北海道新聞2024年12月3日 21:26(12月3日 22:02更新)
阿寒摩周国立公園が4日、1934年(昭和9年)に国立公園に指定され90年の節目を迎えた。道内で最も歴史のある国立公園で、火山と湖が織りなす絶景は多くの人々を魅了してきた。公園の成り立ちや歩みを振り返るとともに、阿寒湖周辺の自然景観を守ってきた前田一歩園(釧路市)の新井田利光理事長と、観光地として公園と共存してきた川湯温泉旅館組合(弟子屈町)の榎本竜太郎組合長に公園の魅力を聞いた。
阿寒摩周国立公園は1934年12月4日、阿寒国立公園として指定された。同3月16日の瀬戸内海、雲仙、霧島に次ぐ指定で、道内7カ所ある国立公園のうち、上川、十勝管内にまたがる大雪山国立公園とともに最も長い歴史を持つ。2017年に阿寒摩周国立公園に名称が変わった。
面積は釧路、根室、オホーツク、十勝管内の1市10町にまたがる9万1413ヘクタール。阿寒、屈斜路、摩周の三つのカルデラ地形(火山の噴火活動でできた巨大な凹地(おうち))が特徴で、国内では最大、世界でも有数の広さのカルデラ地帯だ。
13万~10万年前に形成された屈斜路カルデラに雨水がたまってできた屈斜路湖(面積約80キロ平方メートル)は国内最大のカルデラ湖として知られる。厳冬期には湖水が凍結し、割れた氷がせり上がる「御神(おみ)渡り現象」が見られる。
摩周カルデラは三つの中で最も若い約7千年前に形成された。その中核をなす摩周湖は世界でも有数の透明度を誇る一方、「霧の摩周湖」と呼ばれ、湖上に雲海として霧がたまることもある。
屈斜路湖と摩周湖の間の川湯温泉街に近い硫黄山では噴気孔を間近に鑑賞できる。
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(聞き手・今川勝照)