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ルーツを求めて

2017-03-26 | アイヌ民族関連
毎日新聞2017年3月25日 東京夕刊
イタリア人文化人類学者の故フォスコ・マライーニ氏はアイヌ研究で知られる。滞日中の第二次世界大戦当時、ナチス・ドイツのかいらい政権「イタリア社会共和国」への忠誠を拒み、妻と3人の娘と共に収容所に送られた。
 孫娘の映画監督、ムージャ・マライーニさん(46)は幼少時、母に「みかんは皮まで食べるように」と言われた。「おばあちゃんが警官の目を盗み大切に隠し持っていた食べ物だから」だ。
 母や祖母が語る日本の収容所暮らしの話に興味が尽きなかった。大戦中の一家の足取りをたどる映画「梅の木の俳句」を製作したのは、「自分のルーツを理解したい」と思ったからだ。
 日本での撮影中、収容所となっていた寺で当時、母やおばたちと遊んでいた日本人女性にめぐりあった。「お母さんはお人形のようだった」。女性が語る幼い母の面影にほおが緩んだ。
 時は流れ、七十余年後の今も、戦火を逃れた難民が各地の収容所で暮らす。「今こそ、あるがままの過去を受け入れ、体験を語り継ぐ必要がある」。その思いを強くしている。【福島良典】
http://mainichi.jp/articles/20170325/dde/041/070/049000c


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