改訂しました。
央 オウ・なかば 大部 yāng
首枷をつけられた罪人
(「中国と日本:天の帝国と朝日の帝国」所収)
解字 甲骨文は正面を向いた人(大)の首に凵 形の枷(かせ)をはめた形の象形。金文から枷がH形に変化し、さらに篆文での変化をへて現代字の央になった。人の頭が首かせの中央にあることから中央の意を表わす。また、殃オウ(わざわい)の原字でもあることから、尽きる意がある。
意味 (1)なかば(央ば)。真ん中。「中央チュウオウ」「震央シンオウ」(地震の起きた真上の地点)(2)(首かせをはめられ死ぬことから)つきる(央きる)。やむ。「未央ビオウ」(尽きない)
イメージ
「まんなか」(央・鴦)
「くびかせをはめる」(殃・鞅・怏・秧)
「形声字」(映・英・霙・瑛)
音の変化 オウ:央・鴦・殃・鞅・怏・秧 エイ:英・霙・瑛・映
まんなか
鴦 オウ・おしどり 鳥部 yāng
鴛鴦 (左がオス、右がメス)
解字 「鳥(とり)+央(まんなか)」の形声。水鳥の背のまんなかが少しふくれた鳥。「鴛鴦エンオウ・おしどり」に使われる字。背のくぼんだ鴛エンがオス鳥(夗エンに、くぼんで曲がる意がある)、背がふくれた鴦オウがメス鳥をさす。
意味 「鴛鴦おしどり・エンオウ」とは、カモ科の水鳥の一種。おしどり。雄は後方のイチョウ葉形の羽が立つので背がくぼんで見える。逆に雌は、背がくぼまずふっくらとしている。雄雌むつまじく離れないので、夫婦仲のむつまじいことに例える。「鴛鴦夫婦おしどりふうふ」
くびかせをはめる
殃 オウ・わざわい 歹部 yāng
解字 「歹(しぬ)+央(くびかせをはめる)」 の会意形声。首かせをはめた人が、それによって死にいたること。
意味 わざわい(殃い)。とがめ。災厄。「殃禍オウカ」(殃も禍も、わざわいの意)「殃咎オウキュウ」(わざわいととがめ)
鞅 オウ・むながい 革部 yāng・yàng
鞅(むながい)(ブログ「 Home Sweet Home 」より)
解字 「革(なめしがわ)+央(くびかせをはめる)」 の会意形声。馬の首につける(首かせをはめたようにみえる)革ひも。
意味 (1)むながい(鞅)。むなかき(胸掛き)の変化した語。馬の首下から鞍にかけわたす革ひも。鞍が移動するのを防ぐ馬具。(2)(むながいを付けて)せわしく働く。「鞅掌オウショウ」(せわしく働いて暇のないこと。背で担い、手にも持つ)(3)人名。「商鞅ショウオウ」(中国・戦国時代の政治家)
怏 オウ 忄部 yàng
解字 「忄(こころ)+央(くびかせをはめる)」の会意形声。くびかせをはめられ心でうらむこと。
意味 (1)うらむ。「怏怏オウオウ」(心ふさぎうらむ)「怏恨オウコン」(怏も恨も、うらむ意)(2)気がふさぐ。「怏然オウゼン」(心たのしまぬさま)「怏意オウイ」(気がふさぐ)
秧 オウ・なえ 禾部 yāng
解字 [字通]は秧の説明の前文に「央は人に首枷を加えた正面形で、わずかに頭部のあらわれる意がある」としている。私はこの説を拝借して解字させていただく。 秧は「禾(いね)+央(くびかせから頭部が現れている形)」の会意形声。禾(稲)の芽が地上にわずかに出たさまを、央オウ(わずかに頭部が現れている形)に例えて稲の苗をいう。
意味 (1)なえ(秧)。「秧針オウシン」(稲の苗がはじめて出る)「秧田オウデン」(苗代)「秧苗オウビョウ」(稲の苗)「秧鶏オウケイ」(クイナ。水鶏。水田などに生息することから)(2)なえを植える。「秧歌オウカ」(中国農村の田植え歌。豊年を祈る祭りや、さらに一般娯楽として盛んに行われた。歌と踊りからなる)
形声字
映 エイ・うつる・うつす・はえる 日部 yìng
解字 「日(ひ)+央(エイ)」 の形声。エイは影エイ(かげ)に通じ、日光によって明暗の境目や形が生じること。
意味 (1)うつる(映る)。光や色が反射する。「反映ハンエイ」(2)うつす(映す)。影を出す。像をうつしだす。「映画エイガ」「上映ジョウエイ」「映像エイゾウ」(3)はえる(映える)。照りはえる。反射する。
英 エイ・はな・ひいでる 艸部 yīng
解字 「艸(くさ)+央(オウ⇒エイ)」の形声。花をつけた草を英エイという。花は草の最も華やかな部分であり、人々の注目を集めることから転じて、ひいでる・すぐれる意味となった。
意味 (1)はな(英)。はなぶさ(英)。うつくしい。「英華エイカ」(①美しい花、②すぐれてすばらしいこと)「落英繽紛ラクエイヒンプン」(花びらがはらはらと乱れ散る)(2)ひいでる(英でる)。すぐれている。すぐれた人物。「英断エイダン」「英才エイサイ」「英傑エイケツ」「英雄エイユウ」(3)国名。英吉利yīngjílì・インギリイ(イギリスの旧音訳名)の略。「英国エイコク」「英語エイゴ」「英訳エイヤク」
霙 エイ・みぞれ 雨部 yīng
解字 「雨(あめ)+英(はな)」 の会意形声。雪がとけて、花(英)のような雨となって降るもの。
意味 (1)みぞれ(霙)。雪が空中でとけてふんわりとした雨のようになって降ってくるもの。(2)みぞれ(霙)。かき氷のメニューのひとつ。氷を削って雪のようにして蜜をかけたもの。(3)「霙酒みぞれざけ」とは、麹(こうじ)がみぞれのように浮かんでいる酒。
瑛 エイ 王部 yīng
解字 「王(玉)+英(エイ)」の形声。美しい玉を瑛エイという。また映エイ(照りはえる)に通じ、玉の光をいう。
意味 美しい透明な玉。玉の光。「玉瑛ギョクエイ」(水晶の別称)「瑛瑶エイヨウ」(瑛も瑶も、美しい玉の意)
<紫色は常用漢字>
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央 オウ・なかば 大部 yāng
首枷をつけられた罪人
(「中国と日本:天の帝国と朝日の帝国」所収)
解字 甲骨文は正面を向いた人(大)の首に凵 形の枷(かせ)をはめた形の象形。金文から枷がH形に変化し、さらに篆文での変化をへて現代字の央になった。人の頭が首かせの中央にあることから中央の意を表わす。また、殃オウ(わざわい)の原字でもあることから、尽きる意がある。
意味 (1)なかば(央ば)。真ん中。「中央チュウオウ」「震央シンオウ」(地震の起きた真上の地点)(2)(首かせをはめられ死ぬことから)つきる(央きる)。やむ。「未央ビオウ」(尽きない)
イメージ
「まんなか」(央・鴦)
「くびかせをはめる」(殃・鞅・怏・秧)
「形声字」(映・英・霙・瑛)
音の変化 オウ:央・鴦・殃・鞅・怏・秧 エイ:英・霙・瑛・映
まんなか
鴦 オウ・おしどり 鳥部 yāng
鴛鴦 (左がオス、右がメス)
解字 「鳥(とり)+央(まんなか)」の形声。水鳥の背のまんなかが少しふくれた鳥。「鴛鴦エンオウ・おしどり」に使われる字。背のくぼんだ鴛エンがオス鳥(夗エンに、くぼんで曲がる意がある)、背がふくれた鴦オウがメス鳥をさす。
意味 「鴛鴦おしどり・エンオウ」とは、カモ科の水鳥の一種。おしどり。雄は後方のイチョウ葉形の羽が立つので背がくぼんで見える。逆に雌は、背がくぼまずふっくらとしている。雄雌むつまじく離れないので、夫婦仲のむつまじいことに例える。「鴛鴦夫婦おしどりふうふ」
くびかせをはめる
殃 オウ・わざわい 歹部 yāng
解字 「歹(しぬ)+央(くびかせをはめる)」 の会意形声。首かせをはめた人が、それによって死にいたること。
意味 わざわい(殃い)。とがめ。災厄。「殃禍オウカ」(殃も禍も、わざわいの意)「殃咎オウキュウ」(わざわいととがめ)
鞅 オウ・むながい 革部 yāng・yàng
鞅(むながい)(ブログ「 Home Sweet Home 」より)
解字 「革(なめしがわ)+央(くびかせをはめる)」 の会意形声。馬の首につける(首かせをはめたようにみえる)革ひも。
意味 (1)むながい(鞅)。むなかき(胸掛き)の変化した語。馬の首下から鞍にかけわたす革ひも。鞍が移動するのを防ぐ馬具。(2)(むながいを付けて)せわしく働く。「鞅掌オウショウ」(せわしく働いて暇のないこと。背で担い、手にも持つ)(3)人名。「商鞅ショウオウ」(中国・戦国時代の政治家)
怏 オウ 忄部 yàng
解字 「忄(こころ)+央(くびかせをはめる)」の会意形声。くびかせをはめられ心でうらむこと。
意味 (1)うらむ。「怏怏オウオウ」(心ふさぎうらむ)「怏恨オウコン」(怏も恨も、うらむ意)(2)気がふさぐ。「怏然オウゼン」(心たのしまぬさま)「怏意オウイ」(気がふさぐ)
秧 オウ・なえ 禾部 yāng
解字 [字通]は秧の説明の前文に「央は人に首枷を加えた正面形で、わずかに頭部のあらわれる意がある」としている。私はこの説を拝借して解字させていただく。 秧は「禾(いね)+央(くびかせから頭部が現れている形)」の会意形声。禾(稲)の芽が地上にわずかに出たさまを、央オウ(わずかに頭部が現れている形)に例えて稲の苗をいう。
意味 (1)なえ(秧)。「秧針オウシン」(稲の苗がはじめて出る)「秧田オウデン」(苗代)「秧苗オウビョウ」(稲の苗)「秧鶏オウケイ」(クイナ。水鶏。水田などに生息することから)(2)なえを植える。「秧歌オウカ」(中国農村の田植え歌。豊年を祈る祭りや、さらに一般娯楽として盛んに行われた。歌と踊りからなる)
形声字
映 エイ・うつる・うつす・はえる 日部 yìng
解字 「日(ひ)+央(エイ)」 の形声。エイは影エイ(かげ)に通じ、日光によって明暗の境目や形が生じること。
意味 (1)うつる(映る)。光や色が反射する。「反映ハンエイ」(2)うつす(映す)。影を出す。像をうつしだす。「映画エイガ」「上映ジョウエイ」「映像エイゾウ」(3)はえる(映える)。照りはえる。反射する。
英 エイ・はな・ひいでる 艸部 yīng
解字 「艸(くさ)+央(オウ⇒エイ)」の形声。花をつけた草を英エイという。花は草の最も華やかな部分であり、人々の注目を集めることから転じて、ひいでる・すぐれる意味となった。
意味 (1)はな(英)。はなぶさ(英)。うつくしい。「英華エイカ」(①美しい花、②すぐれてすばらしいこと)「落英繽紛ラクエイヒンプン」(花びらがはらはらと乱れ散る)(2)ひいでる(英でる)。すぐれている。すぐれた人物。「英断エイダン」「英才エイサイ」「英傑エイケツ」「英雄エイユウ」(3)国名。英吉利yīngjílì・インギリイ(イギリスの旧音訳名)の略。「英国エイコク」「英語エイゴ」「英訳エイヤク」
霙 エイ・みぞれ 雨部 yīng
解字 「雨(あめ)+英(はな)」 の会意形声。雪がとけて、花(英)のような雨となって降るもの。
意味 (1)みぞれ(霙)。雪が空中でとけてふんわりとした雨のようになって降ってくるもの。(2)みぞれ(霙)。かき氷のメニューのひとつ。氷を削って雪のようにして蜜をかけたもの。(3)「霙酒みぞれざけ」とは、麹(こうじ)がみぞれのように浮かんでいる酒。
瑛 エイ 王部 yīng
解字 「王(玉)+英(エイ)」の形声。美しい玉を瑛エイという。また映エイ(照りはえる)に通じ、玉の光をいう。
意味 美しい透明な玉。玉の光。「玉瑛ギョクエイ」(水晶の別称)「瑛瑶エイヨウ」(瑛も瑶も、美しい玉の意)
<紫色は常用漢字>
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