恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

12/4(金)第151回 四の日寄席@スタジオフォー

2020年12月04日 | 噺とか
西巣鴨のスタジオフォーで行われている「四の日寄席」です。
こちらにも何度かお邪魔しておりまして、
古今亭の人気師匠方の話をたっぷりと聞ける会です。
日にちの関係から来られる日にも限りがありますが、
今日は仕事の都合もうまいこといって参加することができました。
落語ファンも多く、最終的にはほぼ満席になる盛況ぶり。

「黄金の大黒」   やまと
「湯屋番」     馬石
「地下鉄戦国絵巻」 駒治
-仲入り-
「時そば」     左橋
「芝浜」      文菊

開口一番は、やまと師匠。
「黄金の大黒」を最後まで。
この噺も寄席では途中で切られてしまうことが多いのですが、
まぁ確かに最後まで演じたところで最後のサゲもさほど面白くないので、
それも納得といったところでしょうか。
楽しい一席でした。

馬石師匠は「湯屋番」で、この師匠の若旦那の描写も好きなんです。
なんとなく肩の力が抜けていて、すっ呆けている、そんな若旦那の描き方が素敵。
番台の上での妄想シーンも一工夫加えられており、
寄席でもよくかかるこの噺をうまい具合に面白く仕上げており、
聞いていて大変に楽しい一席なのでありました。
ここまででも結構な満足度。

駒治師匠はここのところ免許を取得して車の運転を始めたことを語っていますが、
この日も戸塚まで高速道路を使わず一般道で2時間半かけて行った話を。
途中、保土ヶ谷バイパスに入ってしまって大慌てしたという話は、
車で横浜界隈を運転したことのある人ならわかりそうな話で何とも面白い。
で、本題は「地下鉄戦国絵巻」という未聴の新作。
とはいえ、これも名作「鉄道戦国絵巻」のスピンオフのような噺で、
題材は東京メトロと都営地下鉄の対立。
都営三田線が東京メトロに裏切って…というあたりから始まって、
地下鉄のみならず都電や日暮里舎人ライナーやら乗り入れ先の私鉄なんかも出てくる、
鉄道好きにはニヤリな一席でありました。
いやー、この噺に出会えただけでも来た甲斐がありました。

仲入り後の左橋師匠は末廣亭からの掛け持ち。
末廣亭では客席に3人しかいなかったというが本当ですかね。
再び感染者が増える中で、平日の主な客層と思われる高齢者は警戒するんでしょうが、
それにしても他の寄席もなかなかに客席が埋まらないようで。
(仲入り中に落語ファンと思しきお客さんがそんなことを話しているのが耳に入りました)
ネタはどういうわけか「時そば」でした。
トリの前に軽い噺で、ということなのでしょうかね。
二件目の蕎麦屋が儲かっていない設定の時そばは初めてでした。
ちょっと意表を突かれて笑ってしまいました。

トリの文菊師匠、何をやるのかなーと思っていたらマクラで三道楽の話を始めたので、
まさかと思ったのですが、「芝浜」なのでありました。
もう師走なので、ちっともおかしくはないのですが、
どうにも「芝浜」は前もってこの噺を聞くぞと思って心の準備が必要な気がするのです。
2016年の年末の鈴本で文菊師匠の「芝浜」を聞いて感銘を受けたわけですが、
あれももう4年前ということもあって改めて芝浜の世界へ。
そこまであれこれ聞き比べたわけではないのですが、
やはり文菊師匠は技巧者だなぁと感心させられます。
不必要かなと思われるシーンはバッサリと切ってしまうので、
変に長くならず、かつしつこくならないようになっているかなと。
それでいて魚勝や女房の苦悩や温かい関係も丁寧に描かれており、
ついつい引き込まれてしまうのでありました。

「芝浜」を名作とみるかどうかなど様々なご意見もありますが、
それでもこの噺を聞くと年末だと感じさせるあたり、
それぞれの楽しみ方があっていいのではないかと思います。
「芝浜」の余韻に浸りつつ、
師走の地蔵通り商店街を散策して帰るのでありました。
満ち足りた落語会でありました。

恐懼謹言。

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