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人生の絶頂を迎えた式の壇上で倒れて死去…「文化人類学」を生み出した天才の「壮絶な最期」

2024-12-10 | 先住民族関連

現代ビジネス2024年12月10日

「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。

※本記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。

「生のあり方」を考える

『はじめての人類学』2章、3章ではそれぞれイギリスの人類学者マリノフスキと、フランスの人類学者レヴィ=ストロースを取り上げました。もうひとつ忘れてはいけないのが、アメリカの人類学です。

そもそも南北戦争(1861―1865)を経た19世紀末から20世紀初頭にかけて、アメリカの人類学の形成には、すぐ近くに先住民であるネイティブ・アメリカンがいたという事実が大きく関わっています。遠く離れた土地ではなく、自分たちの住む場所で古くから暮らしていた先住民に対する研究が進められていったのです。

アメリカは、移民がつくった国でもあります。18世紀の後半以降、イギリスやその他のヨーロッパ諸国からやって来た移民たち、19世紀初頭までの時期にアフリカから強制的に連れてこられた黒人奴隷たち、19世紀以降にやってきたアジア系移民などが合わさることにより、アメリカという国がつくられました。そうした状況の中、ドイツからの移民であったフランツ・ボアズによって生み落とされたのがアメリカの人類学です。

20世紀に入るとアメリカでは急速に工業化が進みました。その影響によって都市環境の悪化、貧富の格差や黒人の市民権をめぐる課題などの問題が噴出し、アメリカは社会改良と制度調整に取り組まなければならなくなりました。このような時代に直面し、発展したのが、アメリカの人類学だったのです。

アメリカの人類学は同時期に英仏で生まれた人類学からだけでなく、その他の諸科学からの影響を受けながら発展しました。「文化」という概念に拠りながら培われたアメリカの人類学は、「文化人類学」と呼ばれます。文化とは、端的に述べれば「生のあり方(ways of life)」のことです。本章では、ボアズとその学生たちが築き上げていった「生のあり方」をめぐるアメリカの人類学を取り上げます。

ネイティブ・アメリカンの研究には、古くは聖フランシスコ会原始会則派の布教に向かったフランス人ガブリエル・サガールの1632年の『ヒューロンの大地への長い旅』や、1724年のジェスイット派のフランス人神父ジャゼフ・ラティフォーの『北米インディアンの習俗と原始時代の習俗との比較』などがありました。17世紀の哲人ジョン・ロックは1675年から1679年までのフランス滞在中に多くの旅行書を買ったのですが、そのうちの一冊がサガールの著書だったと言われています。

スピーチの途中で突然…

ドイツの貴族マクシミリアン・フォン・ウィート=ノーウィートは、1839年から1841年にかけて2巻本『北米奥地探訪』を出版しています。その中では、ミズーリ川流域に住むマンダン、ヒダツァなどのネイティブ・アメリカンが描かれています。

そんなアメリカのネイティブ・アメリカン研究を大きく発展させたのが、ドイツ生まれの移民だったボアズです。

1858年にドイツのウェストファリア地方のミンデンのユダヤ人の家に生まれたボアズは、ドイツ北部のキール大学で物理学を修め、水の色の認識についての博士論文を執筆し、1881年に博士号を取得しています。

博士号を取得した後、環境と人間の心理の関係に興味を持ったボアズは地理学に転じます。当時、彼は「個々の文化は独自に発生する」という文化史観を持っていた博物学者アドルフ・バスティアンの影響を受けていました。そして産業化し、ますます複雑になっていく社会とは反対の単純な環境で生き続けている人たちを調査研究するために、1883年にカナダ北東部のバフィン島へエスキモーの調査研究に出かけます。そこでボアズの人類学者としての人生がスタートしたのです。バフィン島の調査をきっかけに非西洋の文化に関心を持ったボアズは、その後、ベルリンの民族博物館に勤め始めます。

ドイツはその頃、ヨーロッパの中では発展途上国でした。鉄血宰相として知られるビスマルクがイギリスやフランスに対抗できるような国民国家としてのドイツの統合を目指すようになったのは、これよりまだ後のことです。当時、ドイツでは徐々にユダヤ人が排斥される風潮が高まっていました。ユダヤ人であったボアズはその流れに巻き込まれ、憂鬱な日々を送っていたのです。

そんな折、ボアズは1886年にふたたび北米西海岸の調査研究に出発し、そのままアメリカに移住することを決めます。彼は1887年にニューヨークで市民権を得て、1889年から1892年までクラーク大学で人類学を講じています。

ボアズはシカゴの博物館勤務を経て1896年にコロンビア大学の講師になり、1899年には教授に昇進します。そこでアメリカ初となる人類学の博士課程の設置に力を注ぎました。その後、コロンビア大学を1937年に退任するまでの間に、多くの後進を育てます。1942年、ボアズは彼の栄誉を称える記念昼食会の席上で「人種に関する新しい理論を考えだし……」と呟き、そのスピーチが終わる前に倒れ、そのまま息を引き取りました。

さらに連載記事〈なぜ人類は「近親相姦」を固く禁じているのか…ひとりの天才学者が考えついた「納得の理由」〉では、人類学の「ここだけ押さえておけばいい」という超重要ポイントを紹介しています。

https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/人生の絶頂を迎えた式の壇上で倒れて死去-文化人類学-を生み出した天才の-壮絶な最期/ar-AA1vyoLg?ocid=BingNewsVerp


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学校教育に「熟議」の場を 函教大で市民教育学会大会

2024-12-10 | アイヌ民族関連

梶蓮太郎 有料記事

北海道新聞2024年12月9日 22:08(12月9日 22:52更新)

道内での研究事例を報告した日本シティズンシップ教育学会第5回大会のシンポジウム

 市民(シティズン)としての資質育成を目指す「シティズンシップ教育」を研究する日本シティズンシップ教育学会(東京)の第5回大会が7日、道教大函館校(函館市八幡町)で開かれ、文化的多様性をテーマに同大教員らが講演した。

 全国の学校教員らの研究発表などに続いて行われたシンポジウムで、約30人の来場者を前に3人が講演。道教大函館校の奥田秀巳准教授(教育哲学)は哲学的な議論を楽しむ「哲学対話」を例に、「自由に発言できる『熟議』の場を教育に取り入れることが、協力して問題を解決する力につながる」と述べた。

 ・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1098579/


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侵略戦争題材に学習会 釧路 釧教大の山元教授が講演

2024-12-10 | アイヌ民族関連

三島七海 有料記事

北海道新聞2024年12月9日 21:12

太平洋戦争までの経緯を学んだ集会

 83年前の1941年(昭和16年)の太平洋戦争開戦の引き金となったハワイ真珠湾攻撃があった8日に合わせ、日本の「侵略戦争」をテーマにした学習会が市生涯学習センターで開かれた。特攻隊の歴史などに詳しい道教大釧路校の山元研二教授(社会教育学)が講演した。

 「平和を語る釧路市民の会」が主催し、40人が参加。山元教授は「『敗戦80年』を前に『開戦』の意味を考える」と題し、日本のアジアへの対外政策の思想の系譜を紹介した。朝鮮半島の植民地化を巡って、日清戦争や日露戦争に向かった流れを説明し、「明治政府がアイヌ民族に対する同化政策を『成功例』に、朝鮮半島を侵略していった」とした。

 ・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1098516/


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自然への敬意体感、アイヌ古式舞踊 浦河・文化保存会の練習に記者参加

2024-12-10 | アイヌ民族関連

和田樹 有料記事

北海道新聞2024年12月9日 18:00(12月9日 21:14更新)

浦河アイヌ文化保存会のメンバーと練習した熊送り儀礼の舞「カムイリムセ」

 【浦河】自然や神々を敬うアイヌ民族の生活から生まれたアイヌ古式舞踊。町立郷土博物館の体験講座が10月~来年1月に開かれる予定だったが、参加者が集まらず中止となった。記者が特別に、古式舞踊の練習に参加させてもらい、その魅力に触れてみた。

 11月中旬、体験講座を指導する浦河アイヌ文化保存会の活動場所である町堺町生活館に会員10人が集まった。三関佳二会長(64)が「動きをまねして覚えよう」と、ササの葉の付いた棒を渡してくれる。タクサと呼ばれ、男性が使う魔よけの道具だという。最初は熊送りの儀礼で踊る「カムイリムセ」と呼ばれる舞に挑戦した。

 副会長の堀悦子さん(71)らの歌に合わせて、左足を横に出すのと同時に右手のタクサを前に突き出し、「ハッ」と掛け声をかける。動きはシンプルだが、膝の屈伸を繰り返して輪踊りを続け、運動不足の記者には結構大変だった。

 堀さんによると熊送りは、神の化身と見なすクマの魂を神々の世界に送り返す意味があるという。クマの毛皮や肉を恵みとしていただく感謝の思いを表し、タクサはクマが天界へ帰る道をきれいにするとのこと。

 続いて、村の守り神の舞「コタンコロカムイ」を体験した。村の守り神とはアイヌ民族があがめるシマフクロウのこと。袖のない着物の裾を両手で持って頭にかぶせると、堀さんが「この格好はフクロウの羽を表現していて、着物の裏地にはフクロウの姿をあしらった文様が刺しゅうされている」と教えてくれた。

 「エッサーラー」の掛け声に合わせ、着物を閉じたり開いたりしながらフクロウになりきる。一定のリズムで同じ動作を繰り返すうち、ずっと踊っていたくなる気がしてくる。

 種まきから収穫までの農作業を表現した踊り「エホレン」や豊漁と安全を祈る踊り「アトゥイソー」も体験。30分ほどの練習で良い汗が流せた。

 古式舞踊は、自然や神々への敬意や感謝を表現したものが多い。世界各地で自然災害が猛威を振るい、人間の無力さを感じる今だからこそ、学ぶべきものが多いと感じる体験だった。

☆カムイリムセの二つ目のム、コタンコロカムイのロは小さい字

・・・・・・・・

 同会の年内最後の古式舞踊練習は11日午後6時半から、堺町生活館で行われる。見学や体験の希望者は同館、電話0146・22・5795へ。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1098360/


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<新刊と文庫>「昭和百年 おもいでの夜行列車」など (一部抜粋)

2024-12-10 | アイヌ民族関連

 

北海道新聞2024年12月8日 5:00

<単行本>

・・・・・

<北海道の新刊>

◆桑原真人・川上淳監修、神宮寺一画「北海道とアイヌ民族の歴史」=講談社学習まんがの別巻。続縄文時代から近現代まで北の大地とアイヌ民族の歩みをエピソード豊かにひもとく。講談社、1980円

・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1098173/


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福永壮志監督、今を生きるアイヌ父子のドキュメンタリー

2024-12-10 | アイヌ民族関連

日本経済新聞 2024年12月10日 5:00 [会員限定記事]

「山女」の福永壮志監督のドキュメンタリー映画「アイヌプリ」が14日公開される。劇映画「アイヌモシリ」の撮影中に知り合った北海道白糠町の天内重樹さんとその家族を追った。伝統的なサケ漁などアイヌ民族の文化を生活の中で継承する姿を通して、今を生きるアイヌの人々に迫る。

モリを使って川のサケを捕るマレプ漁を初めて見に行った時「真っ暗闇の中でシゲさんらは無邪気にサケを追いかけていた。誰に見せるのでもなく、...

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残り562文字

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD290QA0Z21C24A1000000/


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最後は土に返し〝循環〟 アイヌ装い通じ、文化伝える 三重・松阪の武四郎記念館

2024-12-10 | アイヌ民族関連

 

夕刊三重新聞12/9(月) 17:12配信

北海道の国立アイヌ民族博物館員が講演

アイヌの衣服の素材やその特徴について話す北嶋さん=小野江町の松浦武四郎記念館で

 三重県松阪市小野江町の松浦武四郎記念館(山本命館長)は8日午前10時から同館で、国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長、北海道白老町)教育普及室室長補佐の北嶋由紀さん(51)による「アイヌの装い」と題した講演会を開いた。市民ら50人以上が聴講しアイヌの伝統的な衣服を通じて北の大地で自然とともに生きた人たちの考えや姿勢に触れた。

 北海道の名付け親として知られる武四郎が三重県と北海道の縁を結ぶ形で両館共催で開催中の展示「三重から北海道へ―アイヌ文化と出会った人々」(1月19日まで)に合わせて開いた。北嶋さんは同館で、アイヌ民族の衣服作りを中心とする生活技術の文化伝承を担当している。

 この日、北嶋さんは松阪木綿を使った自作の衣装を着て登壇。文化伝承について「先祖代々引き継がれるものが一般的だが、私の場合、講習会で講師から手ほどきを受けて身に付けるものだった」と切り出し、「アイヌの衣服の素晴らしさに開眼して以来、アイヌ刺しゅうを学ぶ過程で多くの師に出会った」と続けた。

 その上で、アイヌ女性に受け継がれた衣服文化の研究に専念したという津田命子さんを挙げて「刺しゅうだけではなくアイヌ文化全般についていろいろ教えてくださった。その教えには『自然から頂いた材料は大切にしなさい。大切に使った後は土に返しなさい。ものは循環している』などがあった」と述べた。さらに「文化伝承者には家族で代々受け継ぐものと、私のようにいわば外部の人が直接権威のある人から指導してもらえるケースもあると知ってほしい」とした。

 また、アイヌの衣服の素材が動物の皮や植物の繊維、草皮に由来していることやその特徴を実物を示して解説した。

 山本館長(48)は「伝統技法はどのようにして受け継がれていくのか。このことは本州に住む私たちにとっても重要な問題。翻って、私たちは伝統文化をどのように伝承していかねばならないか。改めて考える機会になったのでは」と締めくくった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06ad8004114e82bf98ebd849fcfefe194bfe5a19


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国分北海道×ジェイアール東日本企画、アイヌ伝統料理をアレンジして商品化

2024-12-10 | アイヌ民族関連

 

リアルエコノミー 2024年12月9日 10:30 AM

 国分北海道(本社・札幌市中央区)は、ジェイアール東日本企画(同・東京都渋谷区)と共同開発した、アイヌ文化の魅力を発信する「イワシのつみれ入りオハウ」と「シラリのベイクドケーキ」を、2024年12月13日(金)から発売する。

(画像は、「シラリのベイクドーキ」)

 ジェイアール東日本企画は、北海道が、アイヌ伝統料理の普及を目的に実施している「アイヌ文化魅力発信事業」を受託している。国分北海道は、同社と組んで、アイヌ伝統料理を現代風にアレンジして、2商品を開発した。「イワシのつみれ入りオハウ」は、イワシのつみれと食べやすいサイズにカットした大根、人参、きのこ類を塩と昆布などで、シンプルに味付けしたもので、具材の食感と体に優しい味わいを楽しめる。オハウとは、アイヌ語で具がたくさん入った汁を意味する。

「シラリのベイクドケーキ」は、酒粕を原料に使用した、食べやすい一口サイズのベイクドケーキで、大人向けスイーツとして楽しめる。アイヌ語で、シラリは、神様への供物として重要な役割を果たしていた、トノト(酒)を濾してザルに残る酒粕のこと。酒粕のほんのりした香りと優しい甘さが、口いっぱいに感じられる。

「イワシのつみれ入りオハウ」は、内容量195g、参考価格500円(税別、北海道内)、賞味期限36ヵ月。「シラリのベイクドケーキ」は内容量208g(5個)、参考価格700円(税別、北海道内)、賞味期限100日。主な販売先は、北海道内観光地売店、道の駅、土産物店、量販店、北海道外アンテナショップなど。

https://hre-net.com/newitem/79901/


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【岡山大学】岡山大学代表学生が「次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World」2024日本代表団報告会に出席しました

2024-12-10 | 先住民族関連

 

国立大学法人岡山大学 2024年12月10日 06時26分

2024(令和6)年 12月 10日
国立大学法人岡山大学 https://www.okayama-u.ac.jp/

◆概 要

 2024年11月15日、「次世代リーダー・グローバル・サミットOneYoung World(OYW)」2024モントリオール大会(OYW 2024 Montreal)の日本代表団報告会が東京の大手町プレイスウエストタワーで行われ、9月18~21日にカナダ・モントリオールで開催された同大会に日本代表団の一員として参加した本学のLin Thu KhaHtaikさん(GDP4年)が出席しました。

 報告会では、一般社団法人One Young World Japan Committee理事の開会のあいさつのあと、OYW 2024 Montreal大会参加者を代表して、企業からの派遣者や派遣元企業の代表者10人が現地での体験や得た知見を報告したり、本サミットへ若手リーダーを派遣する意義などをプレゼンテーション形式で共有したりしました。

 参加者同士のネットワーキングでは、日本代表団メンバーの交流会もあり、学生、社会人を問わず参加者同士で活発な意見交換が行われ、実りのあるフォローアップ会合となりました。

 Lin Thu Kha HtaikさんはOYW 2024 Montrealにおいて、ワークショップやネットワーキングなどで、国家や政治思想等の枠組みを超えて、AI(人工知能)、健康の平等、先住民族の声、平和、気候と生態系の危機など、多岐にわたるテーマについて活発なディスカッションを行いました。

 OYWは今年で14回目の開催となり、本学は2015年のバンコク大会から毎年学生を派遣しています。次回、2025年はドイツ・ミュンヘン大会を予定しています。

○次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World(OYW)
 2009年の世界経済フォーラム「通称ダボス会議」(World Economic Forum、本部:スイス・ジュネーブ)において宣言され、2010年イギリス・首都ロンドン市で開催されてから、年に一度、世界190カ国以上から各国を代表する次世代の若いリーダーたち(18~30歳)が一堂に会する世界最大級のサミットです。世界が直面する地球規模の課題に対し、世界的指導者達の下、次世代リーダーたちが連携して問題を解決するための全世界合同産官学連携の次世代リーダー育成プロジェクトとして、その規模とネットワークを急速に拡大し続けています。
 サミット参加者は「OYWアンバサダー」の称号が授けられるとともに、世界中の約17,000人の有能な若者たちと長年にわたる人脈を広げることができます。
 OYWカウンセラーとして、ノーベル平和賞受賞者でグラミン銀行創設者のムハマド・ユヌス氏をはじめ、首相・大統領、政府関係者、米・フォーチュン誌が発表する世界の企業ランキング「フォーチュン 500」のリーディングカンパニー、文化・スポーツ界、メディア界、NGO、起業家やアーティストなど、さまざまな分野を代表する世界的指導者や著名人などが支援しています。

 https://www.oneyoungworld.com/

◆参 考
・岡山大学One Young World(OYW)のホームページ
 https://oneyoungworld.intl.okayama-u.ac.jp/
・One Young World(グローバルサイト)
 https://www.oneyoungworld.com/
・One Young World(日本サイト)
 https://oywj.org/?lang=ja

◆参考情報
・【岡山大学】「One Young World(次世代リーダー・グローバル・サミット)2021」日本代表団壮行会に本学学生が参加しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000187.000072793.html
・【岡山大学】「One Young World 2021 ミュンヘン大会」(次世代リーダー・グローバル・サミット)に岡山大学2名が日本代表団の一員として参加しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000194.000072793.html
・【岡山大学】『「WE HAVE A DREAM」 × 岡山大学 -世界から僕らは何を学ぶのか- 岡山大学から世界へ飛び立った4人の夢!』コラボ企画展示 開催!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000072793.html
・【岡山大学】本学代表学生がOne Young World(次世代リーダー・グローバル・サミット)2022日本代表団壮行会に出席しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000829.000072793.html
・【岡山大学】「One Young World(OYW)ジャパン大学連携ネットワーク」設立準備会を開催
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000847.000072793.html
・【岡山大学】岡山から世界へ次世代の夢を発信!「One Young World 2022 Hive in Okayama, Japan」を開催
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000904.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学の学生二人が日本代表として次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World 2022に参加
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000926.000072793.html

・【岡山大学】One Young Worldサミットにおける大学間連携の構築のため英国バース大学を訪問

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001043.000072793.html

・【岡山大学】本学代表学生が次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World2023日本代表団壮行会に出席しました

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001624.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学学生が日本代表として次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World 2023に参加しました

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001759.000072793.html

・【岡山大学】平和に関する活動に携わる若者らが集う国際フォーラム「Nagasaki Peace-Preneur Forum」に岡山大学学生が参加しました

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002203.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学代表学生が次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World 2024日本代表団壮行会に出席しました

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002456.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学学生が日本代表として「次世代リーダー・グローバル・サミットOne Young World 2024」に参加しました

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002547.000072793.html


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PRI in Person 2024 トロント大会の概要―― Progressing Global Action on Responsible Investment ――

2024-12-10 | 先住民族関連

 

ニッセイ基礎研究所 2024年12月09日

日本生命保険相互会社 財務企画部 責任投融資推進室 木村武 (編集責任者、日本生命保険執行役員、PRI理事)

日本生命保険相互会社 財務企画部 責任投融資推進室 岩田淳、河合浩、田中祐太朗、林宏樹、宮下雄一

■要旨

  • PRI in Person開催国の政府が責任投資支持のコミットメントを行うという新たなベンチマークが、昨年の東京大会において日本政府(岸田総理の登壇)によって築かれた。その流れは、今年10月に開催されたトロント大会にも引き継がれ、カナダ政府からクリスティア・フリーランド副首相兼財務相が登壇し、「カナダ版タクソノミー」と「気候関連財務開示の義務化」を発表した。
  • 大会テーマとして「責任投資のグローバルな取組みの進展」が掲げられ、異なる環境に属する様々な投資家が協調しながら複雑なサステナビリティ課題に取り組むことの重要性が強調された。PRIが提唱する「プログレッション・パスウェイズ」は、投資家がベストプラクティスを共有することで地域的なギャップを埋める手段として機能し、協働的な学びを促進するプラットフォームになることが期待されている。
  • 従来の気候変動や自然資本といった課題に加え、社会的不平等や、カナダにとって責任投資の文脈でシステムレベル・リスクと深く関わっている先住民族コミュニティ、AI技術などが議論され、サステナビリティ課題に取り組む上で「システム思考」の重要性が強調された。

責任投資の目標として、社会システム全体にポジティブなインパクトをもたらす必要性が議論された。システム思考に基づき、ポートフォリオ全体での戦略的アプローチによる長期的な価値創出が重要であることが指摘された。

1――はじめに

PRI(国連責任投資原則)の年次コンファレンスであるPRI in Person(以下、PiP)が、今年は10月7~10日にカナダのトロントで開催された。

昨年の東京大会では、岸田文雄首相(当時)が登壇し、サステナビリティ・アウトカムへの支持を表明したことに加え、日本の7つの公的年金基金が新たにPRIの加盟に向けた作業をすることを表明した1。開催国政府のリーダーが登壇し責任投資へのコミットメントを力強く発信したことは、投資家にとって力強いサポートとなり、PiPの大きな成功として新たなスタンダードになった。この成功体験は今年のトロント大会にも引き継がれた。本大会ではカナダの副首相兼財務相であるクリスティア・フリーランド氏(Chrystia Freeland)が登壇し、「カナダ版タクソノミー(Canadian Taxonomy)」と「気候関連財務開示の義務化(Mandatory Climate-related Financial Disclosures)」を発表し、2050年までのネットゼロに向けたカナダのコミットメントを示した。東京大会で確立したベンチマークがトロント大会に引き継がれたことで、PiPの開催がポリシーエンゲージメントのグローバルなモメンタムを維持する重要な機会として投資家にみなされるようになった。来年のブラジル・サンパウロ大会においても、このモメンタムが維持されることが期待される。

1 昨年の東京大会の概要については、下記レポートを参照。

ニッセイ基礎研、「責任投資:約束から行動へ―― PRI in Person 2023東京大会の模様―― 」、2023年11月20日

2――大会テーマ:Progressing Global Action on Responsible Investment

本大会では「Progressing global action on responsible investment(責任投資のグローバルな取組みの進展)」という大会メッセージが掲げられ、責任投資行動の進化とグローバルな連携を重視する姿勢が強調された。サステナビリティ課題が気候変動から自然・生物多様性や社会的不平等など様々な分野に広がり、各課題が複雑に相互関連する状況下で、投資家が各々の戦略を持ち、これまで掲げた目標を具体的な実務に落とし込むアプローチを共有する機会が提供された。

この関連で参加者の注目を集めたテーマが、PRIが新たに提唱するレポーティング・フレームワーク「Progression Pathways」である。同フレームワークは、責任投資への取組みを体系化し、進展の道筋をつけ進捗を評価するための包括的なツールとして、PRIと署名機関が共同設計しているものである。従来の一律的なアプローチとは異なり、カスタマイズされたリソースやガイダンスの提供により、各々の署名機関が投資目的に応じた方法で、責任投資の取組みを評価することが期待されている。本大会では、このフレームワークが投資家にとって価値のあるツールとなることや、グローバルなベストプラクティスと各地域の投資慣行とのギャップを埋める上で重要な役割を担い得る点が紹介された。以下、主な発言や議論内容を紹介する。

  • まず、ネイサン・ファビアン氏(Nathan Fabian, Chief Responsible Investment Officer, PRI)は、「署名機関自身の目標と洗練度について説明責任を果たすのはPRIの役割ではなく、Progression PathwaysはPRIに説明責任を負わせるためのものではない」とし、これらはあくまで署名機関の責任である点を強調した。
  • Progression Pathwaysの概要説明に続くパネルセッションでは、フィールド・ビルディング(field building)という概念が提示された。これは、投資家が業界全体の慣行や規範を変革し、持続可能な企業行動を促進するためにステークホルダーとのネットワークを活用する手法である。多くの署名機関は「同業者との比較」(peer comparison)を重要視しているため、Progression Pathwaysがフィールド・ビルディングのプラットフォームとして機能すれば、投資家の取組み進展が互いに促進され、業界全体にポジティブな効果をもたらす可能性があることが紹介された。この背景には、投資戦略の違いや地域ごとの規制の違いが、責任投資の慣行における収斂を難しくしている点がある。例えば、英国のスチュワードシップ・コードは投資家に対しシステムレベル・リスクに取り組むことを推奨している一方、日本のスチュワードシップ・コードには対応する原則がなく、具体的な投資活動に関する詳細な情報開示も求めていない。Progression Pathwaysが、フィールド・ビルディングの場として機能することにより、異なる開示・規制環境におけるベストプラクティスを互いに学びながら規制の断片化を防ぎ、責任投資慣行の収斂を促進することが期待されている。

一方で、プログレッション・パスウェイズは歓迎すべき進化だが、この新しい枠組みが単なる「ラベル付け」やProgression-washingに陥らないため、PRIは進捗を測定するための明確で検証可能な基準を提供する必要があるという意見もあった。適切な透明性と報告基準が求められており、本フレームワークの今後の発展に期待が寄せられている。

3――本大会の中心的な概念:サステナビリティ課題間の相互連関性とシステム思考

サステナビリティ課題が多様化する中、本大会を象徴する概念として「サステナビリティ課題間の相互関連性」や「システムレベル・リスク」が多くの登壇者から指摘された。投資家を取り巻く昨今の環境をみると、個々のサステナビリティ課題は単独で存在するのではなく、気候変動や社会的不平等、生物多様性の喪失など様々な課題が互いに深く結びついている。例えば、気候変動による異常気象や自然災害の増加は生態系に影響を及ぼすだけでなく、貧困層や脆弱な地域に大きな負担をもたらし社会的不平等を悪化させる原因にもなる。同時に、生態系の損失は自然災害に対するレジリエンスの低下を招き、結果的に社会が不安定化するリスクの要因にも成り得る。このようなシステムレベル・リスクは、企業レベルやセクターの枠を超えて金融システムの安定性を脅かし、長期的な投資リターンや資産の成長を損なう可能性がある。投資家が投資パフォーマンスを長期的に改善するには、金融システム全体を持続可能にすることが不可欠であり、そのためには「システム思考」に基づいたアプローチが重要となる。

4――主要トピックス

「サステナビリティ課題間の相互関連性」や「システムレベル・リスク」という概念を軸に、この章ではトロント大会において議論された主要なトピックスを紹介する。多岐に亘るグローバル課題が、全体としてどのように構築されているかを認識することは、今後の責任投資を展望する上で重要な要素となる。

4-1. 先住民族(First Nations)

先住民族コミュニティの問題は、開催国カナダにおいて、責任投資の文脈でシステムレベル・リスクと深くかかわる重要なテーマである。トロント大会の開会式において、ファースト・ネーションズ総会のナショナル・チーフであるシンディ・ウッドハウス・ネピナク氏(Cindy Woodhouse-Nepinak, National Chief, Assembly of First Nations)や、ミシサガ族の代表であるオギマクウェ・クレア・ソー氏(Ogimaa-kwe Claire Sault, Chief, Mississaugas of the Credit First Nation)が登壇したことに象徴されるように、カナダにおいて先住民族は、国家の歴史や社会、文化において重要な位置を占めている。主な発言や議論内容は以下の通り。

  • 先住民族の権利と企業・投資家の責任をテーマに議論が行われたセッションでは、石油産業と先住民コミュニティの事例が紹介された。一般的に、石油産業は温室効果ガスの排出や環境保護の視点から議論されることが多いが、先住民コミュニティが石油産業プロジェクトやパイプラインの所有権を有することで経済的自立の手段として活用できる可能性がある。責任投資の重要な課題の一つとして、企業や投資家が社会的インパクトを重視しながら長期的な利益を追求する「Just Transition(公正な移行)」という概念がある。これは、気候変動対策が経済社会的な格差・不平等を生じさせないようにする考え方であり、公正さを欠く移行は社会的不平等を悪化させ、システムレベル・リスクを増大させる可能性がある。先住民コミュニティがガスパイプラインの所有権を持ち、意思決定プロセスや資金調達に影響を及ぼすことで、利益を教育や生活インフラの充実に回し、生活の質を向上させることが期待できることは、公正な移行のグッドプラクティスと捉えることができる。一方で、多くの企業が先住民族の権利を軽視し法的な問題に発展していることが、カナダやオーストラリアで発生した事例とともに紹介され、課題も認識された。
  • また、先住民族コミュニティの知識と投資への期待についても議論された。先住民族コミュニティは何世代にも亘って土地や自然と共生してきた知識を持っており、その知識が生物多様性の保護や気候変動対策に役立つと考えられている。例えば、先住民族の伝統的な土地管理方法が森林再生や持続可能な農業に効果的であることが認識されている。公正な移行を成功させながら持続可能なプロジェクトを実施するには、設計段階において先住民族コミュニティの視点が欠かせないことが指摘された。

このように、本大会では、先住民族コミュニティの権利の尊重や、伝統的な知識を活用した環境保護を通じた経済発展など、企業や投資家が先住民族コミュニティとの協働を通じて信頼を築き長期的な価値創造を目指すアプローチに対する認識が共有された。そして、投資家がとるべき行動として、先住民族コミュニティの声を真摯に聞き、意思決定のために必要な情報提供を支援することが確認された。

4-2. 気候変動

気候変動対策や1.5度削減目標に対する意見は多岐に亘っていたが、全体的には達成目標の難しさを認識する慎重な現実主義と、希望をもって取り組む戦略的な姿勢が入り混じったものだった。目標達成は技術的には可能であるものの、実現までには時間が限られているという緊急性を認識する発言が多くの登壇者から聞かれた。以下、主な発言や議論内容を紹介する。

  • マーク・カーニー氏は、気候変動対策の緊急性と、単なるポートフォリオの脱炭素化だけでなく実体経済の脱炭素化が重要であることを強調した。その上で、現在のネットゼロ政策は不十分であり、「産業革命規模、デジタル革命のペース」で移行を進めるために、データ・行動・投資におけるギャップを埋める必要があると指摘した。
  • 気候変動対策には多様な社会課題を包含した「公正な移行」が必要であることはグローバルな共通認識となっており、ポートフォリオの排出量削減だけでなく、労働者や地域社会の支援を組み込んだ気候変動対策が求められている。セッションでは、現在のEUを中心とした規制の多くはグローバルノースにとっては非常に有益だがグローバルサウスには負荷が高いこと、また、カナダだけでなく全グローバルサウスの先住民を包含するために連帯を示さなければならないことなど、脱炭素化の課題だけではなく、グローバルな社会課題を指摘する発言もあった。
  • また、多くのアフリカ諸国では、気候変動といったグローバルなシステムレベル・リスクよりも貧困や失業といった課題への対処を優先させる必要があるとの指摘や、気候変動対策に関連する規制が強化されると発展する機会を逸する懸念があり、一部の途上国では当たり前に存在する教育・健康・民主主義・清潔な環境へのアクセスといったことが享受できなくなる可能性を懸念する声も挙がった。
  • 一方、エリック・アッシャー氏(Eric Usher, Head, UN Environment Programme Finance Initiatives)は、各国が気候変動対策において確かな進展を遂げていると述べ、持続可能な未来への進展が加速していると前向きな見解を示した。特に、エネルギー・交通分野における脱炭素化の進展を強調し、英国が石炭火力を廃止したこと、カリフォルニアが石油生産を規制する法案を通過させたこと、そしてコロンビアが脱石油に向けた大規模な移行プランを発表したことなどを紹介した。また、エチオピアがガソリン車とディーゼル車の輸入を禁止する先駆的な動きを見せていること、中国で再生可能エネルギーや電気自動車市場が急成長していることなど、各国がクリーンエネルギーの拡大に積極的に取り組んでいる状況について触れた。

全体として、1.5度削減目標の達成は容易ではなく、公正な移行という観点からも課題は多いとの指摘がなされる一方、政府・企業・投資家間の協調と迅速な行動が取られれば達成可能という意見もあり、困難を悲観するより行動を促す姿勢が強調された。

4-3. 社会的不平等・人権

過度な気候変動対策などの影響が、経済格差の広がりを招く中では多様な社会課題が顕在化し、経済市場だけでなくシステム全体におけるリスクが生じている。同時に、「社会的不平等」や「人権侵害」といった課題が強く認識されたことは、これらを是正するための要求にもつながっている。トロント大会においても、「社会的不平等」「人権」が責任投資におけるシステムレベル・リスクとして重要視され、企業が社会的な影響を開示することや、人権デューデリジェンスがソフトローから強制規範へと強化されている点が認識された。以下、主な発言や議論内容を紹介する。

  • 社会的不平等を議題にしたセッションでは、マクロ経済学的な観点から格差がもたらすリスクについて指摘された。社会経済的格差がGDPと従業員の生産性を押し下げ、政治的な安定性を弱めることで、負の経済的効果がある研究が紹介された。登壇者からは、社会経済的格差は、気候変動や生物多様性喪失に続く、「すぐ眼前にあるが見落とされている、次なる巨大なリスク」になるという危機意識の指摘があった。また、格差の拡大は、社会全体のシステムレベル・リスクと捉えられがちだが、企業によっては固有のリスク(idiosyncratic risk)としてばらつきが生じ得ると指摘された。企業の本源的役割は利益を追求することであり、企業は可能な範囲で短中長期的なリスクを低減するという観点で社会的格差の是正に貢献しうる一方、それだけでは社会的不平等を解消できないため、政策レベルでの構造改革が不可欠だと提起された。
  • また、オックスファム(Oxfam)が開発した「企業不平等評価軸」(Corporate Inequality Framework)に基づく分析が紹介され、企業が社会的リスクを過小評価していることや、企業による「多様性・公平性・包括性」(Diversity Equity & Inclusion)が新たな「ウォッシング」になっていること、人種・性別の不平等が賃金格差に直結しているなどの課題が指摘された。
  • 人権と自然をテーマにしたセッションでは、米国では有色人種の約75%が自然破壊された地域(nature deprived areas)に居住することに対し白人の同数値は約25%に過ぎないデータなどを示し、人種や所得格差が公共財としての自然資本の配分に影響を与えている点が指摘された。このような人的資本開示のような取組に費やすことができるリソースは限られているため、人権が他の責任投資課題と関連があることを認識し、システム思考により課題に取り組む必要があることが提起された。
  • 社会的不平等や人権に関する配慮は決して新しい概念ではなく、投資判断に際しての人権デューデリジェンスなど投資先企業の人権遵守状況を確認するプロセスは以前から存在していた。しかし、これらの課題が複雑化し、他のグローバル課題と密接に相互関連する中で、システム思考に基づく対処が必要となっている。

4-4. 自然資本と生物多様性

自然資本や生物多様性の損失は、現代の経済システムにおいて深刻なシステムレベル・リスクを引き起こす要因となっており、投資戦略において考慮すべき重要な課題の一つである。本大会では、これらの要素が投融資のリスク評価や意思決定に十分に反映されていない点が課題として指摘され、企業や投資家が自然資本や生物多様性の損失に効果的に対処するためには、政策当局との協力が重要である点などが議論された。以下、主な発言や議論内容を紹介する。

  • 自然を責任投資の中心として捉えることに焦点を当てたセッションでは、自然と気候変動は「同じコインの両面」として捉えるべきであり、これらを個別に扱うことの限界が指摘された。ネットゼロの目標達成には生物多様性や自然保護が不可欠であり、自然資本の損失は投資家にとってシステムレベル・リスクを生み出すことに繋がる。そのため、投資家は自然に関するリスクを定量化し投資プロセスに組み込む必要がある一方、具体的なデータや測定基準が不足しており、自然資本に対する投資の効果を正確に評価するのが難しい現状にある。自然資本を効果的に投資プロセスに組み込むためには、より多くのデータと指標が必要である点が提起された。
  • 気候変動と生物多様性に関する国際会議(COP16およびCOP29)への道筋をテーマに議論が行われたセッションでは、投資家と政策当局との協力が重要だという点が強調された。政策当局は民間資本に対し過剰な期待を抱き投資決定がどのように行われるかを十分に理解しない傾向がある一方、民間資本側も過大な約束を交わしながら約束が実現されていないという問題――政策当局と投資家のジレンマ――が取り上げられ、政策当局と投資家の相互理解が不可欠であると指摘された。また、気候変動対策への資金や生物多様性枠組については、各国が自主的に決定する貢献(NDC: Nationally Determined Contributions)の強化が重要視され、自国の取組が他国に与える影響を理解することが必要であることが確認された。

課題の複雑さを認識しつつも、自然資本や生物多様性が投資戦略に組み込まれることへの期待、PiPやCOPのような国際会議が、気候変動や生物多様性という課題に効果的に対処するための行動を促すプラットフォームの場として機能していることの意義が改めて確認された。

4-5. AI技術と責任投資

AI技術の進化は、システムレベル・リスクを特定・管理するための新しいツールとしての可能性を秘めている。例えば、大規模なデータ分析や予測モニタリングを通じて、複雑なリスクの相互関係を明らかにすることが可能である。一方で、AI技術そのものも倫理的課題などの新しいリスクを生む可能性があり、慎重な対応が求められている。本大会においても、AI技術が責任投資にどのように貢献できるか、そしてリスクや課題をどのように管理するべきか議論が行われた。以下、主な発言や議論内容を紹介する。

  • AI技術は、データ解析能力の高度化、指標モニタリングの改善、イノベーション推進、生産性の向上などにより、複雑なグローバル課題を解決する潜在能力を秘めていることに期待されている。一方で、バイアスやプライバシー問題、労働市場や金融システムへの影響、より広範囲な社会のシステムレベル・リスクに対する懸念を理解することが重要とされた。また、AI技術のように新しい領域におけるガバナンスでは、適切に規制されたAIシステムの導入が不可欠であると同時に、投資家はAI分野においてもエンゲージメントに目を向けるべき点が指摘された。
  • 具体的なリスクとして、労働者の仕事が一層AIアルゴリズムによって指示され、人間的要素が排除されることが課題として指摘された。これにより、人間的判断が人的資本管理プロセスから排除されるという極端な形で脱人間化が行われ、労働者の権利侵害や違法な雇用差別などの問題が生じることが考えられる。本大会に先立つ2024年10月には、米国東海岸の港湾において、AIを含む自動化技術の導入をめぐる労働条件の対立が原因で、大規模な港湾労働者のストライキが発生した。このストライキは、労働者が雇用主との労働条件に賃上げと自動化抑制を求めて行ったものであり、AI技術よるシステムレベル・リスク(労働者の権利侵害、サプライチェーンの弱点)を表した事例である。

AI技術がより高度に進化するにつれ、企業や投資家が透明性と説明責任を果たしながら、責任あるAI技術の実装を進めることが求められていることが改めて認識された。

4-6. 情報開示と規制

気候変動や自然資本、社会的不平等などさまざまな課題がシステムレベル・リスクとして、社会経済全体に影響を及ぼしている。特に本大会においては、社会的不平等が気候変動や生物多様性損失に続く、次なるメガリスクとなる可能性が指摘された。システムレベル・リスクの課題に対応するためには、投資家と政策当局が連携して、透明性と責任を伴う枠組みを構築する必要がある。システムレベル・リスクについて、情報開示や規制面から議論された内容を紹介する。

  • TISFD(Taskforce on Inequality & Social-related Financial Disclosures:社会関連財務情報開示タスクフォース)は、社会的不平等をシステムレベル・リスクと位置付け可視化し、特に企業活動や投資行動がどのように社会的不平等を悪化または改善するかを明らかにすることを目指している。従来、水や森林資源などの自然資本は所与のものとして捉えられていたが、それらに及ぼす外部不経済をプライシングする必要が生じたことにより、TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosure)やTNFD(Taskforce on Nature-Related Financial Disclosure)が整備された。同様に、社会的不平等によるコストなど、人(労働者、消費者、地域コミュニティなどpeople)に及ぼす外部不経済について適切に情報開示する必要が生じている。企業や投資家が直面するリスクの透明性を高め、社会的不平等を緩和する投資戦略の必要性は認識されている一方、現時点では社会的不平等に関するデータや測定手法の不足が課題となっている。TISFDは、ISSB(International Sustainability Standards Board、国際サステナビリティ基準審議会)やGRI(Global Reporting Initiatives)などの団体や国際的な報告委基準との整合性を調整しながら、2026年末までの導入が期待されている。
  • 情報開示や規制環境が整えられる一方、「グリーンハッシング(Greenhushing)」も議論された。「グリーンウォッシング(Greenwashing)」は企業の信頼性を揺るがす重要な課題として知られているが、近年は、企業がサステナビリティへの取組を過少評価し、批判を避けるために透明性を低下させる「グリーンハッシュ」という傾向も現れ、投資家の不信感の高まりとして新たな課題となっている。企業がサステナビリティ情報の公表を控える傾向は、特に米国で見られ反ESGからの圧力が関係している可能性や、EU/CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)などによる透明性確保の厳格化に伴いグリーンハッシングが増加していることなどが指摘された。投資家からは、国際的に共通した基準が整備されることで、これらの課題防止に寄与する期待が表明された。
  • 近年、多国籍企業のサプライチェーンにおける労働者の人権侵害(児童・強制労働など)や環境破壊(森林伐採など)に対する意識が特に高まっている。そのような中、企業のサプライチェーン全体での責任を明確化し、これらの問題を解決するためのフレームワークとして、2024年4月に欧州議会で採択されたEU/CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)が話題としてあがった。EU/CSDDDは、強制力を持たないUNGPs(UN Guiding Principles on Business and Human Rights)を法的拘束力があるものに昇華させた位置付けである。デューデリジェンスを義務付ける点や人権の特定・評価する点はUNGPsと同様である一方、人権に加え環境のデューデリジェンスも義務づけている点や、サプライチェーン全体をスコープと捉える点はUNGPsとは異なる。EU/CSDDDが採択されたことで、個別の企業や産業を超えた広範囲な影響を及ぼすシステムレベル・リスクをより包括的に解決する道筋が作られることが期待されている。一方、EU/CSDDDは歓迎すべき進展だが、導入に向けた準備ができている企業は非常に限定的であることも指摘され、2026~2027年にかけて各国で運用が開始されるまでの道のりは長いことが課題として残る。
  • 責任投資に関連する規制環境の変化は、企業や投資家にとって負担であると同時に機会をもたらしている。投資活動の透明性を強化するための流れは今後も継続することが想定され、企業や投資家は、規制への対応を一層求められている。

4-7. エンゲージメント

システムレベル・リスクに効果的に取り組むことを目指す場合、エンゲージメントは様々なステークホルダー間の重要な橋渡し役を果たす。昨年の東京大会と同様に本大会でも、企業を対象としたエンゲージメントだけではなく、政策当局を対象としたポリシーエンゲージメントの重要性が強調された。企業と政策当局の双方に対するエンゲージメントのバランスが重要であること、その際には協働エンゲージメントが効果的であることが指摘された。以下、主な発言や議論内容を紹介する。

  • エンゲージメントとシステムレベル・リスクに焦点を当てたセッションでは、個別ポートフォリオ単位のリスク管理ではシステムレベル・リスクに十分対処できないことや、システムレベル・リスクの優先順位付けが難しいといった意見が聞かれた。これに対し、システムレベル・リスクの優先順位を決めるためには、投資家がポートフォリオ全体への影響を考慮し、政策当局や他の投資家との協働が重要であると提案がされた。加えて、エンゲージメントの効果を高めるために、投資家の権利を行使することの必要性も強調された。エンゲージメントが効果的でない場合は次のステップとして、法的手段やエスカレーション戦略(議決権行使、要監視リスト、ダイベストメント)の重要性や効率性が説明され、リスクに対しより厳格な姿勢が必要となることが指摘された
  • 気候変動対策とエンゲージメントに関するセッションでは、システムレベル・リスクに対応するため、企業エンゲージメントとポリシーエンゲージメントのどちらを重視するかというディベート形式の議論が行われた。冒頭、聴衆に対してどちらを重視するか投票が行われ、約7割がポリシーエンゲージメント重視に投票した。この結果を受けて、4名のパネリストが、企業エンゲージメント派とポリシーエンゲージメント派の2組に分かれ、意見を述べ合った。ポリシーエンゲージメントを支持するパネリストからは、気候変動は市場の失敗によるものであり政策当局が解決策を示すべきということが指摘され、企業エンゲージメントを支持するパネリストからは、政策当局の解決策は実効性に乏しい点を中心に議論が展開された。その後、聴衆を対象に改めて投票を実施した結果では、ディスカッションの中では企業エンゲージメントを重視する意見の方に説得力があったという結果になったが、全体として双方のアプローチが互いに補完するバランスが重要だと強調された。
  •  
  • 個々の投資家や企業だけでは対処が困難なシステムレベル・リスクやAI技術のような新しいテーマに対応するためには、様々なステークホルダーへのエンゲージメントが不可欠であり、エンゲージメント活動の専門知識や能力向上、そして協働が重要であると認識された。

4-8. システムレベル投資

個別企業に固有なリスクや機会に焦点あてたESG投資によって超過リターンαを獲得することは可能だが、そうした投資アプローチだけではシステムレベル・リスクへの対応としては不十分である。あらゆる企業の事業基盤を脅かす気候変動や社会的不平等などのシステムレベル・リスクが発生すれば、マーケットリターン全体βが沈むため、投資家がいくら分散投資を行ったとしても、その影響は免れない。このため、投資家がポートフォリオ全体の投資パフォーマンスを長期的に改善するには、金融システム全体を持続可能にすることが不可欠であることが、従来にも増して強調された。

  • システムレベル投資に関するパネルディスカッションでは、長期的視点での投資が実社会に与えるインパクトの重要性が繰り返し指摘された。長期的視点を考慮した投資構造へ変革するに際しては、影響を受けるステークホルダーを取り込み労働者や地域コミュニティと協力することで、実社会にポジティブなインパクトを創出できること、また環境・社会システムといった「共通の資源」を損なわないためには、個別企業による短期的利益追求がシステム全体に損失を与えないように行動基準(ガードレール)を規定する必要があることなどが指摘された。同時に、PRI「アクティブ・オーナーシップ2.0」(Active Ownership 2.0)によるシステムレベル・リスクを統合する動きなど、PRIが専門家やリソースを結びつけるプラットフォームの構築に取り組んでいることが紹介された。
  • スチュワードシップを通じたシステムレベル・リスクへの取り組みに焦点を当てたセッションでは、実社会へのインパクトを生み出すために必要なアプローチが議論された。具体的には、短期的なポートフォリオのリスク管理だけでなく長期的なシステム全体の健全性を重視すること、ポートフォリオの脱炭素化だけでなく現実の排出量削減や自然資本の保護など実社会での具体的な成果に重点を置く必要があることが指摘された。そして、それらを実現するアプローチとして、(1)政策当局との協働により持続可能な政策への変更を促すこと、(2)企業エンゲージメントにおいてエスカレーション戦略に基づき行動変容を促すこと、(3)ポートフォリオ全体におけるリスクを考慮したシステムレベルでの投資目標を設定すること、(4)投資家自身が戦略的思考や高度な分析スキルを身につけること、などがケーススタディを通して紹介された。
  • また、アセット・オーナーとアセット・マネージャーという投資における主要なステークホルダーが、どのように投資の意思決定を通じて課題に対処し、実社会へのインパクトを生み出しているかを議論したセッションも設けられた。そこでは、アセット・オーナーが長期的パフォーマンスとシステム全体のリスク管理に焦点を当てる傾向がある一方で、アセット・マネージャーは受託者責任を果たすための具体的な戦略と実行可能性を重視する傾向があると指摘された。そのため、両者が効果的に協働することで実社会へのポジティブなインパクトを最大化できるという点が強調された。また、実社会においてインパクトを生み出すためには、「ポートフォリオ全体で投資機会を捉えること」や「投資家以外とも協働していくこと」などの視点を重視する必要があると提起された。

企業や投資家が、短期的パフォーマンスの追求から、環境・社会への長期的な影響を考慮した戦略を用いることで、より健全で公平な社会システムを構築することが可能となる。このようなアプローチは、システムレベル・リスクを軽減し、社会全体にポジティブなインパクトをもたらすための重要なステップになると期待される。

5――おわりに

今年のトロント大会では、複雑化するサステナビリティ課題に対し、投資家や企業がシステム思考を持ち如何にして実質的なインパクトを社会にもたらすことができるか模索され、そのためのツールや戦略も提示された。また、地域特性の視点を考慮したセッションも開催され、カナダの投資家コミュニティが示すリーダーシップや取組み事例が、今後の責任投資を推進するうえで一つの指針にもなった。来年のPiPはブラジルのサンパウロで開催が予定されており、アマゾン熱帯雨林の保全や生物多様性、経済発展とのバランスなどが主要テーマになることが予想される。

また、本大会を通じて確認された共通理解の一つとして、「協力・協調」の重要性が挙げられる。複雑に相互関連したシステム全体のリスクに対処しながら、サステナブルな経済へ移行を加速するためには、今後も各国規制当局や投資家間の協働が求められる。その中で、プラットフォームとして機能するPRIに対する期待はますます高まっている。

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=80409?site=nli


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花蓮市長、岩手県宮古市長と面会 交流深化に期待/台湾

2024-12-10 | 先住民族関連

 

中央社フォーカス台湾 2024年12月09日(月)19:58

東部・花蓮市公所(役所)を訪問し魏嘉彦市長(右)から歓迎を受ける岩手県宮古市の山本正德市長(背広姿の人)=花蓮市公所提供 画像(1枚)

(花蓮中央社)岩手県宮古市の山本正德市長ら訪問団が9日、東部・花蓮市公所(役所)を訪問し、魏嘉彦(ぎかげん)花蓮市長と面会した。両市は共に震災からの復興に取り組む都市であることから、魏市長は交流の深化に期待を寄せた。

山本市長や橋本久夫宮古市議会議長ら一行は台北市内で7、8日に開かれた東北PRイベント「日本東北遊楽日2024」への参加後、8日午後に花蓮に到着し、花蓮市主催の夕食会で歓迎を受けた。

魏市長は今年7月末、友好都市提携を結ぶ岩手県盛岡市を訪問。山本市長はその際に開かれた友好都市提携5周年記念イベントに駆け付けていた。魏市長は、宮古市が今年4月の台湾東部沖地震の発生後すぐに花蓮市にお見舞いのメッセージを寄せ、200万円を寄付したことへの感謝の印として扁額を贈った。

山本市長は、地震と津波に対応するため、同市と近隣地域はいずれも包括的な防災計画を策定したとし、今後、宮古市で花蓮市の訪問団をもてなし、関連の課題について交流、議論できるよう願った。

橋本市議会議長は、宮古市と花蓮市の児童を相互に派遣する交流事業を推進したい考えを示した。

(李先鳳/編集:名切千絵)

https://www.excite.co.jp/news/article/Jpcna_CNA_20241209_202412090006/


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台南の街中で「芸術カーニバル」 日本のよさこい3団体も参加/台湾

2024-12-10 | 先住民族関連

 

中央社フォーカス台湾2024年12月09日(月)14:30

南部・台南市で8日、国内外の団体がダンスなどを披露する「台南芸術カーニバルパレード」(台南踩街芸術嘉年華)が開かれ、日本からはよさこいグループ3団体が同市の招待を受けて参加した=同市政府提供

(台南中央社)南部・台南市で8日、国内外の団体がダンスなどを披露する「台南芸術カーニバルパレード」(台南踩街芸術嘉年華)が開かれた。日本からはよさこいグループ3団体が、主催する台南市政府観光旅遊局の招待を受けて参加した。

日本から参加したのは、札幌市の「BASARA」と三重県の「極津」、ソフトバンクよさこい部。台湾各地のダンスグループや高校、大学のチームなど17団体も登場した。日本の3団体は同市内で7日に開催された、日本統治時代の百貨店を前身とする「林百貨」主催のイベントでもパフォーマンスした。

市観光旅遊局は、台日のグループが参加し、創造的なパフォーマンスを通じて互いの距離を縮められたと言及。特に日本の団体の特色ある踊りは、イベントの素晴らしさ向上させただけでなく、訪れた人々に異なる文化同士の交流を実感させたとした。

(楊思瑞/編集:田中宏樹)

編集部おすすめ

https://www.excite.co.jp/news/article/Jpcna_CNA_20241209_202412090001/


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インドの香港に似た港が古代部族を絶滅させる可能性がある

2024-12-10 | 先住民族関連

 

Njpw Fun 12月 9, 2024から 翼大代 -

インド海運省/X

遠隔地のグレート・ニコバル島に建設予定の港の 3D モデリング

「森は私たちのスーパーマーケットです」とアニス・ジャスティンは言います。 「私たちはほとんどすべてのものをこれらの島の森から得ています。それが私たちが生き残るためのものです。」

人類学者のジャスティン氏は、インドの東海岸にまたがるアンダマン諸島とニコバル諸島で育ちました。連邦直轄領であるこの生態学的に脆弱な地域は 836 の島で構成されており、そのうち人が住んでいるのは 38 島だけです。ニコバル諸島は、アンダマン島の南約 150 km (93 マイル) に位置する、領土の南部にある独特の島々のグループです。

ジャスティン氏は現在、インドがニコバル諸島の最大かつ最も人里離れた場所の一つであるグレート・ニコバル島で数十億ドル規模の「香港のような」開発プロジェクトを計画しているのを不安な気持ちで見守っている。

7,200億ルピー(90億ドルまたは60億ポンド)の予算で建設され、166平方キロメートルに広がるこのプロジェクトには、積み替え港、発電所、空港、新しい町区が含まれており、すべてこの地域を重要な世界貿易ルートに結び付けるように設計されています。インド洋とスエズ運河沿い。

世界で最も交通量の多い航路の一つであるマラッカ海峡の近くに位置するこのプロジェクトは、国際貿易と観光の促進を約束している – 政府の試算では、プロジェクトが完了する30年までに約65万人が島に住むことになるだろう。

専門家らは、この数十億ドル規模の計画は、この地域で増大する中国の影響力に対抗するというインドのより大きな目標の一部でもあると述べている。

しかし、この計画は土地、文化、生活様式の喪失を恐れる島民の間で警戒を引き起こしており、この計画により島民は絶滅の危機に瀕する恐れがある。

アンダマン・ニコバル諸島には世界で最も孤立し脆弱な部族が住んでおり、そのうちの5つのグループが「特に脆弱」に分類されている。

これらには、ジャラワ族、北センチネル族、大アンダマン族、オンゲ族、ションペン族が含まれます。ジャラワ族と北センチネル族は依然としてほとんど連絡が取れていない一方、大ニコバル諸島の約 400 人が住むションペン族も外圧により生活様式を失う危険にさらされています。

遊牧民の部族で、そのほとんどが森の奥深くに住んでおり、そこで生き残るために食べ物を探します。外の世界と接触したことがない人はほとんどいないため、彼らの文化についてはあまり知られていません。

1985年からこの島を記録してきたジャスティン氏は、「彼らにとって損失は特に大きく、トラウマになるだろう」と語る。

「私たちが外の世界で発展と呼ぶものは何であれ、彼らにとっては興味がありません。彼らは独自の伝統的な生活を送っています。」

環境保護活動家らは、このプロジェクトには莫大な環境コストもかかると述べている。

921 平方キロメートル (355.6 平方マイル) に広がるグレート ニコバル島の約 80% は熱帯雨林で覆われており、1,800 種以上の動物と 800 種以上の植物種が生息しており、その多くは固有種です。

連邦環境省は、このプロジェクトのために伐採されるのは島の総面積の14%に当たる130平方キロのみだと発表しているが、それでも約96万4,000本の木に相当する。専門家らは、実際の数はさらに多い可能性があると警告している。

「政府は常に森林の一部だけが伐採されると主張しています。しかし、建設中のインフラはさらなる汚染につながり、ひいては生息地全体に影響を与えることになるでしょう」と生態学者のマダブ・ガギル氏は言う。

環境省はBBCのコメント要請に応じなかった。

しかし、ブペンドラ・ヤダブ環境大臣は8月、このプロジェクトは部族民を「混乱させたり、追い出したりするものではない」とし、「厳格な環境調査とその結果としての保護措置を組み込んだ上で」環境許可を得ていると述べた。

しかし、誰もが納得しているわけではありません。

今年初めに、社会科学のさまざまな分野の国際専門家39名が、 警告された この開発プロジェクトはションペン族の生息地を破壊するものであり、彼らにとっては「死刑宣告」となるだろうと主張した。

それはジャスティン氏をも悩ませている恐怖だ。「ションペンの人々は、工業社会で生き残るための知識も手段も持っていない」と彼は言う。

この島には、古代の未接触のションペン族が住んでいます。

同氏は、このグループが、2004年にインド洋の大津波で村を壊滅させられ、避難民となった島最大の部族グループであるニコバレー族と同じ運命をたどる可能性があると懸念している。

政府は長年にわたり、人々を別の地域に再定住させる努力をしてきましたが、それにも代償が伴いました。

「ここにいるニコバレー人のほとんどは現在肉体労働者であり、祖先の土地ではなく入植地に住んでいます」とジャスティンさんは言う。 「彼らには作物を育てたり、動物を飼ったりする場所がないのです。」

このプロジェクトにより、ションペン族も病気にさらされる可能性があるとの懸念がある。

「非接触の人々は、インフルエンザや麻疹などの外部の病気に対する免疫をほとんど持っていないため、絶滅する可能性があり、実際に絶滅する可能性があります。通常、接触後には人口の約3分の2が失われます」と自然保護団体サバイバル・インターナショナルの職員カラム・ラッセルは言う。

このプロジェクトは、さまざまな海洋生物の生息地であるガラテア湾に影響を与えるだろう

他にも、特にこの地域の海洋生物に関する、より広範な環境上の懸念もあります。

生態学者らは、何世紀にもわたって巨大なオサガメの営巣地となっている島の南東側にあるガラテア湾への影響を警告している。

社会生態学者のマニッシュ・チャンディ博士は、このプロジェクトはイリエワニや島のミズオオトカゲ、魚類、鳥類にも影響を与えるだろうと述べている。

政府の声明は、これらの種の営巣地と繁殖地は変更されないと述べた。

しかしチャンディ氏は、この地域には他にもいくつかの種が大量に営巣していると指摘する。 「政府は、サンゴが自然には見られない場所にサンゴを移転することを提案しています。彼らは他の種をどうするつもりですか?」

たとえこのプロジェクトが完了するまでに30年もの長い年月がかかるとしても、人々は、それが島の環境と先住民族の生活の両方の微妙なバランスをどのように取り返しのつかないほど変えてしまうのか、不安を感じずにはいられません。

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https://www.njpwfun.com/ニュース/34482/インドの香港に似た港が古代部族を絶滅させる可/


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北極圏を丹念に取材した笹本恒子写真賞受賞記念・遠藤励写真展「MIAGGOORTOQ (ミアゴート)」

2024-12-10 | 先住民族関連

 

CAPA編集部2024年12月09日

遠藤励さんの第7回「笹本恒子写真賞」受賞記念展が、2024年12月19日より開催されます。

女性報道写真家の先がけとして活躍した笹本恒子さん (1914年~2022年) の業績を記念し、その精神を引き継ぐ写真家の活動を支援することを目的として創設された「笹本恒子写真賞」。第7回の受賞者となった遠藤さんは、スノーボードカルチャーの撮影を長く続ける中で、身近な気候の変化から雪が地球環境を反映していることに気づき、2017年から雪の民族とその地方の記録に取り組んでいます。北極圏のグリーンランド奥地に住む先住民を訪ねて撮影を続ける行動力、そして圧倒的な表現力で撮影された作品をまとめた大型写真集など、熱量を強く感じさせる活動が評価され、受賞に至りました。

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻の影響で海外遠征ができず、挫折しかけたこともあったという遠藤さん。「今回の受賞はこの時代に写真を続けていく勇気と役目を与えてくれました」と語っています。受賞を記念して開催される本展では、カラー・モノクロ30点から40点を展示します。

第7回「笹本恒子写真賞」受賞記念展 : 遠藤励写真展「MIAGGOORTOQ (ミアゴート)」

会期 2024年12月19日 (木) ~25日 (水)
会場 アイデムフォトギャラリー「シリウス」
住所 東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F
時間 10:00~18:00 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
入場料 無料
問い合わせ アイデムフォトギャラリー「シリウス」(TEL 03-3350-1211)

遠藤 励 (Tsutomu Endo)

長野県大町市生まれ・在住。スノーボードの黎明期を目撃し、90年代後期から身近な存在だったスノーボーダーを撮り始め、写真家としての活動を開始。現在まで国内および北米・欧州のボードカルチャーの専門誌やメディアに作品を提供。また、雪にまつわる作品表現にも傾倒し、近年は北極圏への遠征を重ね、そこに暮らす先住民の生活を追体験しながら、現地で急速に進行する自然資源開発や気候変動が及ぼす影響を考え、作品化を続けている。2024年日本写真協会新人賞受賞。
→ WEBサイト

https://getnavi.jp/capa/pickup/241219endo/


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サウジアラビア、土地再生と干ばつ耐性強化を加速する「リヤド行動計画」を打ち出す

2024-12-10 | 先住民族関連

 

夕刊フジ 2024.12/9 10:05

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412081313-O2-IW5CDWce

リヤドで開催されたCOP16の「アグリフードシステムデー」においてイニシアチブを発表

リヤド, サウジアラビア, 2024年12月8日 /PRNewswire/ -- サウジアラビアのUNCCD COP16議長国は、「リヤド行動計画」の立ち上げを発表しました。この画期的なイニシアチブは、土地劣化、砂漠化、干ばつに対する持続的な解決策を提供するために、国家および非国家主体を動員することを目的としています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412081313-O1-8Pav314t

環境・水・農業省環境担当副大臣兼UNCCD COP16議長国顧問であるオサマ・ファキーハ博士は、持続可能で強靭かつ包摂的なアグリフードシステムに関するハイレベル対話での基調講演において、リヤド行動計画を正式に発表しましたリヤド行動計画は、リヤドで開催されたCOP16によって生まれた勢いを活用し、サウジアラビアがUNCCD COP16議長国を務める2年間の期間中に、農業従事者から先住民に至るまで、幅広い環境関係者と連携し、具体的な行動を促進することを目指します。

発表に際し、オサマ・ファキーハ博士は次のように述べました。「必要とされる速度と規模で土地再生と干ばつ耐性強化の取り組みを加速させるためには、リヤドでのCOP16終了後も行動を継続的に促進し、奨励することが極めて重要です。これにより、土地再生分野におけるサウジアラビアのリーダーシップを再確認し、世界的な変革の持続可能な遺産を残すことができます。」

リヤド行動計画の発表は、リヤドで開催されたCOP16の4日目にあたる「アグリフードシステムデー」に行われました。この日は、議論と進行中の交渉に焦点を当てるために企画された7つのテーマ別日のうちの1つでした。農業は土地劣化の主要な要因であり、現在の農業食品システムは、森林破壊、温室効果ガス排出、生物多様性の喪失に寄与しています。UNCCDによると、農業は温室効果ガス排出量の23%、森林破壊の80%、淡水使用量の70%を占めています。

持続不可能な農業慣行への解決策を模索するため、一日を通じて多国間の解決策を活用するためのさまざまなイベントが開催されました。議論は幅広い主要な会合で行われ、健康な土壌の強化、強靭な作物の育成、そして栄養価の高い食品の提供方法などのテーマが取り上げられました。アグリフードシステムデーでは、食品システムの変革における民間部門と農業従事者の参加の重要性についても議論されました。この取り組みは、持続可能な土壌管理を世界的に推進する年次イベントである「世界土壌デー」に実施されました。

「私たちの食料の約95%は土壌から得られていますが、それにもかかわらず、私たちは依然として土壌を軽視しています。持続不可能な土地管理、農業慣行、そして産業規模での利益追求が、土地劣化を加速させる要因となっており、毎年240億トンの肥沃な土壌が失われています。これは、農業者がますます不毛化する畑で働かざるを得なくなる状況から、消費者が必需品に対してより高い代価を支払うことを余儀なくされる状況に至るまで、世界的な食料と水の不安定性を引き起こす主な要因です。」とファキーハ博士は述べました。

UNCCDの推計によると、2050年までに作物収量は世界全体で10%、最も被害を受ける地域では50%減少する可能性があります。このシナリオでは、食料価格が30%上昇すると推定されています。一方、人口増加により、土地や農業に対する需要が高まると予測されています。

「私たちの土地や土壌を襲う危機に対して、緊急の解決策を講じるために、ゼロから新しい方法を考案する必要はありません。有害な農業補助金を再投資することで、土地再生のための財政支援を即座に提供し、持続不可能な慣行を改革することが可能です。」とファキーハ博士は付け加えました。 

COP16リヤドについて

UNCCD COP16会議は、2024年12月2日から13日まで、サウジアラビアのブルバード・リヤド・ワールドで開催されます。会議のテーマは「私たちの土地。私たちの未来」です。UNCCDが30周年を迎えて開催される今回の会議は、干ばつからの回復力、土地保有権、砂嵐などの重要な問題に対する多国間行動を確保することを目的としています。 

UNCCD COP16の詳細やグリーンゾーンへの参加登録については、UNCCDCOP16.org をご覧ください

写真:https://mma.prnasia.com/media2/2575029/COP16_Riyadh_Action_Agenda.jpg?p=medium600

ロゴ:https://mma.prnasia.com/media2/2556588/5061866/UNCCD_COP16__Logo.jpg?p=medium600

https://www.zakzak.co.jp/pressrelease/kyodo_prwire2/OTMH7K5JVJOPXDD7WNAWWC4WIU/


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