先住民族関連ニュース

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アイヌの権利、考えて 北海道の住職らが本 「ウポポイ」オープンきっかけに

2020-07-08 | アイヌ民族関連
東京新聞 2020年7月7日 07時51分
アイヌの権利を考えるきっかけにしてほしいと語る殿平善彦さん=殿平さん提供
 アイヌ文化を復興・発展させるための国立施設「ウポポイ」が十二日に北海道南部の太平洋沿岸にある白老町にオープンするが、この機会にアイヌ民族の歴史や、先住民族としての権利について考えてほしいと、地元の関係者らが本を出版した。 (五味洋治)
 この本は「アイヌの権利とは何か」(かもがわ出版)。深川市にある一乗寺の殿平善彦住職(74)らが中心になって編集、オーストラリアの歴史学者、テッサ・モーリス=スズキさんや、四人のアイヌ出身者が寄稿している。
 「ウポポイ」はアイヌ語で「大勢で歌うこと」の意味。正式名称は「民族共生象徴空間」で、政府が約二百億円をかけ整備した。
 約十ヘクタールの敷地の中に、アイヌ民族博物館、古式舞踊が披露される体験交流ホールなどが整備され、日本国内だけでなく、世界から年間百万人の観光客を見込んでいる。
 国連では二〇〇七年に、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択された。近年、米国やカナダ、オーストラリアなどでも先住民族の権利を認める動きが広がっている。
 アイヌの人たちは、長く偏見と差別の中で過ごしてきた。北海道大学は、道内や千島、樺太などのアイヌ墓地から遺骨を発掘、研究対象にしていた時期もある。
 これらの反省から日本政府は一九年にアイヌを初めて「先住民族」と規定する「アイヌ新法」を制定、ウポポイの建設も進めた。
 しかし、日本政府はアイヌが持っている狩猟や漁業などに関する「先住権」は認めていない。
 奈良県から移住した両親から生まれた殿平さんは、「本当の意味で共生するなら、先住民族としての権利は認められるべきだ。この本を通じて訴えていきたい」と話している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/40544

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アイヌの意見反映を 紙議員の質問主意書

2020-07-08 | アイヌ民族関連
赤旗 2020年7月7日(火)
「地域計画」 政府が答弁書決定
 日本共産党の紙智子参院議員が提出した「アイヌ施策推進法に関する」質問主意書に、政府は6月26日、答弁書を決定しました。
 質問主意書は、アイヌが民族の誇りを持って生活できる環境整備や、差別や権利利益の侵害の禁止を明記したアイヌ施策推進法が成立して1年になるもとで、いまだ多くの課題を残していると指摘。開業される「民族共生象徴空間」(ウポポイ)にかかわって、アイヌ民族の意見をどう取り入れたかを質問しました。
 答弁書は「アイヌ推進法の検討に際して55団体」から意見を聞いたものの、法成立後の意見聴取は明らかにしませんでした。
 アイヌ施策推進法は「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の「先住権」が記載されていないとして、「先住民族宣言」の各条文をどう具体化しているかの質問には、「宣言の各条について網羅的に国内措置を講ずるという観点からは検討していない」と回答しました。
 市町村が作成する「アイヌ施策推進地域計画」について、北海道新聞が「アイヌ民族側の提案を検討せずにできないと結論づけたり、協議と言いつつ自治体側が一方的に事業を提示し、十分な議論がないとの声も聞く」との指摘があるとして見解を求めたのに対し、アイヌの人々の意見が反映されていると認められない計画は認定しないとしました。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-07-07/2020070704_03_1.html

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ウポポイ感染対策で事前予約制に(動画)

2020-07-08 | アイヌ民族関連
NHK07月06日 19時06分
今月12日にオープンするアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため事前の予約制を導入し、1日の入場者数を制限することになりました。
今月12日にオープンするアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」について政府や道は年間100万人の来場を目標に掲げていますが、新型コロナウイルス対策とどう両立させるかが課題になっています。
こうした中、ウポポイは、施設内の混雑を避ける必要があるとして当面はオンラインによる事前予約制を導入し、1日の入場者数を制限することになりました。
予約の受け付けは専用のホームページで7日午前10時に始まり、8日からは全国のコンビニエンスストアでも日付を指定したチケットを販売することにしています。
またウポポイの入場予約とは別に、施設内にある「国立アイヌ民族博物館」の入館には日付と時間帯を指定した予約が必要で、今月10日から受け付けるということです。
予約方法の詳細は8日発表する予定で、ウポポイの広報担当者は「予約に空きがある場合は当日販売のチケットも用意するが、なるべく事前にインターネットで予約してほしい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200706/7000022733.html

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ウポポイ1日最大2500人 政府制限 当初の目標の半分

2020-07-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/08 05:00

 胆振管内白老町に12日開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」について、政府が1日当たり入場者数を最大で2500人に制限することが分かった。当初掲げていた入場者数目標の半分に当たる。新型コロナウイルス感染を防止するには、大幅な制限が欠かせないと判断した。7日、日付を指定して予約する1日券の販売をネット上で始めた。
 関係者によると、入場者は平日で2千人、土日は2500人に限る。当初は平日3千人、土日5千人の入場を目標としていた。
 密集を避けるため、園内各施設も入場を制限する。例えば、中核施設・国立アイヌ民族博物館の展示室は1日に千人程度しか入れないようにする。入室は予約制とし、10日午前10時から受け付ける。具体的な予約方法は後日発表する。来場者が千人を超えた場合、ウポポイには行ったが目玉の展示室が見られないという事態が起こりうる。
 来場客には、氏名や電話番号など連絡先の提出を求める。感染者が発生した場合、感染経路をたどりやすくする狙いがある。屋内施設での会話も極力控えるよう要請する方針だ。
 1日券は、外部の各種チケット販売サイト「ウェブケット」を通じて販売しているほか、8日からは主要コンビニでも売り出す。入場状況に余裕があればウポポイ窓口で当日券も取り扱う。
 コロナ対策で入場を制限する一方、政府は実現が疑問視される年間100万人の入場者目標を掲げ続ける。対応のちぐはぐさは否めない。(長谷川紳二)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/438308

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<ウポポイとわたし>6 劇で描いた友情、現実に お笑いコンビ「アップダウン」・竹森巧さん=東京都

2020-07-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/07 10:22
 渡島管内森町の出身で、小さい頃からアイヌの歴史に関心がありました。自然に敬意を払う道産子スピリットの源流には、アイヌ文化があると感じています。
 2年前に北海道の名付け親とされる幕末の探検家、松浦武四郎とアイヌ民族の長老の友情を描いた音楽劇「カイ」を道内5カ所で上演しました。相方の阿部浩貴との2人芝居で、僕は武四郎を演じました。
 さまざまな文献を読み、道内各地の博物館に足を運び、演出の参考にしましたが、公演前はアイヌ民族のみなさんにどう受け止められるか不安でした。でも各地で温かい言葉をかけていただき、アイヌ民族の友人もたくさんできました。
 実はアイヌ文様の財布を愛用しています。8年前に旭川で一目ぼれして購入し、今まで10回ほど落としてしまったんですが、毎回、奇跡的に誰かが拾ってくれ、手元に戻ってきたんです。アイヌ文様は魔よけという説がありますから、災いから守ってくれているのかななんて思います。
 ウポポイ開業で北海道が誇るアイヌ文化を道外、そして世界に発信できることをとてもうれしく思います。和人がアイヌ民族に同化を強いた過去は変えられませんが、今を一緒に歩んでいきたいです。(聞き手・斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/437983

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♢2 アイヌ文様を身近に 工房・木彫担当 山道(やまみち) 陽輪(ようまる)さん(31)=平取町出身=

2020-07-08 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/7/7配信
 ―ウポポイで働くきっかけは。  「親が日常的にカムイノミ(儀式)などアイヌ文化の伝承活動に取り組み、子どもの頃から自然と参加していました。大人になってから儀式に参加していると、周りから質問されるよう…
この続き:648文字
ここから先の閲覧は有料です。
https://www.tomamin.co.jp/article/feature/upokataru/23198/

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米で石油パイプライン停止命令 地裁、先住民族が反対運動

2020-07-08 | 先住民族関連
共同通信 7/7(火) 10:00配信
 【ニューヨーク共同】米首都ワシントンの地裁は6日、米中西部の石油パイプラインを30日以内に停止するよう命じた。環境影響調査の手続きが違法だったと判断した。先住民族らが環境への影響を懸念し、反対運動を起こしていた。石油産業を振興するトランプ政権にとっては打撃となる。
 パイプラインは「ダコタ・アクセス・パイプライン」。全長1800キロ超で中西部のノースダコタ州からイリノイ州を結ぶ。建設地の湖は先住民族が貯水池に使用。米陸軍工兵隊が米エネルギー会社エナジー・トランスファー側の土地使用を許可した。
 エナジー・トランスファーは判決を不服として上訴する意向を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/13436c9c6d4bdd374b14d92307a5b17ea97e9ca3

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三線にアイヌの守り神/胴巻きやチラに刺しゅう/北海道の三上さん製作

2020-07-08 | アイヌ民族関連
沖縄タイムス 2020年7月8日 05:00
 三線にアイヌ民族の守り神を-。北海道釧路市で「日本最北端の三線工房」を開く三上倫平さん(53)が、アイヌの刺しゅうを施した三線を製作している。北の大地の魅力を縫い込んだ三線から奏でられる南国の音色。三上さんは「沖縄の良さを、北海道から発信したい」と意気込む。
この記事は有料会員(購読者/デジタル購読者プラン)限定です。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/597363

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再上映中の『もののけ姫』を「日本史と中国史」で読み解く

2020-07-08 | アイヌ民族関連
現代ビジネス 20200708
中世に託して現代を描く
6月末から、スタジオジブリの旧作の「劇場での再上映」が始まりました。公式なアナウンスには入っていませんが、おそらくはコロナ禍で最大の損害を被った業種である映画館に足を運ぶ体験を、もういちど広く知ってほしいという趣旨もあるのではと思います。
どの作品も懐かしいですが、とりわけこのタイミングで『もののけ姫』が久しぶりにスクリーンに映ることは、私にとってひとしおの感慨をそそります。
解説は不要かもしれませんが、『もののけ姫』は1997年公開。宮崎駿監督の「引退作」だとPRされたこともあって、爆発的なヒットとなり、日本映画の興収記録を更新。しかし引退宣言は後に撤回され、以降も新作ごとに「今度こそ最後」と報じられては覆る、いわば宮崎監督が「いつまでも引退できない時代」が今日まで続いています。
もっとも、私がこの作品をとりわけ懐かしく思うのは、また別の個人的な事情によるものです。
2008~2014年にかけて、大学で日本通史を教えていたころ、冬学期の初回は必ず『もののけ姫』を教材にしていました。そのときの講義録は『中国化する日本』(文春文庫)として刊行していますが、この回については字数の関係で割愛したので、入っていません。
ストーリーをざっくり要約すれば、『もののけ姫』は中世の日本を舞台とする、四者四様の「マイノリティ」がぶつかりあう活劇です。
(1)主人公のアシタカは(アイヌのようにも思われる)少数民族の出身で、しかも呪いのために生地を追われてしまう。(2)ヒロインのサン(もののけ姫)は山で狼に育てられた少女で、人間社会を憎悪している。(3)もう一人のヒロインと言えるエボシ御前は、森の中のたたら場(製鉄所)を一種のコミューンにして、女性や病人たちを庇護している。(4)狂言回しにあたる山伏のジコ坊は、正体不明の移動民の一団を率いており、おいしい儲け話を狙っている。
このうち物語の軸をなすのは、女性2人の争いです。エボシは自分のたたら場で弱者を保護し、活躍の場を与えるひとかどの人物ですが、しかし彼女が営む製鉄業は周囲の自然を傷つけている。そのことにサンは怒っている。今日風に言うと、いかに「福利厚生が充実した、従業員に優しい企業」を経営していても、事業内容が地球環境にとってマイナスなら、エコロジストには許せないということですね。
これは牽強付会ではなく、前作にあたる『紅の豚』の公開を受けた1992年の取材では、宮崎監督自身が労使協調的な「会社社会主義」への幻滅を口にし、構想中の時代劇(=『もののけ姫』)について「企業戦士の代わりに侍が出てくるようなのにしたってしょうがない」と述べていました(『風の帰る場所』文春ジブリ文庫)。その点で一見すると中世史に素材を採りながら、きわめて現代的なテーマを扱った作品だといえます。
冷戦下のユートピアの残像
こうした『もののけ姫』の世界像に影響を与えた人として、よく名前が挙がる歴史学者に網野善彦(1928~2004年)がいます。若い世代の方には、宗教学者の中沢新一氏の叔父さんと言った方が、親近感が湧くでしょうか。
網野には膨大な著作がありますが、特に映画の内容を連想させるのは、1978年にベストセラーとなった『無縁・公界・楽』。宮崎駿さんがTVで『未来少年コナン』を作っていたころの、古い本ですね(宮崎氏の映画監督デビュー作として有名な、『ルパン三世 カリオストロの城』が翌79年)。
中世日本に実在したコミューン的な共同体を描く同書について、網野は生前、甥の中沢さんから「それは結局、資本主義になるね」と批判されたと、しばしば回想していました(興味のある方は拙著『荒れ野の六十年』勉誠出版、を参照)。『もののけ姫』でいえば、たしかにエボシは立派な存在だけれども、彼女の事業の行き着くところは資本主義的な「開発」であり、むしろ自然との共存関係を壊すという意味での「近代化」の第一歩でもあった、ということです。
網野史学とジブリ作品の影響関係は、お互い「公認」ともいえるもので、『もののけ姫』の公開時に行われた網野と宮崎監督の対談が『歴史と出会う』に入っています。興味深いのは、そこで宮崎さんが「エボシという女性は二十世紀の理想の人物」で、「タタラ場の溶鉱炉のイメージは、子供のときに写真で見た中国の大躍進時代のもの」だと証言していることです。
大躍進とは毛沢東が1958年、中国農村部の強引な工業化と大増産を命じたもので、今日では破滅的な飢饉に帰結したことが明らかになっていますが、同時代には「輝かしい社会主義建設の道」として期待を集めました。戦後の初期、朝鮮戦争下(1950~53年)で挫折を体験するまでの網野も、熱心な共産主義の運動家だったことで知られます(なお高校・大学と網野の級友で、保守派に転向したのち日本テレビのトップに立った氏家齊一郎は、『魔女の宅急便』以来のジブリ作品の後援者でもありました)。
意欲に燃える「同志」を集め、お互いの同胞愛に基づく「搾取のない」関係性を確立し、そこから生まれる情熱をもって生産に突貫することで、働くよろこびの溢れる地上の楽園を作る――。しかしその理想は、現実に実践するとなぜか必ずダメになってしまい、むしろ資本主義以上の人間と環境の破壊をもたらす。そうした冷戦下の体験の反省もまた、『もののけ姫』には込められています。
映画から見える「日中」の違い
もっとも『もののけ姫』の世界観には、歴史の研究者の眼で見たとき、いかにも「日本的」なバイアスを感じる側面があります。実は、私が日本史の授業で教材に採り上げたのも、そのことを学生に考えてもらうためでした。
同作の物語を織りなす4名のマイノリティのうち、サンとエボシとは、アシタカが仲立ちする形で一定の和解を達成します。逆に最後まで、ちょっとかわいそうな位置づけなのがジコ坊ですね。「悪役」というわけではないのですが、描かれ方もどこかうさん臭くて、いかがわしい存在。見終わった後で他の3人ではなく、彼のファンになる観客はあまりいないでしょう。
それはおそらく、ジコ坊だけが「故郷」を持たない移動民であるところから来ています。サンは狩猟採集民のように暮らしてはいても、自分が生まれ育った森を愛しているし、呪いが解けた後のアシタカも、そこに加わるだろうことが示唆されている。城塞のようなたたら場のコミュニティを築いていたエボシは、言わずもがなですね。
ラフに喩えるなら、日本人はみな、地元の生活圏と一体化した「里山」が大好き。逆に峻厳な山々を渡り歩くガチンコの修験道にあこがれる人となると、ごく少数。そうした感覚が、キャラクターの造形にも反映しているというところでしょうか。
しかし故郷を持ち、そこに定住することに人間らしさや幸せがあるとする発想は、世界のどこでも自明のことだろうか? それを考えるために私の授業では、むしろ中国の伝統社会を描いた古い映画と、『もののけ姫』を見比べてもらっていました。1937年、初期のハリウッドで撮られたモノクロ作品である『大地』です。
『大地』は後にノーベル文学賞を受ける女性作家パール・S・バックが、1931年に発表した大河小説です。彼女はアメリカ人ですが、両親が宣教師だったために幼少期を中国で過ごし、同地の近代化に向けた苦闘に共感を抱いていました。映画版でとくに印象に残るのは、作品の半ばで起こる干ばつと大飢饉の描写です。
『大地』の主人公は働き者の農民で、努力の甲斐あって地元にいくつもの畑を所有しており、当初は「これだけ貯えがあれば、災害くらい余裕だ」と豪語します。ところがその奥さんは、表情を曇らせる。中国では基本的に地形が平坦なため、天災に襲われると周辺の地域一帯が、まるごと全部ダメになる。結局一家はいったん耕作を放棄して、難民のように流浪の旅に出ることになります。
生まれた場所を愛して「故郷を守ろう」としても、そもそも守りようがなく、移動しなければ全滅してしまう。つまり『もののけ姫』とは逆に、ジコ坊のようなキャラクターしか生き延びられず、主人公たり得ない社会。そうした過酷な環境こそが中国では常態であり、かつそれが近代化を阻害する最大の要因であることを、原作者のバックは見抜いていました。
「移動してこそ生き延びられる」とは、逆にいうと「危機に際して結束せず、バラバラに逃げ出して、立ち向かわない」ことと同義だからです。こうしたメンタリティが染みとおった社会では、ジコ坊めいた「行商」なら営めるのですが、エボシ御前のような「工場経営」は難しいし、みんなが逃げてしまうので外国との戦争にも弱い。
映画『大地』の最後では、学校に通い近代的な思考法を身につけた、いかにも情熱的なインテリという感じの息子が登場します。今度はイナゴの大集団が来襲するとの報に接し、主人公夫妻はもはやこれまでと観念しますが、その子息に「地元で団結して戦う」ことの意義を説かれ、ついに危機を克服する。あたかも映画と同年に勃発した日中戦争の顛末を予見したような、鬼気迫る結末になっています。
ポストコロナに得られる示唆とは
ジコ坊の道か、エボシ御前の道か――。この選択は今春のコロナ危機を経たいま、ふたたび私たちの世界に突きつけられています。ウィルスの感染拡大を止めようとして、欧米諸国を含む多くの地域で国境の遮断や都市封鎖が行われ、「移動」自体をあたかも悪であるかのように見なす風潮が生まれました。
しかしそれは――私が授業で教えていたのは、あくまで『中国化する日本』でしたが――ひょっとすると「中国化する世界」への一里塚かもしれない。ウィルスが最初に流行した武漢を強権的にロックダウンした中国共産党の絶対権力は、そもそもは「ジコ坊しかいない社会」を力づくで重工業化するために、エボシのたたら場のモデルとなった毛沢東の統制下で形成されたものでした。
周知のとおりそれはいま、中国大陸でもっとも「移動」と親和性の高い都市に育った香港の市民社会をも、飲み込もうとしています。コロナ問題の初期、人権の軽視ゆえに可能となる「中国モデル」の行動規制が「有効だ」という教訓が流布することで、西洋近代の達成が崩壊してゆくことへの危惧を何人かの有識者が語りましたが、それはもはや、杞憂だと笑って見過ごせない域に入りつつあります。
こうしたとき、ついついジコ坊を退け、エボシ御前に共感しがちな日本人だからこそ特に、気をつけなければならない。たとえば、「中国人観光客に依存したインバウンド政策こそが元凶だった。むしろ日本はポストコロナでも国境を閉ざし、グローバリズムと縁を切るべきだ」といった論説は、これから右派系の論壇誌で隆盛を極めるでしょう。しかし、それは本当でしょうか。
私自身も緊急事態宣言下ですでに指摘しましたが、日本人のコロナでの死亡率は(東アジア・東南アジアの多くの国と同様に)欧米と比較して圧倒的に低い。この現象は山中伸弥氏による「ファクターX」の造語で広く知られましたが、同氏はその要因たり得るものの一つに「2020年1月までの、何らかのウイルス感染の影響」を挙げています。
これは交差免疫説(いわゆるSARS-X仮説)を指すものと思われますが、つまりは、国境を開放して多数の中国からの来日者(と彼らが運ぶウィルス)を受け入れていたことが、結果的に、今回のコロナウィルスに対する免疫を事前に獲得することに貢献したという趣旨になります。もし今後それが立証されるなら、エボシの城塞のような「籠城」ではなく、むしろジコ坊が自在に動き回る世界に適応することの方が、防疫上も有効だということになる。
コロナウィルスの流行のような同一の現象を見ても、いかなる考察上の参照軸を持つかで、結論は正反対のものにさえなり得るのです。かような思考の多様性を保つための豊饒な素材を提供してくれるところに、もともとは歴史――自国や他の世界の過去をふり返る営みの意義がありました。
日本人は「民度の高さ」で感染拡大を抑えたといった、ある意味では「南京大虐殺はなかった」以上に危険な「歴史修正主義」の蔓延が放置されるいま、史実どおりに過去を復元することの価値は大きく揺らいでいます。しかし、仮にすべてがフィクションと――あえて言えば「フェイク」と化す時代が来てもなお、人類がこれまで辿ってきた軌跡とその教訓は、さまざまな痕跡の形で私たちに訴え続ける。
その手がかりが、知らぬ人のない平成のアニメ映画の名作にも秘められています。今回の再上映を機に、そうした感覚を甦らせる人が一人でも増えるなら、長らく歴史を研究してきた者として、これ以上の歓びはありません。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73842

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沖縄戦体験者の祖母の記憶を楽曲に 沖縄電子少女彩が新アルバム「互いを理解し合える世の中に」

2020-07-08 | ウチナー・沖縄
琉球新報 2020年7月7日 17:00
 沖縄市出身のミュージシャン沖縄電子少女彩(19)がこのほど、アルバム「NEO SAYA(ネオ・サヤ)」(インフォガレージ)をリリースした。ボーナストラック2曲を含む全14曲を収録。税込み2750円。
 アルバム名は、ロックや民謡などをミックスさせた楽曲を収録し一世を風靡(ふうび)した坂本龍一のアルバム「NEO GEO(ネオ・ジオ)」へのリスペクトを込めて付けた。
 表題曲「NEO SAYA」は、沖縄民謡とアイヌ民謡をミックスさせて彩が作詞・作曲・編曲。沖縄戦を体験した祖母の記憶を元に作った「幼い日の記憶」は、戦争体験者の負った悲しい記憶がいつか癒やされることを願う。型にはまらない個性豊かな楽曲が収録され、ワールドワイドな1枚となっている。
 彩は「人間の数だけいろいろな考えがあると思うが、いつか互いを理解し合える世の中になったらいいと思う」と多彩な楽曲を収録した背景を語る。「純粋に楽しんで聞いてほしい」とはにかんだ。
 アルバムの問い合わせはインフォガレージinfo@tincy.jp
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1151538.html

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白老観光インフォメーションセンター 土産物食品の販売開始

2020-07-08 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020.07.07

観光インフォメーションセンターの物販コーナーに並ぶ食品類
 白老町の駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)にある観光インフォメーションセンターが土産物の食品の販売を始めた。物販コーナーにはシイタケ、たらこ、白老牛など地元食材を使用した加工食品や、アイヌ民族の食文化にちなんだ商品が並び、売れ行きを伸ばしている。センターを運営する白老観光協会は、民族共生象徴空間(ウポポイ)の12日開業に向けて商品構成を強化する。
 センターは5月下旬からアイヌ文様デザインの雑貨など物販に乗り出し、今月4日から食品も取り扱い始めた。コーナーには、白老牛ハンバーグや虎杖浜たらこ、乾燥シイタケやキクラゲなど地元食材の商品が並ぶ。地元産シイタケを使用したハヤシライスや白老牛カレーなどレトルト食品も人気。アイヌ民族の食文化にちなみ、白老観光協会が商品開発したシカ肉のソーセージや缶詰もある。  また、アイヌ民族をテーマにした人気漫画「ゴールデンカムイ」のキャラクターを商品ラベルに採用した菓子や、アザラシ肉を使ったカレーの缶詰など珍しい品も扱っている。
 テークアウトできる軽食のコーナーも始動。白老の地域おこし協力隊員が開発し、エゾシカ(アイヌ語でユク)の肉を使用した「ユク饅(まん)」(330円)、白老牛や焼きたらこを具材にしたおにぎり「具にぎり」(2個入り400円)を販売。洋菓子のオムレット(360~390円)、ソフトクリーム(レギュラーサイズ350円)も飛ぶように売れている。地元のパン店が製造する「北海道ミルククリームパン」(230円)、「ビターショコラパン」(同)=木、金、土、日曜の限定販売=も人気。近くホットコーヒーやアイスコーヒーの販売も始める。
 食品を取り扱い始めて以降、苫小牧市や札幌市など町外からの来館者が急増。週末の4日は700人、5日には1100人を数え、商品を買い求める人たちでにぎわった。テーブルやいすを備えたセンターの休憩スペースで、購入したソフトクリームなどを味わう姿も見られた。  物販を担当する白老観光協会の前田真利事務局次長は「食品販売への大きな手応えを感じている。センターの魅力を高め、来館を促すために商品をより充実させたい」と意気込み、12日のウポポイ開業に向けて300種ほどの食品を取りそろえるという。  観光インフォメーションセンターの営業時間は午前8時から午後6時で、休業は年末年始。
http://www.hokkaido-nl.jp/article/17963

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白老観光インフォメーションセンター 土産物食品の販売開始

2020-07-08 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020.07.07

観光インフォメーションセンターの物販コーナーに並ぶ食品類
 白老町の駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)にある観光インフォメーションセンターが土産物の食品の販売を始めた。物販コーナーにはシイタケ、たらこ、白老牛など地元食材を使用した加工食品や、アイヌ民族の食文化にちなんだ商品が並び、売れ行きを伸ばしている。センターを運営する白老観光協会は、民族共生象徴空間(ウポポイ)の12日開業に向けて商品構成を強化する。
 センターは5月下旬からアイヌ文様デザインの雑貨など物販に乗り出し、今月4日から食品も取り扱い始めた。コーナーには、白老牛ハンバーグや虎杖浜たらこ、乾燥シイタケやキクラゲなど地元食材の商品が並ぶ。地元産シイタケを使用したハヤシライスや白老牛カレーなどレトルト食品も人気。アイヌ民族の食文化にちなみ、白老観光協会が商品開発したシカ肉のソーセージや缶詰もある。  また、アイヌ民族をテーマにした人気漫画「ゴールデンカムイ」のキャラクターを商品ラベルに採用した菓子や、アザラシ肉を使ったカレーの缶詰など珍しい品も扱っている。
 テークアウトできる軽食のコーナーも始動。白老の地域おこし協力隊員が開発し、エゾシカ(アイヌ語でユク)の肉を使用した「ユク饅(まん)」(330円)、白老牛や焼きたらこを具材にしたおにぎり「具にぎり」(2個入り400円)を販売。洋菓子のオムレット(360~390円)、ソフトクリーム(レギュラーサイズ350円)も飛ぶように売れている。地元のパン店が製造する「北海道ミルククリームパン」(230円)、「ビターショコラパン」(同)=木、金、土、日曜の限定販売=も人気。近くホットコーヒーやアイスコーヒーの販売も始める。
 食品を取り扱い始めて以降、苫小牧市や札幌市など町外からの来館者が急増。週末の4日は700人、5日には1100人を数え、商品を買い求める人たちでにぎわった。テーブルやいすを備えたセンターの休憩スペースで、購入したソフトクリームなどを味わう姿も見られた。  物販を担当する白老観光協会の前田真利事務局次長は「食品販売への大きな手応えを感じている。センターの魅力を高め、来館を促すために商品をより充実させたい」と意気込み、12日のウポポイ開業に向けて300種ほどの食品を取りそろえるという。  観光インフォメーションセンターの営業時間は午前8時から午後6時で、休業は年末年始。
http://www.hokkaido-nl.jp/article/17963

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「ウポポイ」入場券ネット販売始まる 感染対策で入場者数制限 北海道白老町

2020-07-08 | アイヌ民族関連
HBC 07月07日(火) 17時30分 更新
 胆振の白老町に、民族共生象徴空間「ウポポイ」がオープンするまで、あと5日。7日からインターネットで入場券の販売が始まりました。アイヌ文化体験プログラムの実施が見送られるなど、制限の多いスタートとなります。
 ウポポイの前売り入場券の販売は、7日午前10時から専用サイトで始まりました。入場券は、高校生以上は有料ですが、新型コロナウイルスの感染を避けるため、事前予約制にして1日の入場者数を制限しています。
 一方、10日から予約を受け付ける、中核施設の「アイヌ民族博物館」も、見学は1人1時間以内で、入館者を常に100人以下に制限します。
 さらに民族楽器ムックリの製作など、およそ10のアイヌ文化体験プログラムは、感染防止のため、当面の間、実施が見送られます。
https://www.hbc.co.jp/news/c2900c13a99d9ac3a5ea7cd4555a1bb4.html

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トランプ氏とNASCAR黒人ドライバーが舌戦、輪縄騒動めぐり

2020-07-08 | 先住民族関連
AFPBB News 2020/07/07 10:54
【AFP=時事】米ストックカーレースのNASCARで唯一の黒人ドライバーであるバッバ・ウォレスは6日、自身のガレージで輪縄が見つかった騒動をめぐりドナルド・トランプ米大統領が謝罪を求めたことについて、「憎悪」をかき立てていると批判した。
 先月に米アラバマ州のタラデガ・スーパースピードウェイで行われたレースの前、米南部ではリンチの象徴とされている輪縄のようなものが、ウォレスのガレージのドアにつるされているのが発見された。
 これにはNASCAR界で怒りが噴出し、ウォレスのドライバー仲間が偏見への抗議行動を示したが、連邦捜査局の捜査では、問題の輪縄はレース日の数か月前から車庫に置いてあったものだったとして、憎悪犯罪ではなかったと結論付けられた。
 トランプ大統領はこの日、「結局またも全部でっち上げだったのに、自分を助けに来て味方になり、喜んですべてを犠牲にすると表明してくれた素晴らしいNASCARドライバーや関係者にバッバ・ウォレスは謝罪したのか?」とツイッターで皮肉った。
 これに対して26歳のウォレスは、「次世代」への激励メッセージを投稿すると同時に大統領を公然と非難し、ファンに対して「たとえ、それがPOTUS(米大統領のツイッターアカウント)から発信された憎悪であろうとも、日々憎しみより愛」を大切にしようと訴えた。
 輪縄が見つかったのは、ウォレスらの呼び掛けにより、保守系米国人の間で人気が高いNASCARのイベントで南軍旗の掲揚が禁止された直後のことだった。トランプ大統領はこの日のツイートで、南軍旗の撤去と輪縄騒動が「史上最低の支持率を招いた!」とも主張している。
 11月の大統領選を前に、またしても社会を分断するレトリックを使ったトランプ大統領は、米スポーツ界で先住民族を意味する球団名を見直す動きがあることについても言及した。 【翻訳編集】AFPBB News
https://news.goo.ne.jp/article/afpbb/sports/afpbb-3292389.html

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