「氵さんずい」と「冫にすい」は、いずれも水に関する部首である。「氵さんずい」は水そのもの、「冫にすい」は水が凍ったさまを表している。
水 スイ <みずの流れ>
水 スイ・みず 水部
解字 水の流れる形の象形で、みずの意を表わす。水は部首となり、偏になるときは「 氵」の形をとる。また、「みず」の意で会意文字となる。
意味 (1)みず(水)。「流水リュウスイ」 (2)五行のひとつ。「水曜スイヨウ」「水星スイセイ」 (3)[国]みず(水)。邪魔。さそい。「水をさす」「水をむける」
河にみる 氵の変化
篆文は水のかたちをそのまま書いている、隷書(漢代の役人が主に用いた字体)でいきなり横線3本になった。これは篆文の水の上半分を横にしたのであろう。この変化が今の 氵に続いている。
参考 部首としての「氵さんずい」。氵は漢字の左辺(偏)について川や水の意を表す。常用漢字で111字あり第1位。約14,600字を収録する『新漢語林』では687字が収録されている。
冫[仌] ヒョウ <水が凍ったかたち>
冫[仌] ヒョウ 冫部にすい
解字 金文は𠆢を二つ重ねたかたち。篆文は𠆢の上から線がのびた形がふたつ。これらは水が凍っている形とされる。のち、仌となり、これが変形して冫となった。氷を意味するが、単独で用いられることなく、氷や冷たい意を中心に部首「冫にすい」として用いられる。
意味 こおり
参考 部首としての「冫にすい」。冫は漢字の左辺(偏)や下部に付いて、氷・冷たい・寒いなどの意を表す。常用漢字で6字、約14,600字を収録する『新漢語林』では48字が収録されている。主な字は以下のとおり
冶ヤ(冫+音符「台タイ」)・冷レイ(冫+音符「令レイ」)・凄セイ(冫+音符「妻サイ」)・
凍トウ(冫+音符「東トウ」)・凝ギョウ(冫+音符「疑ギ」)・凋チョウ(冫+音符「周シュウ」)・
冰ヒョウ(水+音符「冫ヒョウ」)・准ジュン(準の略字)・冬トウ(夂+冫の会意)など。
冰ヒョウ(氷の正字)にみる冫の変遷
金文の冰は「水+二点(𠆢の略体ふたつ)」で、水の上に氷がふたつ浮いているかたち。篆文は「水+こおり(𠆢の上に線がのびた形がふたつ)」となり、隷書でこおりが横の二線に変化し、楷書で冫になった。(なお、日本では冰⇒氷に変化した字体を使用している。)
こうした冫の変遷をみると、金文の氷(𠆢ふたつ)の略体である二つの点が、現在の冫の原点になっていると言えよう。
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