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アイヌ文化体験、スノーシュー…体験型観光、登別温泉で始動 5日からモニターツアー

2023-02-01 | アイヌ民族関連
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北海道新聞2023年1月31日 22:43(1月31日 23:04更新)
 【登別温泉】昨夏発足した一般社団法人「登別アドベンチャー協会」の活動が本格化する。アウトドア活動や文化体験を組み合わせた体験型観光「アドベンチャートラベル」(AT)を登別温泉の新たな誘客の柱に据えようと、5日から旅行会社の担当者を対象にしたモニターツアーを初めて実施。今後増加する訪日外国人の団体客などを取り込んでいきたい考えだ。
 同協会は、第一滝本館のマーク・ネイヴィン副社長が昨年7月に設立。幅広い事業者に声を掛けて加盟者を増やし、プランを開発するなどAT普及に取り組んでいる。モニターツアーはこうした取り組みの一環で、観光庁の補助金を活用して企画した。
 ツアーは3種類。《1》アイヌ文化体験(5、6日)《2》初心者向けスノーシュートレッキング(9、10日)《3》経験者向けスノーシュートレッキング(12、13日)を予定。旅行会社の社員など20人が参加する。
 今回は、登別に隣接する白老町も「同一の観光圏」であることをアピールする狙い。白老町の民族共生象徴空間「ウポポイ」でのアイヌ文化体験や、滝が凍り付いたカジカ沢の「氷瀑(ひょうばく)」(白老町森野)をスノーシューで巡るツアーなどを盛り込んだ。
・・・・・
(山岸章利)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/795187

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難読地名、看板でPR 釧路町 アイヌ語の由来など解説

2023-02-01 | アイヌ民族関連
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北海道新聞2023年1月31日 21:43

「浦雲泊(ぽんとまり)」の新看板。アイヌ語由来の難読地名の意味を解説している
 【釧路町】町は、町内に点在する難読地名をアピールしようと、各地に立つ難読地名看板のリニューアルと増設を進めている。新看板には、由来するアイヌ語の解説を記し、地名が物語る、その土地の成り立ちを伝えている。
 町は1980~90年代に、難読地名が点在する町昆布森地区の海岸線沿い21カ所に看板を設置したが、地名しか書かれておらず老朽化したことから、2020年度に看板の刷新を始めた。
・・・・
(佐竹直子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/795141

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海外の記者ら招き体験型観光紹介 道運輸局、釧路管内でも

2023-02-01 | アイヌ民族関連
会員限定記事
北海道新聞2023年1月31日 21:42
2023年1月31日 21:42

釧路湿原でカヌーを体験するツアー関係者ら。右からカーンさんとラロイさん
 地域独自の自然や文化を楽しむ体験型観光「アドベンチャートラベル(AT)」の誘客に結びつけようと、北海道運輸局などは、海外のトラベルライターらを招いたツアーを釧路管内をはじめとする道内で実施している。道内のATに関する旅行商品の開発や魅力の発信につなげたい考えだ。
 ATに特化した旅行博「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット」が9月に道内で開催されるのを前に、AT目的地としての北海道の認知度を上げようと企画した。今回カナダから、旅行会社社員のアフサヌル・ハック・カーンさん(29)とトラベルライターのクラウディア・ラロイさん(54)を招待した。
・・・・
(松井崇)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/795138

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<今日の話題>釧路で出版する

2023-02-01 | アイヌ民族関連
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北海道新聞2023年1月31日 16:00
 20年前、中東特派員としてイラクの首都バグダッドで取材していた時、こんな言葉を教えられた。
 「カイロで本を書き、ベイルートで出版し、バグダッドで読む」。カイロに著名作家が多く、毎週古本市が立つほどバグダッド市民は読書好き―。本にまつわる各都市の特徴を表現している。
 翻って釧路市はこの三つの要素を併せ持つのではないか。原田康子、桜木紫乃を生み、大型書店「コーチャンフォー」の本社がある。そして小さいながらも編集、印刷、製本を手がける出版社もある。
・・・・・
(黒田理)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/794813

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<デジタル発>生涯連作「野男」の短歌とは 作歌60年、帯広の歌人・時田則雄さんが詞華集出版

2023-02-01 | アイヌ民族関連
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北海道新聞2023年1月31日 10:00(1月31日 16:34更新)
 昨年、作歌60年となった歌人・時田則雄さん(76)=帯広在住=が、これまでの歌集12冊から200首を自選した詞華集「野男(のおとこ)のうた」(角川書店、3300円)を出版しました。「生涯連作」を掲げ、十勝の大自然や、半世紀以上携わってきた農業に対する情熱などを独自の骨太な短歌として発表し続けてきた時田さんに、歌に込めた思いを聞きました。(文化部デジタル委員 大原智也)
 ときた・のりお 1946年、十勝管内川西村(現帯広市)生まれ。帯広農業高を経て、帯広畜産大別科(草地畜産専修)修了後、父親の農場経営を継ぐ。高校時代に短歌を始め、64年に短歌結社「辛夷(こぶし)社」に入会(92年に編集発行人、2011年退会)。80年、角川短歌賞受賞。81年に発表した初の歌集「北方論」で翌82年に現代歌人協会賞。以降、北海道新聞短歌賞(87年)、短歌研究賞(99年)、読売文学賞(2009年)、芸術選奨文部科学大臣賞(同)を受賞。北海道文化賞(12年)など数々の賞を受賞してきた。歌集12冊をはじめ著書多数。現在は北海道新聞で短歌賞選考委員と「日曜文芸」選者などを務める。15年、同人誌「劇場」を創刊し代表となる。日本文芸家協会、現代歌人協会会員。帯広在住。76歳。
■一般の人に届くように
 ――私は短歌には詳しくありませんが、実家が農家だったこともあり、心に染みる歌が数多くありました。繊細なイメージが強い短歌とはまったく異なる、十勝の生活に根付いた骨太な歌を詠まれていますね。
 「それは一番、うれしい言葉だね。私は歌壇という小さな世界だけではなく、一般の人たちに読んでほしいという思いがある。『百姓』を50年以上やってきたので、十勝の大地に根ざした歌を作り“発射”し続けたいと思って活動してきたんだよ」
 ――今回の歌集はこれまでの集大成となる一冊だそうですね。
 「2022年に作歌生活60年を迎えたので、一度区切りをつけようと思って。これまでの歌集12冊3262首から歌を選ぶのは結構しんどかったね。300首や400首では多いし、100首じゃ足りない。200首に絞り、1ページ1首で勝負した。読みやすくなっているんじゃないかな」
・・・・・・
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/794662

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幕別町がアイヌ文化拠点生活館棟新築に24年度着工

2023-02-01 | アイヌ民族関連
北海道建設新聞社2023年01月31日 17時15分
展示館棟は25年度 工事費11億円
 幕別町は2024年度、アイヌ文化拠点空間整備事業の生活館棟新築に着工する。25年度には展示館棟を新築。外構や改修を含む概算工事費は11億3700万円とする。敷地全体をアイヌの集落であるコタンに見立て、アイヌ文化の伝承と来訪者が民族への理解を深める空間とする。23年度は建設地の千住生活館解体と生活館棟の実施設計に取り組む。
 アイヌ民族のコミュニティー活動を支援し、文化継承と町民交流を促進するための新施設を建設。老朽化が進む千住生活館(CB造、平屋、延べ196m²)と蝦夷文化考古館(CB一部W造、平屋、延べ124m²)がある千住113の4などの敷地5522m²を使う。
 新築する2棟はいずれもRC一部W造、平屋、延べ約700m²の規模とし、渡り廊下でつなぐ。生活館棟はアイヌの伝統的儀式ができる伝承室を中心に3つの研修室や調理室を配置。展示館棟は貴重な資料を保管する収蔵庫と展示室で構成する。実施設計は生活館棟を23年度、展示館棟を24年度に発注する。
 駐車場は施設東側と南側で計50台と大型バス用2台を構える。北側にある途別川堤防沿いのサイクリングロードからの通路も確保する。西側にはアイヌ民族の住居チセを実物大で復元。周辺にはチセがあった頃の植栽を再現する。
 千住生活館は23年度、考古館の管理棟は24年度に解体。建築学的に貴重な宝物堂は改修して保存する。
 基本計画はアトリエブンクが担当。概算工事費の内訳は、生活館棟が4億6100万円、展示館棟が4億3900万円、4100m²の外構が1億8000万円、考古館改修が4100万円、生活館解体が1600万円となっている。
 生活館棟は25年度の供用開始を予定。展示棟完成と周辺整備を経て、26年度の全面開館を目指す。
https://e-kensin.net/news/154768.html

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吉田美月喜、冬の北海道ロケを振り返り「ずっと見ていたいと思える景色でした」主演映画「カムイのうた」撮影終了

2023-02-01 | アイヌ民族関連
テレビライフ2023/01/31

左から)望月歩、吉田美月喜、菅原浩志監督
映画「カムイのうた」(2023年秋完成予定)に主演する吉田美月喜、望月歩が撮影終了を迎え、両名と菅原浩志監督からのコメントが到着。併せて、第1弾となる映像が公開された。
1903年に生まれ19歳の若さで亡くなった、アイヌ文化伝承者・知里幸恵さん。自らもアイヌの血を引く知里さんは、文字を持たず、失われつつあったアイヌの伝統文化口承叙事詩「ユーカラ」を、著作「アイヌ神謡集」により初めて日本語で表現。その業績は、アイヌ民族の人々に大きな自信と誇りを与えた。
本作は彼女の生きた姿をモチーフとし、明治・大正期、土地や生活を奪われ衰亡の危機に瀕していたアイヌ民族の生きざまや伝統・文化を雄大な北海道の自然の中に描く。
吉田が知里さんをモデルにした北里テル役、望月がアイヌの青年・一三四役を演じ、2人を取り巻く人物として、阿部進之介、島田歌穂、加藤雅也らも出演。北海道東川町を中心に撮影が進められた。
吉田、望月、菅原監督のコメントは下記に掲載。
コメント
吉田美月喜(北里テル役)
◆冬の北海道での撮影はいかがでしたか?
冬の北海道は初めてでした。夏の北海道での撮影が楽しかったこともあり、この撮影もとても楽しみにしていました。こちらに来てみると大寒波と重なって驚くほどの寒さで(笑)。寒くて手先が痛かったのですが、景色がすごくきれいで「ずっと見ていたい」と思えるいい場所でした。
◆冬の演技を通して感じたことは?
昔は今よりも物が限られた中で生活をされていたと思うのですが、この極寒の中で私たちの衣装よりもっと寒い服装で過ごされていたことを考えると、本当に私たちには想像できない苦労があったんだろうなと感じました。それと、昔からあるわらの靴を履いて撮影をしたのですが、わらの間から雪が入ってくることがないんですよね。こうした道具に触れながら、昔の方々の知恵と工夫で作られているものに感銘を受けました。
◆撮影を振り返って思うことは?
この作品が決まってから、アイヌの人々や北海道の方に納得していただける作品にしないといけない、と思いながら演じさせていただきました。自分の人生の中で、大きくてすてきな文化を知ることができたと感じています。アイヌ文化やアイヌの人々の考え方は、今の時代にも必要なものだと感じて、私自身とても勉強になりました。知里幸恵さんという実在した方をモデルとした役に、真剣に向き合って役に取り組めたことも貴重な経験でした。
望月歩(一三四役)
◆冬の北海道での撮影はいかがでしたか?
吉田さんと同じく、北海道の冬は初めてでした。台本の中での「自然」は、雪のシーンも含めて想像でしかなかったのですが、今回の冬の撮影でやっとこの自然を体験できたことをうれしく思っています。この現場で自分が一番はしゃいでいる自信があるくらい、めちゃくちゃ楽しかったですね(笑)。どこもかしこも雪で真っ白で、「きれいだな」というのが一番の印象です。
◆撮影を振り返って、思うことは?
北海道に来て、この土地の食べものを食べ、空気を吸って、景色を見て、自分の役である一三四に入り込めるように準備をしてきました。その中で、台本にはない部分で、せりふや動きなどが自分の中身から自然と出てきたことに対して、準備したかいがあったなと感じています。それと、北海道の冬は雪が多く、音を吸収するんです。都会のにぎやかさに慣れてしまった僕にとって、その音のない空間にいることは、いろんなことを考えさせられる時間だったと感じています。
菅原浩志監督
この北海道の寒さでは、「演技」ではなく「リアル」が入ってきます。寒さで耳が赤くなり、吐く息が白くなる。吉田美月喜さんと望月歩さんには、この北海道の厳しい寒さの中で生きたテルと一三四を感じてほしかった。撮影は大変ですが、実際の雪、冬を映像に撮ると、ものすごい力があり、その中で、お二人は素晴らしいリアルな演技をしてくれたと思います。
今後のスケジュールですが、北海道の動物や自然、冬だからこそ撮れるものの撮影を進めます。撮影が終わると、映像の編集と音楽や効果音など「音」の創造が始まります。9月には完成し、皆さんに見ていただけるよう準備を進めています。一番最初に北海道の方に見ていただきたく思っています。
「カムイのうた」第1弾映像
https://www.youtube.com/watch?v=U6D11Sk-gXg
作品情報
「カムイのうた」
2023年秋完成予定
〈キャスト〉吉田美月喜、望月歩、島田歌穂、加藤雅也、阿部進之介
清水美砂、天宮良、伊藤洋三郎、菜月、加藤憲史郎、清水伸、茅本梨々華
〈スタッフ〉
監督・脚本:菅原浩志(「ぼくらの七日間戦争」「写真甲子園0・5秒の夏」「早咲きの花」「ほたるの星」「北の残照」「ヌプリコロカムイノミ」)
プロデューサー:作間清子
撮影:上野彰吾
美術:長寿恵
編集:時任賢三
助監督:桑原昌英
製作協力:写真文化首都「写真の町」北海道東川町
https://www.tvlife.jp/movie/538786

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生誕120年を迎える棟方志功の偉業を伝える展覧会が富山・青森・東京を巡回。

2023-02-01 | アイヌ民族関連
Casa January 31, 2023
「世界のムナカタ」として国際的に評価の高い棟方志功の生誕120年を迎える2023年、『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』を〈青森県立美術館〉、〈富山県美術館〉、〈東京国立近代美術館〉の3館が協力して開催する。
青森・富山・東京はそれぞれ、棟方の芸術家としての形成に影響を与えた土地だ。彼と各地域のつながりを軸に、板画(版画のこと。棟方は「板の生命を彫り起こす」という想いから、自らの版画を「板画」と称した)や倭画(肉筆による日本画のことで、読み方は「やまとが」。こちらも棟方自身が名付けた)、油彩画をはじめ、棟方が手がけた本の装丁や包装紙などのデザインも展示。さらには映画やテレビ、ラジオという時代特有の「メディア」出演など多岐にわたる活動を紹介し、棟方志功とはいかなる芸術家であったのかを再考する。
巡回展の皮切りは〈富山県美術館〉(3月18日〜5月21日)。1945年に同県の福光町(現・南砺市)に疎開した棟方は6年間を過ごしたこの地で浄土真宗に触れ、版木が入手困難であることから筆や書の仕事が本格化。肉筆による倭画を描いている。巡回展には棟方の作品を常設展示する〈南砺市立福光美術館〉からも出品される。
続いては、棟方の出身地である〈青森県立美術館〉(7月29日〜9月24日)。ゴッホの絵画に感動し、「ゴッホになる」と芸術家を目指した棟方少年は、青森市内でスケッチをしたという。青森市の初代名誉市民であり、1975年には〈棟方志功記念館〉も開館している。実は同館は建物設備の老朽化などの事情で、残念なことに2024年3月31日をもって閉館することが決定している。
〈棟方志功記念館〉の収蔵品は〈青森県立美術館〉に保管場所を移すことが決まっている。開館以来、青森が生んだ芸術家・棟方の偉業を後世に伝えてきた同記念館の活動は、拡張される専用展示室などで〈青森県立美術館〉に協力する形で継続されることになるだろう。

1954年 棟方志功記念館蔵。版木14枚を使った大作。アイヌの火祭りの儀式をテーマに、中国の高句麗古墳の壁画を参考に制作された。
巡回最後となる〈東京国立近代美術館〉(10月6日〜12月3日)がある東京は、棟方が21歳で上京し、中野区で創作活動を開始した土地だ。芸術家を志す同志や文化人、柳宗悦をはじめとする民藝運動の人々と交流し、彼らから大いに影響を受けた。疎開していた富山から戻った51歳からは杉並区に居を構え、国際展で活躍した彼は、「世界のムナカタ」として知られるようになった。〈東京国立近代美術館〉は、1956年『ヴェネチア・ビエンナーレ』でグランプリを受賞した作品のひとつ「二菩薩釈迦十大弟子」を出品する。
さらに巡回展とは異なるが、青森の〈棟方志功記念館〉では『棟方志功生誕120年記念特別展(仮称)』が6月〜9月に開催予定。閉館前に一度足を運んでみてはいかが?
『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』
〈富山県美術館〉富山県富山市木場町3-20。2023年3月18日〜5月21日。9時30分〜18時。水曜休(5月3日は開館)。巡回予定の〈青森県立美術館〉、〈東京国立近代美術館〉については各公式サイトにてご確認を。
https://casabrutus.com/posts/341460

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地域のライブが面白い。又吉直樹が出会った、全国各地の舞台芸術の担い手たち

2023-02-01 | アイヌ民族関連
SINRA 2023.01.31 Tue
Sponsored by JAPAN LIVE YELL project
新型コロナウイルスの地球規模の流行によって、「不要不急」の名のもと、上演中止や施設の一時閉鎖などの対応が迫られた舞台芸術。ここ数年はその存在意義が問われた期間でもあった。
そんな多くのダメージを被った舞台芸術を応援しようと、文化庁の支援を受け、2020年から「JAPAN LIVE YELL project」が始まった。今年は、同プロジェクトの3年目の事業として、芸人で小説家の又吉直樹さんが全国各地の劇場などライブが生み出される場所を訪ね歩き、そこで働く人々との対話を集めたフォトブック『地域のライブがおもしろい』を制作した。
日本の舞台芸術の多様性が詰め込まれたこの本を通じて、その担い手たちはどのような想いを伝えようとしているのか。ライターの島貫泰介が考える。
不思議、だが正しいアプローチの「旅」の本
素敵な本が届いた。ぱらぱらとめくってみる……と思わず書き走ってしまったものの、実際にはデジタルのフォトブックだったのでノートPCのトラックパッドを中指と薬指ですっさすっさとスワイプしてるにすぎないのだが、それでも素敵であることに変わりはない。
旅の本である。又吉直樹さんが、北海道の赤いレンガづくりの建物や、岩手の瀟洒な洋館や、高知のお座敷のある芝居小屋を訪ねる様子が、人肌の温さのあるフォトジェニックな写真とともに綴られている。だが、旅の本としてはいささか不思議だ。
又吉直樹さんが訪ねる「地域のライブがおもしろい」WEBムービー(ティザー)
https://www.youtube.com/watch?v=jJEqxcm162o
旅情を誘うような、いかにも観光ガイド然とした写真はそれほど多くなく、又吉さんが訪ね歩く理由も、場所よりも人に重点が置かれている。また、彼が出会う人々も、各地の劇場などで働く舞台芸術の担い手たちで、多くは裏方だ。
けれども、目的地であるどこかに訪ねることで経験や発見といった広い意味での出会いを得る「旅」を扱う本として、同書のアプローチはある意味で正しいし、無理がない。旅をするとは、人がつくった物事を訪ねることでもあるからだ。そして、人間の営み(あるいは、営みを重ねる人間たち)が交流し、蓄積する場所の最たるものが劇場だからだ。
また、この本を読み進めていくと、劇場というものが豪華な舞台と機構を備え、訓練された俳優たちが歌い踊る巨大な建築物に限らないのだということもわかってくる。
相互的な関係が生じる「劇場」を高知で垣間見る
例えば高知では、江戸期から昭和初期に建てられた歴史的建造物が残る香南市赤岡町の「赤れんが商家」を訪ねている。この町は、幕末に活躍した絵師である絵金が描いた23枚の芝居絵屏風が有名で、夏祭りの夜には町家の軒下に飾る風習がいまも続く。インタビューされているのは、高知県立美術館でパフォーミングアーツのプロデューサーを務める松本千鶴さんと、この町家の改修・活用プロジェクトに関わる北山めぐみさん。
又吉「東京と高知で違いはありますか?」
松本「個人的にはお客さんとの距離です。例えば東京で1,000人集めようとすると相手の顔が見えてきづらい。それに違和感を覚えて、地域で仕事してみたいなと思ったんです。伝える相手を思い描ける距離で舞台芸術に携わりたいと。で、高知に来て2年目にここで美術館主催のダンス公演を担当したときに、お客さんが各回20人とかで距離が近い。顔が見える。『あ、私が大切にしたいのはコレだ』と思いました」
北山「数か月前の舞台のことを『あのシーン良かったよね』と町で声をかけられたりして。町に余韻がずっと残っているんですよ」
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本には三方の壁面が金色の装飾で覆われた空間で踊るキツネ面のダンサーの写真が併載されていて、ここも北山さんが改修を手がけた同じ古民家の一部屋。北山さんは9年前に兵庫から高知へ移住し、地域の人から赤れんが商家を紹介してもらったのをきっかけに「ワークショップでみんなでこつこつ直しながら、人の集まる『場』として舞台やカフェなどのイベントを開催」してきたと語り、それに又吉さんは「この建物はねえ、残したくなりますよね」としみじみ答える。
同じく、高知の吾川郡いの町で活動する浜田あゆみさん。生家である和紙の製紙会社で働きながら、日本三大和紙として名高い土佐和紙を使ったパフォーミングアーツのプロジェクトを続けている。
浜田「私はこの鹿敷製紙が実家なんです。カナダで舞台芸術を学んで東京で俳優を目指していたんですが、祖父が亡くなった際、久しぶりに戻って来たら和紙の業界がひどい状態で。私の学んできた舞台芸術と組み合わせたら、何かできるんじゃないかとはじめたのがきっかけです。アーティストを招聘し、和紙について学んでもらって、感じたことを作品にしていくという感じです」
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浜田さんの活動がユニークなのは、単純にアーティストを招聘するだけでなく、滞在するかれらが和紙の製造現場を実際に体験したうえで作品をつくる仕組みを編んでいることだ。土佐和紙の制作工程では、刈り取った楮(こうぞ。強靱な繊維は、障子、表具、美術紙など、幅広い用途の原料に適している)を蒸して加工しやすくする「楮蒸し」と、その皮を剥ぎ取る「へぐり」という作業があるが、こういった人手のかかる労働をアーティストも担う。そういった体験が、のちの作品制作につながっていく。
ダンスや演劇とは異なる体系にある技術が、アーティストのなかで転換・転用されて作品となること。それは、前述した古民家を自在に劇場的な空間にもつくり換える北山さんたちの思想にも通じるだろうし、芸術の成立条件を、演じる人(演者)/観る人(観客)という風な役割の単純な二分化に求めないことの大切さを示唆する。
プロセニアムアーチと呼ばれる額縁のような舞台を備えた大きな劇場には、観客が演劇やダンスを集中して観るうえでの「精度」を実現する利点がある。
いっぽう、松本さんが述べたような「お客さんが各回20人とかで距離が近い。顔が見える」小さな空間では、演者も観客が互いに影響を与えたり受け取ったりするインタラクティブな性質が強まる。後者の性質は、例えば「楮蒸し」や「へぐり」を熟練者である地元の人たちと、かれらの技術を見よう見まねで学ぼうとするアーティストたちが関係しあう作業風景にも重なるだろう。そういった相互的な関係が生じるあらゆる場所は、きっと「劇場」と呼ぶにふさわしい。
コミュニティーに向き合うことの意味を考える
又吉「東京でしばらく活動されてて、それで岩手に戻られたんですよね。違いってありますか?」坂田「本質的には一緒なんだという気はしてるんですが、東京の方ほうがミスができない現場とか、渡せないことっていっぱいあると思うんですよ」
又吉「コンビニでバイトしたことあるんですけど、研修中は朝のいちばん人が来る時間はレジ立たせてもらえないみたいな」
坂田「そうですね(笑)。アーティストにとっても僕らのようなマネジメントにとっても、地域には余白があって。自分と向き合う時間であったりとか、空気とか、都市と切り離したところで持つっていうことが、人間性にとっても重要なんじゃないかなと思うんです」
又吉「余白っていうのが、ひとつポイントですね。都市部では、そういうエンターテインメントとかアートとかがわりと体系化されてますもんね」
坂田「地域に行けば、その枠すらないから、そこでもう1回なにかを捉え直すっていう作業ができるんじゃないかなと」
場所は変わって、岩手。ここで又吉さんと語り合っている、岩手県文化芸術コーディネーターや三陸国際芸術祭のディレクターなどを務める坂田雄平さんは、地域における余白の意義に言及している。「(岩手では)利用がないときは劇場スタッフの帰りが5時半ということも(笑)。そのあと芸術活動とか、自分の好きなことやるとか、ちょっとあるのかなと思って、そこもすごく、好きなんですよね」と、坂田さんは言葉を継ぐ。個々の人たちの「好きなこと」は必ずしも芸術活動に限らないにしても、本業とは別の次元を持ちやすいのは地方の特質かもしれない。
島根編に登場する、フリーの舞台監督として働く和田守肇さんも「はじめは東京で仕事していて、舞台の仕事で島根に来たときに、いまも一緒に仕事している音響さんと照明さんが休憩時間に自分の畑の大根の育成具合の話とかするんですよ。東京なら現場のグチとかなのに、『すごいなこの人たち。人として本物だ。こっちで生活しなきゃ』って移住しました」と熱く語っているのが面白い。
しかしここまで読み進めてきて、気づいた読者がいるかもしれない。この本に登場する人々の多くが、東京などの大都市での就労経験を経て、それよりも規模の小さな地域に移り住んだIターンやUターン組であることに。
じつを言うと筆者も約6年前に東京から京都に移り住み、現在は大分県別府市でも暮らしている変則的なIターン移動者なのだが、「隣の芝は青い」的な感覚を地域に対して抱いているのではないか、という自分への不信が少なからずある。東京・京都・大分を行き来する生活のなかで得られた、それぞれの土地を相対的に見る視点はライター/編集者としては大きな意味があるが、それはつねに自分を「外」に置き、「内」とは一定の距離を置くことでもある。そんな自分が、端的に搾取的に思える。
そこでハッとさせられたのが、北海道編で登場するアイヌの伝統歌を歌う「マレウレウ」のメンバーであるマユンキキさんの言葉だ。
マユンキキ「自分がずっと住んでいた場所に向き合うって大変だと思うんです。外に出て、外で変えていくことの方がラク。でも、育った場所、コミュニティーに向き合い続けることに意味も意義もあると思う。本当にもうイヤなことのほうが多くて、こんな狭い世界大嫌いとかいつも思うんですけど、そこから簡単に逃げてしまうと、いろいろなことが丁寧にやれないんじゃないかと思って(中略)よく『アイヌの文化はすばらしい』って言われるんですけど、150年ぐらい前の話をしていて、いや150年前ならあなたの地元にもすばらしいものがあったはずって思います。方言、歌、踊り、郷土芸能ってどこにでもあるので。それぞれの地域がそういうものを探ったら、日本全体としてもうちょっと豊かになるんじゃないかなと思います」
-

マユンキキ
150年というのは大変に長い時間だ。それは誰もが簡単に遡れるものではないし、遡るために必要な知恵や知識やセンスは、とくに今日の日本では誰もが得られるものではなくなりつつある、というのは前提だと思う(だから単純な日本礼賛の言葉がSNSやメディアに溢れているのだろう)。しかしここでマユンキキさんが言っている「簡単に逃げてしまうと、いろいろなことが丁寧にやれないんじゃないか」という言葉のリアリティーは重い。
本を読むことは迷うことである。だから大きく確かな答えをこの本から得る必要もない。高知から読み取った、多様な「劇場」のかたち。岩手での「余白」。人として本物だと感じさせる、島根における生活者の多層性。北海道で示された、コミュニティーに向き合うことの意味。
この本から、そういったアイデアの断片を切れ切れに受け止めて、心のどこかにつなぎ留めておくことは、旅のなかで経験することに近いのではないか。
又吉直樹さんが訪ねる「地域のライブがおもしろい」WEBムービー(北海道編)
https://www.youtube.com/watch?v=oFHyT5_M_XM
又吉直樹さんが訪ねる「地域のライブがおもしろい」WEBムービー(岩手編)
https://www.youtube.com/watch?v=1lUjc10lB9o
又吉直樹さんが訪ねる「地域のライブがおもしろい」WEBムービー(高知編)
https://www.youtube.com/watch?v=LQtc5qnJBX4
『地域のライブがおもしろい』
仕様:A5判 オールカラー136ページ
発行:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)
 「JAPAN LIVE YELL project 」事務局
Web公開日:2023年1月31日(火)
https://jlyp.jp/
出力版のフォトブックも配布予定
https://www.cinra.net/article/202301-matayoshinaoki_iwmkr

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困難女性支援法の厚労省有識者会議、”多様性”に疑問続々

2023-02-01 | アイヌ民族関連
ビジネスジャーナル2023.01.31 18:00
 政府や有識者会議の政府方針に関する議論に、すべての“困難を抱えている女性”たちの声が網羅されていないのではないか――。
 厚生労働省に設置された「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針などに関する有識者会議」での議論に対し、障害者女性、高齢者女性、シングルマザー、アイヌ女性、女性依存症者、レズビアン、バイセクシュアル女性、トランスジェンダー女性、セックスワーカー女性、元受刑者女性らの有志が1月30日、参議院会館内で院内集会「困難女性支援法のよりよい運用を願うつどい」を開いた。
 アジア女性資料センター、岩手レインボーネットワーク、Siente、SWASH、ダルク女性ホーム大阪、DPI女性障害者ネットワーク、Transgender Japan、Broken Rainbow Japan、メノコモシモシ、わくわくシニアシングルズの10団体の代表者もしくは代理人が出席し発言。集会には、社民党党首の福島瑞穂氏、立憲民主党参議院議員の水野素子氏、同川田龍平氏、同党衆議院議員大河原雅子氏ら現役議員のほか、自民、国民民主両党の関係者らも出席した。
有識者会議は「若年女性の性暴力被害に特化」

困難女性支援推進支援事業の概算要求資料(厚労省公式サイトより)
 これまで困窮女性への公的支援の根拠法となっていた売春防止法(売防法)に代わって、複雑・多様化、かつ複合的なものとなっている“困難な問題を抱える女性”に対する法的枠組みを作るため、議員立法されたのが“困難な問題を抱える女性への支援に関する法律”(以下:新法、昨年5月25日公布、来年4月1日施行)だ。
 この新法で、政府は全国の自治体が策定する「困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本計画の指針となるべきもの」を定めることとされている。この基本方針案について検討することを目的とした有識者会議が昨年11月7日に召集され、今年1月16日に基本方針(案)が示された。20日から、同専門家会議は同方針に対するパブリックコメントを求めている。
 集会の出席者らは基本方針(案)にセックスワーカーへの職業差別や、LGBTQ、アイヌ民族、障害者、中高年女性らの視点が欠けていると指摘。「有識者会議は“困難女性”というフレームで議論しているのにも関わらず、“若年女性の性暴力被害”にまるで特化したような発言が目立ち、(方針策定のために行われた困難女性の実情に関する)ヒアリング対象者に非常にも非常に偏りがある」「女性とは“誰のこと”なのか。支援は誰にとって必要なものなのか。その有様は多様なものであることを(多くの女性活動家は)見てきたはずなのに、その声が届いていない」などと、疑問の声が続々と上がった。なお同有識者会議の委員は以下の通りだ。
赤池恵理 全国婦人相談員連絡協議会会長
榎本光宏 東京都福祉保健局少子社会対策部育成支援課課長
大谷 恭子 弁護士/一般社団法人若草プロジェクト代表理事
戒能民江 お茶の水女子大学名誉教授
近藤恵子 NPO法人全国女性シェルターネット理事
https://biz-journal.jp/2023/01/post_332266.html

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先住民“虐殺”で捜査命令 ブラジル当局、前政権対象

2023-02-01 | 先住民族関連
東京新聞2023年1月31日 18時47分 (共同通信)

 栄養失調と肺炎のため、治療先に搬送されるヤノマミの子ども=29日、ブラジル北部ロライマ州(ロイター=共同)
 【サンパウロ共同】ブラジル北部ロライマ州などに住む先住民族ヤノマミが、違法な鉱物採掘に伴う環境汚染により死亡が相次いだり健康を害したりしているとして、同国最高裁は30日、ジェノサイド(民族大量虐殺)などの疑いで、右派ボルソナロ前政権の関係当局の捜査を検察などに命じた。
 ヤノマミはブラジルとベネズエラの国境地帯に住み、人口3万人超。法務省の推計によると、ボルソナロ政権の4年間に約570人の子どもが死亡した。鉱物採掘に使われる水銀による川の汚染や栄養失調、飢餓などが原因という。
 保健省は20日、ヤノマミの居住地に公衆衛生上の緊急事態を宣言した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/228511

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【先住民は知っていた】「地中の菌類ネットワーク」をめぐる驚異の科学的発見

2023-02-01 | 先住民族関連
ダイヤモンドオンライン2023.2.1 3:15
養老孟司氏、隈研吾氏、斎藤幸平氏らが絶賛している話題書『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』──。樹木たちの「会話」を可能にする「地中の菌類ネットワーク」を解明した同書のオリジナル版は、刊行直後から世界で大きな話題を呼び、早くも映画化が決定した。待望の日本語版が刊行されたことを記念し、本文の一部を特別に公開する。
西洋哲学は「対等」という言葉につまずく
 セプウェップム族の長老メアリー・トーマスの母親と祖母マクリットは、アメリカシラカバに感謝し、必要以上のものを収穫せず、お礼に供え物をするよう彼女に教えた。メアリー・トーマスはアメリカシラカバを「マザーツリー」と呼んだことさえあった──私がその概念を思いつくよりずっと前に。
 メアリーの部族の人々は、何千年も前からアメリカシラカバを通じてそのことを知っていたのだ。彼らの大切なわが家である森に暮らし、すべての生き物たちに学び、対等なパートナーとして彼らを敬うなかで。
 西洋哲学はこの「対等」という言葉につまずく。西洋哲学は、人間はほかの生き物よりも優れていて、自然を支配するものと考えるのである。
「アメリカシラカバとダグラスファーは地下の菌類ネットワークを通じて会話する、っていう話をしたの覚えてる?」と私はそう言って、片手を耳に、もう片方の手の指を唇に当てた。
 3人はじっと耳を傾けた──蚊の羽音に邪魔されながら。このことを理解したのは私が初めてではなくて、多くの先住民族が古くからこのことを識っていたのだ、と私は言った。
 ワシントン州オリンピック半島の東側に住むスコーミッシュ族の、いまは亡きブルース・スビイェイ・ミラーは、森に存在する共生関係と多様性についての物語を語り、森の地面の下には「根と菌類が構築する複雑で広大なシステムが広がり、それが森の強さを保っている」と言った。
「科学のレンズ」で世界を見渡し、
「先住民の叡智」にたどり着いた
「このパンケーキマッシュルームは、地下にある菌類のネットワークの子実体なの」と言いながら私がヌメリイグチ属のキノコをケリー・ローズに渡すと、彼女はその傘の裏の小さな孔をしげしげと観察し、どうしてそのことをみんなが理解するのにこんなに時間がかかったのかと訊いた。
 私はその叡智を、西洋の科学という頑ななレンズを通してたまたま運よく垣間見ることができた。
 大学では、生態系をバラバラの部分に分けて、木や植物や土壌を別々に観察することを教えられた──森を客観的に見るために。こうして森を解剖し、支配し、分類し、感覚を麻痺させることで、明晰で信頼に足る、正当な知識が得られるはずだった。
 ある一つの体系をバラバラにして、その一つひとつの部分について考えるというやり方に従うことで、私は学んだ結果を論文として発表することができた。
 そしてまもなく私は、生態系全体の多様性とつながり合いについての論文を書くのがほぼ不可能であることを知ったのだ。
 対照群がないではないか! と、私の初期の論文の査読者は叫んだ。
 私は、実験に使ったラテン方格[訳注:n行n列の表にn個の異なる記号を、各記号が各行および各列に1回だけ現れるように並べたもの。効率よく実験を行うために使われる]や要因計画、同位体や質量分析計やシンチレーションカウンター、それに統計的有意性のある顕著な差だけを考慮する訓練などを通じ、ぐるりと一巡して先住民の人々が持っていた叡智に辿り着いたのだ──多様性が重要だということに。
 そして、この世のすべては実際につながっているのである。
 森と草原、陸と海、空と大地、精霊と生きている人々、人間とそれ以外のすべての生き物が。
(本原稿は、スザンヌ・シマード著『マザーツリー』〈三木直子訳〉からの抜粋です)
◎誰かとの「つながり」を大切にしたくなる、樹木と菌類の物語『マザーツリー』。気候変動が注目されるいま、自然のなかに秘められた「知性」に耳を傾けたくなるヒントが満載の一冊です。

スザンヌ・シマード Dr. Suzanne Simard
カナダの森林生態学者。ブリティッシュコロンビア大学 森林学部 教授
カナダ・ブリティッシュコロンビア州生まれ。森林の伐採に代々従事してきた家庭で育ち、幼いころから木々や自然に親しむ。大学卒業後、森林局の造林研究員として勤務、従来の森林管理の手法に疑問を持ち、研究の道へ。木々が地中の菌類ネットワークを介してつながり合い、互いを認識し、栄養を送り合っていることを科学的に証明してみせた彼女の先駆的研究は、世界中の森林生態学に多大な影響を与え、その論文は数千回以上も引用されている。研究成果を一般向けに語ったTEDトーク「森で交わされる木々の会話(How trees talk to each other)」も大きな話題を呼んだ。『マザーツリー』が初の著書となる。
【訳者】三木直子(みき・なおこ)
東京生まれ。国際基督教大学卒業。広告代理店勤務を経て2005五年より出版翻訳家。訳書に『マザーツリー』(ダイヤモンド社)のほか、『植物と叡智の守り人』『食卓を変えた植物学者』(以上、築地書館)、『CBDのすべて』(晶文社)ほか多数。埼玉とアメリカ・ワシントン州在住。
https://diamond.jp/articles/-/315812

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アミ族Kolas Yotaka氏、再び総統府報道官に/台湾

2023-02-01 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾1/31(火) 13:21配信

Kolas Yotaka氏
(台北中央社)総統府は30日、台湾原住民(先住民)アミ族出身のKolas Yotaka(グラス・ユタカ)氏(48)を再び報道官に起用することを発表した。Kolas氏はこの日、フェイスブックを更新し、「世界に中華民国台湾を見せていきたい」と意気込んだ。
ジャーナリストだったKolas氏は、桃園市政府原住民族行政局局長を経て2016年、民進党の不分区代表(比例代表)として立法委員(国会議員)選に出馬し当選。その後、行政院(内閣)報道官、総統府報道官を歴任した。昨年11月末の統一地方選で花蓮県長選に挑んだが、国民党の候補に敗れた。
Kolas氏はフェイスブックで、国内外のメディアに台湾の政治や経済をより深く知ってもらえるよう全力を尽くすと表明。中国や台湾の親中派が仕掛ける情報戦が激しさを増していることに言及し、国家としての立場を対外的にしっかり伝えていく姿勢を強調した。
(葉素萍/編集:楊千慧)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d16737c3b06197fd8b2070d81ed50c175310e582

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カナリア諸島で語り継がれる「千のミイラ」はどこへ消えた?

2023-02-01 | 先住民族関連
ナショナルジオグラフィック1/31(火) 9:30配信

テネリフェ島の洞窟で見つかったミイラ。現在、その場所を知る者はいない(PHOTOGRAPH BY FERNANDO VELASCO MORA, COURTESY OF THE NATIONAL ARCHAEOLOGICAL MUSEUM, MADRID)
 1764年、スペイン領カナリア諸島最大の島、テネリフェ島を統治していたスペイン人で歩兵大尉のルイス・ロマンが、島の南部にある峡谷で驚くべき洞窟を発見した。地元の神父で物書きでもあったホセ・ビエラ・イ・クラビホは、カナリア諸島の歴史書のなかで、そのときの様子をこう記している。「素晴らしい神殿が発見された。1000体ものミイラで埋め尽くされている」。こうして「千のミイラ」の伝説が生まれた。
  発見から2世紀半たった今、エルケス峡谷(「死者の峡谷」という意味)で、私(筆者のエマ・リラ)たちは地元の考古学者の大半が伝説の「千のミイラの洞窟」だと考えている場所にやって来た。伝説の洞窟の正確な位置の記録は存在しない。その場所は、ごく限られた人たちの間で口承によって伝えられてきた。
「考古学者としては、“千のミイラ”はたぶん誇張された表現だと思います。とにかくたくさんのミイラがあったと言いたかっただけで、おそらくは数百体でしょう」と話すのは、地元の歴史家でありエジプト学者のミラ・アルバレス・ソーサだ。
 この島で最初に発見されたミイラは、「千のミイラ」ではなかった。地元の伝承によれば、大きな洞窟に、植民地になる前の島々を治めていた9人の王の神殿があったという。だがその洞窟の場所は秘密にされていて、記録も残されていない。地元の人々は先祖の思い出を守るため、この島の先住民グアンチェの人々が眠る場所を決して明かさない。
 ミイラが永眠の地である洞窟から勝手に持ち出され、洞窟の場所もわからなくなり、18世紀の探検家たちにとっては疑いようのない事実だったことが、伝説へと変わってしまった。ただし、洞窟の場所こそわからなくなってしまったものの、発見されたミイラのごく一部は、完全な状態をとどめたまま、今も博物館に収蔵されている。
「千のミイラ」は一体どこに…?
 ロマンは研究用の標本として、洞窟から数体のミイラを持ち帰った。18世紀のヨーロッパにおいて、ミイラは科学的好奇心と新奇なものに対する興味をかき立てる存在で、ロマンのミイラは、学者と収集家の両方から関心を集めた。どういうわけか、ロマンに同行した記録係は洞窟の場所を記さなかった。略奪を防ぐつもりだったとすると、残念ながらその目的は果たされなかったといえる。1833年までには、ミイラは洞窟に一体も残っていなかったことが、複数の資料からわかっているのだ。
 テネリフェ島にある生物人類学研究所の学芸員を務める考古学者マリア・ガルシアは、研究所が所蔵するテネリフェ島の30体ほどのミイラについて、来歴や年代、出土した地などを丹念に調べて目録を作った。いずれも島の各地で、登山者や羊飼いによって発見されたものだ。そこで疑問が残る。「千のミイラ」はどうなったのだろう? もしかしたら、まったくの作り話だったのだろうか。
「組織的な略奪行為があったのです」とガルシアは断言する。「17~18世紀、ヨーロッパの教養人にとって、ミイラは大変魅力的なものでした。カナリア諸島から持ち出されたミイラは世界各地へ送られ、博物館や収集家のコレクションになりました。なかには粉末状にすり潰されて媚薬にされたものすらあります」
※ナショナル ジオグラフィック日本版2月号特集「カナリア諸島のミイラ」より抜粋。
文=エマ・リラ(ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e6c493104f051383d982dd62c1e78a5eeda44f8

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2023年さっぽろ雪まつり、大通4丁目STV広場に実寸大のティラノサウルスとカムイサウルスの大雪像

2023-02-01 | アイヌ民族関連
リスヴェル2023年01月31日公開

札幌テレビ放送(STV)によると、2023年2月4日(土)から11日(土・祝)までの8日間、札幌で開催される「第73回さっぽろ雪まつり」の大通4丁目STV広場で北海道と復活をテーマに、実寸大のティラノサウルスとカムイサウルスが純白の大雪像として登場する。
最大・最強の肉食恐竜であるティラノサウルスは、約7200万年前の北海道において生存していたとされる北海道とゆかりがある恐竜でもある。また、北海道むかわ町穂別地区から日本初の大型植物食恐竜の全身骨格化石として発掘されたカムイサウルスは、2019年9月6日に先住民であるアイヌの言葉で「神」を意味する「カムイ」を含めた「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名された。奇しくも同日は甚大な被害をもたらした北海道胆振東部地震からちょうど1年を迎えた日付ということで『復活のシンボル』とも称されている。
この大雪像の制作にあたるのは、結成から9年、様々なテーマにチャレンジしてきた「さっぽろ雪まつり大雪像制作委員会・第3雪像制作部会」。長年の経験と匠の技術を駆使して、圧倒的な迫力と繊細なディテールを純白の雪で表現する。
【第73回さっぽろ雪まつり 大通4丁目STV広場】
開催期間: 2023年2月4日(土)〜11日(土・祝)
大雪像タイトル: 「白亜紀の北海道 〜ティラノサウルス&カムイサウルス〜」
サイズ・雪量: 幅20m/ 高さ10m/ 奥行15m 5tトラック 約550台分
雪像制作: さっぽろ雪まつり大雪像制作委員会・第3雪像制作部会
詳 細:https://stv.jp/event/snowfest/
Twitter(@stv_event) : https://twitter.com/stv_event
Instagram(@stv_event) : https://instagram.com/stv_event/
https://www.risvel.com/news/6519

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