先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

高速道路使って海産物当てよう 2021年春までスタンプラリー

2020-07-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/04 05:00
 東日本高速道路(ネクスコ東日本)北海道支社は、スマートフォン(スマホ)を使ったスタンプラリーの参加を受け付けている。
 パーキングエリアや観光施設など道内300カ所が対象。スマホの衛星利用測位システム(GPS)を使い、対象の施設に近づくとスタンプが取得でき、集めたスタンプの数に応じて海産物やアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)入場券などが当たる抽選に応募できる。実施期間は来年3月末まで。
 参加無料。希望者はスマホから専用サイト(https://www.driveplaza.com/special/hokkaido_stamprally/)に登録する。問い合わせは同社お客さまセンター(電)0570・024・024へ。(榎本雅也)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/437214

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シカ肉の肉まん考案 白老町地域おこし協力隊、藤田さん アイヌ料理の食材おいしく 4日から80個を製造、限定発売

2020-07-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/04 05:00
 【白老】町の活性化に取り組む「地域おこし協力隊」として昨年4月から活動する藤田姫夏(ひめか)さん(22)が、エゾシカ肉を使った中華まん「ユク饅(まん)」(330円)を開発した。4日からJR白老駅北側の観光インフォメーションセンターで販売される。アイヌ民族の料理の食材として親しまれてきたシカ肉のおいしさを広めようと、オホーツク管内斜里町の土産物店でまんじゅうを製造、販売する父裕司さん(50)の助言を受け、商品化にこぎ着けた。
 ユクはアイヌ語でシカの意味。ユク饅には、シカ肉のひき肉と食感を残した肉を白老産のタケノコやシイタケなどと合わせたみそ味のあんを使い、もっちりとした食感の皮で包んだ。80個製造し、蒸したものと冷凍の2種類を販売する。
 藤田さんはアイヌ料理の食材として使われてきたシカ肉に興味を抱く一方、道内で捕獲したエゾシカの食肉利用が2割にとどまる現状にも問題意識を持った。
 昨年12月に狩猟免許を取得、地元猟友会の猟にも参加。シカをさばく様子を見て「命の重みを実感した」といい、活用策を考えていた。そんな折、以前、裕司さんがサケを使って作った「チェプ饅」を食べてもらった白老の知人から、「チェプ饅の具をシカ肉にしたら面白いのでは」と提案を受けた。
 地域おこし協力隊の仲間や地元の飲食店と協力し、開発を進めた。シカ肉は、量がそろわず、加工しにくいために捨てられることが多い前脚の部分を使うと決め、町内の加工業者から仕入れた。裕司さんの店であんを作り、包み方などのアドバイスを受け、親子で力を合わせて完成させた。裕司さんは「離れていても、同じように商品を作れるのはうれしい」と喜ぶ。
 藤田さんの試みに白老観光協会が賛同し、インフォメーションセンターで扱うことに。今後は量産のため、製造委託も検討する。藤田さんは「おいしく食べながら、シカの食肉利用の問題を考えるきっかけにしてほしい」と話している。(斎藤佑樹)
★「ユク饅」のクは小文字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/437153

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美連協優秀論文賞の三岸好太郎美術館副館長 五十嵐聡美(いがらし・さとみ)さん

2020-07-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/03 10:26
アイヌ民族の日用品や祭具などについての論考が、全国の公立美術館が加盟する美術館連絡協議会主催の2019年美連協大賞優秀論文賞5点のひとつに、96点から選ばれた。
 江戸時代から明治にかけ、和人がアイヌ民族の風俗などを描いた「アイヌ絵」研究の第一人者。昨年、札幌の道立近代美術館で開かれた「アイヌの美しき手仕事」展の企画委員長を務め、論考は図録に掲載された。テーマは「本当に美しいとは何か」。展示した木製わんや祭具の文化的な背景を紹介し、それらが放つ美しさの秘密を探った。
 例えば樹皮を裂いた糸で織った着物。図録撮影用の高精細画像で見ると、肉眼では気づかないほど細かい一刺し一刺しが分かり、「仕立てとか文様とか、デザインうんぬんではなく、糸と糸が織りなす手仕事の美しい姿があった」と記した。
 弘前大時代の専攻は日本美術史。卒業後、道立美術館の学芸員として赴任した函館でアイヌ絵に出合い、調査を始めた。そこに描かれた日用品などを実際の物と比較するうち、「実物が持つアートとしての魅力を伝えたい」という思いが強くなり、13年には道立近代美術館でアイヌ工芸品展「AINU ART―風のかたりべ」を企画した。
 アイヌ民族の手仕事の数々は「傷んだり、すり切れたりしていても、作り手の思いや積み重ねた時間が伝わる。完成された絵や彫刻とは異なる美しさがある」。アイヌ文化への関心が高まる中、「アイヌ・アートに光が当たり、評価につながれば」と期待する。釧路市出身。56歳。(古川有子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/436917

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ文化通年で発信 阿寒湖温泉 月内着工へ儀式 オンネチセ改装

2020-07-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/03 05:00
改装後のオンネチセ内のイメージ
【阿寒湖温泉】阿寒アイヌ工芸協同組合は今月から阿寒湖アイヌコタン内のアイヌ文化伝承創造館「オンネチセ」を改装し、アイヌ文化の新たな発信拠点とする。アイヌ料理を振る舞うための調理場を設けるなど内装を一新。通年開館とし、アイヌ民族が案内するガイドツアーに組み込んでもらう。改装に先立ち、6月30日に工事の安全などを祈るカムイノミ(神への祈り)が執り行われた。
 現在の建物は、約35年前に古式舞踊などを披露する劇場として建てられた。2011年に「阿寒湖アイヌシアターイコロ」が整備されてからは、オンネチセは夏季の工芸品の展示などにとどまり、有効利用が課題となっていた。
 月内に着工し、10月末までに終わる予定。事業費は約8500万円。工事後も広さは同じ約470平方メートルで、常設のアイヌアート展コーナー、ムックリ作りや刺しゅう体験のための多目的スペース、調理場などを設ける。
 来年以降はアイヌ民族が案内役を務めるガイドツアー「Anytime,Ainutime!(エニータイム、アイヌタイム!)」や、道内広域のアイヌ文化体験の広域周遊ルート「ユーカラ街道」での利用を見込む。ツアー客に歓迎のカムイノミを披露し、アイヌ料理を振る舞う。一年を通じてアイヌ文化を体験できるよう、通年での開館を目指す。
 6月30日のカムイノミでは、阿寒湖温泉のコタン(集落)のアイヌ民族ら約40人が参加。工事の安全を祈願し、長年の利用に対し感謝の気持ちを込めて、踊りを披露した。同組合の西田正男代表理事は「新しいオンネチセをさまざまな用途に活用してもらえるよう期待している」と話した。(今井裕紀)
◆イコロのロは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/436887

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<ウポポイとわたし>2 文化つなぐ重みバスケにも レバンガ北海道運営会社代表・折茂武彦さん=札幌市

2020-07-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/03 05:00
 プロバスケットボールのレバンガ北海道を立ち上げて間もない2013年、アイヌ民族のデザイナーに依頼し、ネックレスを制作してもらいました。今年の現役引退で永久欠番となった僕の背番号9にアイヌ文様をあしらったデザインで、今も日常的に身につけています。
 当時は経営難に陥った前身のレラカムイを引き継いだばかりで、北海道のバスケ文化を絶やしたくないと必死でした。継承の難しさを痛感していたからこそ、アイヌ民族が脈々と引き継いできた文化に敬意や憧れがありました。ネックレスを受け取った時、文化をつなぐ重みに背筋が伸びたのを今も覚えています。
 僕は北海道が好きだからこそレバンガを立ち上げました。この大地は先人たちが大変な苦労をして守ってきたものです。レバンガは、地域が大切にしてきたものを上っ面ではなく心から大切にできるクラブでありたい。そうすることで初めて地域に根ざし、愛されるクラブになるんだと思うんです。
 ウポポイを通して、アイヌ民族の歴史や文化を大切にする気持ちが広がってほしいです。レバンガとしてもアイヌ文化への理解を深め、今後、ユニホームにアイヌ文様を取り入れたりできたらいいなと思います。(聞き手・斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/436811

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

商店街の看板、刺しゅう文様風に 白老中心部 軒先25カ所に登場

2020-07-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/03 05:00

久保田修一理事長が経営する店舗に設置した看板。英文字の中にアイヌ文様風の模様が描かれている
 【白老】町内に12日開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」を応援しようと、町中心部の大町商店街の店主らでつくる白老商業振興会(久保田修一理事長)は、会員の店舗や事務所など25カ所の軒先にアイヌ民族伝統の刺しゅうの文様をモチーフにした看板を設置した。各店とも異なるデザインで、振興会は「商店街を訪れた観光客にアイヌ文化の魅力を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
 ウポポイがある町の商店街を広くアピールしようと企画。看板は一辺50センチの正方形のアクリル製で、6月下旬に店の外壁などに1枚ずつ設置した。図案は町内在住のデザイナーが店側の意見を聞いて作成。ウポポイのイメージカラーである藍色を基調に、各店の商品やサービスをイメージした絵に文様風の模様を描いた。米穀店は稲穂と米粒の絵を、飲食店は食器や鍋、魚などの絵を、金融機関はお金を意味する「¥」マークを、それぞれ文様風にデザインしている。
 制作費は看板1枚につき約3万円。振興会の会員の店舗・事業所は計35カ所あり、今後も順次設置を進める。
 ウポポイ開業後は、施設見学に合わせて商店街を訪れる観光客の増加が期待されており、振興会は文様風のデザインの看板を観光資源として活用する考え。看板と同じデザインの缶バッジの販売や、看板の設置場所の案内地図の配布、会員制交流サイト(SNS)による発信などを今後検討する。久保田理事長は「今回の取り組みを商店街の魅力向上につなげていきたい」と話す。(鈴木雄二)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/436767

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ議論の「闘技場」 初代国立館長が描く博物館像

2020-07-04 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2020年7月3日 7時00分 聞き手・西川祥一
 日本で初めて先住民族アイヌをテーマにした国立博物館「アイヌ民族博物館」が7月12日、北海道白老町にオープンする。アイヌ文化の復興拠点「民族共生象徴空間」(愛称・ウポポイ)の中核施設だ。この博物館には、国宝も重要文化財もない。何を展示し、どんなことを目指す施設なのだろうか。初代館長となった佐々木史郎氏(62)に聞いた。
「見られる側」「見せる側」を一体化
 ――展示品は700を超えると聞いています。博物館の目玉は何ですか?
 「すぐ目につくのは、サハリンにいた樺太アイヌ民族の『クマつなぎ杭』でしょう。高さが6メートルはある。クマの霊送り儀式『イオマンテ』の際に使われた、子グマをつないでおく杭です。北海道のアイヌ民族の場合にはそれほど高くはないのですが、樺太の杭は巨大でした」
 「ポーランド人の民族学者ブロニスワク・ピウスツキが残した写真のなかに、儀式に使った杭が写っていて、この写真を参考に北海道大学准教授の北原次郎太さんとウポポイ職員で工芸家の山道陽輪さんに制作してもらいました」
 「もう一つは、厚岸湖から出土した板綴(いたとじ)舟の舟底です。厚岸町の海事記念館の所蔵品をお借りしたもので、外洋舟です。17~18世紀、道東のアイヌの人々は、千島列島を自由に行き来し、交易していたのです。小さい舟ですが、潮流に強かったのですね」
――ほかの国立博物館との違いは何ですか?
ここから続き
 「展示のコンセプトです。一番大事にしたのは、アイヌ民族が展示をつくっていくという原則です。展示方法を決めるワーキンググループは、半数近くが北海道各地のアイヌの人々。残りを研究者、博物館関係者で構成しました。アイヌの人々が展示したいことをどうしたら形にできるかに力を注ぎました」
 「基本展示室のテーマ設定も、アイヌ民族の視点に立って『私たちの○○』とし、『ことば』『世界』『くらし』『歴史』『しごと』『交流』の6分野に整理しました。展示品の選定も、解説文もアイヌの方々にお願いしました。かなり、自己主張していますよ」
 ――どうしてそのような考え方に立ったのですか?
 「かつての国立博物館は『これが日本国家の宝物である。どうだ、すごいだろう』という姿勢でした。国が文化財を誇示して『日本はこういう国なんだ。皆学びなさい』という啓蒙(けいもう)思想を国民に浸透させる役割を担っていたのです。一種の権力装置です。『テンプルとしての博物館』、すなわち寺院のように文化財を拝ませる博物館という側面が強かったと言えます」
 「しかし、米国では1970年代に『市民のための博物館とは何か』という議論が起こります。さらに90年代には先住民族運動が盛り上がり、従来なら『展示される側』に立たされていた先住民族の意見を取り入れた博物館の姿が模索されていきます。博物館は『見せる側』『見る側』『見られる側』の三者の『フォーラム』になるべきではないかという意見です。そういう考え方を反映させたのが、米ワシントンにある国立アメリカ・インディアン博物館です」
 「アイヌ民族博物館は、さらに一歩進んで『見られる側』(アイヌ民族)と『見せる側』(博物館)を一体化させようとしています。しかもそれを国立博物館でやろうというわけです。政府が法律でアイヌを先住民族と位置づけ、その文化は我が国の貴重な文化だと言った。その言葉を体現した博物館を目指しています」
科学技術 伝承と創作に生かす
 ――アイヌ民族をめぐる言論はデリケートで、いろいろな立場から批判されやすい。展示内容が議論を呼ぶ可能性もありませんか?
 「むしろ議論はもっと必要です。『フォーラムとしての博物館』を提唱した美術史家ダンカン・キャメロンは『博物館は闘技場だ』と言っている。議論を戦わせ、人々の興味を喚起することで、アイヌ民族への関心をより高めたいと思います」
 ――ウポポイは単なるアイヌ文化の紹介施設ではなく、新たな文化の創造・発展も役割とされています。博物館が文化を創造できるのですか?
 「過去のアイヌ民族資料を掘り起こして、その研究の成果をアイヌの人々に伝えてこれからの活動にいかしてもらうという方法を考えています。例えば、名人がつくったマキリ(短刀)のさやをCT(コンピューター断層撮影)で分析すると、肉厚が正確に均一になっていることが分かる。しかも貼り合わせたのではなく、くりぬいているのです。先人たちの素晴らしい技を科学の目で見て、その成果を伝承活動や新しい創作に生かしてもらいたいと考えています」
 ――その分析の成果をどうアイヌ民族のコミュニティーに戻すのですか?
 「コミュニティーの協力による『共同研究』という形になると思います。依頼があれば、他の博物館や個人とも共同研究します。CT、X線、デジタルマイクロスコープなど科学的な研究で、伝承者たちの技術の向上と新しい技法の開発に貢献できればと思っています」
アイヌ出身の館長を「実現させたい」
 ――アイヌ文化を振興するナショナルセンターの役割もあります。どんなことを考えていますか?
 「3年前から北海道の10館ほどの博物館と議論しています。アイヌ民族資料の情報を共有することを計画しています。いま、経営が厳しい博物館もあり、資料があるのかないのかも分からないという館もある。まずは、デジタル情報で共有する必要があります」
 ――政府が目標として掲げた年間100万人の来館者は達成できますか?
 「同じ場所にあった旧アイヌ民族博物館は1990年代に年間約87万人の来館者を記録したことがある。100万人は不可能な数字ではないと思っています。でも、それが独り歩きするのも困ります。多くの人がアイヌ文化に関心を持った結果、来場者100万人になった、というのが理想的だと思います」
 「ほかの国立博物館の国宝展などの展覧会を特別展として誘致して、同時に基本展示にも足を運んでもらうというやり方も考えられます。もともと、あまりアイヌ文化に関心を持っていなかった人たちにも目を向けてもらうように努める必要もあると思います」
 「いまは、新型コロナウイルスの感染拡大で、なかなか難しい環境ですが、海外客の誘致も積極的にやらないといけないと思っています。ミュージアムショップやレストランにも力をいれたい。来たい人が来れば良いという時代ではない。多くの人々を引き寄せることができる博物館にしないといけません」
 ――アイヌ民族博物館なら、館長はアイヌ民族出身者がふさわしいのではないですか?
 「当然、そうだと思います。うちの博物館にもアイヌ民族出身の研究者がいます。そういう人たちを育てるのも大きな仕事で、アイヌ民族出身の館長を実現させていきたい。私はその橋渡し役でもあると思っています」(聞き手・西川祥一)
佐々木史郎
 1957年、東京都生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。学術博士。91年4月、大阪大学助教授。2003年4月、国立民族学博物館教授。10年4月、同副館長。16年4月、国立アイヌ民族博物館設立準備室主幹。
国立アイヌ民族博物館
 存立の危機にある先住民族アイヌの文化を復興・発展させる目的の国立施設「民族共生象徴空間(愛称ウポポイ)」の中核施設。地上2階建て(一部3階)、延べ床面積約8600平方メートル。アイヌ民族の歴史や文化を総合的・一体的に展示する。歴史、文化を研究する専門家も育成し、全国の大学、博物館をつなぐネットワークの拠点という機能も持つ。
 ウポポイとは、アイヌ語で「(大勢で)歌うこと」という意味で、博物館のほか、民族共生公園、慰霊施設の三つで構成される。総工費約200億円をかけて、北海道白老町ポロト湖畔の約10ヘクタールにつくられた。慰霊施設には、東大、北大など9大学が保管していた遺骨1287体・287箱と副葬品が集められ、安置されている(昨年12月公表)。
https://digital.asahi.com/articles/ASN6Y3QB7N6PIIPE00K.html?pn=8

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

晩酌前、火の神に無病息災願う 子はアイヌとして 儀式で民族の自覚深め

2020-07-04 | アイヌ民族関連
47ニュースポスト2020/07/03 07:00

晩酌前、火の神に無病息災願う 子はアイヌとして 儀式で民族の自覚深め
(47リポーターズ)
 3月のある日の夕方、読経のような低い声でアイヌ語が響いた。北海道浦河町の団地の一室。八重樫志仁さん(57)が台所に立ち、儀式を始めた。
 カムイフチ、シパセカムイ(火の神、とても重要な神様)…。コップに注がれた焼酎に、文様の入ったへら状の木製祭具「イクパスイ」の先を浸す。イクパスイに染みた酒をこんろの火に振りかける。炎がぼっと立ち上がった。神に願い事をする儀式「カムイノミ」だ。
 身の回りの動物や自然は、天上の神(カムイ)が姿を変えて降りてきたもの―。アイヌ民族は、伝統的にそう信じ、祭りなどの行事にとどまらず、日常でも感謝や祈願の儀式をしてきた。だが、明治政府による同化政策以降、その多くは伝承されず、近年ようやく復活の兆しが見られるように。八重樫さんは日々の暮らしに取り入れて、伝統を子に継承しようとするアイヌの一人。背景には文化復興への強い思いがあった。(共同通信=石嶋大裕)
 火に神が宿るのではない。火それ自体が神。神はたくさんの物をつくり出せるが、酒は造れず、人間からもらう。カムイノミで酒をささげる理由を八重樫さんはそう説明する。お願いするのは「旅行でけががないように。子どもの受験がうまくいくように」。願いは火の神を通して、目的に応じた神に届けられる。
 八重樫さんは小さいころから両親に「おまえはアイヌだよ」と言われて育った。が、伝統文化を伝えられることはなかった。中学に入ると「アイヌ、アイヌ」と言われ、からかわれた。アイヌであることにネガティブな意識を抱いていく。
 「僕らの世代は『失われた世代』。親がアイヌ語を話せても、教えてくれなかった。差別が激しい時代だったから」
 高校や大学では民族のことには関わらなかった。東京の就職先の近くにあった古本屋でたまたま見つけた本を読み、アメリカの先住民族とアイヌの境遇が似ていると感じたことが興味を持つきっかけだった。それからは、地元で文化の伝承者と言われる人などを訪ね、民族としての自覚を深めていった。
 でも、民族って何だろう―。そう思って振り返ってみると、からかわれた経験がアイデンティティーの礎になっていた。「僕のアイヌとしてのアイデンティティーは日本人から差別され、日本人じゃないんだなという感覚として生まれた。そうでなければ日本人と同化していたかもしれない」
 そんな思いからか、結婚して生まれた子どもは「アイヌとして育てていこう」と妻と相談して決めたという。「学校でも、家でも話すのは日本語。生活も日本式。アイヌのアイデンティティーは意識しないと保てない」。小学生の息子をほめるときはアイヌ語で「ピリカ(偉い)」。風呂でも一緒にアイヌ語で数を数える。アイヌの祭りや儀式に連れて行き、できるだけ文化に触れる機会をつくる。「本当はアイヌ語で会話して、全部アイヌ料理にしたいけど…」。葛藤もあるが、日々奮闘中だ。
 その成果だろうか。幼心にアイヌ民族としての意識は芽生えたようだ。数年前、ある事件の報道を見て怖がった息子が「カムイノミやって」とねだってきた。八重樫さんはそれから、晩酌前に家族の無病息災を祈るようにしている。
 「信仰は昔、日常的なものだったと思う。形はどうあれ、心が大事なんだ」。カムイノミのやり方は家庭でできるように自分流も交えた。
 八重樫さんは3月の晩も祈りを続けた。カムイフチ シパセカムイ エラマッカ ウネプンキネ ウンコレヤン。火の神様、とても重要な神様、ちゃんと見守ってください―。
 ▽一口メモ「アイヌ民族の儀式」
 アイヌ民族の儀式には、川を上ってくるサケを迎え、自然の恵みに感謝する「カムイチェプノミ」や、火の神に祈った後、供物を祭壇にまいて先祖を供養する「イチャルパ」などがある。集落で育てたヒグマの子を神の世界に送り返す「イオマンテ」(クマの霊送りの儀式)もあるが、明治時代の同化政策以降は次第に行われなくなった。
https://news.goo.ne.jp/article/47news_reporters/nation/47news_reporters-20200701171545.html


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

進化する「都市の顔」 円山・旭山動物園が描く未来

2020-07-04 | アイヌ民族関連
ニッケイスタイル 7/4(土) 7:47配信
新型コロナウイルスの感染拡大で休園を強いられた各地の動物園だが、オンラインでの動画配信が話題となるなど、改めてその存在が注目された。海外との交流を深める円山動物園(札幌市)の加藤修園長と、「行動展示」を日本中に広めた旭山動物園(北海道旭川市)の小菅正夫前園長(北海道大学客員教授)に、これからの動物園について語ってもらった。
■コロナ禍で休園、動画配信に力
――動物園の本来の役割とは何でしょうか。
小菅氏
 まず動物を見て、楽しんでもらうことです。それにはお客さんが動物に共感できることが必要ですから、その共感を生むことが(旭山動物園の)行動展示のテーマになりました。人間が他の動物と違うのは共感できることで、動物もだんだん共感の対象になりました。(人と人、人と動物が)うまく共感できないときには争いが起きます。
最近の人は「自分らしく生きたい」とか言いながら、周りを見て「おれ、こんなんじゃ生きていけない」ってこぼします。動物だって、トラはトラらしく、キリンはキリンらしく生きるべきですが、彼らは与えられた環境の中でそれができるのがすごい。チンパンジーはチンパンジーらしく生きます。だから、動物たちが、彼らのすごい能力を発揮できる装置をつくろうと考え、それが行動展示につながりました。
――コロナ禍による外出自粛などで人間らしさは余計に失われているようです。
小菅氏
 いまの人間って、それほど自由じゃないんですよね。都市という空間は、動物園でいえば柵みたいなもの。でも動物園の動物たちは、そんなことでは悩まない。なぜなら、生きる目的がしっかりしているからで。人間よりずっとしたたかです。
加藤氏
 だから円山動物園では、動物を「擬人化」するようなことはしません。動物のありのままの姿、すごさを見てもらいたい。人間っぽい動きを動物におぼえさせれば、一部のお客さんは喜ぶかもしれませんが。
――円山動物園が休園中、動画配信に力を入れたのはどうしてですか。
加藤氏
 動物の魅力や生態のすばらしさを、家にいながら見てもらいたかった。学校が休みだから、勉強になるコンテンツも意識して入れました。でも、動画を配信して終わりじゃありません。動画では、においもしないし、気配も感じられない。動画はあくまで、動物に興味を持ってもらう入り口です。
小菅氏
 「レクリエーション」はそもそも、人間性を再創造する場を意味する言葉です。その本来の意味で円山動物園が「レクリエーション」という言葉を使い始めたのはいつからでしたっけ。
加藤氏
 昨年、2050年までのビジョンを作った時ですね。レクリエーションというと娯楽と思われがちですが、動物園は教育の場でなくちゃいけません。
小菅氏
 教育って、学校だけのものではありません。社会教育、生涯教育もある。大人も楽しい、興味をひかれるような動物園になるには、スタッフによる語りかけが必要です。だからスタッフは、ものすごい知識量が求められます。
――円山動物園ではスタッフの「プロ化」を加藤園長が始めたんですよね。
加藤氏
 昨春で全員、切り替わりました。大学や専門学校などできちんと学んだ人か、そうでなければ勉強して試験に合格してもらいました。
小菅氏
 動物園は都市の顔ですよ。その都市のセンス、科学技術、財源などがすべて凝縮されています。例えば円山動物園のゾウ舎。ここではゾウに餌を漫然と与えるのではなく、ゾウ自身に穴を掘って餌を探してもらうんです。
――動物園は進化しているんですね。
加藤氏
 研究活動にも力を入れています。今はオオワシの繁殖技術を確立しようとしています。市民と一緒に、コウモリの調査もしています。動物園は園内で動物を展示しているだけではダメ。教育、研究など、フィールドはどんどん広がっています。
小菅氏
 僕はニホンザリガニの繁殖研究をしています。子供の頃はいっぱいいましたが、環境の変化で、ほとんどいなくなってしまった。
加藤氏
 円山動物園ではニホンザリガニを繁殖させて、札幌市内の全小学校に配ろうと考えています。でも、なかなかうまく繁殖できなくて。
小菅氏
 これこそが本当の環境教育ですよ。
■都市生活で失ったアイヌ民族の自然観
――生物多様性の思想は、アイヌ文化にも通じます。人気漫画「ゴールデンカムイ」の影響もあって、若者の間では最近、アイヌ文化への関心が高まっています。
小菅氏
 アイヌ民族の自然観は僕ら和人とは違います。例えば動物の名前のつけ方。アイヌの人たちは動物の生きている姿を見て命名しています。エゾリスを指すアイヌ語は、木陰にちょろちょろ隠れて私たちをだます生き物という意味をもっています。骨格などを見て、リスの仲間で、北海道にいるから「エゾリス」というのは博物館の発想です。アイヌ文化への関心が若者の間で高まっているのは、都市で暮らす我々が失ったものへの憧れがあるのでしょうね。
――これからの動物園は、どうあるべきでしょうか。
加藤氏
 生物保全の場であることをもっと発信していくべきです。動物園とは何か、札幌市では今後、条例をつくって明確にしようとしています。国の法律では動物園の明確な定義はありません。動物愛護法では第一種動物取扱業者、ペットショップやサーカスと同じ扱いです。市の条例では動物園を、教育、研究などの機能を備え、動物の福祉に取り組む施設と定義します。
小菅氏
 種の保全、環境保全を進めるには国との連携が欠かせません。オオワシの研究をするには、国を介してロシアと話をしなければなりませんし。
加藤氏
 円山動物園で今、目指しているのはホッキョクグマの研究です。カナダのマニトバ州と協定を結ぶ交渉をしていて、近く締結する運びです。野生のホッキョクグマが生息するマニトバ州には、独自の飼育基準があります。円山動物園もその基準で飼育しながら、現地の環境保全活動への協力や共同研究を検討しています。きちんとした関係を築けば、ホッキョクグマを買ってくるのではなく、野生で保護されたクマを譲り受けられるようになります。
小菅氏
 それこそが、これからの動物園のあり方なんです。動物は国を代表する大使なんですよ。動物を譲り受けておしまいではなく、現地の環境保全活動にも協力する。動物園の役割というのは時代時代で変わっていくものなんですよ。
小菅正夫(こすげ・まさお)1973年北海道大学獣医学部卒、旭川市旭山動物園に獣医として入園。95年園長。「行動展示」で動物園ブームに火を付け、2006年度に入園者300万人突破。09年名誉園長、10年退任。北海道大学客員教授、札幌市環境局参与。72歳
加藤修(かとう・おさむ)1989年北海学園大学経済学部卒、札幌市役所に入庁。財政や市民自治推進担当、広報課長などを経て、2016年円山動物園長。全職員を「プロ」化し、円山動物園の長期ビジョンなどを策定。北海道博物館協会副会長。53歳
(聞き手は永井伸雄、久貝翔子)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f3539a3a17adcbda31302bdaa9b42ddbaa68824

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤノマミにコロナの脅威ない、ブラジル国防相が見解

2020-07-04 | 先住民族関連
AFPBB News 2020年7月3日 21:14 発信地:アルデアスルクク/ブラジル [ ブラジル 中南米 ]

【7月3日 AFP】ブラジルのフェルナンド・アゼベド(Fernando Azevedo)国防相は1日、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林に暮らす先住民族ヤノマミ(Yanomami)の居住地を訪れ、多くのNGOが主張しているようなヤノマミへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威はないとの見解を示した。
 アゼベド氏は、ヤノマミをめぐる状況について「制御下にある」と述べ、「これは私たちにとって非常に重要な問題だ。われわれは先住民族を守らなければならない」と強調した。
現地ではヤノマミの人々に新型コロナウイルスの検査が行われ、全員が陰性だった。
 ヤノマミは1970年代、他の先住民族と同様に欧州からの入植者や金採掘者によって広まった病気により多くが亡くなり、現在の人口はおよそ2万7000人となっている。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3291889

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンガの視覚的コミュニケーションの仕組みに注目 「ビジュアル言語」の研究続々

2020-07-04 | 先住民族関連
好書好日 2020/07/03 10:00
連なる図像、どう物語として認知されるか
 新型コロナウイルスは、マンガの制作現場だけでなく、マンガをめぐる研究交流にも大きな影響を与えている。
 毎年6月ごろに開催してきた日本マンガ学会の大会は、残念ながら中止になった。ゲストを招いたシンポジウムも次回へと持ち越された。個々の研究者による研究発表については、オンラインの場を設けて7月4、5日に会員限定で配信するという。
 5月末にはマンガやアニメなど、アジアのポップカルチャーを対象とする国際学術会議「Mechademia(メカデミア)」が京都で開かれることになっていたが、こちらも来年に延期された。
 今年は国内外の研究動向を知ることができる貴重な機会が相次いで見送りとなってしまったが、こういった場で発表を毎年見聞きしていると、「マンガ研究」といっても、その学術的な背景やテーマ、方法論は多様化の一途をたどっていると感じる。
ニール・コーン氏『マンガの認知科学』(左)とニック・スーザニス氏の『アンフラッタニング』。どちらの著者も研究者であると同時に、自ら筆を執るコミック・アーティストでもある
 その中で、筆者がとくに印象的だった研究のひとつをまとめた専門書の日本語訳が、6月に刊行された。ニール・コーン氏の『マンガの認知科学』(中澤潤訳、北大路書房)である。
 本書の主要な議論の対象は、マンガやコミックスのような社会・文化的に特殊な視覚的表現のジャンルが成り立つことを可能にする、人間の視覚的コミュニケーションの基本構造だ。コーン氏は、それを「ビジュアル言語」という呼び名で言い表している。
 言語の連なりがメッセージとして意味を持つように、私たちは図像の連なりを、いかにしてひとつの「物語(ナラティブ)」として認知し、理解しているのだろうか。そのような根源的な問いについて、本書はマンガあるいはコミックス的な表現を事例にしながら探求していく。そこには、マンガ読者が無意識に行っている「ビジュアル言語」の受容経験が説明づけられていく面白さがある。
アジアのポップカルチャーが対象の国際学術会議「メカデミア」の母体となった、同名のジャーナル第1号(ミネソタ大学出版局発行、2006年)
 視覚的な表現を介したコミュニケーションの仕組みに注目するという点では、この連載で紹介した、コミックスを記述の形式として採用したニック・スーザニス氏の博士論文「アンフラッタニング」や、主観的な傷病経験を視覚的な表現で共有しようという「グラフィック・メディスン」を連想させる。それはさらに、アメリカの美術史家W・J・T・ミッチェル氏の議論に代表されるように、1990年代から視覚的体験への研究関心が人文学の領域で高まってきたこととも響き合うものだ。
 しかし、こうした動向では、マンガ・コミックス的な視覚表現について、近代以降の「文字」の優勢に対する新たな可能性を秘めたものと位置づけようとする文脈が色濃い。それに対してコーン氏の視点は、「ビジュアル言語」を発話や身ぶりと並んで人間のコミュニケーションにおける基本的な様態と位置づけ、あくまでビジュアルな表現それ自体の持つ「語彙(ごい)」や「構造」に焦点を当てていく。
 「文字」対「ビジュアル」という構図ではなく、「ビジュアルなナラティブ」自体の基本構造を解きほぐしながら、マンガやコミックスから、オーストラリアの先住民族の「砂絵」を介したコミュニケーションまで、その社会における表現の多様性に目を向ける。このコーン氏の議論は、マンガ的な視覚表現が周縁的なものではなく、日常の様式としてすっかり埋め込まれている私たちにとっても刺激的なものとなるだろう。
 邦訳を機に日本の読者からどのような反応があるのか、興味は尽きないところだ。=朝日新聞2020年6月30日掲載
https://news.goo.ne.jp/article/book_asahi/trend/book_asahi-13508554.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする