先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

北海道にウポポイ開業 アイヌと共生社会実現を

2020-07-15 | アイヌ民族関連
毎日新聞2020年7月15日 東京朝刊
 アイヌの豊かな文化を未来へ継承していきたい。北海道白老町に拠点となる民族共生象徴空間、愛称・ウポポイが開業した。
 アイヌの人々は北海道を中心に生活し、独自の文化を形成してきた。日本語と系統が異なるアイヌ語を話す。ユカラ(英雄叙事詩)などの口承文芸や自然の中で培われた宗教観、独特の文様の刺しゅうなどには海外の関心も高い。
 明治政府が推進した開拓によって住む土地を追われ、狩猟や漁労といった生業が奪われた。先住民族としての権利を侵害され、差別を受けてきた。かつての同化政策でアイヌ語が禁じられ、文化も存立の危機にある。
 「先住民族の権利に関する国連宣言」が国連総会で採択されたのを受けて、昨年にはアイヌ民族支援法が成立した。法律に初めて先住民族として明記された。施設は支援法の趣旨にのっとり、共生社会の実現を目指すものだ。
 中核となる国立アイヌ民族博物館は民族衣装や祭具など約1万点を収蔵する。アイヌの人々の遺骨を納めた慰霊施設、アイヌ文化を体験できるゾーンなどがある。
 特徴は、アイヌ語が館内展示などに優先的に使われていることだ。来場者がアイヌ語に親しめるコーナーも設けられている。
 一方で課題も残る。
 国連宣言にも明記された収奪された土地や資源などに対する先住権の議論は進んでいない。ニュージーランドや北欧など海外では権利を取り戻す動きが進む。
 支援法の付帯決議は、国連宣言の趣旨を踏まえるよう求める。先住権をどう具体的に考えるかは難しいが、引き続き検討すべきだ。
 かつて研究名目で墓地などから持ち出された遺骨の返還問題もある。身元不明の遺骨は慰霊施設に集約されるなどしたが、納得していない関係者もいる。
 開業直前に萩生田光一文部科学相が、アイヌへの差別について「価値観の違いはあった。差別という言葉でひとくくりはどうか」と発言した。翌日になって釈明したが、閣僚として歴史的事実への認識が甘いのではないか。
 アイヌの人々への差別や偏見、経済格差は今も残る。ウポポイを文化と苦難の歴史への理解を深める契機にしたい。
https://mainichi.jp/articles/20200715/ddm/005/070/091000c

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

細川真理子さん死去 元札幌こどもミュージカル育成会会長

2020-07-15 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/14 20:56 更新
 細川 真理子さん(ほそかわ・まりこ=元札幌こどもミュージカル育成会会長)8日午前11時53分、誤えん性肺炎のため死去、88歳。長崎市出身。自宅は札幌市西区発寒4の2の1の1。葬儀は近親者のみで行った。喪主は夫忍(しのぶ)さん。後日、記念会を開く予定。
 81年に札幌こどもミュージカル育成会を設立し、会長に就任。アイヌ民族や平和を題材にした創作ミュージカルを作り、小中学生に踊りや歌を指導。東京やポーランドなど国内外で上演した。同会は11年に道功労賞を受賞、15年に解散した。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/440511

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<ウポポイとわたし>12 アイヌ民族文化財団職員の思い

2020-07-15 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/14 10:13
 12日に胆振管内白老町に開業したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」を運営するアイヌ民族文化財団(札幌)の職員はそれぞれの思いを胸に、この日を迎えた。
■文化は人生 違いを尊敬し合う社会へ 山田美郷さん(54)
 「このアットゥシ(樹皮衣)は木の内皮で作った糸で織ったんです」。12日、ウポポイの工房で来場者から「へー」と感嘆の声が上がると、アイヌ民族の財団職員山田美郷さん(54)は内心、「直接伝えると反応があって楽しい」とほほ笑んだ。内皮を採取して糸をより、アットゥシを織るまで全てこなしてきただけに「達成感」もひとしおだ。
 厳しい偏見や差別を感じてきた母から「美郷は毛が濃くてかわいそう」「アイヌとは結婚しちゃ駄目」と言われて育った。幼心に「アイヌであることは駄目なこと」と思い、隠れて毛をそり、身体測定やプールの授業も休むようになった。
 転機は東京で絵画の勉強をしていた20代、米女優シャーリー・マクレーンの著書「アウト・オン・ア・リム」を読んだこと。輪廻(りんね)転生をテーマの一つとした本で、「自分は何のためにアイヌの両親から生まれたのか、アイヌとは何なのか知りたいと思った」。
 既に大学生になった長男が子どもの頃には「おじいちゃんのアイヌ舞踊はすごかったよ」と教えて育てた。自分も2008年から財団の前身のアイヌ文化振興・研究推進機構のアイヌ文化の伝承者育成事業で3年間学んだ。白老町の旧アイヌ民族博物館に就職してアイヌ伝統の織物などの伝承を続け、ウポポイ建設に伴い18年3月に旧博物館が閉館して財団に転籍した。
 「文化は衣食住や言葉など社会の全てに通じるもので、人生そのもの。ウポポイでアイヌのことを知り、民族の違いを尊敬し合う社会になってほしい」と願っている。
■無関心は刃 「共に生きる」考える場に 木村和沙さん(32)
 伝統儀礼「イヨマンテ」(クマの霊送り)をアイヌ語と踊りで表現する舞台「イノミ」。12日、ウポポイの目玉演目の初公演を終え、財団舞踊グループの木村和沙さん(32)は涙が止まらなかった。「みんなで積み上げてきたものを凝縮したような時間だった」
 アイヌ民族ではないが、世界各地の民族音楽への興味から大学ではアイヌ文化を専攻し、その担い手を育てる「札幌大学ウレシパクラブ」にも入った。
 クラブの合宿で訪れた釧路市の阿寒湖アイヌシアター「イコロ」では伝統芸能を見学し、輪唱の幻想的な響きや踊りの力強さに鳥肌が立つほど感動した。それまで心のどこかでアイヌ文化を「過去のもの」と考えていた自分にも気づき、心の底から「アイヌ文化は生きている」と思えた。
 11年の卒業後、憧れのイコロで働き、舞踊などを担当した。充実した日々を過ごす一方、来場者が「どれ(誰)が本物のアイヌ?」「山で暮らさないなんて偽物か」と心ない言葉をつぶやくのを耳にし、心を痛めた。「無関心や無知からくる何げない一言が時に鋭い刃になると知ってほしい」
 18年に財団に就職した後もその思いは変わらず、アイヌの友人、その文化との出会いは自分自身の人生も豊かにしてくれるとの思いを強くしている。「単なる興味心から一歩踏み出し、先住民族アイヌと共に生きるとはどういうことか考える場になってほしい」(斉藤千絵)
★「アットゥシ」の「シ」、「ウレシパ」の「シ」、「イコロ」の「ロ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/440293

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共生ここから ウポポイ開業

2020-07-15 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/14 05:00
 【白老】アイヌ文化の復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)が12日、開業した。政府が北日本初の国立博物館や遺骨の慰霊施設を整備。アイヌ文化復興・発展の拠点として国内外へ情報発信する。初日は2068人が訪れた。
 新型コロナウイルス感染防止のため当面予約制とし、体験プログラムの大半を取りやめているが、午前9時の開場前から約300人の列ができた。来場者は工芸品など約1万点を収蔵する「国立アイヌ民族博物館」の展示や古式舞踊の見学などを楽しんだ。札幌市南区の中学1年宍戸杏さん(12)は「民族衣装の織物の実演が面白かった。アイヌ文化を実際に見て勉強になった」と話していた。
 ウポポイの入場予約とは別に1時間ごとの予約制とした国立博物館には838人が入館した。予約制を知らずに入館できない人が相次いだほか、12日午後にはウポポイのホームページにアクセスが集中し、つながりにくい状態になるなどのトラブルもあった。
 ウポポイはアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」を意味する。再現された伝統的なコタン(集落)などがある「国立民族共生公園」、大学などが保管していたアイヌ民族の遺骨を納めた慰霊施設で構成する。
 敷地面積は約10ヘクタール、総工費は約200億円。アイヌ民族文化財団(札幌)が運営する。入場は当面1日約2千~約2500人に制限し、事前予約が必要。問い合わせはウポポイ(電)0144・82・3914へ。(斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/440230

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北海道局長に後藤氏 国交省 開発局長は倉内氏

2020-07-15 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/14 05:00
 国土交通省は13日、水島徹治北海道局長(60)が退任し、後任に後藤貞二開発局長(58)を充てる人事を固めた。開発局長には倉内公嘉(きみよし)大臣官房審議官(58)=北海道局担当=が就く。いずれも月内にも発令する。
 後藤氏は大分県出身で、東大大学院工学系研究科修了。1987年に旧建設省に入り、観光庁観光地域振興課長、国交省北海道局地政課長、大臣官房審議官=北海道局担当=などを経て2019年7月から現職。胆振東部地震からの復旧・復興やJR北海道の経営問題などに取り組んできた。
 北海道局長は旧北海道開発庁出身者が2代続いており、旧建設省出身者の起用は4年ぶりとなる。相次ぐ自然災害を受けた防災・減災事業のほか、今月12日に開業したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)のPRなどが課題となる。
 倉内氏は芦別市出身で、室蘭工業大大学院修了。86年、旧北海道開発庁に入った。開発局小樽開建部長、開発監理部次長、建設部長などを経て19年7月から現職。(山田崇史)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/440227

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウポポイ開業 白老駅北に開業効果 駅南には波及せず閑散

2020-07-15 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/14 05:00
 ウポポイが開業した12日、近接するJR白老駅北の商業ゾーンでは開業記念イベントが始まり、にぎわいを見せた。一方、駅南側の商店街に流れる人は少なく、町中心部に波及効果を生み出す対策が課題となりそうだ。
 ウポポイ近くの白老駅北観光インフォメーションセンターにはこれまでで最高の約2100人が訪れ、駐車場は満車が続いた。土産品ではアイヌ文様を施した布マスクや白老牛のハンバーグが売れた。センターの前田真利マネジャー(58)は「開業効果で観光客が増えた」と喜んだ。
 センター前では町主催のイベント「しらおいポロトミンタラ・フェスティバル」が始まり、白老アイヌ協会がサケを使った汁物「チェプオハウ」200食を無料で提供。家族連れなどがアイヌ民族の伝統料理に舌鼓を打った。
 センターの隣では、道主催のイベント「白老駅北つながりの広場」がスタート。アイヌ工芸品の物販コーナーではアイヌ文様刺しゅうの体験会が開かれ、挑戦した旭川市の自営業藤田二三圭さん(50)は「気持ちが和む」と笑顔を見せた。広場では北海道新聞苫小牧支社が11日付と12日付の朝刊200セットを無料配布した。イベントは8月末まで開かれる。
 一方、線路をはさんだ駅南側は閑散としていた。土産物店兼カフェを営む佐々木美保さん(41)は、12日は定休日だったが店を開けた。だがウポポイからの客はなく「期待はしていなかったが、こんなに少ないとは」と苦笑いした。同日に運行を開始したウポポイと白老駅や商店街などを結ぶ「町交流促進バス」の利用者は全26便で計20人弱にとどまった。
 町はPR不足やJR利用者が少なかったためとし、「実証運行中なので、今後ダイヤやルートの変更も検討したい」(経済振興課)とした。(竹田菜七、山田一輝)
※「ポロトミンタラ」の「ラ」は小さい字、「チェプオハウ」の「プ」は小さい字。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/440172

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする