北海道新聞 07/11 05:00
萩生田光一文部科学相は10日の閣議後会見で、12日に開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)でアイヌ民族への差別をどう伝えるか問われ「原住民と開拓する人の間で価値観の違いがきっとあったと思うが、それを差別という言葉でひとくくりにすることがアイヌ文化の伝承のためにいいかどうか、ちょっと考えるところがある」と述べた。国が主体的に差別の歴史を発信することにも消極姿勢を示し、アイヌ民族から疑問の声が上がった。萩生田氏は11日にウポポイの開園記念式典に出席する。
萩生田氏は、ウポポイについて「歴史に目隠しをするために施設をつくったわけではない」と説明。ただ、アイヌ民族への差別に関する発信については「仮に悲しい歴史があるとすれば」と前置きし、「(差別の歴史を)伝承する人が機会があれば施設で語り部をしたり、記録を残すことは大事だと思うので、それはそれで決して否定はしません」と述べた。
その上で、国としては「前向きにアイヌ文化の良さを広めていくことに努力したい」と述べて、文化の発信に注力する考えを強調した。
昨年9月に閣議決定されたアイヌ施策の基本方針では、アイヌ民族への差別と、それによる貧困を「厳粛に受け止めなければならない」と明記。ウポポイでも日本語を強要し、民族の風習を禁じた同化政策などの展示が予定されている。
白老アイヌ協会の山丸和幸理事長は「アイヌ民族にどういう歴史があったか、先人がどんな思いをしたかを含めて伝える施設のはず。国が正しい認識をしていないのは残念だ」と苦言。「(差別という)触れたくない歴史を隠すことは、ウポポイの来場者にプラスにはならない」と強調した。
アイヌ民族の権利回復を目指す少数民族懇談会の清水裕二会長(江別市在住)も「(同化政策は)抑圧にほかならず、価値観の違いで済まされるものではない。政府としての歴史認識の浅さの表れだ」として謝罪と訂正を求めた。
一方、北海道アイヌ協会の大川勝理事長は「私が小さいころは差別はいっぱいあったが、今はあまりないと思う。何事も対話が一番大事だ。国も国民理解のもとにアイヌ政策を進めていると考えている」と問題視しない考えを示した。(鈴木誠、斎藤佑樹、横田望)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439518
萩生田光一文部科学相は10日の閣議後会見で、12日に開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)でアイヌ民族への差別をどう伝えるか問われ「原住民と開拓する人の間で価値観の違いがきっとあったと思うが、それを差別という言葉でひとくくりにすることがアイヌ文化の伝承のためにいいかどうか、ちょっと考えるところがある」と述べた。国が主体的に差別の歴史を発信することにも消極姿勢を示し、アイヌ民族から疑問の声が上がった。萩生田氏は11日にウポポイの開園記念式典に出席する。
萩生田氏は、ウポポイについて「歴史に目隠しをするために施設をつくったわけではない」と説明。ただ、アイヌ民族への差別に関する発信については「仮に悲しい歴史があるとすれば」と前置きし、「(差別の歴史を)伝承する人が機会があれば施設で語り部をしたり、記録を残すことは大事だと思うので、それはそれで決して否定はしません」と述べた。
その上で、国としては「前向きにアイヌ文化の良さを広めていくことに努力したい」と述べて、文化の発信に注力する考えを強調した。
昨年9月に閣議決定されたアイヌ施策の基本方針では、アイヌ民族への差別と、それによる貧困を「厳粛に受け止めなければならない」と明記。ウポポイでも日本語を強要し、民族の風習を禁じた同化政策などの展示が予定されている。
白老アイヌ協会の山丸和幸理事長は「アイヌ民族にどういう歴史があったか、先人がどんな思いをしたかを含めて伝える施設のはず。国が正しい認識をしていないのは残念だ」と苦言。「(差別という)触れたくない歴史を隠すことは、ウポポイの来場者にプラスにはならない」と強調した。
アイヌ民族の権利回復を目指す少数民族懇談会の清水裕二会長(江別市在住)も「(同化政策は)抑圧にほかならず、価値観の違いで済まされるものではない。政府としての歴史認識の浅さの表れだ」として謝罪と訂正を求めた。
一方、北海道アイヌ協会の大川勝理事長は「私が小さいころは差別はいっぱいあったが、今はあまりないと思う。何事も対話が一番大事だ。国も国民理解のもとにアイヌ政策を進めていると考えている」と問題視しない考えを示した。(鈴木誠、斎藤佑樹、横田望)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439518