漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

特殊化した部首 「刀かたな」 と 「刂りっとう」

2018年08月30日 | 特殊化した部首
 刂の名称である「りっとう」とは立刀リットウの意味で、刀が立つこと。刀が立つとなぜ「刂」になるのだろうか。

まず、「刂りっとう」の元の形である「刀トウ」を見てゆこう。
 トウ・かたな  刀部             

解字 刃の反った片刃のかたなを描いた象形。甲骨文字の上部が反った刀身で、下部の二股になったところが手にもつ柄を表わす。篆文で上部の刃が短くなり、隷書レイショ(漢代の役人が主に用いた字)で、刃先の部分がほとんどなくなり現代字は刀になった。「かたな」の意味で音符ともなる。
意味 (1)かたな(刀)。刃がそった刀やナイフの総称。両刃でまっすぐな刀を剣という。「刀剣トウケン」「刀工トウコウ」「太刀たち」 (2)刀の形をした中国古代の貨幣「刀銭トウセン
甲骨文字の刀は、なぜ二股になっている方が柄なのか?

中国の古代刀は鍔(つば)の部分が伸びて柄の手を保護するようになっているものがあり、甲骨文字の刀はこのような鍔を描いているのかもしれない。[古代刀の検索サイトから]
部首としての刀 刀は部首「刀かたな」になる。漢字の右辺(旁つくり)や下部について刃物や、刃物を使う意を表す。
常用漢字  6字
 トウ(部首) 
 ジン・は(㇏+刀の会意)
 ブン(八+刀の会意)
 ショ(衤ころも+刀の会意)
 ケン(刀をふくむ会意)
 セツ(刀+音符「七シチ」)

     「刂りっとう(立刀)」の成立
「制セイ」の字にみる立刀の変化

     下が各字体における制セイの変化、上がそこから刀を抜きだしたもの
セイは篆文で「未+刀」、未(木の枝葉)を刀で切りそろえる形。篆文で刀は元のかたちが使われているが、隷書レイショ(漢代の役人が主に使用した文字)の第1字は刀が90度回転し、ヒが反転したかたちとなり、第2字では反転したヒの横線が分離を始め、現代の楷書にいたり、分離した横線および残りの部分とも、タテの線に変化した。
部首「刂りっとう」は、刀が右辺(旁つくり)に置かれたとき変化した形。常用漢字では26字、約14,600字を収録する『新漢語林』では94字が収録されている。
常用漢字 26字
 ガイ・かる( 刂+音符「乂ガイ」)
 カツ・わる(刂+音符「害ガイ」)
 カン・けずる(刂+音符「干カン」)
 ケイ・しおき(刂+音符「开ケイ」)
 ゲキ・はげしい(刂+音符「豦キョ」)
 ケン・つるぎ(刂+音符「㑒ケン」)
 ゴウ・つよし(刂+音符「岡コウ」)
 コク・きざむ(刂+音符「亥ガイ」)
 ザイ(刂+音符「斉サイ」)
 サク・けずる(刂+音符「肖ショウ」)
 サツ・はく(刂+「尸+巾」の会意)
 サツ(刂+音符「殺の略」)
 シ・さす(刂+音符「朿シ」)
 ジョウ・あまる(刂+音符「乗ジョウ」)
 セイ・おさえる(刂+「未の変化形」の会意)
 ゼン・まえ(刂をふくむ会意)
 ソウ・つくる(刂+音符「倉ソウ」)
 ソク・のり(刂+貝の会意)
 トウ・いたる(刂「部首・音符」+至)
 ハク・はぐ(刂+音符「彔ロク」)
 ハン・(刂+音符「半ハン」)
 フク・そう(刂+音符「畐フク」)
 ベツ・わかれる(刂を含む会意)
 ボウ・さく(刂+音符「咅バイ」)
 (刂+禾の会意)
 レツ・つらなる(刂+歹の会意)


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1 コメント

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Unknown (\(//∇//)\)
2021-07-22 14:26:09
参考になりました!ありがとうございました🙇‍♀️!!
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