磨・明石までの紀行文)
岌 キュウ・たかい 山部 jí
解字 「山(やま)+及の旧字(キュウ)」の形声。高くけわしい山を岌キュウという。[説文解字]は「山の高い皃(かたち)。山に従い及キュウの聲(声)」とする。
意味 (1)たかい(岌い)。山が高くけわしいさま。「岌峨キュウガ」(山が高くけわしいさま)「岌然キュウゼン」(山がそびえるさま)(2)あやういさま。「岌岌キュウキュウ」(たかくあやういさま)「岌乎キュウコ」(あやうい)
おいつく
急 キュウ・いそぐ 心部 jí

解字 「心(こころ)+及の変化形(追いつく)」の会意形声。 追いつこうとする心の状態。現代字は、及の人⇒ク、手⇒ヨ、に変化した。
意味 (1)いそぐ(急ぐ)。せく(急く)。「急用キュウヨウ」「至急シキュウ」「急行キュウコウ」(①急いで行く。②急行列車の略)(2)さしせまっている。「急迫キュウハク」(3)にわかに。とつぜん。「急死キュウシ」(4)[国]傾斜がきつい。けわしい。「急坂キュウハン」「急峻キュウシュン」(非常にけわしいこと)
<紫色は常用漢字>
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