少女不十分 (講談社ノベルス)
読み始めてすぐ、
作者の長々と続く、
回りくどい文章に
なんだか変わった小説だなと感じました。
登場人物は作家と少女U。
希薄な感情を持ち、
異常な行動をする少女U。
変人と自覚し偏った行動をする作家。
作家のトラウマとなった過去の出来事。
物語造りの基礎となった特別な出来事。
ある交通事故を目撃したことを端緒に
少女Uに監禁され、飼われる日々。
その少女の異常さには原因があって
納得した時には、
別に異常ではなかったのではと。
読み進めていくと不思議な少女とは
認められなくなり、
現実的にも充分あり得るのではないかと。
人為的に違った価値観を、
形成されてしまったこの少女、
決して(少女不十分)ではなく
別の視点から見ると、
不幸にも完璧な少女(少女十分)に、
なってしまったのです。
後半になってからは面白く、
この小説の世界に
引き込まれてしまいました。
読み終えてしばらくすると、
記憶が薄れていく小説が多い中で
自分の中では印象に残る小説となるでしょう。
とても楽しむことが出来ました。
読後感も良かったです。
このようなことをしてしまった
この少女が可愛そうな、
気分になってしまいます。
少女Uがどうにかして過去を乗り越えて
幸せな普通の人生を送れますようにと、
願ってしまいました。
表紙の少女も可愛いです。