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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

盛岡市 事前合宿受け入れのマリへビデオレター/岩手

2020-06-25 | 先住民族関連
ニュースエコー 岩手放送 2020年06月24日 15:55 更新
来年に開催延期となった東京オリンピックに向け、盛岡市が柔道の事前合宿を受け入れる西アフリカのマリ共和国へ、盛岡の街並みや歓迎の様子を紹介するビデオレターが送られました。
ビデオレターは、今月21日に盛岡市が動画サイトにアップロードし、オリンピックの事前合宿を受け入れるマリ共和国の柔道連盟にメールで知らせました。動画は新型コロナウイルスの影響でマリ共和国の選手や役員と交流ができない中、盛岡の魅力を伝え、親しみを感じてもらおうと市のスポーツツーリズム推進室が制作したものです。満開の石割桜のほか、盛岡二高の生徒がマリの世界遺産・トンブクトゥや先住民族などを描いた作品で歓迎ムードを伝えています。また、合宿中の練習場所となる市立武道館では、子どもたちがマスクを着用して柔道の稽古に励む様子も紹介されています。次回のビデオレターは8月下旬か9月上旬に送られる予定です。
https://news.ibc.co.jp/item_39819.html

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学力偏重 先生も児童もゆとりなく… 小樽の元教諭がルポ出版 管理教育の実態に警鐘

2020-06-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 06/25 07:07 更新
 小樽市に住む元小学教諭の平山裕人(ひろと)さん(62)が、学校現場の行き過ぎた管理教育を告発するルポルタージュ「小学校<超管理教育>の実態」を札幌の寿郎社から出版した。昨春まで38年間の教師生活で感じた疑問や現場の矛盾を赤裸々につづった。先生も児童も学力偏重でゆとりを失っているとして、現在の教育に警鐘を鳴らす。
 第1次安倍政権時代の2006年に教育基本法が全面的に改定されたのを機に、義務教育の内容が「大きく変わった」と言う平山さん。保護者や若い教師に現状への疑問を持ってもらいたいと思い、執筆したという。
 教師の仕事量が増え、家に持ち帰ってこなすのが常態化し、児童も大量の家庭学習を強要される。授業時間を確保するため行事は減らされ、給食時間さえ短くなった―。現場の変化を詳細に指摘したうえで平山さんは「学力テストの点数を上げるためだけの学校になってしまった」と嘆く。
 教育委員会や校長からの上意下達も強まる中で「上から押しつけられた型に従うのではなく、教師は子どもとの関わりの中で授業をつくってほしい」と呼びかける。
 平山さんは1981年に道教大釧路校を卒業し、小樽などで小学教諭を務めた。アイヌ民族の研究者としても知られ、「シャクシャインの戦い」(寿郎社)などの著書がある。
 四六判228ページ。1980円。問い合わせは寿郎社(電)011・708・8565へ。(関口裕士)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/434066

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「後藤新平の会」シンポジウム

2020-06-25 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2020年6月24日 16時30分
 7月12日、東京・市ケ谷のアルカディア市ケ谷(私学会館)で。午前11時から第14回「後藤新平賞」授賞式。受賞者でアイヌ伝統刺繍(ししゅう)である古布絵作家・詩人の宇梶静江さんによる講演がある。先着50人、無料。午後1時半からのシンポジウムは「首都東京と後藤新平」をテーマに、明治大学名誉教授で元東京都副知事の青山やすし(やすし)さんが講演。パネリストに東京大学教授の加藤陽子さんら。先着100人、会費2千円。申し込み・問い合わせは後藤新平の会事務局(03・5272・0301、藤原書店内)。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14524889.html

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カムイ  ▶3「森のノンノ」

2020-06-25 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/6/24配信
 花はアイヌ語でノンノという。美しく、かわいらしい言葉の響きをそのまま形にしたような、ピンクの花をポロトの森で見つけた。清流のそばでひっそりと咲くその名はクリンソウ。アイヌ民族の物語が残るポロト湖の辺りの森でも古くから自生し、初夏の訪れを告…
この続き:240文字
ここから先の閲覧は有料です。
https://www.tomamin.co.jp/article/feature/kami/22239/

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「ゴールデンカムイ」題材にARラリー実施 道観光振興機構が北方、樺太両記念館も対象に

2020-06-25 | アイヌ民族関連
Wakkanai Press 2020 年 6 月 24 日
 明治後期の北海道が舞台のテレビアニメ「ゴールデンカムイ」を題材にした北海道観光振興機構(札幌)によるAR(拡張現実)スタンプラリーが、稚内含め道内13エリア・29施設で行われている。
 ゴールデンカムイはアイヌの埋蔵金を巡る熾烈な争奪戦を描いたアニメで、このスタンプラリーは北海道の名所を巡りながらアイヌの歴史などに触れてもらおうと2018年に始まって今年で3回目となる。
 今年10月から第3シーズンが放送されるアニメは樺太が舞台となっていることから、樺太に関わる資材がある稚内の北方記念館、樺太記念館が新たに対象施設に加わった。
 スタンプラリーに参加するには、スマホアプリ「舞台めぐり」のダウンロードが必要。現地のチェックスポットに掲示されたポスターのQRコードをスマホで読み取るとARキャラクターを入手できその場で現実の風景にキャラクターを重ねたAR投影が可能となっており、稚内では「月島軍曹」と「リュウ」が入手できる。
http://wakkanaipress.com/2020/06/24/46380

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在日コリアンとして自分のルーツに触れた場所 「リバティおおさか」記者訪問記

2020-06-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞 / 2020年6月24日 10時15分
 大阪人権博物館(リバティおおさか)=大阪市浪速区浪速西3=が6月1日に休館した。記者(27)は大阪市出身で、博物館にほど近い場所で生まれ育った。幼少期から何度も訪れ、自身のルーツに触れた場所でもあった。5月28日、数年ぶりに訪れた。
 「問題コーナー」で一つの展示に目が留まった。江戸時代の長野県にあった墓石だ。刻まれた戒名の中に「革」の1字がある。埋葬者が皮革業を担ってきた被差別出身だったことを表す。この「差別戒名」の存在を知り「死後まで差別されるのか」と言葉を失った。
 展示の幅は広い。他にも労働問題、LGBTなど性的少数者、ハンセン病、薬害エイズ、在日コリアン、アイヌ民族。それぞれの歴史的な経緯を解説する資料が並ぶ。1時間以上をかけて、じっくりと見て回った。
 ガイドボランティア代表の前田勝正さん(82)は「差別は過去の歴史ではない。今でも結婚差別などが続いている」と話す。前田さんは大阪府豊中市で半世紀以上、解放運動に携わった。同博物館のガイド歴も25年になる。それでも「今でも出身はなかなか明かせない」という。出自を明かした途端、相手の態度が変わる経験を数多くしてきたからだ。前田さんは「なぜ今でも差別が続くのか。(博物館は)歴史的な背景など、長いスパンで考えるための場所だったのに」と唇をかんだ。
「お前は韓国人だから」突然の仲間外れ
 思い当たる経験が私にもある。小学1年生の頃、近所に住む同い年の男の子と遊んでいた時、急に「お前は韓国人だから」と仲間に入れてもらえなかったことがある。それまでは普通に遊んでいて、自分は友達だと思っていたのに。驚いて言葉が出なかった。悔しかった。
 私はなぜ遊びに入れてもらえなかったのだろう。韓国人なのに、なぜ日本で生まれたのか。なぜ自分の名前はみんなと違うのか。幼い私には分からなかった。間もない頃、親に連れていかれた「リバティおおさか」で、一つの答えに接した。
 当時の展示に、韓国の家屋や食生活が再現されたコーナーがあり、太鼓や民族衣装が並んでいた。在日コリアンが日本に住むようになった歴史がパネルで説明されていた。「自分がここで生まれたのには理由があり、独特の文化がある」と初めて知った。遊びに入れてくれなかった男の子の言葉は、もう気にならなくなっていた。もし同じことを言われても、次はきちんと説明できるようになったから。
誰もが当事者
 前田さんの説明に聴き入っていた松浦慶太さん(35)=兵庫県尼崎市=は「差別戒名のことを初めて知りショックを受けた。歴史を学ぶことは大事だと改めて感じた。必ず再開してほしい」と話した。差別は、される側だけが論じる問題ではない。この社会に暮らす誰もが当事者だ。博物館は前身の資料館時代から35年間、そういうメッセージを発信し続けてきた。
 館長の朝治武さん(64)は言う。「35年間で170万人が来場した。少なくない数だ。人権侵害と差別の歴史、現実を考えるため、この博物館が果たしてきた役割は確実にあった」
 新型コロナウイルス感染拡大による休館で、最後の一般公開は1週間になったが、計4379人が訪れた。博物館側の予想の4倍超だった。休館を惜しむ人は多い。朝治さんは「2022年に別の場所で、必ず再出発したい」と語った。【韓光勲】
https://news.infoseek.co.jp/article/mainichi_20200624k0000m040034000c/

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日本中を見守って…民博がトーテムポールを新調

2020-06-25 | 先住民族関連
読売新聞 2020/06/24 15:00

新たに立てられたトーテムポール(24日午前、大阪府吹田市の国立民族学博物館で)=里見研撮影
 文化人類学の拠点「国立民族学博物館」(大阪府吹田市)のシンボル、トーテムポール(高さ約10メートル)が43年ぶりに新調され、24日、お披露目された。新型コロナウイルスの影響でカナダ先住民族の制作者らを招いた祝いの儀式は延期になったが、吉田憲司館長は「コロナ禍の日本中を見守る存在になれば」と話している。
 旧トーテムポールは1977年に同館の正門前に立てられたが、長年の風雨で色が落ち、2018年の台風21号などで損傷した。このため、インターネットによるクラウドファンディングで制作費用417万円を集め、カナダの先住民族が現地で丸太にワシやクマ、サケなどを彫り込んで完成させた。
 今年4月に同館に運び込まれ、5月中のお披露目が予定されていたが、新型コロナの影響で延期に。この日、正門を挟んだ旧トーテムポールの反対側にクレーンでつり上げられ、ボルトで固定された。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20200624-OYO1T50025/

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【動画】偉大な力で見守りを!

2020-06-25 | 先住民族関連
時事通信 2020.06.24
国立民族学博物館(大阪府吹田市)の前庭に24日、新しいトーテムポールが立てられた。高さ9.6メートルでカナダの先住民族のアーティストに制作を依頼。1977年の開館時から立つ古いものと向かい合うように設置された。
上からワシ、双頭のオオウミヘビ、シャケを持ったクマが彫られ、偉大な力と豊穣(ほうじょう)を願う意味があるという。吉田憲司館長は、「民博と日本中のみなさんを見守ってくれる新しい存在になると思う」と話した。
【時事通信大阪支社】
https://www.nippon.com/ja/news/p01504/

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米ミネソタ州にコロンブス像の代わりに、プリンスの像を立てようとの署名運動が再燃

2020-06-25 | 先住民族関連
rockinon.com 2020.06.24 19:03
プリンスの故郷であるミネソタ州に、最初にアメリカ海域へ達したイタリア人探検家クリストファー・コロンブスの代わりに、プリンスの像を立てようとの署名運動が再燃していることがわかった。
「Consequence of Sound」によると、署名サイト「Organize For」にてスタートしたキャンペーンは、次のように訴えかけているという。
全国各地で、市政府が白人至上主義者や奴隷所有者、黒人の生活を脅かした人々の像を撤去することを選択しています。 ここミネソタ州では、アメリカ大陸で黒人と先住民を殺害して強姦し、奴隷にしたクリストファー・コロンブスの州記念碑を撤去するよう、地域社会が要求を再燃させています。
私たち署名者は、コロンブスがミネソタ住民が誇る価値観を象徴しているとは考えていません。 黒人と先住民族を消滅させたいと願った男を称えるのではなく、インスピレーションを与えてくれる指導力を持つコミュニティの一員を称えるべきです。プリンスはミネソタ州の価値観を象徴する存在ですが、 コロンブスは違います
このキャンペーンは2017年に始まった署名運動だが、今年5月25日に無抵抗の黒人男性ジョージ・フロイド氏が、白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに再燃したとのこと。現時点では9,500以上の署名が集まり、目標の1万件が目前に迫っている。
なお、最近は「Black Lives Matter」運動の影響で銅像が破壊されたり、イギリス北部のリヴァプールにある「ペニー・レイン」の標識が落書きされるなど、一部で暴徒化が問題視されている。
https://rockinon.com/news/detail/194539

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太宰治の孫・石原燃の芥川賞候補作を読む。太宰の芥川賞への恨みを孫が晴らすか?

2020-06-25 | アイヌ民族関連
QJWeb 6/24(水) 11:00配信
「太宰治の孫」が芥川賞候補に! 6月16日に発表された「第163回芥川賞候補作」作家のひとり、石原燃がその日のツイッターのトレンドになっていた。書評家・杉江松恋が候補作「赤い砂を蹴る」を読む。
「太宰治の孫」というより「津島佑子の子」である
第163回芥川・直木賞候補作が発表になった。芥川賞は5作のうち4作が初候補の作家で、「赤い砂を蹴る」(『文學界』6月号)の著者・石原燃が「太宰治の孫」であるということが一部で話題になっている。「津島佑子の子」であるほうがよほど大事なのだが、理由は後述する。石原燃は1972年生まれ、津島香以名義で演劇ユニット「燈座」を主宰する劇作家である。公式プロフィールに戯曲の作歴が書かれているが、小説は初めての著作のはずである。
「赤い砂を蹴る」はブラジル・サンパウロ州を訪れた〈私〉こと千夏が語り手を務める小説だ。〈私〉の母は2年前に末期癌と診断され、ほどなく亡くなってしまった。その母には、サンパウロの香月農場で生まれた芽衣子さんという親友がいて、彼女と共にブラジルを訪ねたいと願っていたのだ。日本への帰化申請のためいったん帰国する用事が芽衣子さんにでき、誘われて〈私〉も同行することになった。
母系家族の小説である。母の恭子は離婚しており、その後も交際した男性はいたものの、正式な〈私〉の父親にはならずじまいである。日本人と結婚した芽衣子さんも、その姑に冷遇されたり、夫がアルコール依存症になって体を壊すなど、男に苦しめられた人生を送ってきた。臨終間近に母娘が目と目で語り合ったときの、「私には父親がいなかったから、この国の男たちのことを知らなすぎた」という恭子の言葉がすべてを言い表しているように思う。
作中では、母子が暮らした部屋の記憶が幾度も語られる。それは母子にとっては安堵の空間だったのだ。また、作中では何人もの死が語られる。恭子や芽衣子の義理の母は女性だが、男性の死者のほうが多い。死んでいった成員の影を背負いながらもつづいていくのが家族ということなのだろう。女系のつながりに目が行きがちになるのは、〈私〉たちの住む社会が男の論理を優先しているからこそなのだということに読んでいてたびたび気づかされる場面があった。
■芥川賞に落選した太宰治
「太宰治の孫らしさ」を期待される読者には、それはほとんどありません、と先にお答えしておくべきだろう。そもそも「太宰と芥川賞」という関係が強調されるのは、第1回の同賞で「逆行」が最終候補作になりながらも落選しているからだ(ほかに予選候補作として「道化の華」)。このときの川端康成の選評に激怒した太宰は「川端康成へ」という恨み節としか思えない文章を発表している。並行して佐藤春夫に「私に芥川賞をお与えください」と売り込んだが、当時は内規がごちゃごちゃしていたためか二度と候補になることはなかった。このへんの詳しいところは川口則弘『芥川賞物語』(文春文庫)をどうぞ。
「赤い砂を蹴る」という作品との関連ではるかに重要なのは作者の母・津島佑子だ。ちなみに石原は、太宰の二度目の妻となった美知子の旧姓である。津島は1947年生まれ、1歳のときに父は亡くなっており、文学史上の人として太宰治を知ることになる。初めて津島佑子の筆名で発表した作品は短篇「レクイエム」(『謝肉祭』河出書房新社所収)だが、これは自身が12歳のときに病死した兄・正樹を登場させ、兄と妹が死んだ犬の「シロ」を葬るという内容だった。初期においてはこの兄の死が、のちには1985年に急死した長男が津島にとって重要な登場人物となる。「赤い砂を蹴る」の母親・恭子の職業は画家だが、風呂場で心臓発作のために死んだ息子をモチーフにした連作を発表したとあることからも津島佑子だと受け止めるべきだろう。
母・津島佑子への「レクイエム」
津島作品には、作家が自身の心中を見つめた一連の作品がある。第17回女流文学賞を受賞した『寵児』(講談社文芸文庫)は津島の第2長篇であり、子を為して産むことで、男に拠らずして家族をつづけていこうとする女性が語り手である。母系家族を描いた初期の代表作だ。また、1988年に発表した『真昼へ』(新潮文庫)では我が子を突然失った哀しみと向き合い、家族の中に必然的に表れる死と生という契機について思いを巡らせている。
その2年前、子供の死から半年という時期に書き始められた『夜の光に追われて』(講談社文芸文庫)では千年以上の王朝文学「夜の寝覚」作者に自らを重ね、自身と小説との距離を取るという手法が採用される。この手法は後に、自らを『ジャングル・ブック』、あるいは『家なき子』の登場人物になぞらえるふたりの子供が、さまざまな時代で生と死を体験する『笑いオオカミ』(2000年/新潮社/第28回大佛次郎賞)、母子が歴史の中で転生しながら時間を超越していく『ナラ・レポート』(2004年/文藝春秋/第16回芸術選奨文部科学大臣賞ほか)などに結実していく。晩年の津島は、アイヌなどの民族文学との交流を積極的に行っていた。画一的な価値観によって可能性が塗り潰されることを拒み、それぞれの声で物語が発せられることを希望したのだ。石原燃がデビュー小説の舞台を、日系移民による独自の民俗・文化が築かれたブラジル・サンパウロにしたことには、この影響を感じる。
■「子を失った母親」という紋切り型を拒否
『津島佑子 土地の記憶、いのちの海』(河出書房新社)に作者が津島香以名義で発表した「社会との向きあい方」という文章に、娘から見た津島佑子像が描かれている。「子を失った母親」という紋切り型に押し込まれるのを拒否するため、あえて喪に服さない態度をしてみせたというエピソードなどはやはり「赤い砂を蹴る」の、恭子の葬儀場面などに重なる。「母は『死』という、人の力ではどうしようもない喪失をなんとか受け止めてようとしたのだと思う」と石原(津島)は書く。社会の準備した既存のイメージを拒否することは、たとえばアウシュビッツや原爆についての知識を養うことにもつながったのだと。
──私たちが生きる社会は喪失と再生の繰り返しであり、そこに豊かさがある。それは命のはかなさの実感から生まれる発想であり、現代の不幸は、喪失することの意味を見失っていることではないか。
母・津島佑子をこうして理解した延長線上に今回の「赤い砂を蹴る」がある。そうした意味では、これは石原燃版の「レクイエム」なのである。見事な鎮魂曲だと思う。
候補作をまだ読み終わっていないので今回はここまで。「赤い砂を蹴る」いい小説だと思うが、選考はどうなるか。今回の芥川・直木賞については、7月15日の本家選考会までに杉江が語学番組『テレビでドイツ語』出演などでおなじみの、マライ・メントラインさんと候補作について語り合う対談『QJWeb』にてお届けする予定である。日本の文学界を代表する両賞をマライさんはどう読むか。お楽しみに。
文=杉江松恋
https://news.yahoo.co.jp/articles/8e443604816c38e6b05da5a1b2a5e0428b444a11

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瀬戸内で集めた「生きている百の物語」。飯山由貴の個展がWAITINGROOMで開催

2020-06-25 | アイヌ民族関連
美術手帳 6/24(水) 6:03配信
 東京・江戸川橋のWAITINGROOMで、飯山由貴の個展「生きている百の物語」が開催される。会期は7月11日~8月16日。
 飯山は1988年生まれ、2013年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。他者の制作した記録物や話された言葉を起点に、個人と社会/歴史の関係を考察し、その過程で汲み上げられていくドキュメンタリーと作家自身が見る世界の交差点を表現してきた。
 本展では、2016年に瀬戸内国際芸術祭で発表した《生きている百物語》をギャラリー内に再構成。瀬戸内の島々に住む人に「これまでに不思議な体験や変なできごとはありましたか?」と問いかけて集めた話が書かれた66のパネルと、デュアルスクリーンの映像によるインスタレーションが展示される。
 映像のなかでは、ある男性が20年以上行なっているある行為の経緯と、それについての感情にフォーカス。またもうひとつのスクリーンでは、アイヌの神話「猫の神様になった少年の語り」などを、直島や向島で撮影した映像や、地元の人が作成した新聞記事のスクラップブックの映像に重ねている。
 飯山はヨコハマトリエンナーレ2020 「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」
(7月17日~10月11日)にも参加予定。同時開催として企画された本展とあわせて足を運びたい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/999e93202551c58e9f072c582973e30890302ea3

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