カラパイア2023年02月22日


1941年のハロウィンの日、ラシュモア山の岩壁に18メートルもの大きさの人の顔を彫るという、14年間にわたる大変な作業がついに完了した。
サウスダコタ州にある象徴的なラシュモア山国立記念碑には、(左から)ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーンら4人の歴代大統領の巨大な顔が彫られている。
だが、これら石のファサードの裏に、未完成の大きな隠し部屋があることを知っている人がどれだけいるだろうか?
ラシュモア山の彫刻が4人の大統領になるまでの経緯
アメリカ政府から委託されたデンマーク系アメリカ人彫刻家、ガットスン・ボーグラムによって彫られた「民主主義の聖地」を意味するこれら4人の大統領の顔は、国家の誕生、成長、発展、存続を表すために選ばれた。
当初の計画ではスー族の長、レッドクラウドなど、アメリカ西部に深く関わりのある人物も含める予定だった。
オグララ・テトン・ダコタのリーダーであるレッド・クラウドは、1865年から1867年にかけて、先住民の土地に道路を建設しようとするアメリカ政府から西部の領土を守るために戦った。
だが、ボーグラムが主任彫刻家として任命された後、地元に貢献した者ではなく、全国的に顔の知れた人物を描くことが支持され、この計画は破棄された。
1869年に、全国婦人参政権協会を設立し、女性の平等な投票権を確立したスーザン・B・アンソニーの顔も、その役割を広く認識するために、この建造物に刻まれる予定だった。
ところが、この計画も破棄されてしまった。すでに工事が始まっていたため、彼女を含めるべしという提案書の提出が遅すぎたのだ。
彫刻の変更に加えて、ボーグラムは当初、1776年から1906年までの米国史においてもっとも重要な9つの出来事の詳細を文章として岩壁に刻むつもりでいた。
しかし、よほど大きく彫らないと、地上から判読できないということで、この計画も却下された。
https://www.youtube.com/watch?v=TspNYIIzQVQ
彫刻の裏に巨大な部屋を作ることにしたが未完に終わる
その代わりにボーグラムは、彫刻の裏に巨大な部屋を作ることにした。
それはホール・オブ・レコードと呼ばれる部屋で、山の裏にある洞窟からアクセスすることができる。
24×30メートルの広さの空間と、外の岩に作られた高さ6メートル、幅4メートルの出入口につながる花崗岩の階段を作るつもりだったのだ。
ホールの入口には、12メートルのワシのブロンズ像をドアの上に設置し、そこに「アメリカの前進」という言葉を刻む予定だった。
巨大な部屋には、憲法、独立宣言、その他の歴史文書を所蔵するガラスのキャビネットも設置することになっていた。
この部屋はボーグラムの芸術家としての主張を示すものとして機能し、作品の背後にある物語や意味を詳しく説明することができるようになるはずのものだった。
彼は、現在、仰ぎ見ることができる大統領たちの顔がいつの日か、その起源も忘れ去られた謎になるかもしれないと考え、この部屋を将来の文明のために保存するつもりだった。
だが、これらの計画はことごとく実現することはなかった。
1941年にボーグラムが亡くなると、部屋が完成する前に、計画を続行する作業はストップし、同じ年に岩壁の彫刻が完成したとだけ発表された。
現在残っているのは、長さ23メートル、天井までの高さ11メートルの、なにもない未完成の空間につながる、アクセス不能の5メートルの出入口だけだ。
部屋は完成することはなかったが、1998年にホール・オブ・レコードの扉に記録保管庫が追加された。
保管庫の内部の琺瑯(ほうろう)のパネルには、ラシュモア山がどのように誕生したのか、岩壁に刻まれた4人の大統領の略歴、彫刻家の伝記、独立宣言の言葉が示されている。
保管庫の冠石には、ボーグラムの言葉が次のように刻まれている。
...指導者たちがどのような人物だったかを後世に示すために、彼らの言葉、彼らの顔を天にできるだけ近いこの高みに刻み込もう。
そして、これらの記録が風雨だけで磨り減り消えてしまうまで、持ちこたえることができるよう祈りを捧げよう
References:What’s Inside Mount Rushmore’s Secret Chamber? | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo
https://karapaia.com/archives/52320154.html